首相重用、河井夫妻も「お友達」? 溝手顕正氏への刺客として案里議員と克行前法相に計1億5千万円を提供

2020-06-20 | 政治

  首相重用、河井夫妻も「お友達」?  
 中日新聞 2020年6月20日  特報 

 克行前法相 外交でお手柄

 
 河井克行前法相の公式サイトに掲載された「月刊河井克行」の2016年錦秋号。首相のアフリカ訪問に随行した様子を伝えている  

克行前法相 外交でお手柄
 昨年7月の参院選を巡る公選法違反(買収)の疑いで、河井案里参院議員と夫の克行前法相が、東京地検特捜部に逮捕された。かねて安倍晋三首相や二階俊博幹事長は突き放すような姿勢を見せてきたが、克行前法相を外交の特使として起用したり、案里議員の擁立を主導したりするなど、肩入れぶりは際立っていた。買収を否定しているとされる夫妻の捜査はこれからだが、安倍政権はなぜ、これほど重用してきたのか。 (榊原崇仁、中山岳) 
 河井夫妻が逮捕された十八日、安倍首相は記者会見で「逮捕は遺憾。任命した者として責任を痛感している」と述べたが、具体的な責任の取り方はあいまいなままだった。 
 首相は十六日にも「国会議員はかけられた疑惑について、しっかり説明する責任を負っている」と人ごとのような口ぶり。自民党の二階幹事長も同日は「党に影響を及ぼすほどの大物議員でもない」と、まるで尻尾切りを狙うような言い方だった。 
 しかし、克行前法相と首相の足跡からみると、二人の「蜜月ぶり」を覆い隠すことは難しい。 
 克行前法相は二〇一五年十月から首相補佐官に起用された。前任者は「首相のお友達」とやゆされた礒崎陽輔氏。側近中の側近とも言えるポストだ。克行前法相は当時、自らのホームページで掲載する活動報告「月刊 河井克行」で、首相との関係を繰り返し押し出していた。 
 一六年盛夏号では、首相が山形県の農家を訪れた際に同行した様子をPRしたほか、同年錦秋号では、首相とともにアフリカに向かう写真を表紙に掲載。一七年新春号でも、首相らと一緒にこぶしを突き出して気勢を上げる写真を載せた。後任の首相補佐官のホームページの活動報告にもたびたび首相が登場するが、河井前法相の方が写真が目立ち「首相を行きつけの広島お好み焼き店に招いた」といったエピソードから親密ぶりが伝わってくる。 
 克行前法相は一七年八月から、自民党の総裁外交特別補佐に就任。「月刊 河井克行」の一八年早春号では、首相から「今後は私の特命に基づいた議員外交を党において行うように」と命じられ、新設ポストの同補佐に登用されたとつづっていた。
 このころ、克行前法相が脚光を浴びた出来事がある。16年11月にトランプ氏が米大統領選で当選した直後、世界の首脳に先駆けて会談できるよう、首相が補佐官だった克行前法相を渡米させた件だ。
 克行前法相はトランプ氏の政権移行チームの幹部らと調整し、トップ会談が実現した。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「外交は2つのルートがある。政府の代表者同士が表舞台で意見をぶつけ合うルートと水面下で交渉するルートで、河井氏は後者の役割を担った」と語る。
 政治評論家の有馬晴海氏は「克行氏は松下政経塾にいたころ、渡米して政治について学んだ。当時築いた人脈を使い、トランプ氏との会談を実現させるための根回しを行ったのだろう」と語る。「トランプ氏との結びつきの強さは、首相の数少ないウリ。そのお膳立てをした手柄が買われて重用された」。19年9月に法相に就いたのも論功行賞の一環とみられるという。
 克行前法相は派閥に属さず活動しながら、安倍首相が復権の足がかりとした12年9月の自民党総裁選では推薦人に名を連ね、親安倍の姿勢を鮮明にした。
 かつては党の国防部会長として宇宙の軍事活用の旗を振るなど、右翼的な顔も持つが、前出の有馬氏は「首相の心を引きつけたのは、無派閥のシンパという点」と語る。「首相は派閥のボスに気を遣うのを嫌がる。自分のためだけに一生懸命尽くしてくれる人が好き。そうした性格だから『お友達』も大切にする」
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案里議員 岸田派へ刺客

 
 2019年7月の参院選で河井案里氏(左)の応援演説に駆け付けた安倍晋三首相=広島市で

参院選 自民現職落選「2人当選目標は表向き」
 自民党の大物議員の秘書はより踏み込んだ見方だ。
「克行氏は人望がなく、パワハラ体質という評判もある。親しい議員がいない。ただ、有力者にすがりたいから首相を頼ろうとした。首相の方も異論を受け止める寛容さがなく、『自分のために尽くしてくれる人間ならそれでいい』と思っている。相互依存のような形で今の関係ができた」
 案里議員が参院選広島選挙区(改選数2)で自民党候補に擁立されたのも、首相に近い克行前法相の妻だったことが大きいようだ。
 自民党本部は県議だった案里議員と現職だった溝手顕正(けんせい)氏を公認。溝手氏を支援する党広島県連は猛反発したが、首相官邸の意向で決まった。結果は野党系候補がトップ当選し、2議席目を案里議員が奪い、溝手氏は落選した。
 溝手氏は岸田文雄政調会長が率いる派閥の重鎮で、自民が下野していた12年に安倍氏を「もう過去の人」と評していた。溝手氏の選対幹部だった男性は「党本部が2人当選を目指したのは表向き。安倍氏に厳しい発言をしてきた溝手氏への刺客として案里氏が選ばれた」と話す。
 案里議員の出馬表明は参院選4か月前の昨年3月で、出遅れていた。党本部は同4~6月、案里議員と克行前法相がそれぞれ支部長を務める党支部に7千5百万円ずつ計1億5千万円を提供。安倍事務所の秘書が企業や団体を回って支援を求め、首相や菅義偉官房長官らが応援演説に入った。
 首相はなぜ、これほど肩入れしたのか。野党のある県議は「安倍氏は自分の息のかかった議員を少しでも増やしたかったのではないか」とし、国会議員も地方議員も圧倒的に岸田派が多い広島の政治情勢にくさびを打つ目的があったとみる。
 別の県議によると、克行前法相は、岸田派が主流の県連内で孤立しており、参院選で応援を得にくかったという。この県議は「克行氏は信頼関係がない地方議員たちから何とか支援を得ようとして焦り、現金を配ったのではないか」と批判する。
 淑徳大の矢尾板俊平教授(総合政策論)は「安倍首相は党総裁として案里氏を擁立し、首相として河井氏を法相に任命したいずれの責任もある」と指摘。「問題なのは、政権が長期化するにつれて自分に近い人を優遇し、資質に疑問があったとしても強引に重用することを繰り返してきたことだ」と強調する。(以下略)

 ◎上記事は[中日新聞]から抜粋して書き写し(=来栖)
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〈来栖の独白 2020.6.20 Sat〉
 河井夫妻は逮捕され、すべてを失った。だが、真に悪いのは安倍晋三総理だ。
 私はこれまで憲法改正を願って安倍氏を支持してきたが、もうやめる。これほど浅はかな人物とは思ってもみなかった。
 それにしても私は、人を見る目がない。小沢一郎氏、然り。氏を高評価してきた私。長く生きてきて、人を見る目は育っていなかった。阿保な私。


河井克行・案里夫妻逮捕 一億五千万円 巨額の資金を総理がいともたやすく動かせる仕組み、これこそが問題 2020.6.19


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