今、東京23区ではプラスチックごみの処分方法に関して真っ二つに分かれている。
目黒区など10区は「リサイクル」派。
世田谷区など13区は「燃やす」派。
果たして正しい選択はどちらなのか?
ここ最近で次のような本を読んだ。
①東京ではサーマルリサイクルと自称する”プラスチックごみの焼却”が進められようとしている。地球温暖化防止に逆行するこの愚行をメディアから正しく伝わってこない。これは23区の清掃工場を管理運営する「東京二十三区清掃一部事務組合(清掃一組)」の幹部がごみ焼却プラントを製造する会社に天下りし、今後も焼却施設を作り続けるためだと指摘している。
・・・・・・これが事実だとしたら、今すぐプラスチック焼却を止めさせなければ! しかし、プラスチックは燃やしていいのか?という設問に関しては消化不良。 次の本に進む事にする。
②武田邦彦氏は「環境問題はなぜウソがまかり通るのか(1~3)」などで知られる中部大学の教授。“地球温暖化が進めば日本にとっていいことがいっぱい”とか“ダイオキシンはそれほど毒性は強くない”など、現在の定説を覆すような一見過激な主張を行っている。本書は武田氏と彼に反対する各界の論者がパネルディスカッションをしているのだが……。
今回は論点をプラスチック焼却の是非だけに絞って考える。
武田氏の主張はザックリ言うと
「ペットボトル、プラスチックのリサイクルはやっても無駄。
元々の材料は石油なんだから、生ごみなどを焼却するための助燃材として使った方が効率がいい。
ペットボトルをリサイクルして再びペットボトルにするためには、石油からペットボトルを作る時に比べて4倍の石油が必要になる。
コストを考えても現在は多額の税金をつぎ込んで、一部の自治体や業者がその利権を独占している状態。
実際に回収して再利用されているペットボトルはわずかしかなく、その大半は中国などの海外に輸出され、ごみを海外に撒き散らしている・・・」
この主張に対しての様々な議論が行われている。
先ずはプラスチックなどのリサイクル事業を行う明円工業工場長の八木雄一郎氏は、『ペットボトルをリサイクルするのには4倍の石油が必要になる』という主張に反論する。
「材料リサイクルは、新しく石油から作るより割合にすると6分の1ぐらいで済む計算になります。…(中略)…武田さんが主張する『ペットボトルは3万トンしかリサイクルされていない』かどうかですが、(中略)2004年で17万トンぐらいが再利用されているという数字になっています」
この数値の違いに関して武田氏は、国家、政府が公表する数値は第二次大戦中の大本営発表のようなもので、政治的な意図が込められている。自分が発表しているのは自ら調査し、リサイクルの目的に沿ったものが実際どれだけあるかをみた数値である。…と反論する。さらに、
「わからないものはわからないといってかまわないのですね。実際わかってないのですから。ここにいる皆さんも、ペットボトルが1年間にどのくらい有効に再利用されているかは、多分お一人も聞いたことがないと思います」…と述べる。
この意見には誰も反論をしない。
恐らく本当に誰一人知らないのであろう。
ここに武田氏が言わんとする問題が潜んでいるようにも思う。
他に廃ペットボトル再商品化協議会会長の鹿子木公春氏は財団法人日本容器包装リサイクル協会(指定法人と呼ぶ)ルートのリサイクルはしっかりと機能している…と述べながらも、
「市民のみなさんが集めたペットボトルが指定法人ルート以外で処理状況や再利用の実態が不明確なまま見過ごされている…」とその不完全さを認めている。
驚くべき事はリサイクル派の立場を取る人々が、
武田氏の主張を論破するだけのデータとロジックを持っていないこと。
私自身もリサイクル派ではあるが、
それはあくまでも有効に効率良くリサイクルされていることを前提としている。
武田氏はこの問題の結論として、こう結んでいる。
「私が『焼却したらいい』といっているのは、科学がそこまでしか進歩してないからです。(中略)
だから、我々が希望したからといってできるわけではない。
その場合に、『今のところしかたないから焼却だ』と私はいっているのです。(中略)
私が最後にいいたいのは、やっぱり数字を出すことです。
それで国民が考えられる社会を目指して欲しいと思います」
「私は、リサイクルでも燃やすのでもどっちだっていいのです。
最終的には大量消費がなく、落ち着いた社会をつくっていくのにどっちがいいかということなのです」
東京23区で対応が真っ二つに分かれているのは、
「効率的なリサイクルは頑張れば出来るはずだ」という意見と
「どんなに頑張ったって現時点の科学では効率的なリサイクルはで出来ない」
という意見の違いである。
この論点において、今の政府や政治家は
国民が考えるための明確なデータを提示し、
今後目指すべき方針を示すべきではないだろうか?
そしてリサイクル派と焼却派の武田氏の結論は、結局同じ場所にたどり着く。
プラスチックは燃やそうが、リサイクルしようが、
原料である石油はいつか必ずなくなる。
先ずは“大量生産大量消費”“使い捨て文化”の象徴であるプラスチックを
使わないという社会をどのように実現できるか・・・
これから考えなければならないことの本質はそこにあると思う。
次回は・・・
を読んで考えたこと。
(つづく)
目黒区など10区は「リサイクル」派。
世田谷区など13区は「燃やす」派。
果たして正しい選択はどちらなのか?
ここ最近で次のような本を読んだ。
![]() | プラスチックごみは燃やしてよいのか―温暖化を進めるサーマルリサイクル青木 泰リサイクル文化社このアイテムの詳細を見る |
①東京ではサーマルリサイクルと自称する”プラスチックごみの焼却”が進められようとしている。地球温暖化防止に逆行するこの愚行をメディアから正しく伝わってこない。これは23区の清掃工場を管理運営する「東京二十三区清掃一部事務組合(清掃一組)」の幹部がごみ焼却プラントを製造する会社に天下りし、今後も焼却施設を作り続けるためだと指摘している。
・・・・・・これが事実だとしたら、今すぐプラスチック焼却を止めさせなければ! しかし、プラスチックは燃やしていいのか?という設問に関しては消化不良。 次の本に進む事にする。
![]() | 武田邦彦はウソをついているのか? (PHP Paperbacks)武田 邦彦 杉本 裕明PHP研究所このアイテムの詳細を見る |
②武田邦彦氏は「環境問題はなぜウソがまかり通るのか(1~3)」などで知られる中部大学の教授。“地球温暖化が進めば日本にとっていいことがいっぱい”とか“ダイオキシンはそれほど毒性は強くない”など、現在の定説を覆すような一見過激な主張を行っている。本書は武田氏と彼に反対する各界の論者がパネルディスカッションをしているのだが……。
今回は論点をプラスチック焼却の是非だけに絞って考える。
武田氏の主張はザックリ言うと
「ペットボトル、プラスチックのリサイクルはやっても無駄。
元々の材料は石油なんだから、生ごみなどを焼却するための助燃材として使った方が効率がいい。
ペットボトルをリサイクルして再びペットボトルにするためには、石油からペットボトルを作る時に比べて4倍の石油が必要になる。
コストを考えても現在は多額の税金をつぎ込んで、一部の自治体や業者がその利権を独占している状態。
実際に回収して再利用されているペットボトルはわずかしかなく、その大半は中国などの海外に輸出され、ごみを海外に撒き散らしている・・・」
この主張に対しての様々な議論が行われている。
先ずはプラスチックなどのリサイクル事業を行う明円工業工場長の八木雄一郎氏は、『ペットボトルをリサイクルするのには4倍の石油が必要になる』という主張に反論する。
「材料リサイクルは、新しく石油から作るより割合にすると6分の1ぐらいで済む計算になります。…(中略)…武田さんが主張する『ペットボトルは3万トンしかリサイクルされていない』かどうかですが、(中略)2004年で17万トンぐらいが再利用されているという数字になっています」
この数値の違いに関して武田氏は、国家、政府が公表する数値は第二次大戦中の大本営発表のようなもので、政治的な意図が込められている。自分が発表しているのは自ら調査し、リサイクルの目的に沿ったものが実際どれだけあるかをみた数値である。…と反論する。さらに、
「わからないものはわからないといってかまわないのですね。実際わかってないのですから。ここにいる皆さんも、ペットボトルが1年間にどのくらい有効に再利用されているかは、多分お一人も聞いたことがないと思います」…と述べる。
この意見には誰も反論をしない。
恐らく本当に誰一人知らないのであろう。
ここに武田氏が言わんとする問題が潜んでいるようにも思う。
他に廃ペットボトル再商品化協議会会長の鹿子木公春氏は財団法人日本容器包装リサイクル協会(指定法人と呼ぶ)ルートのリサイクルはしっかりと機能している…と述べながらも、
「市民のみなさんが集めたペットボトルが指定法人ルート以外で処理状況や再利用の実態が不明確なまま見過ごされている…」とその不完全さを認めている。
驚くべき事はリサイクル派の立場を取る人々が、
武田氏の主張を論破するだけのデータとロジックを持っていないこと。
私自身もリサイクル派ではあるが、
それはあくまでも有効に効率良くリサイクルされていることを前提としている。
武田氏はこの問題の結論として、こう結んでいる。
「私が『焼却したらいい』といっているのは、科学がそこまでしか進歩してないからです。(中略)
だから、我々が希望したからといってできるわけではない。
その場合に、『今のところしかたないから焼却だ』と私はいっているのです。(中略)
私が最後にいいたいのは、やっぱり数字を出すことです。
それで国民が考えられる社会を目指して欲しいと思います」
「私は、リサイクルでも燃やすのでもどっちだっていいのです。
最終的には大量消費がなく、落ち着いた社会をつくっていくのにどっちがいいかということなのです」
東京23区で対応が真っ二つに分かれているのは、
「効率的なリサイクルは頑張れば出来るはずだ」という意見と
「どんなに頑張ったって現時点の科学では効率的なリサイクルはで出来ない」
という意見の違いである。
この論点において、今の政府や政治家は
国民が考えるための明確なデータを提示し、
今後目指すべき方針を示すべきではないだろうか?
そしてリサイクル派と焼却派の武田氏の結論は、結局同じ場所にたどり着く。
プラスチックは燃やそうが、リサイクルしようが、
原料である石油はいつか必ずなくなる。
先ずは“大量生産大量消費”“使い捨て文化”の象徴であるプラスチックを
使わないという社会をどのように実現できるか・・・
これから考えなければならないことの本質はそこにあると思う。
次回は・・・
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を読んで考えたこと。
(つづく)
そしてリサイクルに関しては、賛成派・反対派という2元論では片付けられない背景を抱えていると思います。そこに争点があるのもよく分かります。
また持続可能な自然との共生において、たとえば3Rの中の、リサイクルがすべてではない。これも言えると思います。
消費者と行政、企業が三位一体となった取り組みこそ求められることなのですが。
ともに学んでいきたいです。Kちゃんの「それでも自分で考える」姿勢を、ぼくも忘れたくない。
衝撃的です。 プラスチックリサイクルの大穴。
世の中を違う観点で見てみる事は、大事ですよね。
流されている情報は、本当に信じていいのだろうか? 自分自身で考える事がいかに大事か。 改めて思い知らされました。
いつもコメントありがとうございます。
調べれば調べるほど難しい問題だと思います。でも、政治やマスコミに踊らされることがないよう、ともに考えていきましょう。
>着物好きさん
初コメントありがとうございます。
もちろん誰だかわかっています。
これからはいろいろなことを考え、活動していこうと思っています。互いに情報交換しながらやっていきましょう。
着物好きさんがこれからどんなことを世界で語るか……楽しみにしています。