陸山会事件(石川知裕被告ら)公判日程/検察側・弁護側 冒頭陳述要旨

2011-02-07 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
【陸山会事件】今後の公判の日程と争点 小沢被告の公判にも影響
産経ニュース2011.2.7 10:09
 小沢一郎民主党元代表(68)の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反罪に問われた衆院議員、石川知裕被告(37)ら元秘書3人の公判は計17回の期日を経て7月に結審し、判決は秋ごろに言い渡される公算が大きい。8日からは証人尋問が始まり、審理が本格化。中堅ゼネコン「水谷建設」の関係者の出廷は4月ごろとみられている。
 公判での最大の争点は石川被告の供述調書の任意性と信用性。小沢被告に虚偽記載を報告し了承を得たとする調書は、小沢被告の強制起訴の支えとなっており、今秋にも始まる小沢被告本人の公判にも影響を与える可能性が高い。
 審理は月2~4回のペースで集中的に開かれ、6月20日に論告求刑、7月20日に最終弁論が行われ、結審する予定だ。
 8日の第2回公判から証人尋問が行われ、まずは銀行関係者2人が出廷。平成16年に陸山会が土地を購入した際の石川被告とのやり取りや、小沢被告の個人資産の出納について証言するとみられる。
 その後は元公設第1秘書の大久保隆規被告(49)、石川被告、元私設秘書の池田光智被告(33)の順番で被告人質問が予定されている。公判での証言と、捜査段階の供述調書のどちらが信用性があるかが争われるため、検察側、弁護側ともに被告人質問を最重視し、3月末までかかる見通しだ。
 水谷建設からの裏献金疑惑をめぐる証拠調べが始まるのは、被告人質問が終わった4月ごろから。裏献金について一転、あいまいな説明をしている水谷建設の元会長(65)や16年に石川被告に裏献金を手渡したと供述した元社長(53)ら計6人が法廷で証言し、激しい応酬が予想される。
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小沢氏元秘書初公判・検察側の冒頭陳述要旨
 【土地購入】
 大久保隆規元秘書と私設秘書だった石川知裕衆院議員は小沢一郎元代表の指示を仰ぎ、2004年9月ごろ陸山会で、元代表から4億円を借り、これを原資に元代表の自宅近くの土地を3億4264万円で購入することにした。大久保元秘書と石川議員は10月5日、不動産業者と土地の売買契約を結び、4億円の中から手付金、仲介手数料の一部計1508万円を支払ったが、残り3億8492万円を陸山会の1口座に一括入金すると目立つため、石川議員が5銀行6支店の陸山会の6口座にあえて12回にわたって現金で分散入金した。
 その後、元代表への返済を石川議員から引き継いだ池田光智元秘書は07年5月1日、陸山会の口座残高を約4億4338万円にした上で同2日に4億円を出金し、元代表に一括して返済した。
 4億円の由来は、大久保元秘書らが具体的に説明せず、4億円を貸し付けた元代表も結局、合理的な説明をしていないように、公にできないものだった。陸山会が土地を購入した時期は、元代表の選挙地盤内の胆沢ダム工事の開札時期と同じ。建設業者のうちの1社である水谷建設は小沢事務所から下請け受注を了承した謝礼に大久保元秘書から1億円を要求され、04年10月15日と05年4月19日に5千万円ずつ宅配便用の茶色封筒に入れて渡した。1回目は石川議員が受領、04年10月18日に4億円の一部として入金した。
 元代表の4億円で土地を購入したことを政治資金収支報告書で明らかにすれば、報道機関が関心を持つことは必至。取材を受けても4億円の由来を明快に説明できず、ダム工事との関連に着目され、4億円の原資がダム工事受注に関して建設業者から受け取った違法献金ではないかと詮索、追及され、ついには水谷建設からの資金受領など小沢事務所の収入実態が露見する恐れがあり、大久保元秘書と石川議員は4億円借り入れを報告書に記載しないことで、そのような事態に陥ることを回避しようと企てた。
 石川議員は、土地購入は不動産登記簿で明らかになるため、いずれは報告書に記載せざるを得ないが、所有権移転と代金支払いの時期は05年に繰り延べてダム工事との関連が取りざたされないようにしようと考え、04年10月中旬から下旬ごろ、大久保元秘書に「登記をずらして土地取得を来年に回した方がいいんじゃないですか」などと提案。同様に考えていた大久保元秘書も「じゃあ、そうしよう」などと言って了承した。
 大久保元秘書は仲介業者に対し、残金は10月29日に支払うが、所有権移転登記は05年1月にしたいと申し入れた。大久保元秘書から指示を受けた石川議員は04年10月28日、陸山会と不動産会社との間で29日は仮登記し、05年1月7日に本登記する内容の合意書を作成、実際に繰り延べた。
 石川議員は元代表からの4億円の借り入れは公にできないと考え、代金が04年10月に支払われたことが判明した場合に備え、陸山会の慣行を参考に、元代表の関連政治団体の資金を集めて組んだ定期預金を担保に銀行から借りることにした。
 また、報道機関が銀行関係者を取材すれば、土地購入代金が銀行からの借り入れ前の10月29日午前に支払い済みだと露見し、資金の由来を追及される恐れがあると考え、報告書に銀行名を記載しないで済むように元代表に借り入れてもらい、陸山会に転貸してもらうことにした。大久保元秘書も同じ考えで「そうしておいた方がいい」などと言って了承した。
 【04年分の報告書】
 05年3月ごろ、石川議員は陸山会の04年分報告書作成の際、大久保元秘書との共謀に基づき4億円の借り入れや土地購入費用などの支払いを記載せず、関連団体からの資金移動も、寄付が急である不自然さから土地購入原資の偽装工作と看破される恐れがあると考えて記載せず、原案を作成。大久保元秘書に「小沢先生からお借りした4億円と土地購入の件は外しています」と報告、了承を得て報告書を提出した。
 石川議員は池田元秘書に「登記は05年1月7日にしたので、それに合わせて代金の支払いも1月7日にして05年の支出として報告書に計上しておいてくれ」と依頼、池田元秘書も了承した。
 【05年分の報告書】
 06年3月ごろ、池田元秘書は05年分報告書を作成する際、土地購入費用を05年に支払ったと虚偽記入すると支出が約3億円過大になり、「つじつまが合わないんですけど、どうしたらいいですか」と石川議員に相談。「ほかの団体から資金移動したようにして寄付を記載しておけばいいんじゃないか」などと助言され、受けていない寄付を記載して原案を作成、大久保元秘書の了承を得た。
 【07年分の報告書】
 08年3月ごろ、池田元秘書は07年分報告書作成の際、元代表への4億円の一括返済や関連団体からの寄付を記載せず、受けていない寄付を記載して収支のつじつまを合わせ、原案を作成、大久保元秘書の了承を得た。〔共同〕

陸山会事件:初公判 「裏金主張は空中楼閣」 弁護側が検察批判
 小沢一郎・民主党元代表(68)の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元私設秘書の衆院議員、石川知裕被告(37)ら元秘書3人の初公判は7日午後も東京地裁(登石(といし)郁朗裁判長)で続き、弁護側は、ゼネコンからの裏金授受があったとする検察側主張を「具体的証拠が全くない空中楼閣だ」と批判した。
 陸山会の政治資金収支報告書に記載されなかった資金は計21億円余。弁護側は違法性を否定するが、検察側は初公判で、この資金移動は、土地購入の原資となった小沢元代表の手持ち資金4億円を隠すための偽装工作だとの構図を描いた。
 ゼネコンからの裏金授受が立証されれば、虚偽記載の動機は明確になる。このため検察側は冒頭陳述で、水谷建設元幹部が調べに対し「04年10月15日に石川議員に現金5000万円を手渡した」と証言した点を強調。元幹部が元公設第1秘書、大久保隆規被告(49)を料亭で接待したり、「お中元」「お歳暮」と称して現金100万円を渡し小沢事務所と親密な関係を築いたなどと具体的に述べた。
 同社が一部工事を下請け受注した小沢元代表の地元・岩手県の胆沢ダム本体工事の入札は10月7日。18日には陸山会の銀行口座に5000万円の入金があった。3億円を超える土地購入費が支払われたのは同29日だった。こうした事実と元幹部の証言を結びつけ、検察側は「4億円の出所を詮索されて5000万円授受が発覚することを恐れた」との論理を組み立てた。
 一方で、元秘書らは裏金を受領したとして起訴されているわけではない。検察側は冒頭陳述でも4億円に裏金5000万円が含まれるかどうかは明言を避けた。弁護側は「4億円が裏金的な資金だったという具体的な証拠はない」と反論。「起訴されていない余罪を処罰する趣旨で審理が行われようとしている」と強く反発した。
 公判では予定される証人12人のうち少なくとも6人を水谷建設関係者が占めており、裏金の存否が事実上最大の争点となる。
 また、検察側は4億円の原資について、小沢元代表が特捜部に説明した供述調書3通も読み上げた。元代表は「89~02年に自分と家族の口座から引き出し、事務所に残っていた4億数千万円が原資。いつ、どこで出金したかはっきり覚えていないが、自己資金なのは間違いない」と説明していた。【伊藤直孝】
 ◇「誘導」「自供?」の記録再現--聴取録音、ICレコーダー
 午後の法廷では、石川議員が昨年5月に受けた任意の再聴取の様子を録音したICレコーダーの記録の一部が読み上げられた。検事が自白供述を維持するよう石川議員を「誘導」する様子が再現された一方、石川議員が虚偽記載を認めたとも受け取れる発言をしたことが紹介された。
 「ベストなのは『今までの供述は事実です。小沢先生の認識は分かりません』だよ」「小沢先生が組織ぐるみで口裏合わせしているとかっていう印象は絶対良くない。小沢さんの影響を受けて話していることは一切ないということを示すしかないよね」
 検事は、小沢元代表が強制起訴されないためと説明し、石川議員に自白供述を維持するよう求めていた。
 一方、検察側も5時間に及ぶ録音のうち読み上げてほしい部分を地裁に請求。石川議員が検事に「無罪になるわけじゃない。百も承知」「不動産登記の時期をずらすことが出発点。そのためにどのような(記載の)操作をするのかというのが2番目」などと説明したことが明かされた。【伊藤直孝】
 ◇融資不記載なのに返済は記載 被告主張に矛盾
 初公判では元秘書の衆院議員、石川知裕被告(37)らの主張に大きな矛盾も浮かんだ。
 陸山会が04年10月に土地を購入した際、小沢一郎・民主党元代表は原資として4億円を提供したほか、銀行から同額の融資を受け、これを陸山会が借り入れた。この計8億円のうち04年分政治資金収支報告書に記載されたのは「借入金 小澤一郎 4億円」のみ。これは銀行からの融資分とされ、元代表の提供分を隠したとして石川議員らは起訴されたが、石川議員の弁護側は「記載した4億円は融資分ではなく元代表の提供分で、虚偽記載ではない」と主張した。
 だが、05、06年分収支報告書には2億円ずつ融資分の返済が記されている。融資を記載しないのに返済だけ記載するという矛盾が生じる。しかも、石川議員が「記載した」とする提供分は07年5月、元私設秘書の池田光智被告(33)により元代表に返還されているが、これも未記載で起訴対象。池田元秘書の弁護側は「提供分の4億円は元代表の個人資産で陸山会口座で一時預かっただけ。返還は陸山会の支出ではなく記載は不必要」と、提供時と返還時で全く食い違う主張をしている。
 また、融資の際、陸山会は元代表の関連政治団体から計1億4500万円を集めて定期預金を組み融資の担保としたが、この1億4500万円も収支報告書に記載せず、起訴対象となっている。石川議員の弁護側は「関連団体間の一時的な資金のやりくりで、上着の左ポケットから右ポケットに移し替えた程度の意識」と違法性を否定。しかし、政治資金を所管する総務省は「同一政治家の団体であっても資金移動は正確に書かなければならない」と指摘している。【杉本修作】毎日新聞 2011年2月8日 東京朝刊

陸山会事件:石川知裕衆院議員の弁護側の冒頭陳述要旨
 石川知裕衆院議員の弁護側の冒頭陳述要旨は次の通り。
 《4億円の不記載》
 04年分政治資金収支報告書には収入と記載しなかったが、借入金として「10月29日、4億円、小澤一郎」と記載し、不記載の事実は存在しない。
 04年9月、小沢元代表の秘書たちの寮を建設する候補用地が見つかり、関連政治団体の資金を集めれば土地は買い取れるものの運転資金が枯渇する見込みだったため、結果的に元代表の手持ち資金を陸山会に貸し付けた。元代表から交付された4億円を複数の口座に分散入金したのは、大金を持ち込み銀行員からマネーロンダリングなどの観点で質問を受けることを避けるため。また、1人で持ち運べる札束が5000万円程度だったため。元代表から「個人資産だから間違いなく返済するように」と念押しされ、4億円を他の資金と混同しないよう、同額を銀行の定期預金の形で固定化し、融資の返済完了時に預金を取り崩す方法を着想した。
 10月29日の土地代金決済日には、土地の資金と定期預金用に合計7億数千万円を用意する必要があり、関連政治団体の資金を振り替えるなど集中させた。同日午前、土地代金が不動産業者の口座に振り込まれ、その後、陸山会名義の定期預金4億円が設定され、これを担保とした形式で借り入れた同額が元代表の口座から陸山会の口座に振り替えられた。
《寄付不記載》
 民主党岩手県第4区総支部と小沢一郎政経研究会からの計1億4500万円を報告書に記載しなかったが、これは寄付と評価されるべきものでなく、単なる一時的な仮払い仮受けにすぎないため。7億円以上の資金を集中させた際の資金移動の一部で、5団体の預金通帳、印鑑を管理していた石川議員にすれば、上着の左ポケットから右ポケットに移しかえた程度の意識だった。各団体の口座に一部払い戻しがないのは、衆院選出馬や事務の引き継ぎ作業などで多忙だったため。
 《土地取得代支出の不記載》
 04年分報告書が発表される05年9月ごろは、民主党代表選で元代表が立候補する可能性が高いと予想し、マスコミが高額な土地取得で騒ぐ恐れがあると危惧した。仮登記だけして本登記を先延ばしにする方法を司法書士に教えられ、報告書への支出の記載もその時でよいと判断した。
 《隠蔽意思の有無》
 4億円はゼネコンなどからの裏金的存在と検察官は主張するが、具体的な証拠は全くない。5000万円を交付したという水谷建設社長の調書も信用性がない。仮登記でも一般の閲覧に供され、登記の先延ばし期間はわずか3カ月。報告書の借入先に「小澤一郎」と記載したこと自体、隠蔽(いんぺい)目的がなかったことを物語る。
 《大久保元秘書との共謀》
 大久保隆規元秘書は形式的な会計責任者。経理事務一般は石川議員が行っていた。元代表から陸山会への4億円貸し付けなどの事実関係を大久保元秘書は知らなかったはずで、石川議員からも報告をしていない。
《調書の真実性》
 取り調べ担当検察官から「特捜部は何でもできる。恐ろしい組織で大変なことになってしまう」と言われて恐怖感を抱き、否認を続けていた収入の一部の不記載について故意を認める調書に署名してしまった。
 取り調べは連日深夜に及び、検察側が独自に創作したストーリーに沿うよう執拗(しつよう)に迫った。自供しなければ別件で立件する可能性があるとどう喝された。また、幼児を抱える女性秘書が午後11時まで長時間の取り調べを受け、保育園への電話もかけさせてもらえなかった状況を弁護士から聞き、恐怖感、絶望感から調書に署名した。
 保釈後の取り調べでも、検察官は勾留中の調書の記載内容を維持しなければ元代表の検察審査会での判断に悪影響が出るなどと不相当な利益誘導をした。 (毎日新聞2011年2月7日20時20分)
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