来週は、国の枝野担当大臣が福井県を訪問し、
大飯(おおい)原子力発電所の再稼働を要請すると報道されています。
しかし、
今後も原子力が必要であり、電力会社によって安全対策がとられたとしても、
現状では再稼働に賛成できません。
現状で再稼働に賛成できない三つの理由を以下にあげたいと思います。
第一は、完了まで3年くらいかかると予想される発電所自体の安全対策が
現状では道半ばであり、応急対策しか完了していないことです。
ストレステストが完了しても安全だとい言い切れません。
震災以後、原子力の安全神話は崩壊したのですから、
リスクがある原子力を再稼働させるにあたって、
立地周辺地域の自治体や住民の了解は当然必要です。
まして、地元の同意なしで再稼働できるなどということは論外です。
第二に、立地県と立地市町村だけを地元として同意を得ればよかったという
従来の考え方に変わる新しい地元の範囲が示されていないことです。
少なくても地元として30Km圏の周辺市町村を加えることが必要です。
たとえ立地県以外であっても近接する市町村は含めるべきでしょう。
福島のような重大事故の影響の広さをみれば、
従来の地元の範囲がせますぎて不合理であること、
このままでは周辺市町村の安全対策や避難対策は、なきに等しいままです。
立地市町村から賛成意見がでてくるのは、地域経済を人質にとられているからにすぎません。
多くの周辺市町村は反対または慎重意見です。
第三に、国の原子力行政が信頼をとりもどせていないことです。
保安院や安全委員会という既存組織は信頼を失いました。
あたらしく規制庁をつくることになっていますが、
あたらしい組織のもとで原子力行政が信頼をとりもどすことなくして
地元に再稼働を求めるべきではないと思います。
とはいえ、大飯原発がとくに危険だと認識しているわけではありません。
危険性の高い原発は、もっと他にあると思っていますが、
福島の事故を教訓としないまま、なしくずしに再稼働すべきではありません。(T・K)