麻原彰晃元死刑囚神格化、遺骨奪い合い警戒 ヨガ、占い、SNS…勧誘入口 正体隠し、若者狙う 2018/7/8

2018-07-08 | オウム真理教事件

産経ニュース 2018.7.8 05:00更新
【オウム死刑執行】麻原元死刑囚神格化、遺骨奪い合い警戒 ヨガ、占い、SNS…勧誘入口 正体隠し、若者狙う

  
  公安調査庁によるアレフ施設への立ち入り検査(平成28年)で確認された祭壇。現在も麻原彰晃死刑囚の写真が掲げられており、崇拝が続いていることがうかがえる(公安調査庁提供)
 オウム真理教の事件をめぐり、麻原彰晃(しょうこう)元死刑囚=本名・松本智津夫(ちづお)=らの死刑執行を受けて行われた後継団体への公安調査庁の立ち入り検査で、麻原元死刑囚の写真の掲示などが確認されたことが7日、関係者への取材で判明した。麻原元死刑囚への帰依がなお続いており、近年は事件を深く知らない若者を対象にした勧誘を活発化。同庁は後継団体の動向を警戒する。
 執行から一夜明けた7日、後継団体「アレフ」が拠点とする東京都足立区の施設では警察官や公安調査庁の職員が周囲を警戒し、不測の事態に備えた。
 6日の同庁の立ち入り検査はアレフ、「ひかりの輪」、アレフから分裂した新団体の計26施設を対象に実施。アレフの施設では職員の質問に信者は回答しなかったとされ、「総じて従前より非協力的な姿勢だった」(同庁幹部)。関係者によると、麻原元死刑囚の写真を壁に貼ったり、居室の小さな祭壇のようなものに飾ったりし、麻原元死刑囚の著書も確認された。
 麻原元死刑囚の妻らは7日、上川陽子法相と東京拘置所長に対し、同拘置所に安置されている遺体の引き渡しを求める要求書を提出した。
 公安関係者によると、麻原元死刑囚の遺体は象徴的な意味を持ち、遺骨や遺品が後継団体の正当性を示す象徴になる可能性があるとみられている。神格化も懸念されており、公安当局は遺骨を奪い合う内部抗争も警戒している。
 平成12年からオウム真理教や後継団体の地域進出への反対運動を続けてきた「烏山地域オウム真理教対策住民協議会」(東京都世田谷区)の古馬(ふるま)一行会長(66)はこう語った。
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 「後継組織の危険性が国民に伝わっているのか。オウムの犯罪を忘れず、教訓を未来に伝える大切さを感じる」
 札幌市の中心部の書店でヨガの関連書籍の棚を眺めていた若い女性に2人の女が近づき、声をかけた。
 「ヨガに興味があるんですね。私たちのヨガ教室に無料体験に来ませんか」
 女性は仕事上の悩みを抱え、疲れを感じていたこともあり、教室に足を運んだ。講師も他の生徒も親切で居心地が良かった。通うにつれ、当初は美容や健康が目的だったが、ヨガが精神世界と密接に関係することを教わった。
 「ここではみな、精神的に高い次元に達しようと努力している」。そう聞かされると、周囲の生徒が崇高な存在に見え、あこがれさえ感じた。
 講師や生徒らと雑談していると、「昔、東京で起きた地下鉄サリン事件って知ってる?」と尋ねられた。事件は知っていたが、当時は幼く、身近な感覚はなかった。「あれ、オウム真理教をおとしめるための陰謀らしいよ」。信頼する講師にそう言われ、「そうなんだ」と自然と納得した。
 教室に通い始めて数カ月後。女性は周囲の生徒と完全に打ち解け、職場や友人よりも本当の居場所だと感じるようになっていた。頃合いを見計らったように、講師が打ち明けてきた。
 「実は私たち、オウム真理教の教義を実践しているの。あなたも仲間に加わらない?」 ×  ×  ×
 オウム真理教の後継団体「アレフ」の動向を注視する公安調査庁関係者への取材に基づき、再現した最近の勧誘の手口だ。
 (1)ヨガ教室や占い、食事会などに教団名を隠して誘い出す(2)教団名を隠したまま教義を解説したり、一連の事件を“陰謀”と説明したりして、人間関係を構築しつつオウムへの抵抗感をなくす(3)最終的に教団名を明かして入会を促す-の3段階で行われる。
 公安調査庁の調査官は「最近はSNS(会員制交流サイト)も勧誘活動に活用している。悩みや孤独感を持つ人が狙われる傾向がある」と指摘する。
 同庁によると、信者数はアレフが約1500人、ひかりの輪が約150人、アレフから分裂した新団体が約30人。3団体の中でもアレフが勢力拡大に熱心とされ、年間約100人の新規信者を獲得している。この調査官は「注目すべきは新規信徒の8割が34歳以下の青年層で、うち6割が20代だということ。オウムへの抵抗感が少ない世代が勧誘されている」と分析する。
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 ひかりの輪は麻原元死刑囚への帰依を否定し、「健全な思想教室」をうたう。しかし近年の公安調査庁の立ち入り検査で仏画の掲示が確認され、同庁は「仏画は麻原元死刑囚の化身」と指摘。「ひかりの輪はアレフの別動隊で、実質的に同一だ。思想教室は隠れみのにすぎない」とみる。
 東京地裁は昨年、ひかりの輪の主張を認める形で団体規制法に基づく観察処分を取り消した。国側が控訴し、今年1月には公安審査委員会が観察処分の更新を認めたが、公安関係者内では「厳しかった世間の目が緩んできた表れかもしれない」と危機感がある。
 死刑執行で麻原元死刑囚の神格化が進むことへの懸念も強い。公安調査庁の調査官は「死刑執行で今後、どのような反応が教団内に起きるか想像もつかない。観察がなくなれば、信徒内に“危険な芽”が生じても把握できなくなる」と強調した。

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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麻原彰晃故死刑囚の妻らが遺体引き渡し要求 「遺体は祭祀の対象」 2018.7.7
◇ オウム 遠藤誠一 故死刑囚の遺体搬送 「アレフ」施設へ 2018.7.7
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