金正恩朝鮮労働党委員長が習近平国家主席と再会談 2018.5.8 「日本は漁夫の利を待て」遠藤誉

2018-05-08 | 国際/中国/アジア

2018.5.8 20:14更新
【激動・朝鮮半島】金正恩朝鮮労働党委員長が習近平国家主席と再会談 半島非核化を協議
 画像;中国国営通信新華社が8日に配信した、中国遼寧省大連で会談に臨む中国の習近平国家主席(右)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の写真(新華社=共同)
 【北京=藤本欣也】中国国営メディアは8日、北朝鮮の最高指導者、金正恩朝鮮労働党委員長が遼寧省大連を訪問し、習近平国家主席と会談したと報じた。金氏の訪中が確認されたのは3月下旬以来、2回目。6月上旬までに開催見通しの米朝首脳会談を前に、中朝両国は緊密な関係を内外に誇示した形だ。
 国営新華社通信によると、金氏は会談で「朝鮮半島の非核化を実現することが、われわれの変わらない明確な立場だ」と指摘。「関係国が(北朝鮮への)敵視政策と安全に対する脅威を除去しさえすれば、核を保有する必要はなく、非核化は実現できる」と強調した。また、「米朝間の対話を通じて相互信頼を確立し、関係各国が段階的措置を講じれば、朝鮮半島の非核化は実現できる」とも主張した。
 習氏は、北朝鮮が核実験と弾道ミサイルの発射を停止する措置を取ったことを評価、「戦略の重心を経済建設に移したことを支持する」と述べた。
 北朝鮮の報道によると、正恩氏の妹の金与正氏らが同行した。
 金氏は3月25日から28日まで専用列車で中国を訪問し、北京で習氏と首脳会談を行ったばかり。その際、習氏が北朝鮮を訪問することで合意しており、習氏の訪朝前に金氏が中国を再訪するのは異例だ。
 北朝鮮としては、米朝首脳会談を控え、後ろ盾である中国の存在をアピールすることで、北朝鮮の即時非核化を迫る米国を牽制する狙いがある。
 中国側も、1カ月あまりの間に中朝首脳会談を2回行うことで、朝鮮半島問題で中国が主導権を握っていることを日米韓など関係国に誇示できる。
 大連市内では7日から厳重な警備態勢が敷かれ、北朝鮮の要人が訪中しているとの観測が流れていた。金氏は8日、専用機で帰国したもようだ。

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
------------
〈来栖の独白 2018.5.8〉
 中国という強力な後ろ盾のいることを米韓に誇示したということか。
――――――――――――――――
2018.5.8 11:59更新
金正恩氏が中国訪問か 専用機で大連と韓国報道

  
  画像;中国遼寧省大連市の空港に到着した北朝鮮の高麗航空機=8日(共同)
 韓国の聯合ニュースは8日、北朝鮮消息筋の話として、北朝鮮の首脳レベルとみられる人物が専用機で7日に中国遼寧省大連市を訪問したと報じた。金正恩朝鮮労働党委員長の可能性が高いとしている。聯合によると、首脳レベルとみられる人物は7日に大連の空港に到着し、中国側と接触したという。
 大連では、中国初の国産空母が建造され、近く初の試験航行が行われる見通し。聯合は習近平国家主席も試験運航式に出席するため大連に向かったとされるとし、首脳レベルの接触の有無に注目が集まっていると報じた。
 大連では7日、空港の離着陸が一時制限されたり、交通規制が実施されたりするなど要人が訪問したとみられる動きがあった。聯合は7日も、北朝鮮消息筋の話を基に「北朝鮮の高位級とみられる人物が大連を訪れ、中国側と接触しているとの話が出回っている」と伝えていた。(共同)

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です


金正恩、習近平を再び利用か──日本は漁夫の利を待て
2018年5月8日(火)18時54分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
 金正恩委員長が習近平国家主席に会うために大連に専用機で飛んだ模様。対日微笑に傾く中国を北側に引き戻し、米朝首脳会談を前に圧力を口にするアメリカを牽制するのが主目的だろう。日本は漁夫の利を静観すべきか。
■金正恩委員長が専用機で大連に飛んだ模様
 5月7日午前9時、まず新唐人テレビ局が「習近平が空母視察のために大連を訪問し、金正恩と再会か」というタイトルで金正恩(キム・ジョンウン)委員長の大連訪問と習近平国家主席との再会を報じ、5月8日午前1時に、多維新聞が「大連の警備レベルアップ、金正恩が再び習近平と会談か」という見出しで同様の報道をした。
 中国政府もメディアも、現在このコラムを書いている時点では、沈黙を保っている。金正恩が無事に中朝国境を越えるまで正式公表はしないだろう。いつものパターンだ。
 習近平が中国初の国産空母の試験出航儀式に参加するであろうという情報は、かなり前から把握していた。これは金正恩の再訪中とは関係なく動いていたことだ。
■日中韓首脳会談の前に
 金正恩がそれに合わせて急いだのは、明日9日の日中韓首脳会談前に習近平と会い、李克強首相が日中韓首脳会談で北朝鮮に不利になるようなことを言わないようにさせるのが目的の一つだと考えていいだろう。
 金正恩自身が「中国外し」を目的とした、朝鮮戦争休戦協定から平和協定への協議で「米朝韓による3者会談」を提唱している。そのため中国は日本への微笑み外交を、北朝鮮への見せしめとして進めようとしている。
 日中首脳同士が電話会談をするという、政権誕生以来初めてのことを、習近平はやってのけた。
 そうなると今度は、「ひょっとしたら習近平がトランプ大統領に近づくかもしれない」と、金正恩は怖いのだろう。
■米朝首脳会談を前に
 米朝首脳会談を前にして、北朝鮮の対米批判が再開している。
 アメリカが「圧力が効いたから、北朝鮮が対話路線に切り替えたのだ」と言っているからだ。
 中国は「圧力が原因ではない」と主張しているので、そのように主張してくれている兄貴分に、「アメリカが、圧力のせいだって言うんだよ。違うって言ってくれよ」とせがみに行ったと考えていい。
 そして米朝首脳会談において北朝鮮に有利になるように、今度はまたもや「俺の背後には中国がいるんだぜ」とアメリカに見せて、米朝首脳会談を北朝鮮に不利にならないように持っていこうという算段にちがいない。
 金正恩の外交の仕方は、したたかなようで、やはりどこか「子供じみて」いる。
 核・ミサイルによる威嚇などの恐怖路線を続けておいて、いきなり対話路線に切り替えれば、周辺諸国は競ってその対話路線に乗ろうとする。中朝が対話に入って中朝蜜月をアメリカに見せつけた段階で、今度は「中国外し」を目的とした「3者会談」を提起する。
 そこで中国が北への見せしめに対日微笑み外交を始めて「習近平・安倍」電話会談などをすると、中国を引き戻そうと中国を再訪するなど、「節操がない」と言っていいほどの「ゆさぶり」だ。「したたかさ」という言葉が必ずしも適切ではないと思わせる動き方である。
■「圧力が効いたから」は文在寅のトランプへのお世辞
 そもそも「アメリカの圧力が効いたから、南北は対話路線に入ることができる」と言い始めたのは韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領だ。
 今年1月14日、北朝鮮との南北対話について文在寅大統領が「アメリカのトランプ大統領の貢献が大きい」と発言した。それは日米韓で対北朝鮮包囲網を形成し、圧力と制裁によって北の核・ミサイル放棄を目的として行動している最中に、「北と対話などという融和策に出るとは何ごとか!」とトランプが文在寅を非難した時のことだった。
 文在寅は何としても北に平昌冬季五輪に参加させて南北対話に持っていこうとしていた。
 しかしトランプに非難された文在寅は、「北朝鮮が対話路線へ転換しようとしているのは、アメリカのトランプ大統領の貢献が大きい」という趣旨のことを言ったのである。最初「トランプ大統領の貢献が......」と言って、その直後に「あ、いや、国連の......」と訂正してはいるが、この言葉はいたくトランプを喜ばせた。
 「その通りだ!この俺様が圧力を強化したからこそ、北朝鮮は折れてきて対話と言い始めたのだ!」とばかりに、トランプは喜びを露わにした。
こう言いさえすれば、お世辞に弱いトランプは自分を許してくれるだろうという、文在寅の東洋的な保身術だったにちがいない。
 以来、ものの見事にそのお世辞戦略による自己弁護は成功して、トランプは北朝鮮の平昌冬季五輪参加も称賛するようになる。
 日本は、このトランプの「圧力が効いたのだ」論に乗っかり金正恩を不快にさせた。
 文在寅の「圧力が効いた」論を知った金正恩は、直ちに「調子に乗るな!いくら哀れな立場とはいえ、対話の相手を前にして無礼千万!」と、文在寅を非難した。1月14日の北朝鮮の国営テレビが声を張り上げて、非難文を読み上げた。
 今もまた、トランプは米朝首脳会談を前に「圧力」を口にしているので、金正恩は兄貴分の習近平に泣きつきに行ったことは、十分にあり得る。 ただし、今回は、空母の進水式典に北朝鮮の高官も参加する、という可能性は、今の段階では否定できない。
■日本は漁夫の利を静観すべき
 5月7日付のコラム<中国、対日微笑外交の裏――中国は早くから北の「中国外し」を知っていた>に書いたように、中国は十分に北朝鮮の「狡猾さ」を知っている。その上で、狐と狸の化かし合いをしながら付き合っているのが現状だ。
 何れの場合でも、日本は中朝関係の真相だけを直視して、表面上の言動には一喜一憂しない方がいいだろう。また、「圧力だ、圧力だ」と合唱しても、漁夫の利は得にくくなる。むしろ「老獪な戦術」を立て、静かに待っている方が賢い方法ではないだろうか。その方が明日の日中韓首脳会談にも有利に働く。
追記:5月8日19:00(日本時間20:00)、中国の中央テレビ局CCTVは、訪問したのが金正恩であることを発表した。会談は5月7日から8日にかけて行なわれたとのこと。中国外交部は本日17:48(日本時間18:48)の時点で「発表すべき如何なる情報もない」と厳しい顔で言っていた。したがって日本時間20:00の時点では、金正恩はすでに中朝国境を越えて帰国の途に着いていたことになる。
[執筆者]遠藤 誉
  1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
 ※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

  ◎上記事は[NewsweekJapan]からの転載・引用です
.....................


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。