同居高齢者の高い自殺割合
独居の2倍 「家族に迷惑」負い目か
中日新聞 2024.02.04.sun.
全国で毎年、2万人余りが自ら命を絶っている。このうち、60歳以上の高齢者が約4割を占める。同居人の有無では家族と同居していた人の割合が独居よりも多く、80歳以上では68・1%に上る。介護や看護などで家族に負担をかけることへの負い目が原因の一つとみられる。
厚生労働省の自殺対策白書によると、2022年の自殺者のうち、同居人がいた人の割合は全年齢では65・2%で、同居人がいない人の2倍近くになっている。同居がもともと多い10代が最も高く、80歳以上はそれに続く水準。70歳以降で割合は上昇する。
本紙は昨年12月、高齢者の悩みや「老い」への不安と向き合うため、インターネットを通じた読者アンケート「中日ボイス」を実施し、自殺を考えたことがあるかどうかを尋ねた。「いつも考えている」「考えたことがある」と回答した人のうち、36.5%が「家族に迷惑をかけたくない」を理由に挙げた。中日ボイスは6668人が回答した。
浮かび上がる「老い」の断面。高齢者の生活の満足度調査を実施したことがある大阪府門真市の耳鼻咽喉科の辻川覚志院長は、高齢化による介護や看護の長期化、少子化による担い手不足で「同居家族に頼りにくい状況が生じている」と指摘する。
家族との折り合いが悪いなどの理由で家庭内で孤立を感じるケースもあるとし、「そばに家族がいても(孤独死で注目を集める)独居より厳しい環境に置かれることもある」と話す。
自ら命を絶つ高齢者は、孤独を抱えがちな独居の人よりも家族と同居している人の方が多い。先の見えない介護の救いはどこにあるのか。「死」を考えたある夫婦の姿から考える。
◎上記事は[中日新聞]からの転載、及び書き写し(=来栖)