つかこうへい氏「慰安婦 こういう難しい問題は、自分の娘に語るような優しい口調で説いていかなければ」

2013-06-25 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

【視線】慰安婦、つかこうへい氏の見方「歴史は優しい穏やかな目で」 阿比留瑠比
産経新聞2013.6.24 12:43
 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長の唐突な問題提起をきっかけに、慰安婦問題をめぐり国内外で刺々(とげとげ)しい言葉が飛び交い、ぎすぎすとした対立が目立っている。
 もとより、降りかかる火の粉は払わなければならない。「強制連行の証拠はない」「慰安婦は性奴隷ではない」など正当な主張は、百万回でも繰り返すべきである。
 とはいえ、正しいことをただ生硬に訴え続けるだけでは、初めから旧日本軍に悪いイメージを抱き、しかも熱くなっている相手を説得するのは難しいだろう。
 こじれにこじれたこの問題を、どこから解きほぐせばいいのか。そんなことを思うにつけ、16年前の平成9年にインタビューした直木賞作家で在日韓国人2世でもあった故つかこうへい氏の言葉を思い出す。
 当時も慰安婦問題が日韓間で政治問題化していた。そんな中でつか氏は『娘に語る祖国 満州駅伝-従軍慰安婦編』という著書を書くため、元日本軍兵士や慰安所関係者らへの取材を重ねたという。
 「僕は『従軍』という言葉から、鎖につながれたり殴られたり蹴られたりして犯される奴隷的な存在と思っていたけど、実態は違った。将校に恋をしてお金を貢いだり、休日に一緒に映画や喫茶店に行ったりという人間的な付き合いもあった。不勉強だったが、僕はマスコミで独り歩きしているイメージに洗脳されていた」
 つか氏はこう語った。作家の偏見を排した冷徹な目で少し調べると、マスコミ報道とは異なる実態が見えてきたというのである。また、つか氏は自らの当初の「思惑」も「知識不足」も隠そうとしなかった。
 「悲惨さを調べようと思っていたら、思惑が外れてバツが悪かったが、慰安婦と日本兵の恋はもちろん、心中もあった。僕は『従軍慰安婦』という言葉が戦後に作られたことや、慰安婦の主流が日本人だったことも知らなかった」
 現代史家の秦郁彦氏の研究によると、慰安婦の4割は日本人であり、朝鮮半島出身者はその約半数だった。この事実についても、ほとんどのマスコミや左派系の政治家らは気付かないか無視している。
 筆者は12年10月に当時、元慰安婦に一時金(償い金)を支給するアジア女性基金の理事長だった村山富市元首相にインタビューし、こう問いかけたことがある。
 「慰安婦の多くが日本人だったことはどう考えるのか。今後は、日本人も一時金の支給対象とするつもりはあるのか」
 すると、村山氏は「うっ」と言葉に詰まったきり、何も答えられなかった。同席した基金理事が、慌てた様子で「今の質問はなかったことに」と取り繕っていた。
 話を戻すと、つか氏は「営業行為の側面が大きくても、人間の尊厳の問題なのだから、元慰安婦には何らかの誠意を見せ続けるべきだ」とも語ったが、歴史の見方はあくまで公正で透徹していた。
 「常識的に考えて、いくら戦中でも、慰安婦を殴ったり蹴ったりしながら引き連れていくようなやり方では、軍隊は機能しない。大東亜共栄圏を作ろうとしていたのだから、業者と通じてはいても、自分で住民から一番嫌われる行為であるあこぎな強制連行はしていないと思う。マスコミの多くは強制連行にしたがっているようだけど」
 そして最後につか氏が述べた次の言葉を、筆者は今こそかみしめたいと思う。
 「人間の業(ごう)というか、こういう難しい問題は、自分の娘に語るような優しい口調で一つひとつ説いていかなければ伝えられない。人は、人を恨むために生まれてきたのではない。歴史は優しい穏やかな目で見るべきではないか」
 つか氏のような視座が、もっと世界に広がることを願う。(政治部編集委員)
 *上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
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「橋下発言の核心は誤っていない」慰安婦は連行せず広告で募集/朝鮮戦争でも韓国軍慰安所 秦郁彦 2013-05-23 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉 
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4 コメント

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Unknown (rice_shower)
2013-06-27 08:53:34
故つかこうへい氏の『娘に語る祖国』は名著です。
会社帰りの電車の中で読み進むうち、涙が止まらなくなり往生したのを記憶してます。

全然関係無いのですが、以前新宿のニューハーフパブへ行った時、女の子(?)から「日本で働いているNHには韓国からの出稼ぎが多い。 本国ではひどく差別されるが、日本人は優しく受け入れてくれるから」と話してくれ(その子自身韓国人でした。 超美人!)、ちょっと誇らしい気持ちになったことを思い出しました。
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Unknown (ゆうこ)
2013-06-28 18:12:17
rice_showerさん
 良いお話をありがとう。『娘に語る祖国』、読みたくなり、セブンイレブンへ入荷リクエストしました。
 話は別ですが、辛坊治郎さん、徹底的に叩かれているようですね。ここまで糾弾しないと気が済みませんかね。戦争から生きて還った兵隊さんの生き苦しさ、「死に損ない」と呟いた肩身の狭さを、ふと思いました。
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Unknown (rice_shower)
2013-06-29 11:18:16
辛坊さんのこと。
この類の冒険はお金と時間に余裕の有る人しかできないことなので、これをやりたくても出来ないお金と時間に余裕の無い人達がそもそも嫉妬していて、それが失敗に終わったものだから、「ざまあ見やがれ」的に溜飲を下げている、程度の次元の低い話だと思いますよ。 ホリエモンが潰されたのと同じ卑しい心根。
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Unknown (ゆうこ)
2013-06-29 12:26:16
rice_showerさん
 ありがとう。
>ホリエモンが潰されたのと同じ卑しい
 先日、ブログの内容が批判を浴びた岩手県議小泉光男さんが自裁しました。ネットとは素晴らしい反面、怖いツールだな、と痛感します。もうずっと前からですが、「橋下さん、よく発狂しないな」と、脆弱な私などは思ってきました。
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