福井県立大学水産経営学研究室のブログ(教員)

福井県立大学の水産経営学研究室(小浜キャンパス)のブログです。

節電生活 その1

2011-06-25 07:43:05 | Weblog
福井県立大学の我が学部の節電目標15%は達成できるのでしようか。
実施期間は7月1日から9月22日、平日の9時から20時です。
これは関西電力の要請にそったものですが、
関西の企業や行政からは10%が限界という声が多いようです。
大阪府の橋本知事は、15%に根拠はないので協力しないと言っています。
たしかに15%の根拠はいまだ明確ではありませんが、
しかし大規模停電という事態は誰しも避けたいところです。

そこで学部の電力使用量実績を調べてみました。
昨年夏の猛暑のときの学部の1日あたり電力使用量は最大6000KWアワーでした。
200人規模の小規模な学部としては消費量が多いのは明らかであり、
それは、実験設備などの固定的な消費が多いためだと考えられます。
我が学部は、工場をもつ会社のように電力を消費しているわけですね。
休日は4000KWでしたので、これを固定的な消費量と考え、
4000KWをこえる2000KWは、照明と冷房に消費され、変動的な消費と考えます。

照明と冷房を20%カットすれば、400KWの節約になり、全体は最大5600KW。
同様に30%カットすれば、600KWの節約になり、全体は5400KWとなります。
同様に40%カットすれば、800KWの節約になり、全体は5200KWとなります。

20%カットなら全体で昨年対比93%、30%カットなら90%、40%カットなら86%となります。
このように固定的な設備を休ませず、照明や冷房の節約だけで対応する場合、
全体で10%節電に協力するなら30%、15%節電に協力するなら40%をカットする必要があるわけです。
現実を考えると10%節電でも3割カットはきつく、15%節電には相当な覚悟が必要であり、
全体で15%節電を目標としても達成できないでしょう。
達成するためには、固定的な設備を一時休止させるしかないのではないかというのが結論です。
そうなれば、研究や教育の一部にマイナスの影響がでることは避けられませんが、
確実に節電を実行できます。

ただし、ピーク時の電力使用量を削減するだけなら、
教職員の半分は土日出勤して平日に分散して休むとか、
消費量ピーク時を避けて勤務時間を午前と夕方に変更するなどのことを実行すれば、
ピーク時の2割や3割のカットが可能になるのではないでしょうか。
これは、すくなくても停電回避のための緊急対応として考えておく必要がありそうです。
個人的には、この夏は、これを常時実行したいと思っています。(T・K)












古い原発の再稼働要請

2011-06-19 15:59:35 | Weblog
定期点検後の再稼働の地元同意がとれず、
休止している原子力発電所について、
国が再稼働を要請すると報道されています。
中部電力の浜岡原発以外は安全であるという判断のようです。

しかし、福井県は安全基準のみなおしをもとめて再稼働を認めていません。
福井県内には関西電力11基、日本原子力発電2基、合計13基もの原発があります。
(ただし関西に電力を供給している商業用原子炉に限る)
そのうち2基は、1971年以前の運転開始で、すでに40年を経過しています。
さらに4基は35年を経過、2基は30年を経過しており、
福井県では大きな地震や津波の可能性は低いのかもしれませんが、
こうした古い発電所が安全なのかという疑問があります。
古くなったものはどんなに堅固な設備でも必ず劣化します。
古くなったものを廃棄することが困難だという理由で、
いつまでも使われているようでは、危険きわまりないということになります。

発電所のような巨大なシステムについて、
科学的に何年まで安全かということを明らかにすることは困難でしょう。
そこで大胆に簡単な計算をしてみました。
福井県内13基の経過年数別の出力構成比を計算すると、
40年以上は6%、35年~39年は26%、30年から34年は21%となりました。
40年以上を廃棄するだけなら発電能力の6%が失われ
35年以上ならあわせて32%の発電能力が失われ、
30年以上なら53%の発電能力が失われることになります。

さしあたりの現実的な想定としては、
40年以上経過したものは廃棄し、
35年以上を経過したものは暫定的に夏場だけの発電をみとめるとすると、
夏場は6%減で冬場は32%減、全体への影響はその半分とすると影響は軽微。

もう一つの少し厳しい想定として、
35年経過したものをすべて停止させると夏の供給も32%減、
全体への影響が半分とすると16%減となり、
今回の関西電力の節電要請のレベルに近い結果となります。
この社会に与えるマイナスの影響はかなり大きなものになると予想します。

30年以上の原発をすべて停止させることは、
原子力発電の半分強、電力供給全体の25%が失われることを意味するので、
マイナスの影響が大きすぎて今は実行不可能でしょう。
これには代替エネルギ-源の開発を待つしかありません。

ところで、本学も15%の節電目標を設定することになりました。
すでに学内の照明がかなりカットされて暗いのですが、
さらに電力消費量の大きな設備を休ませ、
冷房も我慢して暑い夏を乗り切る必要がありそうです。(T・K)

















関西電力の節電要請

2011-06-12 11:48:40 | Weblog
関西電力からの節電要請が発表され、波紋をよんでいます。
「この夏の昼間には15%程度の節電に協力してほしい」との内容ですが、
東京と異なり、強制力はないらしい。
これに対して、さっそく大阪府知事からは、
「節電の根拠や脱原発への姿勢がしめされないから協力できない」
とのコメントがあったことも報道されました。
節電の根拠はないのでしょうか。脱原発は可能なのでしょうか。
この夏の節電は可能なのでしょうか。
それとも節電できず大規模停電におちいるようなことがあるのでしょうか。

関西で節電が必要になった事情は明らかです。
関西電力のすべての原発が立地する福井県(知事)は、
福島原発の事故をうけ、国に対して安全性の再評価を求めており、
定期点検に入った原発の再稼働を認めていません。
この影響をうけて関西電力の原発11基のうちすでに4基が休止中であり、
このままでは、7月にはさらに2基が定期点検に入り、
今後、運転できない発電所が増えていくことになります。
このままでは、夏以後の電力不足は避けられなくなっています。

ではなぜ、福井県は再稼働をみとめていないのでしょうか。
福井県が求めているのは脱原発ではなく、安全性の強化です。
また、古い原発の廃棄処理や核廃棄物の処理を先送りしないことです。
いまさら、脱原発が簡単でないことは明らかであるし、
本当に安全性の強化が進めば、原発のコストが上昇し競争力は低下します。
これまでの電力会社は、原発の大きなリスクにみあう安全対策をとらず、
国は交付金を負担し、大事故の始末は国が行うことにしてきました。
古い原発の廃棄や核廃棄物の最終処理も先のばしにしてきました。
その結果、電力会社にとっての原発のコストは安いが、
社会全体としての真のコストはかなり高いと考えられます。
この状態では、電力会社は原発を手放せません。

したがって当面の津波対策がすめば安全と考えることはできないのです。
電力会社みずからが安全性の強化対策を進め、
30~40年をこえる古い原発の処理や核廃棄物の処理を先送りせず、
それを国が肩代わりするのではなく、電力会社の負担で進めることが重要です。
国が負担するのは、福島原発事故のように電力会社だけでは負担できない場合
だけにするということです。
原発推進か、反原発か、という思想的な対立におちいらず、
現実的にエネルギー政策の転換を進めること、
それが結局、問題解決の近道だと思います。(T・K)