「テロ等組織犯罪準備罪」=国際連携に成立欠かせぬ 2017.1.11

2017-01-12 | 政治

産経ニュース 2017.1.11 05:03更新
【主張】テロ準備罪 国際連携に成立欠かせぬ
 政府は、今月召集される通常国会に、テロ対策として「共謀罪」の名称を「テロ等組織犯罪準備罪」とし、構成要件も変えた組織犯罪防止法の改正案を提出する。
 共謀罪を盛り込んだ法案は野党などの反対で、これまでに3回廃案となっている。昨年9月の臨時国会でも、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の関連審議を優先させるなどとして、法案提出が見送られた。
 同様の及び腰は、もう許されない。3年後には東京五輪・パラリンピックの開催も控えている。今国会での成立に向け、政府与党は覚悟をもって臨んでほしい。
 中東や欧米、南アジアなどで、テロの脅威は増している。日本人の犠牲者も出ている。国内の施設が標的となることも可能性として想定すべきである。
 国連は2000年、国際社会でテロと対峙(たいじ)するため「国際組織犯罪防止条約」を採択した。各国に共謀罪を設けることを求めて批准の条件とし、すでに180カ国以上が締結しているが、共謀罪を持たない日本は先進7カ国(G7)で唯一、締結に至っていない。
 国際社会がテロの事前情報を得ても受け取ることができない。受け取ってもこれに対処すべき法令がない。情報収集に寄与するための根拠法もない。テロと戦う国際連携の「弱い環(わ)」となっている。それが日本の現状である。
 過去の反対意見には「居酒屋で上司を殴ると相談しただけで処罰されるのか」といった声や、市民運動の弾圧に適用されないかなどの懸念があった。このため改正案の適用対象は従来の「団体」から「組織的犯罪集団」と限定し、構成要件には犯罪の合意に加えて具体的な準備行為を加えている。
 民進党の蓮舫代表は「3回廃案になった法案がほとんど中身を変えずに出てくるのは立法府の軽視だ」と早くも反発しているが、中身は大きく変わっている。その是非を吟味することが、立法府の仕事であろう。
 過去の反対論には、既遂の犯罪を処罰の対象とする日本の刑法の原則に反するとの意見もあった。では、テロが起きるのを待てというのか。無差別に無辜(むこ)の人々を対象とするテロは、未然に防がなくては意味がない。
 テロリストは、法の成立も施行も待ってくれない。だからこそ、急がなくてはならない。

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です  
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「共謀罪でなくテロ準備罪」 政府・自民苦しい言い換え
中日新聞 2017年1月12日
 犯罪計画を話し合うだけで処罰対象となる「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を巡り、政府・自民党が「共謀罪」の呼称を打ち消そうと神経をとがらせている。二十日召集の通常国会に提出する法案では「テロ等組織犯罪準備罪」と呼び変える方針で、負の印象を拭い去る狙いがある。(大野暢子)

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です
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共謀罪を「テロ準備罪」 名称変え 秋の国会提出検討
  中日新聞 2016年8月27日 朝刊
 政府は、重大犯罪の計画を話し合うだけで罪に問えるようにする「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を、九月召集の臨時国会に提出する検討を始めた。政府高官が二十六日、明らかにした。「共謀罪」の名称を「テロ等組織犯罪準備罪」に変え、対象となる集団を絞り込むなど要件を見直す。二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックを見据えたテロ対策強化を強調している。〇三~〇五年、三回にわたって国会に提出されるたびに国民の反発で廃案となった法案が、復活する可能性が浮上した。
 菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十六日の記者会見で、改正案について「国際社会と協調して組織犯罪と戦うことは極めて重要」と指摘。テロ対策強化などを目指して国連が〇〇年に採択した国際組織犯罪防止条約の締結に向け「法整備を進めていく必要がある」と強調した。
 法案の内容は「慎重に検討している」とし、提出時期も「決まっていない」と述べるにとどめた。
 改正案は、共謀罪の新名称となるテロ等組織犯罪準備罪の対象について、以前の法案の「団体」から、テロ行為などの重大犯罪の実行を目的とする「組織的犯罪集団」に限定。罪となる要件として、犯罪の計画を話し合うだけでなく、実行のための資金確保といった準備行為が行われていることが必要だとした。
 罪が適用される犯罪の範囲は、以前の法案と同様に「法定刑が四年以上の懲役・禁錮の罪」とした。道路交通法や公職選挙法に触れた場合も含めて六百超の犯罪が適用対象になる。
 政府は、秋の臨時国会では、一六年度第二次補正予算案や、先の通常国会で継続審議となった環太平洋連携協定(TPP)承認案・関連法案の成立を優先させる考え。改正案の成立は来年の通常国会以降になると想定している。
 共謀罪を盛り込んだ改正案は〇三、〇四、〇五年、当時の小泉政権が国会に提出したが、野党や日本弁護士連合会から「労働組合も対象になりかねない」「居酒屋で『上司を殴ろう』と話しても逮捕される」と批判され、いずれも成立断念に追い込まれた。政府は今回の改正案では、労働組合や居酒屋談議は対象にならないとしている。
■犯罪要件に「準備」追加も 「話し合いは罪」変わらず
 <解説> 政府が十数年来導入を目指してきた共謀罪法案の四度目の提出を検討しているのは、リオデジャネイロ五輪が終わり、二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの準備が本格化する今、「テロ対策の一環」と強調することで、国民の理解を得る好機と捉えたためだ。七月の参院選で自民、公明の与党が大勝。たとえ国民の理解を十分得られなくても、数の力で押し通せる。
 確かにテロ対策は重要な課題だ。昨年十一月のパリ同時多発テロを受け、共謀罪創設を求める声が政権内で広がったこともあった。政府高官も「共謀罪と聞くと身構えるが、テロ犯罪防止と聞くと『なるほど』と思う」と指摘する。
 しかし共謀罪は国際組織犯罪防止条約を批准するための制度として提案されたものだ。条約はマフィアなどのマネーロンダリング(資金洗浄)対策が中心。テロ対策で共謀罪を提案するのはこじつけだ。今でもテロ行為を未遂の前の段階で処罰する法律はある。
 むしろ共謀罪の本質はテロ対策に名を借りて「心の中で思ったこと」を処罰することにつながる恐れがあるということだ。
 共謀罪は複数の人が犯罪を行うことを話し合って合意(共謀)しただけで罪に問えるようにする犯罪。犯罪行為は通常、具体的な被害が生じたり、犯罪行為に着手して危険が生じたりすることで罪に問われる。新たな案は対象集団を絞り込み、要件に準備行為を加えたが、いずれも拡大解釈の恐れがある。共謀罪に詳しい弁護士によると、沖縄の新基地反対や脱原発などの市民団体が話し合いで「路上に寝転がって警察車両を止めよう」と決め、何らかの準備をすると組織的威力業務妨害の共謀罪になりかねない。
 また、共謀罪を創設すれば、犯罪の相談や合意があったと証明するために室内盗聴など日常的な監視が必要になる。今夏の参院選では野党支援団体などが入る建物の敷地に警察が隠しカメラを設置していた。自民党は〇七年に名称を「テロ等謀議罪」と変更を試みたこともある。最近は「組織犯罪準備罪」という名称も挙がっていた。実質的な共謀罪ができれば、罪名は何でも構わないのだろうか。 (木谷孝洋、西田義洋)

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です   
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