ミシュラン1つ星のレストラン〈ハルベデルス・ゲストハウス〉も、やはり昔の貴族の別荘でした。
レストランの外観 と その内部
ある種の緊張感をもって行きましたが、温か味のある居心地のいい内装で、どこかの裕福なお宅に招待されているような気持ちになりました。30歳前後の男性と60歳代と思われる女性の給仕スタッフは気さくで、常連客との会話が弾んでいました。
私の席
落ち着く隅のテーブルでアペリティフの発砲リンゴジュースを飲んでいると、60歳代後半ぐらいのシェフが出てきました。驚いたことに、シェフ自ら手書きのメニューを説明して注文を聞くのです。7品から成る4月のメニューがあり、省く料理があってもいいし一品料理を付け足しても良いとのことでした。それで、私は〈チーズの盛り合わせ〉をパスして6品のメニューにしたのです。
ノンアルコールビール ・ パンとバター
飲み物はノンアルコールビールとガスなしのミネラルウォーター。パンとバターが出てきましたが、白い磁器に入っていたベーコン入り焼きたてパンだけを美味しく食べました。
ここでまた驚いたのですが、アミューズグール(食事の前に供される突き出し)が出されるのと同時にシェフがテーブルまで来て説明をしてくれます。どこで採れた食材をどう料理したか、など。注文取りを含めて、シェフがみずからこれ程のサーヴィスをするレストランは初めてです。
アミューズグール
アミューズグールはシェフの出身地である北ドイツでとれる魚の燻製と、豆や緑のアスパラガスを使った料理でした。味は複雑すぎて、私の筆力では〈美味しい〉とか〈旨い〉としか表現できません。
生マグロ料理
生マグロの料理には豆、乾燥タマネギ、味噌、食用花が添えられています。味噌はどぎつくなく、うまく使っていると思いました。
帆立貝料理
焼いた帆立貝の下には青リンゴのクリームが敷いてあり、上にはキャビアが置いてあります。黄色い粉はマドラスのカレー粉です。後は何だったか忘れました。
白身魚料理
ヒメジという海水魚の料理にはコールラビとアミガサタケと赤エシャロット(ネギ属の野菜)を添えています。ヒメジは脂肪分の少ない白身なのに、食味はけっこう濃い魚です。
牛肉のタルタルステーキ
アンガス牛肉のタルタルステーキとキノコに、テーブルでコリアンダーの煮出しスープをかけてくれました。こういう供し方のせいでスープが冷めたし、味が少し角張っていました。私はコリアンダーが嫌いだということもありますが、このメニューで唯一あまり気に入らなかった料理です。
子羊の料理
子羊のアバラ肉をピンク色に焼いてジャコウソウの煮汁ソースをかけています。その左には焼きナスと、その下にクスクス、右にはキャベツの料理です。
デザート、その 1
いわゆる、デザートの前菜です。チョコレートとイチゴの味がしました。
デザート、その 2
ラズベリー、ヨーグルト、ダイオウ、そして甘草(かんぞう)のエキスを使った、一生懸命作ったと思われる、見た目に楽しいデザートです。
ビスケットとチョコレート
コーヒーは帰って部屋で飲もうと思って注文しなかったのに、ビスケットとチョコレートをサーヴィスしてくれました。
各料理とも量が少なく、最後まで美味しく食べられました。ミシュラン1つ星のレストランは当たり外れが顕著ですが、このレストランは大当たりです。18時の開店と同時に入店してチーズの盛り合わせと食後のコーヒーをパスしたのに、3時間の食事でした。ちゃんとしたコース料理はやはり時間がかかりますね。
朝食の部屋 ・ 私の朝食
ホテルでの朝食は庭へと続く明るい部屋で、昨夜たくさん食べたので控えめにしました。偶然にビュッフェに並べられた食品も少なめでしたね。
このホテルは閑静な地域にありレストランまで近いので、次回この付近に来たら絶対にここに泊まってあのレストランで食べよう、と思わせる滞在でした。
チェックアウトのとき、レセプションに明るくさわやかな若い男性がいます。
「ご滞在、満足いただけましたか。」
「はい、とても。レストラン〈ハルベデルス・ゲストハウス〉も大変良かったですし、、、。」
「そうですね。あのレストランはすばらしいです。当ホテルで過ごして下さって、ありがとうございました。」
「こちらこそ、ありがとう。」
〔2018年4月〕〔2023年12月 加筆・修正〕