新聞を読む習慣が認知症予防に
島田裕之(国立長寿医療研究センター)
2020.4.21 Tue 中日新聞
新聞や本を習慣的に読むことが、認知症になる一歩手前の「軽度認知障害(MCI)」の状態を脱するために有効という報告が、多数ある。読む習慣が頭を活性化し、認知症になりにくくする。逆に今まで、新聞を毎日読んでいた人が読まなくなると危ないということでもある。
ただ、一人で新聞を読むだけでなく、得た知識や感想を発表する機会があるのが望ましい。例えば、毎日行く喫茶店で(中略)話題を提供するには、新聞で読んだことを順序だてて、論理的に説明しなければいけないし、場合によっては関連する記事なども読み、十分に理解を深めないといけない。
(略)
新聞を読むことと同時にコグニサイズを勧めたい。私が2010年から提唱するコグニサイズでは、ステップを踏みながら計算などをする。上手にできるようになったと感じたら、次はしりとりに変えたり、ステップをウオーキングにしたりと工夫してほしい。同じプログラムに慣れると脳を使わなくなるため、新しいものに変えるのがポイント。間違えて、仲間と笑い合って取り組めるくらいがちょうどいいだろう。
コグニサイズを続けていると、脳が委縮する度合いを弱め、記憶力向上などの効果が期待できる。有酸素運動や筋トレなどを組み合わせて取り組むことも必要だ。(以下略)
しまだ・ひろゆき
1971年、埼玉県生まれ。2003年、北里大大学院博士課程修了。東京都老人総合研究所などを経て、10年から国立長寿医療研究センターに所属。専門は老年学、リハビリテーション医学と老年学。
◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
「コグニサイズ」
「体を動かしながら、しりとりや計算など、頭を使う活動を同時に行う運動方法。頭と体を同時に刺激する。コグニサイズは、認知を表す英語「cognition」と運動の「exercise」をかけ合わせた造語。