今日の秋櫻写

こちら新宿都庁前 秋櫻舎

3人の襲名披露公演

2012年06月07日 22時16分19秒 | きもの

さあ、いよいよこの日がきたー!

新橋演舞場のすぐはす向かいにある
老舗料亭「金田中」。
その前に出ている「弁松」の赤飯弁当を購入し、
比佐子さんとふたり、
猿翁、猿之助、中車襲名披露公演、昼の部へ。

たのしかったー!

澤瀉屋一門が集結し、口上には猿翁丈も登場して、
歌舞伎の舞台についに立てるよろこびとこれから
歌舞伎役者としてもやっていく覚悟を決めた中車(香川照之)、
相変わらずチャーミングで自信家でエッジの効いた新猿之助、
じっとしていられずむずむずしているやんちゃな團子くんを
みーんなで盛りたてた。

奥には猿翁のお父さんの三代目段四郎、
おじいちゃんの初代猿翁の大きな写真が飾られ、

「隔世遺伝だわね」

それぞれの顔の系統が一目瞭然だったのもたのしい。
顔の輪郭は、もののみごとに、みんな同じなんだけど!


お祝いに贈られた幕も、
贈った方もすてきだったー




幕が上がるまでは写真OKだったので、
会場中がケータイやデジカメで撮りまくっていたが、
右の字わかるかな?




なんと福山くんからの贈りものなのだった。
猿之助くんが「尊敬している」そうで、
段四郎、猿翁、自分の3人の隈どりを
重ね合わせたデザインだそう。

「みっつを重ねると、世にも見たことがない隈どりが出現する。
 名を襲名するとは代々の先祖の芸を受け継ぎ、厚みを増し、
 そしてそれまでにない新しい猿之助を作り出すことなんだと
 これをみて初めて分かった」

と猿之助くんは口上で述べていたけど、
本当にすばらしいデザインと解釈だと思った。


「義経千本桜」は猿翁バージョンで、
じつに「らしい」ものだった!

後半は猿之助くんの身体能力の高さを見せに見せ、
宙乗りのクライマックスなんてきゃあきゃあだった。
あの体になりたい、と見ながら思った。

決して大輪の華のあるタイプではないけれど、
一途に古典を敬愛しながら独自の世界観を、
あのふてぶてしいまでの知性と野性で
ぐんぐん切り開いていく猿之助の舞台は色気があり、
生意気であり、魅力がほとばしっていた。

中車もさすが。
歌舞伎的な細かいことでいえば、
きっと色々あるんだろうけど、
あの歌舞伎の舞台にかける決意と喜びは
みている人によーーく伝わってきて、それは
生の舞台をみる客にとっては一番の快感だ。

並々ならぬハンデ、
でも恥をかいてでもという強い気もち。

歳をとればとるほど恥をかくのはキツイし、
実際恥もかきにくい環境に置かれていく。

応援しようと思う。


そうそう、今日は京都から舞妓さんとお姐さんが
客として来ていて、場内を異形の存在感で彩っていた。

一方、客席の6月上旬のきものの装いはというと、
袷(暑くないのか)から紗袷まで(たぶん)多種多様だった。

ちなみに舞妓さんのだらりの帯は
ふたりとも絽塩瀬でした。




演舞場の前で。

「あら、ここいいじゃない」

なんて云いながら写真を撮ってもらっていたのだが、
何気に比佐子さんのケータイを見たら、

「嘘!開演時間、過ぎてます!」

「えええーーー」

11時05分。
やけに人が少なくて、しーんとしていると思ったのだ。
ものすごい形相で駆け込んだ。


さて今日の比佐子さんの装い。





やびやさんのねん金の単。
鈍く光っている生地なのだ。





鶴と亀の繍い紋がポイント。
めでたい亀治郎にかけて。




ワタシは青樹先生の綾織、草木染の単。
帯は江戸紅型。
きれいなイエローが点在しているのだけど、
この写真だとぜんぜん見えない。


そんなわけで。
すばらしいお披露目に参加できたことに感謝。







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