中国は力による現状変更を試みようとしている=安倍首相インタビュー
2013年 10月 25日 20:55 WSJ Japan Real Time
【東京】安倍晋三首相は25日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の単独インタビューに応じ、中国がアジア地域で力によって現状を変更しようとしていることに多くの国々が懸念を示していると表明した。さらに、アジアのリーダーとしての日本の役割は、中国に対し、そのような道をとらせず、「平和的な台頭」を促すことにあるとの考えを示した。
首相のこの発言は、領土問題や歴史認識で対立する日中間の不和をあらためて浮き彫りにする形となった。
安倍首相は、「日本のアジア太平洋地域における経済だけでなく、安全保障分野におけるリーダーシップも期待されると実感した」とした上で、「中国が法の支配でなく、力による現状変更を試みようとしていることに懸念がある」と指摘。「中国はその道を取ることによって、平和的台頭の道をとることができなくなる」と述べた。
さらに「つまり(中国は)その道をとるべきでない、ということを日本が強く主張することを多くの国々が期待している。日本がしっかりと主張していくことで、中国が国際社会において責任ある行動を取っていくことになることが望まれている」と話した。
中国は、安倍首相が日本の戦時中の行為をわい曲し、軍事力を増強していると批判しているが、安倍首相は逆に、アジア地域の国々が中国の軍事増強を懸念していると指摘。「不透明な軍事費の増加に対しては、日本だけでなく、多くの国が懸念を表明している」と述べた。
しかし、日本経済の復活を最重要課題に掲げる安倍首相は、日本にとって最大の貿易パートナーである中国との関係が最も重要な問題の1つだとの認識を表明。首相はそれを「戦略的互恵関係」と呼び、中国指導者との対話の窓口は閉ざされていないとして、中国政府にも同じようなアプローチを取るよう求めた。
首相は「1つの問題があるからといって、首脳会談を含めすべてのドアを閉ざすべきでない。日本は常にドアをオープンにしている」と述べた。
安倍首相は昨年12月に政権の座に就いて以来、中国の指導者との公式会談を催していない。中国が尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題で譲歩しない限り、協議に応じない姿勢を見せていることを首相は批判している。現在、日本が実効支配している尖閣諸島については、中国も領有権を唱(とな)えている。日本政府は日中間には領土問題は存在せず、交渉の余地はないと一貫して主張している。一方、中国政府は日本政府が領土問題の存在を認めるよう求めている。
安倍首相は今月初め、インドネシアで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議開催中に中国の習近平国家主席と握手を交わしたが、首脳会談は行わなかった。安倍首相は訪中していない。
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