17世紀中頃の歴史書に初めて現れ、数々の戦争の場となった、フライブルクはロレットベルクという名前の地域にあるのが、この城館カフェです。「・・・ベルク」というように小山の頂上にあるのです。
フライブルクの一角 ・ ロレットベルクからの景色
この地所には19世紀に建てられた 「兄弟ハウス」 という料理店がありましたが、訪問者が多くて手狭になったので、20世紀の初め、その隣にユーゲントスタイルの 「ゲストハウス・ロレットベルク」 = 城館カフェ が出来ました。この城館カフェが現在の姿になったのは1988年以降だそうです。この建物が昔の城館ではないことは明らかですが、なぜ 「城館」 と名付けられたのかは分かりません。そう見える建物だからかな? タクシー運転手も城館カフェのサーヴィススタッフも同じ意見でした。
城館カフェ 1 ・ 城館カフェ 2
城館カフェ 3
市の中心部から歩いて40分ぐらいなので散歩に来る人も多いらしく、昼食時でも夕食時でもない中途半端な16時なのに結構客があります。あちこちに予約席もあるのです。午後のお茶をする人もいるし、食事をする人もいます。でも何だかガチャガチャしていて、私にはあまり居心地が良くありません。
城館カフェの内部 ・ 城館カフェの天井
予約席 (17時30分、セクラ様、9番テーブル、6名)
注文したアルコールフリーのヴァイツェンビールは、私が一番好きな、ミュンヘンにあるパウラネル醸造会社の製品です。
ヴァイツェンビール
私は、昼食でも夕食でもない、本来、フランスはアルザス地方の郷土料理であるフラムクーヘンを頼みました。これはパン生地を極薄く伸ばしてピザのように窯で焼いたもので、伝統的なトッピングは、サワークリーム、スライスした玉ねぎとベーコンです。
「森の散歩」
私が注文した 「森の散歩」 というフラムクーヘンのトッピングは、ベーコン、エメンタールチーズ、マッシュルーム、ほぐした茹でポテト、そしてネギです。マッシュルームがあるので 「森の散歩」 という名前なのでしょうか。生地がパリパリで旨いのですが、約 30㎝ x 40㎝ の大きさだしポテトのせいでボリュームがあり、冷めてくると残念ながら味が落ちて来ました。
ロレット礼拝堂 1 ・ ロレット礼拝堂 2
城館カフェのすぐ横にはロレット礼拝堂があります。この礼拝堂は30年戦争の終わり頃に、フライブルクでの激しい戦いを悼んで市民が設立基金を出し、17世紀の中頃に建てられたそうです。18世紀の終わりに修理修復がなされ、今世紀にはこの地方の文化遺産に登録されました。特に壁画が美しいらしいのですが、残念ながら中には入れません。観光シーズンには入れるのかな?
ヒルダ塔 1 ・ ヒルダ塔 2
城館カフェから100メートル弱はなれて、23メートルくらいの高さのヒルダ塔があります。中世の城塔の様式を呈する塔ですが、19世紀の後半、この地方の最後の大公フリードリッヒ II世がヒルダという名前の王女と結婚した時にフライブルク市がお祝いに贈ったのです。裕福な市民の寄付金と市が土地を売って得たお金がその資金源だったそうです。1918年に電気が来て、その40年後には市の下水道に接続されました。第三帝国時代の1937年には、空域の見張り場になったとのことです。1956年には上にテレビ塔が建ち、見た目がたいへん悪くなったのは残念ですね。20世紀後半からは入塔料を払って誰でも中に入れるようになりました。4月に観光シーズン入りです。
ロレットベルクの頂上付近は、今世紀に入っても昔とまったく変わっていないそうです。
[2019年3月]