相対性理論「時間の遅れ」、日常世界で実証 : https://archive.fo/aMuEo :を参照します。
『・・・NISTの物理学者James Chin-wen Chou氏ら研究チームは、2つの光学原子時計を、それぞれ近接した研究室の鋼鉄製の台の上に設置した。2つの時計はいずれも電荷を帯びたアルミニウム原子、すなわちアルミニウムイオンを用いており、それが2つのエネルギーレベルの間を1秒に1000兆回以上も振動する。この2つの時計を、長さ75メートルの光ケーブルで接続し、それぞれの時間の進み方を比較できるようにした。
最初の実験でChou氏らは、油圧ジャッキを使って、一方の時計を設置した台を33センチメートル持ち上げた。すると予想通り、低い位置にある時計のほうが、持ち上げられた時計よりも時間の進み方が遅かった。その遅れは、79年間で「1秒の900億分の1」程度だ。
2度目の実験では、一方の時計のアルミニウムイオンを、電場を用いて振動させた。これも予想通り、イオンを運動させた時計のほうが、静止していた時計よりも時間の進み方が遅かった。・・・』(注2)
油圧ジャッキで持ち上げたのは、地球の重力場の中での高さの相違による時計の遅れの検出、2番目のはイオンを単振動させたら時間が遅れた、という、特殊相対論の予想する効果の検出です。
高さ33センチの違いによる一般相対論での予測値との一致、そうして又秒速10m程度の振動速度での特殊相対論による予測値に一致する時間の遅れを検出した、という、どちらかと言うと「日常レベルでの世界での時間の遅れを検出できる技術の実証」という報告でした。
まあそれはそれでいいのですが、「単振動による時間の遅れ」というのはよく考えてみると「単振動しているイオンはアリスがのった宇宙船であり、それが宇宙と地球の間を何度も往復した、とも取れる内容になっています。
その様にこの実験を解釈するならば「双子のパラドックスの具体的な検証を行った」とも取れる報告です。(・・・と筆者らも申しております。) そうしてその結果は「確かにアリスの時計は遅れた」という事になっています。
さて単振動ってなんだっけ、という方は以下の記事で思い出しましょう。
単振動の公式まとめ(周期・ばね・エネルギー): https://archive.fo/cCOIn
振幅がAで角速度がω、経過時間はt、そうすると変位Xが
X=A*Sin(ω*t)・・・①式
で、その時の速度Vは
V=A*ω*Cos(ω*t)・・・②式
とまとめにはかいてありますので、それを使います。
例によって光速=C=1としますのでVの最大値は1、したがって
V=Cos(ω*t)
ω*tは単振動している対象物が実は円運動している、それを横から見ているから単振動に見える、そう解釈した時のx軸からの回転角Θになります。したがって
Θ=ω*t
これを改めてxとおき0から2π(2パイ)まで単位時間で動く、つまり「一周する」とします。
さてそうすると
V=Cos(x) ・・・③式
が単振動の速度を表す式、最大速度が±C=±1となっています。
もちろんこの場合最大速度は振動している真ん中の位置の時であり、速度がゼロになるのは振幅が最大になった場所、そこが地球でありそうしてまた他方の点が宇宙船を方向転換する場所でもあります。
速度Vで動く対象物の時間軸方向速度Vtは
Vt=sqrt(1-V^2)
でした。
従って今回は
Vt=sqrt(1-(Cos(x))^2)
となります。
これを一周分積分します。
ウルフラム君を呼び出して以下の文を入れてポチります。
sqrt(1- ((cos x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分
実行アドレス:
https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%28cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86
答えは4となります。
次に地球では時間の遅れは発生しませんからVt=1です。
従ってこれを0から2πまでの範囲で積分しますと答えは2π(2パイ)≒6.2832
最大速度が光速になる単振動でも時間の遅れは4までにしかなりませんので地球時間に対しては64%までしか遅れが発生しない事になります。
それでは遅れ時間が少ない、という事になれば、加速して最大速度に到達した時点で慣性飛行に移る、そうやって遅れ時間を稼ぐという事になります。
ちなみに最大速度が0.5C=光速の半分=0.5の場合は、ウルフラム君を呼び出して以下の文を入れてポチります。
sqrt(1- ((0.5cos x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分
https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.5cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86
答えは5.86985
この場合は地球時間に対して93.4%程度しか遅れないのです。(注1)
さてそれで秒速10mですとどうなりますか?
V=3.33*10^-8 = 秒速10m/光速(秒速30万km)
sqrt(1- ((0.00000003cos x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分
https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.00000003cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86
答えは6.28319
遅れは99.99984%
ウルフラムは一応計算するふりはしていますが計算精度不足です。
ちなみに秒速10mを相対論電卓で計算しますと時間の遅れは
99.999999999999944367%
残念ですが現状の無料版ではウルフラムの積分計算にそこまでの有効桁を求めるのはムリの模様です。
↑
相対性理論(時間の遅れ): https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228694
但し桁数をデフォルトの14桁から26桁まで持ち上げて計算の事。
注1:
V=Cos(ω*t)の形式のままで遅れを計算するとするならばたとえば
sqrt(1- (0.5cos 2π*t)^2)をtが0から1までの範囲で積分
https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%280.5cos+2%CF%80*t%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%89%E3%82%92t%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%891%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86
答えは0.934215
↑
こんな風になります。
この場合、地球での積分した値は1となりますので単振動の積分結果がそのままで遅れの割合となります。
それでこの場合は②式より
V=A*ω*Cos(ω*t)=0.5cos (2π*t) でしたので
ω=2π そうすると
A*ω=0.5 から A=0.5/2π
①式より A は振幅を表しますからこうして単振動の振幅を決める事が出来ます。
注2:一応参考資料、付けときます。
相対性理論と光時計
https://www-nist-gov.translate.goog/publications/relativity-and-optical-clocks?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc
↑
上記記事のグーグル翻訳前はこちら
↓
Relativity and Optical Clocks
https://www.nist.gov/publications/relativity-and-optical-clocks
こちらは英文のサイエンスに載った記事
↓
24 SEPTEMBER 2010 VOL 329 SCIENCE
https://tsapps.nist.gov/publication/get_pdf.cfm?pub_id=905055
PS:相対論の事など 記事一覧
https://archive.fo/FJO5M