薄明かりの先は別世界が広がっていた。
彼は一歩あゆむごとにその場所での記憶を思い出していた。
元はこのフィールドの主に仕える童子のひとりで、
地上で人間に転生していた時、事件に巻き込まれたのだ。
彼は主の名を思い出し呼んだ。
「カノンさま」
しばらくして重い口調の声が応えた。
「さきほどからお前の身体に生じている異常を調べている。
悪い予感がしたので、人間に転生中のお前をここに
引き寄せたのだが、こんな身体になっているとは。」
「見た目は変わらないが、体内の水分がかなり減っている。
生体組織が作り変えられ、炭のように変わろうとしている。
火をつけたら引火してしまうだろう。
生体ウイルスが使われたようだ。」
カノンが彼に次の言葉をかけようとした時、彼は熱気を感じた。
ふと目をやると、自分の手が発火して燃え出していた。
「ああ、熱い。助けて」彼は絶叫した。
「気をしっかり持ちなさい。お前の身体は全身が石炭化し
すでに痛みを感じることも無くなっている。
あたふたすることで、さらにウイルスを周りに広める
たちの悪い生体テロだ。苦しいだろうけど落ち着いて。
私が両手で抱えていてあげるから。」
残りの童子が彼を囲んで、火を消そうと水をかけたり
草で払ったりしたが普通の火ではないようで、あっという間に
全身に火がまわり、しばらくして灰となって粉々に散った。
カノンの両手のうちには抱えられた彼の魂が残った。
「大変な目にあったわね。しばらく安静にするといいわ。
皆で看病してあげなさい。」
残る9人の童子らはいっせいに駆け寄り、彼をふとんに寝かせ、
医者、看護婦、祈祷、まじないなど9人9様に看病を始めた。
「さて、王子を呼ぶべき事態が起きているのかのう。」
カノンは、精神を集中し地球の隅々まで探索し始めた。
<2007年10月1日発表稿の見直し>
彼は一歩あゆむごとにその場所での記憶を思い出していた。
元はこのフィールドの主に仕える童子のひとりで、
地上で人間に転生していた時、事件に巻き込まれたのだ。
彼は主の名を思い出し呼んだ。
「カノンさま」
しばらくして重い口調の声が応えた。
「さきほどからお前の身体に生じている異常を調べている。
悪い予感がしたので、人間に転生中のお前をここに
引き寄せたのだが、こんな身体になっているとは。」
「見た目は変わらないが、体内の水分がかなり減っている。
生体組織が作り変えられ、炭のように変わろうとしている。
火をつけたら引火してしまうだろう。
生体ウイルスが使われたようだ。」
カノンが彼に次の言葉をかけようとした時、彼は熱気を感じた。
ふと目をやると、自分の手が発火して燃え出していた。
「ああ、熱い。助けて」彼は絶叫した。
「気をしっかり持ちなさい。お前の身体は全身が石炭化し
すでに痛みを感じることも無くなっている。
あたふたすることで、さらにウイルスを周りに広める
たちの悪い生体テロだ。苦しいだろうけど落ち着いて。
私が両手で抱えていてあげるから。」
残りの童子が彼を囲んで、火を消そうと水をかけたり
草で払ったりしたが普通の火ではないようで、あっという間に
全身に火がまわり、しばらくして灰となって粉々に散った。
カノンの両手のうちには抱えられた彼の魂が残った。
「大変な目にあったわね。しばらく安静にするといいわ。
皆で看病してあげなさい。」
残る9人の童子らはいっせいに駆け寄り、彼をふとんに寝かせ、
医者、看護婦、祈祷、まじないなど9人9様に看病を始めた。
「さて、王子を呼ぶべき事態が起きているのかのう。」
カノンは、精神を集中し地球の隅々まで探索し始めた。
<2007年10月1日発表稿の見直し>