鹿児島市の中央部にある丘陵、城山 (しろやま) は、あの西南戦争最後の激戦地で、国の史跡および天然記念物に指定されています。現在は城山公園として整備されているのですが、その公園の南部に城山ホテル鹿児島があるのです。
鹿児島市内と桜島・午前と午後
城山ホテルは1963年に開業し (開業時の名前は「城山観光ホテル」)、 薩摩の迎賓館ともよばれる鹿児島を代表するデラックスホテルです。初代の社長は東京帝国ホテルで経営のノウハウを学び、それを導入しました。しかしながら2代目のバカが (失礼!) 倒産させてしまい、京セラの購買提案を断ったところ、新しい社長が鹿児島銀行から来ました。ということで、もう5、6年来銀行の管理下にあるのですが、経営は黒字になっているそうです。
エントランスを入ると、そこは洗練された館内で、鹿児島市内や桜島を一望できます。
レセプションからの展望
スタッフは地元出身の人が多いとのことで、パンフレットには、
「さつまに根付いたスタッフだからこそ、「ようこそ鹿児島へ!」という意気込みと、鹿児島を代表するホテルとしての誇りを持って、生き生き能動的に仕事をこなす姿。」
と書いてあります。外国人スタッフもたくさん居るとのことですが、みんな日本人的な物腰で、アジア出身の人は外見ではわかりません。
さて夕食ですが、和食と中華料理にそろそろ飽きてきたので、10階のレストランで夜景を見ながらフランス料理を食べることにしました。きめ細かなサービスで、たいへん居心地の良いレストランです。
フレンチレストランの入り口と内部
トワールという名前が付いたメニューセットにしました。
テーブルセッティング
パンとオリーブ油 1 ・ パンとオリーブ油 2
パンは城山ブランドパンということで、オリーブオイルをつけて食べます。
Amuse-bouche (アミューズブーシュ、オードブル) は玉葱のムースにトマトのジュレ。雲丹とキャビアとマイクロトマトが添えてあります。
アミューズブーシュ ・ 魚介のマリネ
次は、オマール海老と魚介のマリネ、人参のカルパッチョ、イタリア産有機オリーヴオイルの香り、です。
そして2種類 (コーンとトマト) のスープで、トマトの方は茶碗蒸し風なのです。
スープ ・ 真鯛のポワレ
魚料理は、鹿児島産真鯛のポワレにゴボウのアラクレームソースがかかっています。
肉料理はもちろん、鹿児島県産黒毛和牛フィレのグリル。シャスールソース (キノコのソース) で食します。
黒毛和牛フィレのグリル ・ デザート
日本産ボーンチャイナのカップ
最後に、本日のシェフパティシエデザートとしてケーキと抹茶アイスが出てきました。紅茶またはコーヒーを選べるということでしたが、我々はカモミールティーを頼むと、美しい日本産ボーンチャイナのカップで供されました。味はドイツのカモミールティーと同じです。
サーヴィスがテキパキと早くて、アッという間に終わった夕食でした。日本で食べる西洋料理はたいへん美味しいのがよく分かりました。
そして鹿児島市滞在最後の夜は、ホテル内の和食レストランで鹿児島県産黒豚しゃぶしゃぶセットを食べたのです。
和食レストランの内部と外の庭園
小鉢はホーレン草のおひたし。前菜はピーナッツの豆腐、何かの魚の甘露煮、何かの魚の押し寿司、鴨肉の間にはさんだ桜島大根、ニガウリの味噌煮、そしてエビの酒盗です。
小鉢と前菜 ・ お造り
鯛とカンパチと鰹のお造りを食べて、いよいよしゃぶしゃぶです。
鹿児島県産黒豚の肉は脂が多いですね。野菜盛りには餅と豆腐も入っています。底にあるうどんは手打ちだそうです。醤油味のソースとゴマダレに薬味を入れて食べました。何だか、グッとくるような豚肉の旨さがありません。
黒豚の肉 ・ 野菜盛り
ソースとたれと薬味 ・ 甘味
最後の甘味はいちごプリンです。
このしゃぶしゃぶセット。前菜は珍しい料理で美味しいのですが、黒豚は評判ほどには美味しくないと感じました。ドイツの自宅の近くの肉屋で買う豚肉の方が美味しいくらいです。
ところで、ここ城山観光ホテルの朝食バイキングは、タクシーの運転手によると、日本で一、二を争うほど有名だそうです。圧巻の和・洋バイキングは約80種類もあり、選ぶのに迷ってしまうそうなのです。さらに、朝から鯛の刺身が出るとのことです。お勧めは黒豚や近海で獲れる魚介類、さつま揚げなど鹿児島の食材を用いた郷土料理で、その他、自家製のパンも大好評。パンの他、さつま揚げやビールも造っているそうで、館内で販売していました。
ホテルメイドのパン
朝食にあまり重きを置かず、食べる量も少ない私たちは、コスト・パーフォーマンスの悪い朝食バイキングはパスして、ホテルメイドのパンと部屋にあるコーヒーと紅茶で朝食を済ませました。
城山観光ホテル滞在の魅力は、温泉、眺望、グルメ、そして何と言っても洗練された居心地の良い空間です。再び鹿児島市に来ることがあったら、またここに宿泊するつもりです。
[2019年5月]