今回はお城ではありません。ポーランドの南端、自然国境タトラ山脈でスロヴァキアと接するところにある町ザコパネの話です。我々はここをベースにして、タトラ山脈で1週間の山歩きをします。
ザコパネは、昔は羊飼いと牛飼い、農民、そして木こりが住む小さな山間の集落でしたが、19世紀末になると鉄道網が整備され、庶民に旅行を楽しむ習慣ができたために観光客が来るようになり、その後、ポーランドの建築家や芸術家らの注目を集め、この地で活動を行う者が増えたとのことです。現在の人口は3万人弱で、ポーランドではよく知られた避暑地および保養地。冬はスキー場として有名な町です。ザコパネは二つの非公式な名称を持っているとのこと。ひとつは〈タトラ山脈の首都〉、もうひとつは〈ポーランドの冬の首都〉だそうです。毎年約3百万人の訪問客で賑わうようです。
タトラ山脈 と ザコパネの周辺
私たちが借りたアパートメントは、町の繁華街に面してます。
繁華街 (アパートメントのバルコニーから写す)
繁華街やマーケットを歩くと目に付くのが、ザコパネの名産品、オスツィーペックと称されるスモークチーズです。味はかなり癖がありますが、慣れると美味しいのです。私は、そのやわらかいスルメに似た食感が好きです。
オスツィーペック (俵形) を売る屋台 ・ オスツィーペック (他の形)
さらに目についたのは、芯にパン生地を巻いて焼いて、まわりにチョコレートやココナッツなどをコーティングしたお菓子です。注文して少し時間がかかりますが、熱々を買えます。これが結構美味しいのです。
カカオをコーティングしたお菓子
ここは山岳地方なので雑味のない冷たい水が美味しくて、その水で炊いたご飯が旨い。さらに野菜が美味で、何を食べてもその野菜の味をしっかりと味わえました。
山歩きに関して西ヨーロッパとは違う点があります。たとえば、トレッキングコースの入り口に料金所があって、入山料(2人で250円)を払います。そして、この山脈には熊が出るので注意書きがあります。
料金所 ・ 注意書き
山道は石でガタガタのところが多くて、何とも歩きにくかったのです。
トレッキングコース ・ その道
村から入山口へ、そして、ある入山口から別の入山口へと小さなバスが走っていて大変便利なのですが、バスのドアを自分で開閉して乗り降りするのは田舎っぽくて微笑ましく思いました。
夏のザコパネは避暑地という性格が強く出ているようで、おだやかな遊歩道がたくさんあり、家族づれや学校の遠足や修学旅行、そして大人でもグループが多いようです。
遊歩道端には、ザコパネ・スタイルと呼ばれる伝統的な木造家屋のほかに、キリスト教の〈祠〉が比較的頻繁に立っています。ポーランド人は敬虔なカトリックであるようです。決して豊かではないようですが、みんな寄り添って仲良く暮らしている感じがして、和やかな気持ちになりました。
伝統的木造家屋 1 & 2
〈祠〉 1 & 2
木造の教会 ・ トイレの表示
西ヨーロッパの有名な山岳地方に比べて圧倒的に外国人が少なく、ポーランド人の観光客がほとんどのようです。やはりその国の人が多いのがいいですね。日本人が珍しいらしく、ジロジロと見られますが、ヨーロッパでもっとも親日的な国らしく、敵意を持った視線では決してありません。
ポーランドはEU圏ですが通貨は独自のものを使っています。物価がドイツの半分以下で、びっくりしました。
物価が安くて親日的なポーランド。ぜひまた訪れたい国です。
〔2016年7月〕〔2023年3月 加筆・修正〕