福井県立大学水産経営学研究室のブログ(教員)

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古い原発の再稼働要請

2011-06-19 15:59:35 | Weblog
定期点検後の再稼働の地元同意がとれず、
休止している原子力発電所について、
国が再稼働を要請すると報道されています。
中部電力の浜岡原発以外は安全であるという判断のようです。

しかし、福井県は安全基準のみなおしをもとめて再稼働を認めていません。
福井県内には関西電力11基、日本原子力発電2基、合計13基もの原発があります。
(ただし関西に電力を供給している商業用原子炉に限る)
そのうち2基は、1971年以前の運転開始で、すでに40年を経過しています。
さらに4基は35年を経過、2基は30年を経過しており、
福井県では大きな地震や津波の可能性は低いのかもしれませんが、
こうした古い発電所が安全なのかという疑問があります。
古くなったものはどんなに堅固な設備でも必ず劣化します。
古くなったものを廃棄することが困難だという理由で、
いつまでも使われているようでは、危険きわまりないということになります。

発電所のような巨大なシステムについて、
科学的に何年まで安全かということを明らかにすることは困難でしょう。
そこで大胆に簡単な計算をしてみました。
福井県内13基の経過年数別の出力構成比を計算すると、
40年以上は6%、35年~39年は26%、30年から34年は21%となりました。
40年以上を廃棄するだけなら発電能力の6%が失われ
35年以上ならあわせて32%の発電能力が失われ、
30年以上なら53%の発電能力が失われることになります。

さしあたりの現実的な想定としては、
40年以上経過したものは廃棄し、
35年以上を経過したものは暫定的に夏場だけの発電をみとめるとすると、
夏場は6%減で冬場は32%減、全体への影響はその半分とすると影響は軽微。

もう一つの少し厳しい想定として、
35年経過したものをすべて停止させると夏の供給も32%減、
全体への影響が半分とすると16%減となり、
今回の関西電力の節電要請のレベルに近い結果となります。
この社会に与えるマイナスの影響はかなり大きなものになると予想します。

30年以上の原発をすべて停止させることは、
原子力発電の半分強、電力供給全体の25%が失われることを意味するので、
マイナスの影響が大きすぎて今は実行不可能でしょう。
これには代替エネルギ-源の開発を待つしかありません。

ところで、本学も15%の節電目標を設定することになりました。
すでに学内の照明がかなりカットされて暗いのですが、
さらに電力消費量の大きな設備を休ませ、
冷房も我慢して暑い夏を乗り切る必要がありそうです。(T・K)