蒙昧、醜悪なメジャー紙<社説>のなかで唯一の卓見 中日東京新聞【小沢元代表控訴 一審尊重の制度改正を】

2012-05-10 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

〈来栖の独白2012/5/10 Thu.〉
 《小沢一郎氏を指定弁護士が控訴》につきメジャー紙の社説を読んでみたところ、案に違わず、ひどいものであった。「市民感覚」「政治とカネ」「説明責任」といった、無理解、使い古されたワードが並ぶ。いずれも小沢一郎氏裁判とは無縁のワードである。これをさも大事なことのように大げさに力説するのだから笑止千万。とてもオピニオンリーダーとは呼び難い。かくして(メジャー紙・テレビにミスリードされ)、日本人は衆愚となった。
 その私の絶望を救ってくれたのが、「中日新聞」という一灯である(最下段 社説・中日春秋)。私は泣いた。昔は、例えば「野宿者」を「浮浪者」と記述したような新聞が、今日、こんなに真実を見通し、卓見を披露してくれる力強い新聞となった。
 木曽川長良川リンチ殺人事件、光市事件報道においても、他紙のほとんどが実名報道に転じたにもかかわらず中日新聞は少年法の理念をよく守り、匿名を貫いた。
 このような論陣を張り続けるなら、当局からの圧力が及ぶかもしれない。いや、既に手は伸びているかもしれない。
 祈るような気持ちで私は願う。国民世論に阿ず正しさに導いてくれる新聞が、命の一灯を灯し続けてくれることを。
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社説:元代表裁判控訴 市民感覚踏まえた判断
毎日新聞 2012年05月10日 02時30分
 東京高裁で改めて審理されることになった。民主党元代表の小沢一郎被告の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件だ。
 東京地裁は先月26日、元代表に無罪を言い渡した。指定弁護士はこれを不服として控訴し、会見で「看過しがたい事実誤認があり、指定弁護士の職責を果たすのは控訴することと判断した」と理由を述べた。市民からなる検察審査会は、法廷という公開の場で刑事責任を明らかにすることを望み強制起訴を決めた。その意思もくんだということだろう。
 地裁判決は、衆院議員、石川知裕被告ら元秘書3人による政治資金収支報告書の虚偽記載を認定した。元代表が自ら提供した4億円の簿外処理について報告を受け、了承していたことも認めた。ただし、元代表に違法な記載との認識がなかった可能性があるとして無罪の結論を導いた。指定弁護士の立証をかなり認めた内容であることは間違いない。
 それでも、検察が2度までも不起訴とし、無罪になった事件だ。虚偽の内容を記した捜査報告書の作成問題など検察の不手際も重なった。控訴審での新たな証拠提出も難しい。とすれば、「これ以上元代表を被告の立場におくべきではない」という意見も故なしとしない。
 ただし、裁判は3審制だ。判決内容を徹底分析し「修正可能」と3人一致で決断した以上、第三者が横やりを入れるべきではない。高裁で粛々と審理を進めてもらいたい。
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民主党の責任―「小沢案」で政治浄化を
社説 朝日新聞 2012年05月10日
 民主党が、無罪判決を受けた小沢一郎元代表の党員資格停止処分を10日付で解除する。
 いかにも、民主党らしい対応ではないか。やるべきことと、実際にやることが違うのだ。
 国会では、ようやく消費増税など重要法案の審議が始まる。いまは挙党一致が最優先だ、と輿石東幹事長はいう。
 そうだとしても、小沢氏は国会、国民への説明責任を果たしていない。なぜ、野田首相はそれを黙認するのか。
 小沢氏の裁判は控訴され、さらに続く。それでも処分を解く民主党の責任は、いっそう重くなったと言わざるをえない。
 法案審議とともに、なすべき仕事が民主党にはある。
 小沢氏自身と民主党が掲げてきた政治とカネの浄化に、具体的な成果を出すことだ。
 第一に、小沢氏の裁判で改めてわかった政治資金規正法の不備をただす。
 小沢氏は法廷で、収支報告書はすべて秘書任せで自分は見たことがないと言い切った。
 それで4億円もの巨額の資金を動かしていたという。こんな浮世離れした主張が、なぜ通るのか。それは規正法が政治家本人ではなく、会計責任者に一義的な責任を負わせるからだ。
 どう改革すべきか。処方箋(せん)はすでにある。公明党は、政治家が監督責任を怠れば公民権停止処分を科す改正案を国会に提出している。小沢氏も93年の著書「日本改造計画」で連座制の強化を訴えている。
 第二に、カネの流れを見えやすくするために、政治家の政治資金団体を一本化する。
 その重要性と効果を、小沢氏は著書でこう強調していた。
 「公私の区別のはっきりしないドンブリ勘定も、政策決定などに絡んだカネのやりとりもできなくなる」
 第三に、パーティー券の購入を含む企業・団体献金の全面禁止である。民主党が政権交代を果たした09年総選挙のマニフェストに掲げていた。
 これも小沢氏が言い出したことだ。総選挙前、ゼネコンからの違法献金事件で自分の公設秘書が逮捕された後に、みずから提案したではないか。
 民主党は当時、国会に法案も出した。しかし、与党になった途端に知らん顔である。
 自民党も、政治とカネの透明化には後ろ向きだ。それをいいことに、見て見ぬふりでやり過ごすなら、民主党も小沢氏も不誠実の極みだ。
 この際、政権党として「小沢案」での政治浄化を断行してみせてはくれないものか。
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波乱の中の小沢裁判第2幕
日本経済新聞 社説 2012/5/10付
 政治資金をめぐる小沢一郎民主党元代表の裁判は高裁に舞台を移し、第2幕が開くことになった。東京地裁が先月出した無罪判決に対し、検察官役の指定弁護士が「見過ごせない事実誤認がある」として東京高裁に控訴した。
 控訴審の推移を冷静に見守りたいが、裁判の長期化によって、国政がこれ以上混乱したり停滞したりすることは許されない。
 元代表の裁判は、検察審査会によって初めて政治家が強制起訴された事件である。もともと立証が難しいうえ、新たな証拠を得ることも容易ではない。指定弁護士はどのような形で犯罪を証明し、判決を覆そうとするのか。今後の強制起訴のあり方を考えるうえでも、裁判の行方が注目される。
 控訴で浮かんだ新たな課題もある。控訴審での指定弁護士の人選などについては明示規定がなく、一審と同じ3人の弁護士が引き続き担当する。「市民感覚」で起訴された被告が一審無罪の後も上級審で裁判を続ける負担も考慮し、今後、検証していく必要がある。
 元代表の政治資金をめぐるそもそもの疑問は、不要な不動産取引をなぜしたのか、資金の流れが不明朗なのはなぜなのか、にある。
 政治資金規正法に違反していなければ、道義的・政治的な責任がなくなるわけではない。裁判が続くかどうかにかかわらず、国会の場で説明責任を果たすべきだ。
 民主党執行部の対応もおかしい。小沢元代表が強制起訴された昨年、「無罪確定まで」という条件で党員資格停止処分にした。これは公党としての国民への約束というべきものだ。控訴期限までのわずかな期間をなぜ待たなかったのか。一審判決だけでの処分解除は公約違反で、党内外にかえってわだかまりを残したともいえる。
 裁判継続中の小沢元代表が処分解除をテコに復権を目指せば、党内はますます混乱する。消費税増税反対を絡めて反党的な動きを続けたとき、小沢元代表にどう対処するのか。野田佳彦首相は腹を固めてもいいだろう。
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【主張】小沢氏裁判 控訴を厳しく受け止めよ
産経新聞2012.5.10 04:05
 政治資金規正法違反罪で強制起訴され、1審東京地裁で無罪となった民主党元代表、小沢一郎被告について、検察官役の指定弁護士が東京高裁に控訴した。
 指定弁護士3人全員の一致した結論だった。「弁護士が有罪を求めて控訴してもいいのか」と逡巡(しゅんじゅん)しながら、なお、1審判決には「見過ごせない事実誤認がある」と踏み切った重い判断だ。小沢元代表も民主党も、控訴の事実を厳しく受け止めなくてはならない。
 1審判決は、元秘書らによる虚偽記載を認定し、元代表との間に「報告・了承」があったことも認めた。これだけでも小沢元代表の政治的・道義的責任は十分重い。2審では、元秘書との共謀、故意の有無が争点になる。
 控訴の可否を待たず、小沢元代表への党員資格停止処分の解除を8日に決めた民主党常任幹事会の一方的な判断の欺瞞(ぎまん)性は、控訴の事実でより鮮明になった。
 だが、輿石東幹事長は「控訴しようとしまいと変わるわけがない」と、処分解除は動かないことを強調した。小沢元代表の復権に一刻も早く道を開くため、「判決確定まで」と自ら決めた期限を無視した反省はないのか。
 党内には控訴判断前の駆け込み決定に異論もあった。決めたことを平気でほごにするいいかげんさが国民の政治に対する信頼を損なっている。輿石氏は「国民の理解は得られる」と、再協議の必要はないとの趣旨の発言もした。国民の常識と乖離(かいり)している。
 資格停止解除の文書には「仮に裁判が継続することになった場合でも判決確定までは1審判決を尊重する」とあった。ならば、控訴中の石川知裕衆院議員ら元秘書3人の1審有罪判決も重視し、小沢元代表の監督責任を厳しく問うべきだろう。
 あくまで民主党が小沢元代表の1審無罪を尊重するというのであれば、刑事被告人だから国会招致は避けたいという逃げ口上も許されない。
 野党側の証人喚問要求などについて、野田佳彦首相が「説明責任の果たし方は政治家自ら判断すべきもの」と明確な判断を避け続けているのは、政府・与党の責任者がとる姿勢ではない。
 首相自ら証人喚問の実現に努めて自浄能力を発揮しなくては、民主党への信は取り戻せない。
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小沢元代表控訴 一審尊重の制度改正を
中日新聞
  社説 2012年5月10日
 一審無罪の小沢一郎民主党元代表を検察官役の指定弁護士が控訴するのは疑問だ。そもそも検察が起訴を断念した事件だ。一審無罪なら、その判断を尊重するよう検察審査会制度の改正を求めたい。
 新しい検察審制度で、小沢元代表が強制起訴されたのは、市民が「白か黒かを法廷で決着させたい」という結果だった。政治資金規正法違反の罪に問われたものの、一審判決は「故意や共謀は認められない」と判断している。
 つまり、「白」という決着はすでについているわけだ。検察が起訴する場合でも、一審が無罪なら、基本的に控訴すべきではないという考え方が法曹界にある。国家権力が強大な捜査権限をフルに用いて、有罪を証明できないならば、それ以上の権力行使は抑制するべきだという思想からだ。
 とくに小沢元代表の場合は、特捜検察が一人の政治家を長期間にわたり追い回し、起訴できなかった異様な事件である。ゼネコンからの巨額な闇献金を疑ったためだが、不発に終わった。見立て捜査そのものに政治的意図があったと勘繰られてもやむを得ない。
 小沢元代表はこの三年間、政治活動が実質的に制約を受けている。首相の座の可能性もあったことを考えると、本人ばかりでなく、選挙で支持した有権者の期待も踏みにじられたのと同然だ。
 新制度は従来、検察だけが独占していた起訴権限を市民にも広げる意味があり、評価する。だが、新制度ゆえに未整備な部分もある。検察官役の指定弁護士に一任される控訴判断はその典型例だ。検察でさえ、控訴は高検や最高検の上級庁と協議する。
 指定弁護士の独断で、小沢元代表をいつまでも刑事被告人の扱いにしてよいのか。「看過できない事実誤認」を理由とするが、検察審に提出された検察の捜査報告書などは虚偽の事実が記載されたものだ。どんな具体的な材料で一審判決を覆そうというのか。
 むしろ、「白か黒か」を判定した一審判決を尊重し、それを歯止めとする明文規定を設けるべきだ。最高裁も二月に、控訴審は一審の事実認定によほどの不合理がない限り、一審を尊重すべきだとする判断を示している。むろん被告が一審有罪の場合は、控訴するのは当然の権利だ。
 検察による不起訴、強制起訴による裁判で無罪なのに、「黒」だと際限なく後追いを続ける制度には手直しが急務である。
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中日春秋 2012年5月10日
 メード・イン・ジャパンといえば、戦後しばらくは安かろう悪かろうの代名詞だった。血のにじむ努力を重ねた企業が、世界に信頼される商品を製造した結果、「高品質」を意味する言葉になった▼ただ、品質の高い製品を大量生産する技術を持っていたとしても、不良品が交じれば信頼は一気に崩れてしまう。国際競争に勝ち抜くこともできない▼不良品がすべてを台無しにするのは、製造業に限らない。証拠の中に紛れ込んだ粗悪品が影響したと考えられるのが、小沢一郎民主党元代表の政治資金規正法違反事件だった。虚偽の捜査報告書を提出し検察審査会を惑わせ、自らが断念した元代表の刑事訴追を実現しようとした-。検察組織に今、持ち上がっているのはこんな疑惑だ▼元代表の一審の無罪判決に対し、検察官役の指定弁護士はきのう、控訴に踏み切った。無罪になった被告への控訴が許されるのか。指定弁護士の一人は「朝まで悩んだ」と打ち明けた▼苦渋の決断だったと思うが、強制起訴の前提となる証拠に粗悪品が含まれていたことが明らかになった以上、控訴は断念すべきではなかったか▼一審判決は虚偽報告書問題について、検察当局で十分に調査、対応すべきだと異例の言及をした。裁判所は特捜検察の体質に問題があるとみている。末端の検事を懲戒処分にして、幕引きを図ることは許されない。
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光市事件 差し戻し上告審 元少年の死刑確定へ/毎日新聞・中日新聞は、これまで通り匿名で報道します。2012-02-20 | 光市母子殺害事件
木曽川・長良川リンチ殺人事件「少年法が求める配慮の必要性から、中日新聞は3被告を匿名で報道します」2011-03-11 | 死刑/重刑/生命犯 問題 
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国税局、消費税増税反対の最右翼「中日・東京新聞」を徹底調査 2012-03-13 | メディア 
 国税が東京新聞を徹底調査する「理由」
 現代ビジネス「永田町ディープスロート」2012年03月13日(火)
 通常国会で消費税増税についての論戦が本格化するなか、永田町と目と鼻の先にある日比谷公園前のビルでは、まったく別の緊張感高まる事態が起きていた。
「昨年夏から半年近くもの長きにわたって、中日新聞グループに名古屋国税局と東京国税局を中心とした大規模な税務調査が入っています。そうした中で東京新聞(中日新聞東京本社)が税務調査に入っている国税官から資料分析のために一部屋要求されたため、一部の社員の間では、東京での〝本格調査〟が行われるのではと緊張が走ったようです」(同社関係者)
 複数の同社関係者によると、今回の国税当局の徹底調査ぶりは異常で、同社記者らが取材相手との「打ち合わせ」や「取材懇談」に使った飲食費を経費処理した領収書を大量に漁り、社員同士で飲み食いしていた事例がないかなどをしらみつぶしに調べているという。
「実際に取材相手と飲食したのかどうか飲食店まで確認が及び、名古屋ではすでに社員同士で飲み食いしていた事例が見つかったようだ。一方で『これでは取材源の秘匿が危機にさらされる』と一部では問題視されてもいる」(同前)
 ここ数年、大手紙のほか、民放各局、出版社などが相次いで国税の税務調査を受けていることから、「たんに順番が回ってきただけ」と意に介さない向きもあるが、
「中日新聞グループは、野田政権がおし進める消費税増税に対して反対の論陣をはる最右翼。今回の徹底調査の裏には、国税=財務省側の『牽制球』『嫌がらせ』の意図が透けて見える」
 との見方も出ている。
 事実、中日・東京新聞は「野田改造内閣が発足 増税前にやるべきこと」(1月14日)、「出先機関改革 実現なくして増税なし」(1月30日)などの見出しで社説を展開、「予算が足りず、消費税率を引き上げると言われても、死力を尽くした後でなければ、納得がいかない」などと強く主張し、新規の読者も増やしてきた。それが今回の国税側の〝徹底攻撃〟で、筆を曲げることにならないといいのだが。
『週刊現代』2012年3月17日号より
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