福井県立大学水産経営学研究室のブログ(教員)

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関西電力の節電要請

2011-06-12 11:48:40 | Weblog
関西電力からの節電要請が発表され、波紋をよんでいます。
「この夏の昼間には15%程度の節電に協力してほしい」との内容ですが、
東京と異なり、強制力はないらしい。
これに対して、さっそく大阪府知事からは、
「節電の根拠や脱原発への姿勢がしめされないから協力できない」
とのコメントがあったことも報道されました。
節電の根拠はないのでしょうか。脱原発は可能なのでしょうか。
この夏の節電は可能なのでしょうか。
それとも節電できず大規模停電におちいるようなことがあるのでしょうか。

関西で節電が必要になった事情は明らかです。
関西電力のすべての原発が立地する福井県(知事)は、
福島原発の事故をうけ、国に対して安全性の再評価を求めており、
定期点検に入った原発の再稼働を認めていません。
この影響をうけて関西電力の原発11基のうちすでに4基が休止中であり、
このままでは、7月にはさらに2基が定期点検に入り、
今後、運転できない発電所が増えていくことになります。
このままでは、夏以後の電力不足は避けられなくなっています。

ではなぜ、福井県は再稼働をみとめていないのでしょうか。
福井県が求めているのは脱原発ではなく、安全性の強化です。
また、古い原発の廃棄処理や核廃棄物の処理を先送りしないことです。
いまさら、脱原発が簡単でないことは明らかであるし、
本当に安全性の強化が進めば、原発のコストが上昇し競争力は低下します。
これまでの電力会社は、原発の大きなリスクにみあう安全対策をとらず、
国は交付金を負担し、大事故の始末は国が行うことにしてきました。
古い原発の廃棄や核廃棄物の最終処理も先のばしにしてきました。
その結果、電力会社にとっての原発のコストは安いが、
社会全体としての真のコストはかなり高いと考えられます。
この状態では、電力会社は原発を手放せません。

したがって当面の津波対策がすめば安全と考えることはできないのです。
電力会社みずからが安全性の強化対策を進め、
30~40年をこえる古い原発の処理や核廃棄物の処理を先送りせず、
それを国が肩代わりするのではなく、電力会社の負担で進めることが重要です。
国が負担するのは、福島原発事故のように電力会社だけでは負担できない場合
だけにするということです。
原発推進か、反原発か、という思想的な対立におちいらず、
現実的にエネルギー政策の転換を進めること、
それが結局、問題解決の近道だと思います。(T・K)