【産経抄】
産経ニュース2012.8.22 03:04
日露戦争で日本が大国ロシアを破ったときは、アジアの人々に大きな勇気を与えた。ベトナムやインドの独立運動を強く刺激したことは間違いない。当時15歳だった後のインド首相、ネールがその感激を著書『父が子に語る世界歴史』に書き残したことは有名である。▼尖閣諸島や竹島をめぐる「事件」に対する東南アジア諸国の反応がその歴史を思い起こさせてくれた。中国の南シナ海での覇権拡大に直面するベトナムやフィリピンが注視しているからだ。とりわけ日本が中国にどう対応するのかへの関心は強い。▼本紙、青木伸行記者の報告によれば、ベトナムの元外交官は「日本とベトナムは中国相手に似た状況にある」と言う。だから「情報の交換、共有など協力すべきだ」と述べたそうだ。ベトナムは南沙諸島などの領有をめぐり中国との対立が激化している。▼フィリピンの政府筋も南シナ海の関係国と日本との協力を呼びかける。そうすれば「中国への『鉄拳』になる」と激しい。中国の覇権主義にいかに悩まされているかである。一方でベトナムの元外交官は韓国に対しても「助言」を忘れない。▼韓国が竹島で過熱しているのは「中国のわな」だというのだ。中国はいずれ韓国と係争中の離於島に矛先を向けてくる。そのために韓国の目を日本に集中させているという。だが韓国も「早晩そのことに気づき日本との関係維持に動く」と、シビアに見る。▼日露戦争時と今とではアジアの情勢は全く違う。だが日本が「大国」中国の領土欲をはねつければ、同じようにアジアの国々に勇気を与える。逆に屈するようなことになれば信用はがた落ちとなる。野田佳彦首相らはその点も肝に銘じるべきである。
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