バーとホテルと農業と…           ほんまはテレビ

東京から徳島の山奥へ移住したテレビディレクターの田舎暮らしドキュメント。毎日なんやかんややっとることの記録です。

テレビマンユニオンを退会しました

2015年04月03日 07時31分15秒 | 告知!(放送番組など)
本日、3月31日を持って20年近くお世話になったテレビマンユニオンのメンバーを退会させて頂くことになりました。
高校時代から映像制作を仕事にしたいと考えていた僕にとって、テレビマンユニオンと言う素晴らしい理念を持った会社と出会えたことは幸運だったと思います。テレビ番組制作の基礎、ディレクターとしての心構え、メディアに係わる人間の責任など、様々なことを教わりました。
とはいえ、この20年で2度ほどこの仕事を辞めようと思ったことがありました。一度は自分の才能の限界を感じたこと。もう一度は自分が以前から好きで通っていた田舎が、過疎化によってどんどん衰退していることを知ったからでした。
テレビの仕事より、そんな田舎のために働く方がいいんじゃないか?
自分としても幸せな人生が送れるのではないか?
ちょうどその頃、偶然取材で訪れたのが徳島県上勝町でした。
山奥に佇む人口2000人の小さな町。
「ここも同じような過疎化に苦しんでいるんだろうなぁ」
と思っていた僕は衝撃を受けました。
お年寄りたちが生き生きとしていました。そんなお年寄りに魅かれて移住してきたという若者たちが、元気に働いていました。あの時の衝撃は今でも鮮明に憶えています。以来、休みをつくっては上勝町に遊びに来るような生活が始まりました。
町の人たちと飲んでいる時にある人がこんな話を始めました。
「昔、遠くへ行きたいという番組でテレビマンユニオンの人が来たけど、あの人は凄かったなぁ。日本全国のいろんなことを知っていて、でもちっともえらそうじゃない。一生懸命僕たちの話を聞いてくれたんや」
また、ある人はこんなことを言いました。
「『お前はただの現在にすぎない』ってテレビマンユニオンの人が書いた本やろ。テレビにもこんな凄いことを考えとる人がおるなんてびっくりしたわ」
話に出てきたのは僕の大先輩。会社を設立した当時の人の話です。
先輩たちがどれほど真剣にテレビと向き合い、番組をつくってきたのかを僕はこの上勝町の人たちから教わりました。
「この町の人を撮りたい、この町の未来がどうなるのかを撮りたい」
その第一弾として作ったのが、3年前にNHKで放送した「笑うキミにはフクきたる」という番組です。
そして、この町の未来を撮るきっかけを掴もうと、番組の撮影が終わった後も、この町に残ることにしました。
3年間の暮らしの中で、この町がマスコミで取り上げられているような、いいことばかりでないことを知りました。崖っぷちで必死に踏ん張っている人々の姿が見えてきました。住民が一人いなくなることの大変さを知りました。一人の人間が出来ることの大きさを知りました。
テレビマンユニオンを辞めて、この4月上勝町で会社を創ります。
会社の目的は地域の活性化ですが、そのための手段としてテレビマンユニオンで学んだ映像制作の技術をフル活用します。
テレビマンユニオンでの最後の番組は、フジテレビNONFIXで5月に放送する予定です。タイトルは「われら平成の開拓団(仮)」
地方で新たに会社を立ち上げて地域の活性化に取り組む人々を取材しています。興味のある方はぜひ見てください。
テレビマンユニオンの仲間たち、番組制作でお世話になったみなさま、
本当にありがとうございました。
上勝町のみなさま、これからもよろしくお願いします。