特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その10・車の外あるいは中以外の場所に静止系がある、とした場合の計算

2024-08-25 05:10:44 | 日記

さてそれで次は「誰もやった事がない計算」をしましょう。

というのも「もし誰かがこの計算をしていたら『客観的な静止系が存在している可能性』について言及していたはずであるから」であります。(注1

しかしながら当方に知る限りにおいて「そのような計算がなされた形跡はない」とみています。(注2

さてではその「誰もやった事がない計算」とは何でしょうか?

それは「車の中」あるいは「車の外以外の場所に静止系をおいて、それで「同時性の相対性の計算をしてみる事」です。

 

具体的にいいますと「今までは相対速度0.6Cの解釈」について「車が右に0.6Cで移動」あるいは「車の外の観測者が左に0.6Cで移動」としてきました。

これをですね「観測者間の相対速度0.6Cのままで車は右に0.4Cで移動」とするのです。

つまり「静止系を車は右に0.4Cで移動となるように設定した」という事になります。

そうなりますと「車の外に立つ観測者は左に0.2Cで移動となる」のでしょうか?

ガリレイ変換ではそうなるのですが、ここはローレンツ変換の世界ですので「車の外に立つ観測者は左に0.2Cで移動」とはならず「その速度の算出には速度の加法則を使う事」になります。

 

その具体的な計算内容は (-0.6+0.4)/(1-0.6*0.4) です。

ウルフラムを呼んで

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%28-0.6%2B0.4%29%2F%281-0.6*0.4%29

答えはー0.263・・・=-5/19

検算をしておきます。 

(0.4+5/19)/(1+0.4*5/19) ウルフラムを呼んで

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%280.4%2B5%2F19%29%2F%281%2B0.4*5%2F19%29

答えが0.6

はい、OKです。

 

さてまずは右に飛んだ光について車の中の慣性系で考えましょう。

車の先端までの距離は1.0Cですがこれがローレンツ短縮をおこします。

割合はsqrt(1-0.4^2)=0.9165・・=sqrt(21)/5です。

従って車の先端までの距離は1.0*sqrt(21)/5

この車の先端が0.4Cで右に逃げます。

光は1.0Cでこれを追いかけますので光が車の先端に到達する時間は

(sqrt(21)/5)/(1.0-0.4)=(sqrt(21)/5)/0.6=1.527・・=sqrt(21)/3(秒)となります。(静止系時間)

もともとの長さが1.0Cの棒の先端の時間は0.4Cで動く場合は棒の中心(原点)に対して0.4秒、遅れます。

1.0*0.4=0.4 です。

で棒の時間はsqrt(1-0.4^2)=0.9165・・=sqrt(21)/5の割合で静止系時間に対して遅れます。

そうであれば静止系時間でsqrt(21)/3(秒)は棒の時間ではsqrt(21)/3*sqrt(21)/5=21/15=7/5(秒)

さてそうであれば棒の先端(=車の先端)に立つ観測者の時計は光がそこに到着したときには何時を指していたのでしょうか?

答えは 7/5(秒)ー0.4秒=1.0秒 です。

 

さてその時に静止系に対して速度5/19Cで左に動く「車の外の観測者」は車の先端に光が届いた時にはどうなっていたでしょうか?

観測者の時計は何時を指していましたか?

光が車の先端に到達する時間はsqrt(21)/3(秒)でした。(静止系時間)

そうであれば光は最初の位置から右にsqrt(21)/3C動いたことになります。(静止系距離)

そうしてその場所には0.4Cで右に動いた車の先端がありました。

そうであれば車の原点が最初にあった場所から光が届いた車の先端までの距離はsqrt(21)/3Cであることになります。(静止系距離)

そうしてまた速度5/19Cで左に動く原点に立っている観測者は最初の位置から左に

sqrt(21)/3*5/19 移動している事になります。(静止系距離)

そうなりますとこの棒の原点に立っている観測者から光が到着した車の先端までの距離は

sqrt(21)/3+sqrt(21)/3*5/19 という事になります。(静止系基準での距離)

 

さてそれで速度5/19Cで左に動く観測者の物差しはsqrt(1-(5/19)^2)の割合で短縮しています。

sqrt(1-(5/19)^2)=0.964・・・=sqrt(21)*4/19

その短くなった物差しでsqrt(21)/3+sqrt(21)/3*5/19という距離を測りますから

(sqrt(21)/3+sqrt(21)/3*5/19)/(sqrt(21)*4/19) が速度5/19Cで左に動く観測者にとっての棒の長さとなります。

(sqrt(21)/3+sqrt(21)/3*5/19)/(sqrt(21)*4/19)

=(1/3+5/(3*19))/(4/19)

=19/(3*4)+5*19/(3*19*4)

=19/(3*4)+5/(3*4)

=24/(3*4)=24/12=2C(速度5/19Cで左に動く観測者基準)

従ってその場所に立つ観測者が車の先端に光が届いたことを観測するのですがその時計は原点にある時計に対して2*5/19秒だけ進んでいる事になります。

 

次に光が車の先端に到達する時間は静止系時間でsqrt(21)/3(秒)でした。

これを速度5/19Cで左に動く観測者の持つ時計の時刻に直します。

速度5/19Cで左に動く観測者の持つ時計はsqrt(1-(5/19)^2)=0.964・・・=sqrt(21)*4/19の割合で遅れます。

従って速度5/19Cで左に動く棒の原点に立つ観測者の時間では光が車の先端に到達した時間は

sqrt(21)/3*sqrt(21)*4/19

=21*4/(3*19)=7*4/19 となります。

この時間に対して原点から右に2Cの位置に立つ観測者の時間は2*5/19秒だけ進んでいます。

従ってその位置での時計は光が車の先端に到達したときには

7*4/19+2*5/19=(28+10)/19=38/19=2秒

を指していることになります。

 

 

次に左に飛んだ光について車の中の慣性系で考えます。

車の後端までの距離は1.0Cですが上記と同様にこれがローレンツ短縮をおこします。

割合はsqrt(1-0.4^2)=0.9165・・=sqrt(21)/5です。

従って車の後端までの距離は1.0*sqrt(21)/5

この車の後端が0.4Cで右に迫ります。

光は1.0Cで左に向かいますので光が車の後端に到達する時間は

(sqrt(21)/5)/(1.0+0.4)=(sqrt(21)/5)/1.4=0.654・・=sqrt(21)/7(秒)となります。(静止系時間)

もともとの長さが1.0Cの棒の後端の時間は0.4Cで動く場合は棒の中心(原点)に対して0.4秒進みます。

で棒の時間はsqrt(1-0.4^2)=0.9165・・=sqrt(21)/5の割合で静止系時間に対して遅れます。

そうであれば静止系時間でsqrt(21)/7(秒)は棒の時間ではsqrt(21)/7*sqrt(21)/5=21/35=3/5(秒)

さてそうであれば棒の後端(=車の後端)に立つ観測者の時計は光がそこに到着したときには何時を指していたのでしょうか?

答えは 3/5(秒)+0.4秒=1秒 です。

 

さてその時に静止系に対して速度5/19Cで左に動く「車の外に立つ観測者」は車の後端に光が届いた時にはどうなっていたでしょうか?

その観測者の時計は何時を指していましたか?

光が車の後端に到達する時間はsqrt(21)/7(秒)でした。(静止系時間)

そうであれば光は最初の位置から左にsqrt(21)/7C動いたことになります。(静止系距離)

そうしてその場所には0.4Cで右に動いた車の後端がありました。

そうであれば車の原点が最初にあった場所から光が届いた車の後端までの距離はsqrt(21)/7Cであることになります。(静止系距離)

 

そうしてまた静止系に対して速度5/19Cで左に動く原点に立っている観測者は最初の位置から左に

sqrt(21)/7*5/19 移動している事になります。(静止系距離)

そうなりますとこの原点に立っている観測者から光が到着した車の後端までの距離は

sqrt(21)/7-sqrt(21)/7*5/19 という事になります。(静止系基準での距離)

 

さてそれで速度5/19Cで左に動く観測者の物差しはsqrt(1-(5/19)^2)の割合で短縮しています。

sqrt(1-(5/19)^2)=0.964・・・=sqrt(21)*4/19

その短くなった物差しでsqrt(21)/7-sqrt(21)/7*5/19という距離を測りますから

(sqrt(21)/7-sqrt(21)/7*5/19)/(sqrt(21)*4/19) が速度5/19Cで左に動く観測者にとっての棒の長さとなります。

(sqrt(21)/7-sqrt(21)/7*5/19)/(sqrt(21)*4/19)

=(1/7-5/(7*19))/(4/19)

=19/(7*4)-5*19/(7*19*4)

=19/(7*4)-5/(7*4)

=14/(7*4)=14/28=0.5C(速度5/19Cで左に動く観測者基準)

従ってその0.5Cの場所に立つ観測者が車の後端に光が届いたことを観測するのですがその時計は原点にある時計に対して0.5*5/19秒だけ遅れている事になります。

次に光が車の後端に到達する時間は静止系時間でsqrt(21)/7(秒)でした。

これを速度5/19Cで左に動く「棒の原点に立つ観測者」の持つ時計の時刻に直します。

速度5/19Cで左に動く棒の原点に立つ観測者の持つ時計はsqrt(1-(5/19)^2)=0.964・・・=sqrt(21)*4/19の割合で遅れます。

従って速度5/19Cで左に動く棒の原点に立つ観測者の時間では光が車の後端に到達した時間は

sqrt(21)/7*sqrt(21)*4/19

=21*4/(7*19)=3*4/19 となります。

この時間に対して原点から左に0.5Cの位置に立つ観測者の時間は0.5*5/19秒だけ遅れています。

従ってその位置での時計は光が車の後端に到達したときには

3*4/19ー0.5*5/19=(12ー2.5)/19=9.5/19=0.5秒

を指していることになります。

 

まとめ

以上をまとめますと

静止系に対して0.4Cで右に動く車の中では真ん中から出た光が

車の先端に届くのは1.0秒後

車の後端に届くのは1・0秒後

となっています。

この時静止系に対して速度5/19Cで左に動く観測者系(=車の外)から見れば

車の先端に届くのは2.0秒後

車の後端に届くのは0.5秒後

となります。

 

さてポイントは「以上の計算結果による測定データは驚くべき事にいままで検討してきたものと全く同じである」という所にあります。

つまり「静止系がどこにあってもそれがどこかに一つ存在したならば静止系に対して速度Vで右方向に動く長さ2Cの車の真ん中から左右に出た光は1秒後に車の先端と後端に届く」のです。

そうしてその車に対して相対速度0.6Cで左にうごく慣性系からその状況を観察しますと、光が車の先端に届くのは2.0秒後でありまた車の後端に届くのは0.5秒後となるのです。

 

以上の事を敷衍して考えますと

静止系に対して任意の速度Vで右に動く長さ2Cの車の中では真ん中から出た光が

車の先端に届くのは1.0秒後

車の後端に届くのは1・0秒後

となります。(ちなみにこれは単に光速不変についての別の表現です。)

この時その車に対して相対速度0.6Cで左に動く観測者系(=車の外)から見ると

車の先端に光が届くのは2.0秒後

車の後端に光が届くのは0.5秒後

と観測される、という事になります。

 

そうしてそのように光速の測定が観測される・測定データが得られるための必要十分条件は「どこかに静止系が一つ存在している事」となります。

そうであればこれは「ローレンツ変換そのものは静止系が客観的な存在である事を排除してはいない」という事の証明にもなっているのです。(注3

つまりは「アインシュタイン流の静止系の決め方でも、そうではなくて観測者と切り離した、客観的な存在としての静止系を設定する方法でも、いずれの方法によっても『同時性の相対性実験の結果は説明できる』のです。」

 

注1:ローレンツやポアンカレは『客観的な静止系が存在している可能性』について言及していましたが、これから述べるような計算の結果をもとにそのような主張をしていた訳ではありません。

注2:もし「同意性の相対性」についてそのような計算が成されていたならば『客観的な静止系が存在している可能性』について言及した記録が残っているはずですが、その様な記録はみあたりません。

注3:前回と前々回に行った計算は「それぞれの観測者が立っている慣性系を静止系とする」という前提に立ったものです。

そうしてそのやり方は「アインシュタイン流の特殊相対論の流儀」であります。

それに対して今回の計算は「車の中にいる観測者」あるいは「車の外に立つ観測者」とは独立に静止系の位置を決めています。

つまりは「観測者の存在を前提としない静止系を設定した」にもかかわらず「同時性の相対性の実験を行うと全く同じ実験結果を得る」のです。

そうであれば「その方法の方がより一般的な計算手順である」となります。

何となれば「静止系は観測者の存在と切り離して自由に設定できるから」です。

あるいはこう言い換えてもいいでしょう。

「単に一つの静止系を設定すればそれで同時性の相対性の実験結果は説明できる」と。

さてそうであれば「車の中にいる観測者」あるいは「車の外に立つ観測者」の慣性系を静止系として計算した方法は「静止系の設定あるいは選択の方法が多数ある中で単に観測者が立つ慣性系を静止系として選択したという事に過ぎない」となるのでした。

 

そうであれば可能性は2つ。

一つは今までのようなアンシュタイン流の主張「観測者が自分が立っている慣性系を静止系とすることができる」というもの。

もう一つは当方が主張している「観測者とは独立した客観的に存在している静止系がある」というものです。

この2つの主張のいずれもが「同時性の相対性実験」の実験結果を同じように説明できるのです。

しかしながらその2つには大きな違いがあります。

アンシュタイン流の主張「観測者が自分が立っている慣性系を静止系とすることができる」という主張はこの場合は「車の中の観測者と車の外の観測者は同時に『自分こそが静止系である』と主張しなくてはならない」ということになります。

なんとなれば、この流派では「自分が立っている慣性系以外の場所に静止系を設定する事が出来ないから」であります。

従って「同時性の相対性実験」の実験結果を説明する場合には「一つの場所に同時に2つの異なる静止系の存在を認める」というのがアンシュタイン流の静止系の設定の大きな特徴となります。

 

他方で「観測者とは独立した客観的に存在している静止系がある」という当方の主張の場合は「一つの場所に同時に2つの異なる静止系の存在を認めるという事は決してないのです。

そうであればこの2つの主張、流派は「お互いに相手の主張を否定する」、「共存することはできない」という事になるのです。

 

追伸:「同時性の相対性実験の結果から言える客観的な結論」

1、我々の暮らす宇宙ではローレンツ変換が成立している。

2、「同時性の相対性実験の結果」が成立する為には少なくとも一つの静止系の存在が必要。

何となれば「その静止系を基準として二人の観測者の観測結果はローレンツ変換を適用する事で説明が可能となるから」である。

3、この時に

・実際には「ただ一つの静止系の存在があるだけである」とする立場と(当方の主張)

・「同時に2つの静止系が存在しうる」というアインシュタイン流の立場がある。

4、しかしながらその2つの主張について「どちらの主張が成立しているのか?」という判断は「同時性の相対性実験の結果」からは出てはこない。

その上でこの状況下で「上記2つの立場のどちらを取るのか」、ということについて言うならば「その判断はそれを判断する方の宇宙観、あるいは物理観による、主観的なものになっている」と言う事になります。

5、この2つの立場の客観的な最終決着は「同時性の相対性実験」以外の物理実験結果による事になる。

そうしてこの確認実験は「光そのものを対象とした実験ではない」という事はある程度の確信をもって推察できる。

たとえばその実験は「時間の遅れを測定する」というような「フェルミオンの挙動がらみの実験になる」と想定できる。

何となれば「光そのものの挙動についての実験ではローレンツ変換が静止系を隠してしまうから」であります。

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「相対論・ダークマターの事など 記事一覧」

「その2:ダークマター・相対論の事など 記事一覧」

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