宙空廊下の扉をくぐるとそこには…?
日曜美術館のアートシーンで紹介されていた、
松濤美術館でやっている「チャペック兄弟とこどもの世界」。森のなかまがこの展覧会行ってみたいと言い出して、私もチャペックの「長い長いお医者さんの話」という本を買って読んでいるところだったので、ちょうどいいタイミングだね!と早速行って来ました。松濤美術館はずいぶん前に一度行って、その建物自体にも大変魅かれた美術館です。
受付の方に森のなかまが「この建物も楽しみなんですよね」というと、首に下げる撮影許可の札をご親切に貸してくださり、展示室と作品以外の所ならOKということで、ありがたく写真を撮らせていただきました。言ってみるもんだなあ。。
まずは外観。まるで堅牢なヨーロッパ中世の要塞兼お城という感じ。
上の写真の左手にある影になっているところに謎の吹き抜けがあり、金網の下が見えます。
それではいざ中へ!
松濤美術館は中空で円形の吹き抜け構造になっていて、上は空
なんと下には噴水…!
この建築、当初の予算を上回るものになったそうですが、なんとかかけあって倍近くの予算をとることに成功したそうです。本当にユニークで美しい、それだけの価値はある美術館だと思います。
この絵とパネルの前で写真を撮れるようになっています。いまどき〜!
階段もなんともいい感じですね。
一階の丸窓からは和風庭園が見えるようになっています。設計した白井晟一さんは茶室なども設計したことがあるそうです。納得。
吹き抜け部を通る渡り廊下は遊びごころ満載。
見れば見るほどおもしろい
下を向けば噴水
仰ぎ見れば青空…!
受付部の天井はオニキスでつくられており、光天井と呼ばれているそうです。エントランスから差し込む外光を受けてキラキラ輝くしかけです。よく考えてるなあほんとに。。
この外壁部は、当初使われる予定だった暗い感じの花崗岩に変わって、新たに見つけた韓国のソウル郊外で採れるピンク色の花崗岩を使うことになったそうです。まだ名前もなく、日本でも知られていなかったため、自ら紅雲石と名付けて日本に持ってきたそうです。めちゃくちゃ凝り性!!
手押し車をひっぱっているのがチェコの国民的作家で、ロボットという言葉の生みの親でもあるカレル・チャペック、釣竿を持って車に乗っているのが挿絵を手がけた兄の画家ヨゼフ・チャペックです。いい写真だなあ。
(※図録にあった写真を写したものです。)
展示内容は、主に兄のヨゼフ・チャペックの絵を中心に、時代を追ってゆく構成になっていました。第一次世界大戦以前から、ヨゼフが政治犯としてナチスに逮捕され、収容所で亡くなる1945年まで。弟カレルは1938年、ゲシュタポが家に踏み込んで来る以前に亡くなっていたそうです。ナチスのなした悪の特異性について、思いをはせずにはいられませんでした。
以下図録にあった言葉より。
子どもが幼少期に身につけた言葉の数が少なければ、その後の人生も多くを知ることはないはず。これが、私が考える児童文学の大事な点。子どもたちに、できるかぎり多くの言葉を、考えを、表現できる力を与えること__いいかい、言葉は、考えであると同時に、心のすべての基礎をなすものなんだ。(カレル・チャペック、1931年)
子どもたちにとって、あらゆるものは、よいもの__新しい、信頼できるもの__として力強く立ち現われ、そして、灰色がかった裏側もなければ、現実の境界も関係ないものとして深く刻まれる。(…)芸術家には、ある大きな使命が課せられている。あの失われた楽園を思い出し、色眼鏡にまどわされずに深く捉えることができ、そして直接的な表現をおこなう能力をうちに秘めている者には。(ヨゼフ・チャペック、1918年)
チャペック兄弟と子どもの世界展は、5月27日日曜日まで。美術館も一見二見三見の価値はあります。
(ただし常設展はないので、企画展をやっていない時は休館になるそうなのでご注意を)。
ご興味のある方はぜひどうぞ!