特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

閑話休題・ういきの特殊相対論の説明が無駄に分かりにくい件

2024-05-24 01:32:17 | 日記

「ういきの特殊相対論の説明が初学者にとって無駄に複雑になっている件」

あるいは「別解:速度の合成則」について

 

まずは「ういきの特殊相対論の説明」を参照します。: https://archive.md/Tsk4p : https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E6%AE%8A%E7%9B%B8%E5%AF%BE%E6%80%A7%E7%90%86%E8%AB%96

でまあ今回はその中でラピディティ (英: Rapidity) について語ります。

というのも上記の記事の中で「ローレンツ変換の具体的な形」の所に: https://archive.md/ND6P3 :というイラストが提示されていて、そのイラストの下の説明文が「ローレンツ変換の図示。(ct,x) を (ct',x) に変換する様子が ζ ≈ +0.66に対して描かれている。」となっています。

でこの「ζ ≈ +0.66」の意味が初学者にはわからないのです。

そうして本文を読んでいくと「この値 ζ は正規直交基底の取り方に依存せず、ローレンツ変換 φ の固有値のみによって決まることが知られており、ζ を φ のラピディティという。」とさらに分かりにくくなって「ハイ、ここはパスだ」となってしまいます。

まあそれにもめげずに「ういきラピディティ」: https://archive.md/SIG4B :にあたる根性が残っている方は

「逆双曲正接関数 artanh を用いて、ラピディティ φ は速さ v から 

artanh(v/c)=tanh^-1(v/c)=φ
 の様に算出される。」と言う所までたどり着きます。

で、上記「ういき特殊相対論」では「ζ」(=ギリシャ文字の一つで、「ゼータ」)となっていたのがこちらでは「φ」(=ギリシャ文字の一つで、「ファイ」)に変わっていて、でもそれは同じものであって速さ vを光速cで規格化した値(=β)で

artanh(v/c)=tanh^-1(v/c)=tanh^-1(β)=φ と計算できる事を知るのです。

さてそうであれば: https://archive.md/ND6P3 :に戻って「ζ ≈ +0.66」というのは

tanh^-1(v/c)=φ=0.66 である、という事が分かります。

さてそうであれば

tanh^-1(x)=0.66 の解 とウルフラムに入れれば良いのです。

https://ja.wolframalpha.com/input?i=tanh%5E-1%28x%29%3D0.66+%E3%81%AE%E8%A7%A3

答えは数直線上の黒丸をポチる事で

0.578363・・・

である事が分かります。つまりは

v/c≒0.58 の事を「ζ ≈ +0.66」は表していたのです。(注1

 

さて以上で: https://archive.md/ND6P3 :についての解読はできたのですが、その様にしてわざわざ導出してきたラピディティ φ ですが「これは一体何の役に立つのか」という話が残っています。

でその答えは「これを使うと相対論的な速度の加法則が簡単に出てくる」と言うものです。

上記「ういき特殊相対論」で「相対論的な速度の加法則の導出」を見ますと「なんのこっちゃ?」という説明文と同時に答えが天下り的に書かれているだけです。

まあこれで分かる人は初学者にはいないでしょう。

で「ういきラピディティ」: https://archive.md/SIG4B :に戻ればそこではラピディティを使って「速度の合成則」が示されています。(注2

 

そこをみると速度の合成則がラピディティの世界では単にtanhの加法則になっている事がわかります。

そうしてこの「tanhの加法則」というのは「tanhの加法定理である事」が「ういき双曲線関数」: https://archive.md/vTYws :をみれば分かるのです。

さてこれは数学上の双曲線関数の定理ですから、まあ「あえて疑う必要はない」と言えます。(注3

 

この双曲線関数と特殊相対論との結びつきについては「ういきラピディティ」によれば

『1908年、ヘルマン・ミンコフスキーはローレンツ変換が時空座標系の単純な双曲回転(英語版)、つまり虚数角度の回転とみなせることを示した[1]。従って、この角度は慣性系の(一次元的な)相対速度の単純で加法的な尺度とすることができる[2]。

ラピディティは1910年にホイッテーカー[3]、ワリチャク(英語版)[訳語疑問点]により用いられた。・・・ラピディティの理論的発展は主にワリチャク[訳語疑問点]によるものであり、1910年から1924年までの彼の著書にそれを見ることができる[5]。』となっています。

ミンコフスキーも特殊相対論を幾何学的に理解しなおしました。

そうしてラピディティもまた特殊相対論と双曲線関数という「幾何関数」に関係をもつ事が明らかにされたのです。

それはつまりは(不思議な事には=興味深い事には)「特殊相対論は幾何学的である」という事が出来そうです。

 

注1:上記: https://archive.md/ND6P3 :の「ζ ≈ +0.66」については目視ですがv/c≒0.58である事は実は: https://archive.md/UPU5I :にてすでに確認されています。

注2:ここではローレンツ因子γが γ=1/cosh(φ) である事にも注目すべきです。

注3:さてそれはコトバを変えますれば「アインシュタインが導出した相対論的な速度の加法則は数学的な裏がある」と言えます。

あるいは「数学的な対応物がある」の方が妥当でしょうか?

ちなみに双曲線関数についてはチャットGPT3.5は次のように説明しています。

『双曲線関数は、古代ギリシャの数学者であるニコマコス(Nicomachus)が、ユークリッドの『要素』の中で初めて記述しました。しかし、彼らは双曲線の考察には至りませんでした。

双曲線関数が現代の形になるまでの発展は、17世紀から18世紀にかけての数学的な進歩によって行われました。双曲線関数の基礎となる双曲線の性質は、17世紀の数学者であるヨハン・ベルヌーイやギヨーム・ド・ロアンドルによって初めて研究されました。

特に、ベルヌーイ家の一員であるヤコブ・ベルヌーイは、双曲線関数の性質を詳細に研究しました。彼は双曲線の曲線的性質を理解し、それらの関数を形式化しました。また、その後の数学者たちも双曲線関数に関する研究を発展させ、18世紀の終わり頃には、双曲線関数が広く使用されるようになりました。

双曲線関数は、業績を残した多くの数学者によって発展させられ、その基礎が築かれました。』

また双曲線関数と特殊相対論の関係については

『特殊相対性理論(Special Relativity, SR)と双曲線関数の関係について具体的に述べると、双曲線関数は特殊相対性理論においてしばしば現れる数学的な表現方法として利用されます。特に、相対論的な速度の加速や運動の表現において、双曲線関数が重要な役割を果たします。

ラピディティと双曲線関数:
特殊相対性理論では、相対速度を表すためにラピディティ(rapidity)と呼ばれる概念が導入されます。ラピディティは速度 v に対して tanh ^−1 (v/c) で与えられる双曲線関数の逆関数です。ここで、c は光速、tanh ^−1  は双曲線関数の逆関数です。ラピディティは、速度の加速度や運動の特性を相対論的に表現する際に便利です。

双曲線関数とローレンツ変換:
特殊相対性理論におけるローレンツ変換は、時空の座標系間での物理量の変換を記述します。特に、ローレンツ変換における速度の加法定理では、双曲線関数が登場します。相対速度 v と u の合成速度 w は、
w=(v+u)/(1+vu/c ^2 ) のように双曲線関数を含む形で与えられます。

相対論的エネルギーと運動量:
特殊相対性理論におけるエネルギーと運動量の関係式も、双曲線関数を含む形で表されます。特に、物体のエネルギー E と運動量 p の関係は、
E ^2 =(pc) ^2 +(mc ^2 ) ^2
  という双曲線関数の形を取ります。ここで、m は物体の静止質量、c は光速です。

これらの例は、双曲線関数が特殊相対性理論において相対論的な効果を表現するための重要な数学的道具として使用される方法を示しています。双曲線関数は、相対論的な速度や運動、エネルギーと運動量などの表現に不可欠な概念として、特殊相対性理論と密接に結びついています。』

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PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/mkAvJ