裁判員 裁けるのか  毒カレー事件死刑判決

2009-04-22 | 裁判員裁判/被害者参加/強制起訴

 4人が亡くなった和歌山市の毒物カレー事件の上告審判決で、最高裁は、状況証拠の積み重ねで林真須美被告(47)に死刑を宣告した1、2審の判断を支持した。動機の解明がなされないまま示された最終判断は、スタートまで1ヵ月を切った裁判員制度に多くの課題を投げかけている。 (東京社会部・加藤文) http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/kiyotaka/wakayama2.htm
 ▼反証削減も
 裁判で検察側が提出した証拠は、約1700件。約3年7ヵ月にに及んだ1審の開廷数は95回。2審も結審まで12回を要した。
 裁判員裁判は集中審理が原則となり、通常3-5日で審理を終わるとされる。審理期間が1ヵ月を越すのは極めて例外的になる。しかしカレー事件のように被害者が多く、動機も不可解な否認事件の場合、審理にどれだけ時間がかかるか予想はつかない。一方、長期化を避けようと公判前整理手続きで証拠を厳選し、審理を急げば、弁護側が十分に反証できなくなるとの指摘もある。
 「検察側には十分に立証させても、弁護側は反証する機会を削られ、変遷した目撃証言が証拠採用されなくなる。偏った証拠で裁判員が結論を出す可能性がある」。林被告の上告弁護団長の安田好弘弁護士はそう危惧する。
 被害者や関係者の数が多い重大事件で膨大な証拠を偏りなく厳選できるのか。除外された証拠に真実が隠されていないのか---。
 毒物カレー事件の裁判は、裁判員制度が抱える問題点を浮かび上がらせている。


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