バーとホテルと農業と…           ほんまはテレビ

東京から徳島の山奥へ移住したテレビディレクターの田舎暮らしドキュメント。毎日なんやかんややっとることの記録です。

「喋々喃々」 小川糸

2009年03月11日 16時05分36秒 | 読書室
喋々喃々
小川 糸
ポプラ社

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「食堂かたつむり」で大好きになった小川糸さんの第二作目。

東京谷中でアンティーク着物のお店をしている一人の女性のラブストーリーです。




行間に流れる穏かで優しい時間。

季節の移り変わりと共に、

街を包む香りを感じさせてくれます。

もの静かで自制心の強い女性の中に潜む、

激しい情愛に魅せられます。

プラトニックな恋愛が

こんなにエロティックに感じられるなんて…。

エロスの奥深さを教えられました。




作品を通して感じることは『一期一会』。

人にしても、食べ物にしても、風景にしても、花にしても、雨にしても……

自分が出会った全てのものを慈しみ、しっかりと受け止め、

真摯な気持ちで向き合う、

そんな生き方がとても魅力的に感じられます。

『一期一会』

そんな思いで世界を眺めると、

もっと素敵な世界が見えてくるような気がします。




こんな女性と出会ったら、

惚れてしまうだろうなぁ…。

でも、最後の一線を越えるかどうか?

悩むだろうなぁ…。




久しぶりに“恋”について考えました。

それにしても糸さんの小説に出てくる料理は美味しそう。

糸さんはとんでもない食いしん坊なんだろうなぁ…。

映画化決定

2009年01月26日 12時25分46秒 | 読書室
「怨み屋本舗」の映画化が決まったわけではありません。

昨年読んだ本のベスト3!

先ずは、

食堂かたつむり
小川 糸
ポプラ社

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「食べる」と言うことを考えさせてくれた、とても素敵な物語。

一人でこっそり泣いてしまいました。

すぐに出版社に映像化の問い合わせをしたのですが…

遅かった。

先日の新聞に「映画化決定!」と出ていました。



続いて、

ぼくと1ルピーの神様
ヴィカス・スワラップ
ランダムハウス講談社

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インドのスラムで生きる少年たちの姿を描いた物語。

社会派でありながらしっかりエンターテイメントしています。

著者はインドの外交官。

これが初めての作品だそうです。

映画化の話は聞いていたのですが、

なんと監督はダニー・ボイル(『トレインスポッティング』『ザ・ビーチ』『28日後...』など)

ゴールデン・グローブ賞で最優秀作品賞を始む4部門受賞!

アカデミー賞10部門ノミネート!!

『スラムドッグ$ミリオネア』

日本では4月に公開のようです。

凄すぎます。



最後に、

悼む人
天童 荒太
文藝春秋

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第140回直木賞!

まだ映画化の話は聞きませんが、間違いないでしょう。

この美しいラストシーンをどう映像化するのか、

期待です。

「心が雨漏りする日には」 中島らも

2005年08月10日 11時47分17秒 | 読書室
心が雨漏りする日には

青春出版社

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鬱気味の日々を抜け出し、
躁転(鬱から躁に移り変わること)が始まりました。
今の私は明らかにハイテンション。
躁病にかかった友達からは、
「お前ちょっとおかしいぞ」とたしなめられました。

ポジティブになるにしたがい、色々とやりたいことが出て来ました。
人にも会いたいし、飲みにも行きたい、
仕事もバリバリやって行きたいし、
女の子とデートもしたい…
しかし、私はそんなハイテンションな自分に恐怖を感じていました。
ポジティブに活動するということは、
失敗を犯す可能性、
人を傷つける可能性が増えると言うこと。
人から嫌われ、憎まれることだってあるかも知れません。
そんな恐怖心にかられ、私は友達にSOSを送っていたようです。

友達にはいつも助けられます。感謝。

でも、私は躁病でも鬱病でもありません。
私の心の振れ幅は、まだまだ常識の範囲内。
天才中島らもの前では見る影もありません。

らもさんは躁鬱病でした。
その上、アル中、薬中毒。
「もう自殺するしかない」と追い詰められたかと思えば、
「自分は神だ」と言わんばかりの自信と万能感に取り付かれる。
躁と鬱を行ったりきたりの壮絶な人生が描かれています。
これぞ躁鬱!
躁鬱って何?本当に病気なの?どんな風になるの?
躁鬱に興味がある人にとっては必読の一冊です。
私の周囲にいる躁鬱の人たちの症状とも見事に一致しています。
ただし、らもさん程のつわものではないですが。


中島らもさんは大好きな作家で、
一度は会ってみたかった憧れの人です。
らもさん、
素敵な本をありがとう。

「日本が見えない」 竹内浩三全作品集

2005年08月04日 16時10分49秒 | 読書室
竹内浩三全作品集 全1巻 日本が見えない

藤原書店

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「よく生きてきたと思う」

よく生きてきたと思う
よく生かしてくれたと思う
ボクのような人間を
よく生かしてくれたと思う

きびしい世の中であまえさしてくれない世の中で
よわむしのボクが
とにかく生きてきた

とほうもなくさびしくなり
とほうもなくかなしくなり
自分がいやになり
なにかにあまえたい

ボクという人間は
大きなケッカンをもっている
かくすことのできない
人間としてのケッカン

その大きな弱点をつかまえて
ボクをいじめるな
ボクだって その弱点は
よく知っているんだ

とほうもなくおろかな行いをする
とほうもなくハレンチなこともする
このボクの神経が
そんな風にする

みんながみんなで
めに見えない針で
いじめ合っている
世の中だ

おかしいことには
それぞれ自分をえらいと思っている
ボクが今まで会ったやつは
ことごとく自分の中にアグラかいている

そしておだやかな顔をして
人をいじめる
これが人間だ
でも ボクは人間がきらいにはなれない

もっとみんな自分自身をいじめてみてはどうだ
よくかんがえてみろ
お前たちの生活
なんにも考えていないような生活だ

もっと自分を考えるんだ
もっと弱点を知るんだ

…(略)

これはまるで、天国から今の私に贈られたメッセージ。
竹内浩三は今から60年前の太平洋戦争の中、
23歳の若さで命を落とした青年です。

竹内浩三はマンガや映画をこよなく愛し、
将来は映画監督を目指し三重県から上京しました
しかし、時代は日増しに戦争の影に覆われていきます。
そんな時代の中で、
必死に心の中の想いを書き綴った日記や詩の数々。
私の秘蔵版です。
同世代の人(20代前半)には特に、
何か訴えるものがあると思います。
でも8000円もします。
他にも何冊か出ているようなので、
良かったら是非!
戦争のことを考えて見たい人、夢にくじけそうになっている人、日本大学芸術学部に通っている人(竹内は映画学科でした。ちなみに私は放送学科卒)…お勧めします。

何のために竹内浩三は戦ったのか?
この平和な世の中で
私は何をしなければならないのか?
もう直ぐ終戦記念日…

もっと自分を考えるんだ!
もっと弱点を知るんだ!

「太平洋ひとりぼっち」 堀江謙一

2005年07月29日 09時28分42秒 | 読書室
太平洋ひとりぼっち

舵社

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なんだか今日も暑い一日になりそうですね。
ベランダの朝顔の花が咲き、夏休み気分を盛り上げてくれています。

日本が世界に誇る冒険家、
堀江謙一さんが初めてヨットで太平洋を横断した時の記録です。
誰もが反対するような無謀とも言える「夢」を抱いた堀江さん。
しかし、彼はその無謀な「夢」に向かい、日々コツコツと資金を貯め、
緻密な計画を立て、最後に大胆な行動に出るのです。
「夢」を「現実」に変えるには、日々の努力と計画性が大切。
「夢」見てるだけじゃ何にも変わらない事を痛感しました。

この名作!私のお勧めの一冊なのですが、
残念なことに最近書店ではあまり置いていません。
一番直ぐ読めるのは、図書館でした。
最近の図書館はネットで予約しておいて
用意できたらお知らせまでしてくれるんですね。
その便利さとお金が掛からない嬉しさで、最近は図書館通いをしてます。

「夢」を「現実」に変えたい人、
「夢」を探している高校生などには一押しの一冊です。
友達にプレゼントしたくて結局一冊買いました。

今日は資料集めに図書館へ行き、
久しぶりに出社しようかなと思っているのですが…
いつも隣のプールから聞こえてくる歓声に誘われ……

取り敢えず夢に向かって毎日、一歩づつ!
皆さん頑張りましょう。