福井県立大学水産経営学研究室のブログ(教員)

福井県立大学の水産経営学研究室(小浜キャンパス)のブログです。

地産地消をめぐって

2012-06-30 15:47:10 | Weblog

このところ、地産地消をテーマとする活動を続けています。

6月16日の名古屋での学会のシンポジウムにつづき、

昨日6月29日は、小浜市で講演をしました。

小浜市長や商工会議所会頭のほか、

大学が日頃お世話になっている方々に聴講していただきました。

7月2日に予定しているFBCのラジオキャンパスの収録でも、

私の研究のテーマの一つとして地産地消をとりあげます。

 

ところで、地産地消は社会活動であっても、研究テーマにはなりにくいと長い間、考えてきました。

この認識を変えたきっかけは、福井県が実施した地産地消率の調査でした。

詳細な調査データにもとづいて出た結果が、非常に興味深いものであったからです。

それは、消費者の食料品消費量全体の中で、福井県産の比率が6割もあり、

そのうちの半分の3割もが自給とおすそわけが占めているという数字から始まります。

詳細は福井県のホームページにも掲載されています。

 

私見によって調査結果の意味することを、以下簡単に紹介します。

第一に、高い地産地消率が、自給とおすそわけによって支えられていることが、

きわめて福井県民らしいライフスタイルを示していること。

第二に、量販店の流通段階の地産地消率が、青果や水産物の卸売市場では10%台と低いのに、

消費者に近い段階になるほど高くなっている事実と、その不思議な理由?

第三に、消費者ばかりでなく、量販店や外食店でも地産地消を拡大したいと考えているにもかかわらず、

店頭の県内産割合は低い事実があり、県内産品の供給網が整備されるなら拡大余地があると考えられること。

第四に、直売所は地産地消比率が8割と高いけれども、取り扱い量は全消費量の2%程度しかなく、

さらに地産地消を拡大するなら量販店や外食店などの地産地消の推進が必要であること。

第五に、既存の卸売市場や、そこから仕入れている八百屋さん、魚屋さんたちも、

工夫すれば卸売市場を経由する地産地消も可能なのであり、

生産者や消費者とのネットワークを構築し、地産地消に取り組んでほしいものです。

これが、私の言う「地産地消の多様な取組み」の概要です。(T・K)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


大飯原発再稼働  その3

2012-06-10 16:37:18 | Weblog

先週末に再稼働にむけて野田首相の記者会見がおこなわれ、

大飯原発3号機、4号機が再稼働にむけて動きだしました。

この夏に稼働できる全国唯一の原発になりそうです。

首相の発表をうけても世論は二分されたままですが、

国の方針が示されたことは必要なことだったと思います。

今後何十年かは原発を重要なエネルギー源の一つと認めるかぎり、

いづれ全国の原発のうちの半分程度は再稼働させることになります。

大飯原発が福島の事故以後、全国最初に再稼働するということは、

むしろ安全性が高い原発であるということの証明でもあります。

 

もちろん大飯原発といえども100%の安全はないし、

組織再編や、安全対策が道半ばであることも事実ですが、

われわれのような10km圏内の居住者としても、

再稼働するからといって今更不安になる理由はないと思っています。

福島の事故を教訓とした原発推進政策の転換が必要ですが、

ただちに脱原発に転換する必要はないし、現実的な選択でもないでしょう。

 

それよりも重要なことは以下の三点。

1)安全神話を排除し、既存の原発の安全性をいかにして高めるのか、

2)古い原発を廃棄し、長期的に原発依存度を引き下げることができるか、

3)核燃料サイクルの見直しや、核廃棄物の処理を進めることができるか、

これらが進展するなら、安全神話を前提にしてきた原発政策の大転換になります。

そのために原発のコストが高くなって電気料金が値上げされるのなら当然であり、

その結果として、代替エネルギーの開発が進み、

長期的に、そして確実に脱原発が進むことことを期待したいと思います。(T/K)