【和歌山カレー事件】映画『マミー』を観たらきっと誰もがこう思う「林眞須美は本当に犯人だったのか?」

2024-08-03 | 死刑/重刑/生命犯

【和歌山カレー事件】映画『マミー』を観たらきっと誰もがこう思う「林眞須美は本当に犯人だったのか?」

  配信 JBpress

■ 26年前の事件を追ったドキュメンタリー作品  公開前から波紋を読んでいる映画『マミー』

        林眞須美からの手紙を見る夫・健治氏

 先日、配給会社の東風は「このたび、本映画に登場する林眞須美さんのご親族から、本映画の公開に関連する誹謗中傷や嫌がらせを予想以上に受けており、日常生活が脅かされる不安が日に日に増しているとのご相談がありました。(略)公開の中止や延期はいたしませんので、ぜひ映画館のスクリーンでご覧ください。なお、本映画に関連する誹謗中傷や嫌がらせに対しては、法的措置を含め、厳正に対処します」と異例の声明を発表。

 一体、誰が何のために。

 本作に触れ、この事件がいかに誹謗中傷や嫌がらせで始まり、そしていまなお、誹謗中傷や嫌がらせの渦中にあるのか、思い知る。

 林眞須美は和歌山毒物カレー事件で死刑判決が確定した戦後日本で11人目の女性死刑囚。

 1998年(平成10年)7月25日、夏祭りで提供されたカレーに猛毒のヒ素が混入。67人がヒ素中毒を発症し、小学生を含む4人が死亡した。12月、和歌山県警は林眞須美を逮捕。1999年5月、初公判。林眞須美は過去の保険金詐欺は認めるものの、カレー事件をはじめとするヒ素関連事件については否認。二審からは無実を訴えた。

 2009年5月、最高裁で死刑が確定。林眞須美は現在も大阪拘置所に収容されている。

 林眞須美と聞いて、人はどんな様子を思い出すだろう。やはり、報道陣にホースで水を撒き、不気味な笑顔で挑発していた姿を思い出す人が多いだろう。

 でもそれ以前、彼らの家には集落に不似合いなほど多くの数のマスコミが押しかけ、24時間、監視、子どもたちさえ容赦無く撮影され、危険に晒されている異常な状況にあった。逮捕の瞬間は自宅上空に何台ものヘリコプターが旋回。あの家屋は落書きが絶えず、事件から2年後に放火で全焼している。熾烈な誹謗中傷、嫌がらせはあの頃から続く。

 けれど、映画は語る。彼女が犯人というにはあまりにも拙い証言と証拠しかないことを。

 林眞須美が毒物を入れた瞬間を見ていた人は誰もいない。ただ、カレー鍋の置かれたガレージに一人でいて、鍋の蓋を開けているのを見たという林家の向かいの住民の証言はある。その人物の証言は1階で見た、いや2階だったと変わっていき、検証してみると、死角のせいで、林眞須美が一人でいたかも疑わしい。鍋に髪がかかっていたとも話しており、当時、林眞須美はショートヘア。見られていたのは林眞須美と一緒にいた次女の可能性が高い。

 何より恐ろしいのはジャーナリストの片岡健氏によると「蓋を開けていたのは二つあった鍋のうち、ヒ素が入っていなかった方の鍋だった」という点だ。

 さらに当時、林家の台所のプラスチック容器、夏祭り会場のゴミ捨て場の紙コップ、林家の友人宅、眞須美の兄弟宅からそれぞれ見つかったヒ素が調べられ、全て中国産であったことが明らかになっている。「最先端鑑定で判明」など、当時の新聞が派手に書き立てているが、和歌山県ではシロアリ駆除にヒ素が盛んに使われており、事件当時、林家以外の人たちもヒ素を所持していた。にもかかわらず、彼らの持っていたヒ素は鑑定を行われていない。

■ 「みんなで楽しく保険金詐欺をしていただけなのに」

 林眞須美と共に有名になったのが彼女の夫である林健治氏だ。林眞須美にヒ素を飲まされ、林眞須美による殺人事件未遂事件の被害者とされた。

 彼の証言が衝撃的だ。

 「みんなで楽しく保険金詐欺をしていただけなのに」と顔を出して堂々と宣言する。

 信じ難い話だが、確かに彼の話を聞けば、腑に落ちる。ヒ素は林眞須美に飲まされたのではなく、あくまでも自ら口にしたのだ、と。

 彼のやり口を真似ようとした男性は林眞須美に約2年間で13回もヒ素や睡眠薬を飲まされた被害者としてマスコミに大々的に報道された。果たして、飲まされたのか。

 傍には父親と共に母の無罪を信じ、待ち続ける長男の浩次(仮名)氏。転職、転居を繰り返しているのだろう。一人暮らしの部屋には家財道具がほとんどなく、昼間も黒いカーテンで閉ざし切ったままだ。林の名を隠して生きていた長女は21年に自殺。

 魔女狩りのようにターゲットにされた林眞須美。彼女を捕まえるための証拠をかき集めたとしか思えない。しかも、集まっていない。

髙山 亜紀

   ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です


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