<軽減税率適用狙い>メジャー紙の消費税増税プロパガンダと「野田・小沢」会談で小沢氏排除の理由

2012-05-31 | メディア/ジャーナリズム/インターネット

〈来栖の独白 2012/5/31〉
 昨日野田総理と小沢一郎氏との消費税増税に関する1時間半にわたる話し合いが行われた。本日のメジャー紙社説は、そのことをコメントしている。読んでみたが、歩調を合わせて野田総理援護、小沢氏非難である。つまり「消費税増税に舵を切れ」「小沢氏と袂を別って、自民党と手を組み、消費税増税せよ」である。「増税は国民の痛みを伴うことであり、国民との約束違反(マニフェストに反する)」と訴える小沢氏を徹底して斥けている。
 なぜ、メディアは、こうも増税に力を貸すのか。その理由は「軽減税率」適用である。軽減税率とは、特定物品に低い税率を導入するものだが、日本新聞協会は昨年7月、新聞への軽減税率適用を求める要望書を政府に提出した。政府は、新聞各社が消費税増税プロパガンダにどれだけ励んだかを見ることになる。新聞社は、見られることになる。昨日の「野田・小沢」会談報道は、その査定に大きく響いたはずだ。メジャー紙は、すべて「合格」したに違いない(中日東京新聞を除く)。
 政府もメディアも役所も、国民のことを思いはしない。おのが利権しか念頭にない。当局(政・官・報)の力をもってすれば、小沢一郎氏ひとり葬ることなど、朝飯前である。そのことを本日のメジャー紙は如実に示している。
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野田・小沢会談 「もう一度」は時間の浪費だ(5月31日付・ 読売社説 
 議論は、予想通り平行線だった。野田首相は増税反対派に妥協せず、社会保障と税の一体改革を着実に進めるべきだ。
 首相が民主党の小沢一郎元代表と会談し、消費税率引き上げ関連法案の成立への協力を要請した。「社会保障と財政の状況を踏まえれば、一体改革は待ったなしだ」と迫った。
 小沢氏は、「増税前にやるべきことがある」と従来の姿勢を崩さず、法案に賛成できないと明言した。さらに、「行政改革による無駄の排除」「社会保障の理念の後退」「デフレ脱却が途上」の3点を主張したという。
 双方の主張を吟味すれば、明らかに大義は野田首相にある。
 消費税率引き上げは昨秋以降、党代表選や一体改革関連法案の了承などの党内手続きをきちんと経ている。少子高齢化に伴って社会保障費が増大する中、増税先送りは財政を一段と悪化させよう。
 小沢氏の「増税前にやるべきことがある」との主張は、改革先送りのための常套じょうとう句に過ぎない。行革やデフレ脱却の重要性は、党内論議で何度も確認されている。
 小沢氏は、「政権公約(マニフェスト)の原点を忘れるな」とも言う。だが、小沢氏が主導したマニフェストは、予算組み替えによる年16・8兆円の財源捻出など非現実的で、民主党政権に「負の遺産」を背負わせたのが実態だ。
 衆参ねじれ国会の下、野党の協力が不可欠な中で、あえて実現不可能な公約を持ち出すのは、「反対のための反対」である。
 首相と小沢氏の会談を仲介し、同席もした輿石幹事長は、「党内融和」を優先しており、再会談の可能性を否定していない。
 しかし、合意する見込みがないのに、何度も同様の会談を繰り返すことには意味があるまい。
 関連法案の成立には、自民、公明など野党との法案の修正協議が欠かせない。自民党は「小沢氏との決別」を協力の条件の一つに掲げている。再会談が与野党協議の妨げとなるのなら、いずれ会談打ち切りを決断する必要がある。
 野田首相は、関連法案採決時の党内からの造反について「党として対応する」と語り、処分を辞さない構えだ。一体改革に「政治生命を懸ける」と言明している以上、今国会での法案成立を最優先すべきで、安易な妥協は禁物だ。
 自民党が社会保障制度改革基本法案の骨子をまとめるなど、一体改革をめぐる与野党協議の機運は徐々に高まってきている。この機を逃してはならない。
(2012年5月31日01時36分  読売新聞)
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社説:元代表と平行線 首相、早く見切りを
 毎日新聞  2012年05月31日 02時31分
 もはや時間稼ぎなど許されない。消費増税法案をめぐり野田佳彦首相と民主党の小沢一郎元代表が会談した。首相の増税法案への協力要請を元代表は拒み、物別れに終わった。
 元代表は首相から再会談の要請があれば応じる考えを示したが、接点を見いだすことは難しい。首相は再会談について「もう一回反すうしながら考えたい」と述べ、歯切れが悪かった。成算なき党内融和に見切りをつけ、自民党との協議に専念すべき時だ。
 「乾坤一擲(けんこんいってき)、一期一会のつもりで説明したい」。首相はこんな大見えをきって、元代表との会談にのぞんだ。その言葉は重いはずだ。
 増税法案は民主党で長時間議論した末に了承された。にもかかわらず決定後も公然と反対論が出ることを首相は事実上、黙認してきた。党内融和重視の輿石東幹事長の路線を尊重したためだろう。
 役職を持たぬ元代表との会談をわざわざ輿石氏が仲介し大仰に行うこと自体、おかしな話だ。それでも元代表は党内で多くの議員に影響力を持ち、その動向は終盤国会を左右し得るのが現実だ。首相が会談に動いたことをいちがいに否定はしない。
 だが、行革の徹底や経済情勢など「そもそも論」を展開し「今は賛成できない」と説く元代表と、増税を「待ったなし」とする首相の隔たりはやはり明白だ。
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野田首相へ―自民との協調が優先だ
 朝日新聞  社説 2012年5月31日(木)付
 野田首相が民主党の小沢一郎元代表と約1時間半会談し、消費増税への協力を要請した。
 だが、小沢氏は「大増税の前にやるべきことがある」と、今国会での法案成立に反対する姿勢を明確にした。
 平行線だった会談結果をみるにつけても、首相には「一党員との会談」より優先すべきことがあるのは明らかだ。
 政権交代から2年9カ月。「動かない、決められない」惨状が続く政治を前に動かす。
 そのために、譲るべきは譲って、野党、とりわけ最大野党の自民党に、法案の修正合意を真摯(しんし)に働きかけることだ。
 「社会保障は世代間の公平を確保しなければならない。財政も厳しい。(消費増税は)待ったなし。ぜひご協力を」。会談で、首相が小沢氏に説いた危機意識は私たちも共有する。
 社会保障と税の一体改革という、国の将来像に直結するテーマである。「挙党一致」「党内融和」が可能なら、それに越したことはないと私たちも思う。
 これに対し、小沢氏は政権交代が実現した09年総選挙のマニフェストの柱を並べて反論した。「統治の仕組みを大改革し、ムダを徹底的に省いた財源を、新しい政策の財源にする。その約束が緒についていない」
 確かに、民主党のマニフェストは破綻(はたん)状態にある。
 だが、マニフェストが実行できていないからといって、増税にも、社会保障の改革にも手をつけてはならないといわんばかりの主張は暴論にすぎる。
 民主党政権がなぜ、政治を動かせないのか。一歩ずつでも、できることを積み上げていく。そんな着実な政治の営みが欠けていたのではなかったか。
 これまでの国会審議で印象深かったのは、10%への消費増税だけでなく、厚生・共済年金の一元化、年金の受給資格期間の短縮など、2大政党の主張に差のない政策が多いことだ。
 民主党では、法案を採決すれば小沢氏が党を割りかねない、と継続審議や会期の大幅延長による採決先送り論も出ている。だが、それでは「決められない政治」が続くだけだ。
 会期末まであと3週間。審議を尽くし、与野党で一定の合意ができた法案は粛々と採決して成立させる必要がある。
 合意できない政策は、有識者をまじえた「国民会議」で話し合う。そんな自民党の提案を首相は受け入れるべきだ。
 そうして政治を進めた結果、小沢氏が民主党とたもとを分かつというなら仕方がない。首相はもはや腹をくくるときだ。
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首相は自公との連携へ踏み出すときだ
 日本経済新聞  社説 2012/5/31付
 野田佳彦首相と民主党の小沢一郎元代表の会談が平行線に終わった。意見が異なる同士がよく話し合うのはよいことだが、堂々巡りを繰り返してもきりがない。野田首相は与党の分裂をおそれることなく、前に踏み出すときだ。
 消費増税を巡り、野田政権は民主党の党内議論を経たうえで関連法案を国会提出した。与党議員は一致団結して法案成立を目指すのが筋だ。小沢元代表も例外ではない。どうしても消費増税に反対ならば離党するしかあるまい。
 そもそも小沢元代表は1993年に出版した自著「日本改造計画」で当時3%だった消費税率を10%に引き上げるよう主張した。細川内閣では事実上の消費増税だった国民福祉税構想を推進した。
 この期に及んでの反対は政策論というよりも与党内での主導権を取り返すための政局論と受け止められても仕方ない。
 再会談に前向きな発言をしているが、本気で妥協の道を探る気があるのか。与党にとどまりつつ、政権の足を引っ張るのはやめてもらいたい。
 日本が「失われた20年」から抜け出すには社会保障と税の一体改革は避けて通れない。いま必要なのは消費増税の是非の蒸し返しではなく、よりよい改革に向けた現実的な話し合いだ。
 野田政権は参院では過半数を占めていない。小沢元代表を説得できたところで与党だけで法案成立は無理なのだから、消費増税を実現するには、税制の考え方が似通っている自民党や公明党の協力を得るしかない。
 与党の党内融和なのか、野党との連携なのか。ここまでの野田首相は腰が定まらないきらいがあった。小沢元代表との物別れは踏ん切りを付けるよい機会だ。自公両党との協議の場づくりに全力を挙げてほしい。
 自公両党にも次期衆院選をいかに有利に戦うかなど、はじきたい打算はたくさんあろう。だが、国民は「決められない政治」にはうんざりしている。底の浅い駆け引きをしていては政権奪回どころか、政権批判票を第三極にそっくり持っていかれるに違いない。
 「分かれたる家は立つことあたわず」。約150年前、リンカーン米大統領は奴隷制を巡る国論分裂をこう批判すると、内乱覚悟で制度廃止へと踏み出した。野田首相もいつまでもためらっている場合ではない。
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野田首相 公約撤回なぜ打ち出さぬ
 産経新聞  2012.5.31 03:13[主張]
 消費税増税をめぐる野田佳彦首相と小沢一郎元民主党代表との会談は、首相からの関連法案成立への協力要請を小沢氏が「大増税の前にやることがある」と拒み、物別れに終わった。
 大方の予想通りの展開だ。首相は「かなり率直な天下国家の議論ができた」などと意義も強調したが、危機感が足りないというしかない。
 よりよい社会保障と税の一体改革を実現するには、首相は自民党との法案修正協議の進展に全力を挙げるほかない。前提となるのは、民主党マニフェスト(政権公約)の抜本的な見直しだ。
 その点、会談で首相の姿勢は曖昧だった。政策転換を明確に打ち出して協議への道を切り開くしかないのに、「乾坤一擲(けんこんいってき)」の必死さはうかがえなかった。
 小沢氏は消費税増税に反対する理由として、行政改革や地方分権、社会保障制度改革への取り組みが不十分だと指摘した。デフレ脱却なども挙げたが、根本にはマニフェストが一向に実現しないことへの不満があるのだろう。
 だが、行政の仕組みを変えて無駄をなくし16・8兆円の財源を生み出すとの主張は、小沢氏が幹事長を務めた鳩山由紀夫政権の時点で破綻した。その後も、ばらまき政策を全面的に見直さなかったことが大混乱につながっている。
 小沢氏は年金制度改革や後期高齢者医療を挙げて「われわれのビジョンは忘れ去られようとしている」とも指摘した。最低保障年金の導入や後期高齢者医療の廃止を貫くべきだとの意味だろうが、莫大(ばくだい)な費用を要し、社会保障費の無原則な増大につながる。
 首相はマニフェストについて「これまで以上に取り組みを進める」と答えたが、これで与野党協議の環境が整うのか。小沢氏と折り合うなら、与野党協議は望めない。首相が再会談を明言しなかったのは当然だ。
 小沢氏は「消費税率引き上げ自体には反対でない」と語った。平成5年の著書「日本改造計画」で消費税10%を打ち出し、翌年に当時の細川護煕首相と7%の国民福祉税構想を進めた経緯もある。
 首相は小沢氏が現時点の増税に反対している点を「時間軸の違い」と述べた。最も重要な政策で大きな食い違いを与党内に残したままで、法案を成立させることなどできるのだろうか。
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軽減税率=新聞業界に対しては増税プロパガンダへの協力を求めるエサにもなる/勝栄二郎事務次官の・・ 2012-05-14 | メディア  
  ドクターZは知っている
 あなたは「常識のウソ」に騙されていませんか。公表されている数字が真実を語っているとは限らない。ドクターZが「数字のウソ」を暴く、「週刊現代」連載の話題コラム。
現代ビジネス2012年05月13日(日)ドクターZ「軽減税率」に騙されるな
 「小沢無罪」という結果は、野田政権にとって痛い話であるが、これでかえって谷垣自民へのすり寄りがやりやすくなった。民主党内の小沢グループが勢いづくのは確実だが、自民党が国会での小沢証人喚問要求などで政権を側面支援するという奇妙な協力関係もできつつある。
 実際、民主党と自民党は財務省の勝栄二郎事務次官の指導の下、増税・解散の2点セットに向けてじわじわと前進している。表向きはファイティングポーズを崩していないように見えるが、実は水面下で最悪のシナリオが進行しているようなのだ。ヴェールをめくってみよう。
 自民党は民主党マニフェストが総崩れになったと主張するために、最低保障年金の創設などの「社会保障政策」を断念させたい。そしてその尻馬に乗る形で財務省が狙っているのが、民主党内反増税グループによって消費税増税法案に盛り込まれた「増税の前提条件」の削除だ。
 なかでも財務省の最大のターゲットは「歳入庁設置」の阻止である。増税関連法案には「税と社会保障料を徴収する体制の構築について本格的な作業を進める」と書かれており、これを何としても削除したい。国税庁の「マルサ」を抱えていればこそ、政治家やマスコミを黙らせることができるとも言われているように、国税庁は財務省の「飛び道具」。これを歳入庁に改編させられて内閣に取り上げられてはたまらない。だが、この条文を削除するとさすがに目立つので、財務省は知恵を絞っている。ポイントは「軽減税率」だ。
 歳入庁は、税と社会保障料を一体として徴収するので、消費税増税法案が低所得者対策として定めている「簡素な給付措置」を行う上で役に立つ。それに対して、「軽減税率」を導入すれば低所得者対策になるから「簡素な給付措置」は不要になって、歳入庁を創るまでもないという議論が成り立つ。財務省はこれを自民党の修正案に盛り込み、民主党に丸呑みさせようとしているフシがある。
 軽減税率とは食料品などの特定物品に低い税率を導入し、低所得者対策をしようというもの。欧州などでは導入されているから議論も楽だ。また、ここが本音だが、何を軽減の対象にするかの線引きは難しく、それは業界を所管する官僚の裁量権を拡大することにつながる。これが官僚にとってはたまらないのだ。
 消費税はすべての物品・サービスにかかるから、軽減税率の導入は世の中のモノの数だけ「租税特別措置」をつくるようなものだ。当然ながら税率軽減と対象になる業界への天下りはセットだから、オール霞が関の賛同を得られるし、特定業界に影響力を行使したい政治家にとってもオイシイことこの上ない。
 さらに、新聞業界に対しては、増税プロパガンダへの協力を求める「エサ」にもなる。事実、130社以上が加盟する日本新聞協会は昨年7月、新聞への軽減税率適用を求める要望書を政府に提出している。
 国会審議が近づくにつれて、軽減税率の話題がメディアを賑わすようになってきた。だが欧州では、軽減税率で特定業界を利するのではなく「簡素な給付措置」で低所得者対策をするべきだという議論が多くなっていることを報じるメディアはない。
 デフレ下に無駄の削減もせずに消費税増税するのは愚の骨頂だが、その上さらに官僚利権を生む軽減税率を導入し、その結果として歳入庁創設を葬るなど、絶対に許してはならない。
「週刊現代」2012年5月19日号より
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【野田・小沢会談 増税の免罪符にするな】秀逸な中日新聞 社説2012-05-31 | メディア 
 〈来栖の独白 2012/5/31 Fri. 〉
 昨日の「野田・小沢」会談は、野田総理の魂胆(アリバイ作り)が透けて見えた。因みに、昨日、野田首相は「ご自分の責任に於いて」と、事実上の大飯原発再稼働を宣言した。
 このように、いずれも、総理は自らの思惑を進めるため、手順を踏むのである。
 昨夜のNHK「ニュース9」は、小沢氏が正論を大越キャスターに説き、圧巻であった。「消費税増税は、閣議で決まったこと」との大越氏の問いに対して小沢氏は「民主党のマニフェストは党のみんなが時間をかけて考えて一致して決めたこと。そして、それを国民の皆さんが諒としてくださり、政権交代させて戴いた。『マニフェスト実現のために、力を尽くしたのか』とのお気持ちが国民の皆さんにあると思う。約束は守りたい」と繰り返した。有益な番組だったと言える。小沢氏の論理に静かに耳を傾けた人が多かったのではないかと思う。「天童よしみ」などと揶揄されたが、小沢氏とは、理性的、スマートで心厚き政治家である。
 本日の中日新聞【社説】が、これまた小沢氏をよく理解し、秀逸である。このような論を展開していては、財務省に叩かれるのも覚悟しなくてはなるまい。
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【社説】  中日新聞 
 野田・小沢会談 増税の免罪符にするな 
2012年5月31日
 野田佳彦首相と小沢一郎民主党元代表との会談は、消費税増税をめぐり平行線に終わった。首相はこれを機に、増税に向かって突き進むつもりなのか。会談を増税の免罪符にされたら、かなわない。
 輿石東幹事長を交えた会談は約一時間半に及んだ。野田、小沢両氏がこれほどじっくり相対するのは、まれな機会ではないか。
 首相は、今の国会(延長がなければ会期は六月二十一日まで)での成立に「政治生命を懸ける」と言明した消費税増税について「財政状況や少子高齢化の問題を考えれば、待ったなしだ」と協力を要請した。
 これに対し、小沢氏は「国民に大きな税負担を求める前に政権としてやるべきことがある。消費税増税に今、賛成とはいかない」と行政・社会保障改革、デフレ対策を先行させるべきだと反論した。
 予想された展開だった。財政状況に対する危機感はわれわれも首相と共有するが、小沢氏の発言を正論と考えるのが妥当だろう。
 二〇〇九年衆院選で国民が民主党に政権を託したのは、中央集権から地域主権、官僚主導から政治主導へと行政の仕組みを変え、行政の無駄を徹底的になくして財源を捻出するというマニフェストを信頼したからにほかならない。
 にもかかわらず、行政改革は中途半端に終わり、マニフェストに一行もない消費税増税を民主党政権の手で強行したのでは、国民をだましたとの批判は免れない。
 首相は今後の対応について、記者団に「今回の会談を反すうしながら考えていきたい」と語った。
 小沢氏の指摘を受け、首相が消費税増税を一時棚上げし、行政の無駄排除に本気で取り組んだり、社会保障制度の抜本改革に乗り出すのなら、会談にも意義がある。
 しかし、協力を求めたが平行線に終わったことを免罪符に、消費税増税に向けた動きを加速させるのなら納得いかない。会談は単なるアリバイづくりでしかない。
 同じく消費税10%への増税を掲げてきた自民党の谷垣禎一総裁は首相に対し、小沢氏を切り捨てるのなら、増税法案に賛成する意向を重ねて示している。
 百人を超えるとみられる小沢氏支持グループが反対しても、自民党などの賛成で増税法案は成立するという誘い水だ。
 小沢氏を切って増税のために自民党と組むのか。政権交代の大義に従うのか。首相には大きな岐路だろうが、国民の負託の意味を熟考した決断をすべきである。
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蒙昧、醜悪なメジャー紙<社説>のなかで唯一の卓見 中日東京新聞【小沢元代表控訴 一審尊重の制度改正を】 2012-05-10 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 〈来栖の独白2012/5/10 Thu.〉
 《小沢一郎氏を指定弁護士が控訴》につきメジャー紙の社説を読んでみたところ、案に違わず、ひどいものであった。「市民感覚」「政治とカネ」「説明責任」といった、無理解、使い古されたワードが並ぶ。いずれも小沢一郎氏裁判とは無縁のワードである。これをさも大事なことのように大げさに力説するのだから笑止千万。とてもオピニオンリーダーとは呼び難い。かくして(メジャー紙・テレビにミスリードされ)、日本人は衆愚となった。
 その私の絶望を救ってくれたのが、「中日新聞」という一灯である(社説・中日春秋)。私は泣いた。昔は、例えば「野宿者」を「浮浪者」と記述したような新聞が、今日、こんなに真実を見通し、卓見を披露してくれる力強い新聞となった。
 木曽川長良川リンチ殺人事件、光市事件報道においても、他紙のほとんどが実名報道に転じたにもかかわらず中日新聞は少年法の理念をよく守り、匿名を貫いた。
 このような論陣を張り続けるなら、当局からの圧力が及ぶかもしれない。いや、既に手は伸びているかもしれない。
 祈るような気持ちで私は願う。国民世論に阿ず正しさに導いてくれる新聞が、命の一灯を灯し続けてくれることを。
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小沢元代表控訴 一審尊重の制度改正を
中日新聞
社説 2012年5月10日
 一審無罪の小沢一郎民主党元代表を検察官役の指定弁護士が控訴するのは疑問だ。そもそも検察が起訴を断念した事件だ。一審無罪なら、その判断を尊重するよう検察審査会制度の改正を求めたい。
 新しい検察審制度で、小沢元代表が強制起訴されたのは、市民が「白か黒かを法廷で決着させたい」という結果だった。政治資金規正法違反の罪に問われたものの、一審判決は「故意や共謀は認められない」と判断している。
 つまり、「白」という決着はすでについているわけだ。検察が起訴する場合でも、一審が無罪なら、基本的に控訴すべきではないという考え方が法曹界にある。国家権力が強大な捜査権限をフルに用いて、有罪を証明できないならば、それ以上の権力行使は抑制するべきだという思想からだ。
 とくに小沢元代表の場合は、特捜検察が一人の政治家を長期間にわたり追い回し、起訴できなかった異様な事件である。ゼネコンからの巨額な闇献金を疑ったためだが、不発に終わった。見立て捜査そのものに政治的意図があったと勘繰られてもやむを得ない。
 小沢元代表はこの三年間、政治活動が実質的に制約を受けている。首相の座の可能性もあったことを考えると、本人ばかりでなく、選挙で支持した有権者の期待も踏みにじられたのと同然だ。
 新制度は従来、検察だけが独占していた起訴権限を市民にも広げる意味があり、評価する。だが、新制度ゆえに未整備な部分もある。検察官役の指定弁護士に一任される控訴判断はその典型例だ。検察でさえ、控訴は高検や最高検の上級庁と協議する。
 指定弁護士の独断で、小沢元代表をいつまでも刑事被告人の扱いにしてよいのか。「看過できない事実誤認」を理由とするが、検察審に提出された検察の捜査報告書などは虚偽の事実が記載されたものだ。どんな具体的な材料で一審判決を覆そうというのか。
 むしろ、「白か黒か」を判定した一審判決を尊重し、それを歯止めとする明文規定を設けるべきだ。最高裁も二月に、控訴審は一審の事実認定によほどの不合理がない限り、一審を尊重すべきだとする判断を示している。むろん被告が一審有罪の場合は、控訴するのは当然の権利だ。
 検察による不起訴、強制起訴による裁判で無罪なのに、「黒」だと際限なく後追いを続ける制度には手直しが急務である。
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中日春秋 2012年5月10日
 メード・イン・ジャパンといえば、戦後しばらくは安かろう悪かろうの代名詞だった。血のにじむ努力を重ねた企業が、世界に信頼される商品を製造した結果、「高品質」を意味する言葉になった▼ただ、品質の高い製品を大量生産する技術を持っていたとしても、不良品が交じれば信頼は一気に崩れてしまう。国際競争に勝ち抜くこともできない▼不良品がすべてを台無しにするのは、製造業に限らない。証拠の中に紛れ込んだ粗悪品が影響したと考えられるのが、小沢一郎民主党元代表の政治資金規正法違反事件だった。虚偽の捜査報告書を提出し検察審査会を惑わせ、自らが断念した元代表の刑事訴追を実現しようとした-。検察組織に今、持ち上がっているのはこんな疑惑だ▼元代表の一審の無罪判決に対し、検察官役の指定弁護士はきのう、控訴に踏み切った。無罪になった被告への控訴が許されるのか。指定弁護士の一人は「朝まで悩んだ」と打ち明けた▼苦渋の決断だったと思うが、強制起訴の前提となる証拠に粗悪品が含まれていたことが明らかになった以上、控訴は断念すべきではなかったか▼一審判決は虚偽報告書問題について、検察当局で十分に調査、対応すべきだと異例の言及をした。裁判所は特捜検察の体質に問題があるとみている。末端の検事を懲戒処分にして、幕引きを図ることは許されない。
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中日・東京新聞はかつてなく充実している/「他紙が何を書こうが我々は我々の道を行く」腹をくくったようだ 2012-04-04 | メディア
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「重荷を分かち合う。怒りと責任追及に加え、2年目はそのことを読者の皆さんと考えたい」特報部 田原 牧 2012-03-16 | メディア
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財務省 東京新聞の記事「『チーム仙谷』再稼働主導」に抗議文 2012-05-16 | メディア
  東京新聞 「記事の内容には自信を持っており、訂正・謝罪に応じることはできません」 . . . 本文を読む
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国税局、消費税増税反対の最右翼「中日・東京新聞」を徹底調 2012-03-13 | メディア 
  これでは取材源の秘匿が危機にさらされる/ 目の敵にする表現の自由 . . . 本文を読む
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「民主党批判は逮捕/言論・思想の弾圧/沈黙するマスメディア」=今、この国(日本)で起きていること 2012-01-20 | メディア
  今、民主党本部前で日の丸を持って歩いていると捕まってしまいます。一体どこの国なんだろうと思いますが、ネット上では常識です。実際に捕まった人が動画を撮っていて、警官とのやり取りなどが全部保存されています。その人は普通の人です。民主党に抗議をするために国旗を持っていたというだけで捕まったんです。これはたいへんな弾圧であって、北朝鮮のことを笑えません。それなのに、マスコミは報道しない。こうした言語道断な、とても言論の自由、思想の自由があるとは思えないような危険な状況をマスコミが報道しないというのは、本当に深刻です . . . 本文を読む
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財務省による大新聞、テレビを巻き込んだ増税路線 露骨な世論工作/小沢氏「消費増税」改めて批判 2012-01-18 | メディア 
  メディアに対しても元経産省官僚の古賀茂明氏ら反増税派言論人の露出をやめさせるべく圧力をかけている。反増税派きっての論客、元財務官僚の高橋洋一・嘉悦大学教授も標的にされた一人だ。財務省内では「高橋はブラックリストの筆頭」(同省有力OB)とされ、高橋氏も、「最近、対談の企画や討論番組への出演依頼の後、『今回はご遠慮させていただきたい』とキャンセルされるケースが何度かあった」と語る。たとえテレビ出演が実現しても、重要な発言がカットされる現実に直面した . . . 本文を読む
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