福井県立大学水産経営学研究室のブログ(教員)

福井県立大学の水産経営学研究室(小浜キャンパス)のブログです。

準立地市町村の怒り

2011-05-21 16:53:30 | Weblog
福島原発の大事故について、
発電所の周辺市町村の住民の苦難が伝えられています。
安全であるとの説明を前提に、原発を受け入れてきた地域住民が、
このような被害を受けたら、怒りの声をあげるのは当然でしょう。

福島原発でいえば、テレビでおなじみのDASH村があった浪江町は立地市町村の隣の町です。
30キロ圏外であったのに「計画的」避難を余儀なくされている飯館村は、
浪江町のさらに外側の市町村でした。
明確な定義はありませんが、立地市町村ではないが原発の周辺に位置するこのような市町村を、
一般には周辺市町村と呼んでいるようです。
福井県では、同じような市町村を準立地市町村と呼んでいます。

ところで、ネット上には
「福島県の住民は原発の恩恵をうけてきたのに、
事故がおきたら東電や政府を批判しているのはおかしい」などと、
誤った意見や奇妙な意見も多くみられます。
このような書き込みは、原発推進の巧妙な仕掛けや、
周辺市町村の地域住民の立場を知らない人が多いことを物語っています。

これまで原発の立地は、立地市町村と県の了解があれば進められてきました。
地元は、国から県への交付金や電力会社の寄付金を受け入れてきたのですが、
周辺市町村(準立地市町村)は立地の決定に関与できず、
恩恵といえば、国から県を通したわずかな交付金と電力料金割引くらいでした。
恩恵すくなく、事実上、反対できる立場にもなかったのです。
そのため、「原発は被害だけをもってきた」
という怒りの声が周辺市町村にうずまくのも当然だと思います。

そのむかし、原発推進に反対した市町村がありましたが、
気づいてみれば、目と鼻の先の「風上の隣町」に発電所をつくられ、
「それ以来、恩恵がないのにリスクにはさらされ」
「安全だというたてまえで安全対策が完了」、という状況が続いてきたのは
いったいどこの例か、あなたはご存じでしょうか。(T・K)








最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
漁業から見て・・・ (うさぎ)
2011-05-23 17:30:24
海は陸よりもつながっていて,
原発で事故が起きれば,
立地市町村は元より,
周辺市町村も同じく大打撃です。

ですから
事故が起こっていない現状でも
立地市町村と周辺市町村(準立地市場村)の
間で不公平感がうずまいています。

目の前に原発があるのに
全然扱いが違うのですから当然です。
返信する
海から空から (T.K)
2011-05-25 13:14:22
大きな原発事故があれば、
被害は立地市町村も周辺市町村も同じ。
しかし、現行制度では立場が大きく違い、
恩恵の大きさや住民の考え方まで違う。
安全性を根本的にみなおすなら、
古い立地制度の根幹まで変える必要がある
のではないでしょうか。

海のことは、とくに書きませんでしたが、
海も陸もつながっています。
海は海水で、陸は空の空気で。
海の中は人間にはみえにくいだけですね。

返信する

コメントを投稿