2人の死刑執行 2017.12.19 Tue 関光彦死刑囚(=犯行当時19歳) 松井喜代司死刑囚 上川陽子法相命令

2017-12-19 | 死刑/重刑/生命犯

 2017年12月19日 中日新聞 夕刊
2人の死刑執行、元少年も 永山元死刑囚以来20年ぶり
 法務省は十九日、一九九二年に千葉県で一家四人を殺害し、強盗殺人罪などに問われた関光彦死刑囚(44)=東京拘置所=と、九四年に群馬県で三人を殺害し、殺人などの罪に問われた松井喜代司死刑囚(69)=同=の刑を同日午前に執行したと発表した。上川陽子法相が命令した。関死刑囚は犯行当時十九歳の少年で、関係者によると元少年の死刑執行は、九七年の永山則夫元死刑囚=当時(48)=以来。二人とも再審請求中だった。
 今年七月には、スナックの女性経営者四人を殺害した警察庁指定119号事件の西川正勝元死刑囚ら二人が執行されている。第二次安倍政権以降では、計二十一人の死刑執行となった。刑事施設に収容されている確定死刑囚は百二十二人になった。
 上川氏は十九日に記者会見し「いずれも極めて残忍で、被害者や遺族にとって無念この上ない事件だ。裁判所で十分な審理を経て死刑が確定した。慎重な検討を加え、執行を命令した」と述べた。
 確定判決によると関死刑囚は九二年三月、千葉県市川市の会社役員=当時(42)=宅に押し入り、役員の母=同(83)=を絞殺。その後、帰宅した妻=同(36)=と役員本人、次女=同(4つ)=を次々と刺殺。当時十五歳の長女にもけがをさせて約三十四万円を奪うなどした。
 一審千葉地裁は九四年八月、永山元死刑囚の事件で最高裁が示した死刑の適用基準に沿って検討した上で、求刑通り死刑を言い渡し、二審東京高裁も支持。最高裁は「少年だったことなどの事情を考慮しても死刑はやむを得ない」として上告を棄却し、二〇〇一年十二月に死刑が確定した。
 松井死刑囚は九四年二月、群馬県安中市で交際相手の女性=当時(42)=の顔などをハンマーで殴り殺害。さらに女性の実家に押し掛けて、父親=同(69)=と母親=同(65)=も次々に殴り殺した上、妹らも殺そうとした。
 日弁連は昨年十月七日、福井市で人権擁護大会を開き、二〇年までの死刑制度廃止と、終身刑の導入を国に求める宣言を採択した。
 <お断り> 千葉県市川市の一家四人殺害事件で強盗殺人などの罪に問われ、十九日に死刑が執行された関光彦死刑囚について、本紙はこれまで少年法の理念を尊重し死刑が確定した際も匿名で報じてきました。しかし、刑の執行により更生の可能性がなくなったことに加え、国家が人の命を奪う究極の刑罰である死刑の対象者の氏名は明らかにするべきだと考え、実名に切り替えます。

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です 
 * * * *
永山則夫事件 判決文抜粋(所謂「永山基準」)
転倒 永山基準 / 死刑執行命令と法相の義務 / 「確定から6ヵ月以内に執行」は、訓示規定に過ぎない / 裁判員制度
----------------------
2017/12/19 中日新聞 夕刊
 「少年たちの反面教師に」 関死刑囚 刑確定前に手記
 死刑が執行された2人のうち、関光彦(てるひこ)死刑囚(44)は犯行当時19歳1ヵ月だった。「僕の経験を反面教師として役立ててもらえば」。2001年12月に最高裁への上告が棄却され死刑が確定する前、本紙記者に赤裸々な思いを綴った手記を寄せていた。元少年に対する死刑の執行を巡っては、識者の間でも是非が別れている。(木原育子、清水祐樹)
 「元少年の死刑執行についてどう考えるか」「少年法への見解を」
 死刑執行を受け、19日午前11時から法務省で会見した上川陽子法相に、元少年に関する質問が集中した。上川法相は「個々の死刑執行の判断に関わることなので、個人的な発言は控えたい」と述べるにとどめ、18歳未満の死刑執行を禁じる少年法についても「年齢によって枠組みが違うのは事実だが、改正を検討しているところなので、回答は差し控えたい」とした。
 元少年への死刑執行は、連続ピスト射殺事件で1997年に執行された永山則夫元死刑囚=当時(48)=以来、20年ぶりで2人目となった。犯行当時少年だった死刑囚で刑が執行されていないのは愛知、岐阜、大阪で連続リンチ殺人を起こした3人や、山口県光市で母子を殺害した元少年らがいる。
 少年による重大犯罪が後を絶たない中、法務省内では少年法改正の議論が進む。今回執行された関死刑囚も、一家4人を殺害するという残忍な犯行だった。ただ、16年前に本紙に寄せた手記には、罪に向き合って真摯に反省しようとしている姿が垣間見えた。
 「とっとと死んで消えてなくなりたい」「遺族の方々も望んでいるのだから、報復感情を満たしてもらえればいい」としながら、「生きていなければ感じられない苦しみを最後の瞬間まで味わい続けようと決意しました」と綴った。
 手記はこんな言葉で締めくくられていた。「当時の僕と同じように悩み、混乱し、自分を見失った少年たちが、二度と僕のような罪を犯さないために、僕の経験を反面教師として役立ててもらえば、この世に生まれてきたことに少しでも意味があったと言えるかもしれません」
■廃止要請も議論低調
 死刑制度を巡っては、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルなどのほか、日弁連も廃止を要請しているが、国内での議論は低調だ。上川陽子法相も見直しに否定的な姿勢を崩していない。(以下略)

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
   * * *
* <少年と罪>第9部 生と死の境界で(上)市川市「一家四人強盗殺人事件」 (中日新聞2018/3/4)
.........
〈来栖の独白 2017.12.19 Tue〉
 先ほど(夜8時半過ぎ)、ゆっくりした気分で(いつもより遅く)夕刊を開いたところ、一面に上記記事があり、驚いた。なぜか昨夜、就寝時、「今年も、いよいよ十日ほどで終わり。10月に選挙もあったし、就任後3ヵ月ほどは死刑執行はないから・・・」などと思った。やや気になったのは法相が「再任」ということだった。が、まさか、昨夜の時点で執行命令書に判を押していた、とは思いもよらなかった。
* * * * *
【少年事件 死刑判決】 石巻3人殺傷事件 市川市一家4人殺害事件 光市母子殺害事件 名古屋アベック殺人事件(=2審で無期懲役) 
石巻3人殺傷事件の元少年「死刑判決は予想していた。納得できない、ということはない」2016/6/23
木曽川長良川リンチ殺人事件
光市事件元少年「私のような者のためにありがとうございます」 『殺人者はいかに誕生したか』長谷川博一著
「名古屋アベック殺人事件」主犯格元少年の今 模範囚として刑務所生活 『新潮45』2016年9月号 
――――――――――――――――
元少年死刑執行  4人殺害、重大さ考慮 法相異例の決断
 毎日新聞2017年12月19日 東京夕刊
 千葉県市川市の会社役員一家4人殺害事件(1992年)で強盗殺人罪などで死刑が確定した関光彦死刑囚(44)ら2人の刑が19日午前、執行された。関死刑囚は事件当時19歳。20歳未満を適用対象とする少年法は、事件当時18歳未満だった少年の死刑を禁じているが、18、19歳は許容されている。同日の記者会見で執行を明らかにした上川陽子法相は事件の被害の甚大さなどから異例の執行を決断したとみられる。
 事件当時少年だった死刑囚の執行は、4人を射殺した永山則夫元死刑囚(執行時48歳)の例がある。永山元死刑囚の最高裁判決(83年)は死刑選択の基準として9項目を挙げ、それらを総合考慮するとした。この「永山基準」の一つとして被告の年齢が挙げられているが、永山元死刑囚は死刑判決が確定し、97年に執行されている。
 事件当時少年で、死刑が確定したケースはその後も複数出ている。大阪、愛知、岐阜の3府県で94年、男性4人が殺害された3件の連続リンチ殺人事件では、事件当時18~19歳の元少年3人が強盗殺人罪などに問われ、最高裁で2011年3月に確定。判決は「青年4人の命を次々と奪った結果は誠に重大」と指摘し、少年だったことなどを考慮しても死刑はやむを得ないと結論づけている。
 山口県光市の母子殺害事件(99年)では、事件当時「18歳と30日」だった元少年が殺人罪や強姦(ごうかん)致死罪などに問われた。1、2審で無期懲役とされたが上告審で差し戻しとなり、差し戻し控訴審で死刑が言い渡され、12年2月の差し戻し上告審で死刑が確定。この時の上告審判決で、最高裁判事の1人(弁護士出身)が「精神的成熟度が18歳を相当程度下回っている場合は死刑回避の事情があるとみるのが相当で、審理を尽くす必要がある」と再度の審理差し戻しを求める反対意見を示した。【鈴木一生】
■関係者、評価二分
 事件当時20歳未満の少年だった死刑囚に対する刑執行は20年ぶり。成人以上に慎重な判断が求められるだけに、関係者の評価は分かれた。
 犯罪被害者問題に詳しい諸沢英道・元常磐(ときわ)大学学長は「事件の動機や犯行手口の残虐性、社会に与えた影響、被害者感情を考慮すれば、今回の執行はやむを得ない。年齢だけで更生の可能性があると単純に捉えるのは間違い。今回の執行は評価できる」と話した。
 日本弁護士連合会死刑廃止等実現本部事務局長の小(お)川原(がわら)優之(ゆうじ)弁護士(第二東京弁護士会)は「少年は家庭環境や社会の影響を受けやすい一方で、成長によって変わりうる存在だ。少年時代に起こした事件の責任は、個人だけに問えるものではない。当時19歳の元少年への執行は望ましくない」と批判した。
 一方、関死刑囚の公判で弁護人を務めた弁護士は「コメントはしない」とした。【近松仁太郎、伊藤直孝】
■法相別の執行命令数(1993年の再開以降)
法相    在任期間(年・月)   執行人数
後藤田正晴(92・12~93・8)    3
三ケ月章 (93・8~94・4)     4
永野茂門 (94・4~94・5)     0
中井洽  (94・5~94・6)     0
前田勲男 (94・6~95・8)     5
田沢智治 (95・8~95・10)    0
宮沢弘  (95・10~96・1)    3
長尾立子 (96・1~96・11)    3
松浦功  (96・11~97・9)    7
下稲葉耕吉(97・9~98・7)     3
中村正三郎(98・7~99・3)     3
陣内孝雄 (99・3~99・10)    3
臼井日出男(99・10~00・7)    2
保岡興治 (00・7~00・12)    3
高村正彦 (00・12~01・4)    0
森山真弓 (01・4~03・9)     5
野沢太三 (03・9~04・9)     2
南野知恵子(04・9~05・10)    1
杉浦正健 (05・10~06・9)    0
長勢甚遠 (06・9~07・8)    10
鳩山邦夫 (07・8~08・8)    13
保岡興治 (08・8~08・9)     3
森英介  (08・9~09・9)     9
千葉景子 (09・9~10・9)     2
柳田稔  (10・9~10・11)    0
仙谷由人 (10・11~11・1)    0
江田五月 (11・1~11・9)     0
平岡秀夫 (11・9~12・1)     0
小川敏夫 (12・1~12・6)     3
滝実   (12・6~12・10)    4
田中慶秋 (12・10~12・10)   0
滝実   (12・10~12・12)   0
谷垣禎一 (12・12~14・9)   11
松島みどり(14・9~14・10)    0
上川陽子 (14・10~15・10)   1
岩城光英 (15・10~16・8)    4
金田勝年 (16・8~17・8)     3
上川陽子 (17・8~)         2
 ※仙谷氏は官房長官兼務

 ◎上記事は[毎日新聞]からの転載・引用です
-------------
闇サイト事件 神田司死刑囚の死刑執行 2015.6.25 上川陽子法相
............


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。