[デタラメ捜査報告書問題のデタラメ処分にみる法務・検察の深い闇] 長谷川幸洋

2012-06-29 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

デタラメ捜査報告書問題のデタラメ処分にみる法務・検察の深い闇。本当に政治を変えることができるのは良識ある国民だけだ!
現代ビジネス【ニュースの深層】2012年06月29日(金)長谷川幸洋
 民主党の小沢一郎元代表が強制起訴された陸山会事件に絡むデタラメ捜査報告書問題で、最高検察庁が報告書を書いた田代政弘検事を減給6ヵ月の懲戒処分にした。ほかにも報告書を受け取った佐久間達哉特捜部長ら5人を戒告などにした。
 検察という組織はここまでデタラメだったか、と思わせるような「身内に甘い処分」である。かつて金丸事件では、甘い捜査と処分をした検察庁の看板に赤ペンキがかけられた騒ぎがあったが、それと比べても、今回のほうがよほどひどいと思う。これは全体として「検事・検察の犯罪」であるからだ。
 自分たちで起訴できなかった小沢事件の舞台が検察審査会に移ったと思ったら、田代や佐久間らは不起訴にした理由を説明するどころか、デタラメ捜査報告書を作って「(小沢の供述は)極めて不合理・不自然である」などと素人の審査会メンバーを起訴方向に誘導した。
 検審の審査を補助した弁護士は「報告書に不当な影響があったとは考えられない」などと新聞でコメントしているが、そんな話は通らない。審査のプロセスで致命的な誤りがあったのだから、審査自体をゼロからやり直すべきである。それが私を含めて、法律の素人である市民の常識だと思う。
 そもそも検察審査会制度は市民の常識を採り入れるために設けられた。ところが今回のような事件をみると、この制度には致命的な欠陥があった。検察が自分たちの思い通りに審査を誘導しようと思えば、いくらでも出来るのだ。しかも、それがバレたというのに、最高検が責任者を甘い処分でごまかしてしまった。いったい、どこの国の出来事かとあきれてしまう。
■三権分立の原則にしたがって国会が乗り出すべき
 小沢の政治行動に対する評価は別にして、今回の一件だけで小沢が「暗黒捜査」の犠牲者であるのはあきらかである。これから検察がなにか重大事件を摘発しようとしても、国民は疑惑の目で見るだろう。そういう事態はあってはならない。だが残念ながら、現に起きてしまった。検察を正すには、どうしたらいいのだろうか。
 まず言えるのは、検察内部の自浄能力にはまったく期待できない、ということだ。
 最高検は検審の起訴相当議決があった後の捜査で「取り調べを録音、録画する」「捜査報告書は原則として作成しない」「捜査段階とは別の検事が取り調べを担当する」などの再発防止策を決めたが、そもそも検察自体が起訴相当議決をするよう誘導しているのだから、こんな話はまったく本末転倒である。腐った幹のデタラメを放置して、「枝葉をカットします」と言っているようなものだ。
 田代も佐久間も今後、検審であらためて罪に問われる可能性がある。だが、検察は2人とも有罪にできるような証拠を出さず、ひたすら起訴しないように誘導するに決まっている。検審という制度そのものが信用できなくなってしまったのだ。
 私は、法務・検察という行政官庁の信頼が失墜してしまったのだから、三権分立の原則にしたがって国会が乗り出すべきだと思う。原子力ムラを国会の事故調査委員会が法律の権限に基づいて調べているように、法務・検察の闇を強制力をもって調査、追及できるとすればそれは国会以外にない。
 国会は「法務・検察問題特別調査委員会」をつくって、国政調査権を基に徹底追及すべきである。これがベストと思うが、政局の思惑などから難しければ、次善の策として内閣総理大臣が完全に独立した特別検察官を任命して、法務・検察にメスを入れる手もある。いずれにせよ、既存の法務・検察から独立した調査権限を第三者に与える点がカギになる。
■大多数の良識ある国民が最後の頼り
 だが結局のところ、いまの野田佳彦政権の下ではどちらも無理だろう。
 国会が調べるにしても、与野党ともに「小沢の影響力がそがれるのは結構なことだ」という政治的立場が圧倒的に優勢になっている。だから、小沢に有利になるような調査委員会設置には現実味がない。特別検察官はもっとありえない。小沢の敵ナンバー1である野田が小沢を間接的に加勢するわけがないからだ。
 となると、マスコミはどうか。
 新聞各紙は今回の処分を批判的に報じたが、それも小川敏夫前法相の指揮権発動発言をきっかけに国民の関心が高まって、露骨な法務・検察のポチ状態を続けていくのが難しくなったからだろう。指揮権発動発言の際には、主要な新聞はあからさまに法務・検察の味方になっていた。ところが、今回は手のひらを返したかのように、みんなそろって批判的スタンスに転じた。まさに「空気を読んだ」結果である。
 そういう事情だから、残念ながらマスコミもたいして頼りにならない。
 どこかに戦う人間はいないのか。小沢の弁護団? あるいは(本コラムを含めた)ごく一部の少数派メディア? いや、実は本当に頼りになる人がいる。それは大多数の良識ある国民である。忘れがちなことだが、これは本当だ。
 選挙で政権を変え、間違っている問題は「間違っている」ときちんと言える議員を当選させる。そうすることで実は、少しずつ政治が変わっていく。今回の問題で言えば、小川前法相は正しい判断と政治行動をした。更迭した野田が間違っていたのだ。
 折から消費税引き上げ問題をきっかけに、永田町は風雲急を告げてきた。民主、自民、公明の3党による増税合意で大連立に傾きかけたかに見えた政局は、小沢らの造反を機に再び解散・総選挙への流れが強まってきた。消費税引き上げ、原発再稼働だけが焦点ではない。国の骨格ともいえる法務・検察のデタラメを正せるかどうかも、次の選挙にかかっている。
(文中敬称略)


田代政弘検事不起訴/国家権力が本気になれば実力政治家にも足枷をはめることもできる 中日東京新聞 2012-06-28 

      

虚偽報告書 田代検事を減給処分
東京新聞2012年6月28日 朝刊
 小沢一郎民主党元代表(70)が強制起訴された陸山会事件に絡む虚偽捜査報告書問題で、最高検は二十七日、虚偽有印公文書作成・同行使容疑で刑事告発された元東京地検特捜部の田代政弘検事(45)=現法務総合研究所=について、故意に虚偽記載したとは認められないとして嫌疑不十分で不起訴にした。法務省は報告書に不正確な記載をしたとして、減給六カ月の懲戒処分とし、田代検事は同日付で辞職した。
 法務省が人事上の処分をしたのは計五人。当時の佐久間達哉特捜部長(55)=現法務総合研究所部長=と特捜部主任検事だった木村匡良検事(50)=現東京地検公判部副部長=を、監督責任を怠ったとして戒告の懲戒処分とした。また、岩村修二検事正(62)=現名古屋高検検事長=を厳重注意、斎藤隆博特捜部副部長(49)を訓告とした。
 田代元検事のほか、佐久間元部長ら六人が検審の審査を妨害した疑いなどで告発されたが、最高検はいずれも嫌疑がないとして不起訴とした。告発した市民団体は、田代元検事の不起訴を不服とし検察審査会(検審)に審査を申し立てる方針。
 最高検によると、田代元検事は二〇一〇年五月十七日、検審の起訴相当議決を受けた再捜査で、保釈中の元秘書石川知裕衆院議員(39)を再聴取した後、木村検事から捜査報告書作成を指示された。十八日に佐久間元部長から石川議員が元代表の関与を認めた経緯を盛り込むよう追加の指示を受け、十九日に完成させた。
 田代元検事は最高検の調べに「以前の取り調べの内容と記憶が混同した」と故意を否定。最高検は、石川議員が勾留中に元検事から「親分を守るためにうそをつくようなことをしたら選挙民を裏切ることになる」と説得され、元代表への報告を認めた事実があったと指摘。「石川議員の隠し録音記録でも、二人は勾留中の取り調べを振り返っており、報告書の記載は実質的に相反するところがなく、思い違いの可能性を否定できない」と結論づけた。
 最高検の笠間治雄検事総長は「国民に疑念を抱かせるような事態を招き、誠に遺憾」とコメントした。
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検事不起訴 身内に甘すぎる処分だ
中日新聞2012年6月28日
 小沢一郎民主党元代表が強制起訴された陸山会事件で、虚偽捜査報告書を作成した検事を検察当局は不起訴とした。明らかなねつ造文書だ。これでは身内に甘すぎて、検察改革の信用も失墜する。
 「記憶が混同した」「故意ではなかった」などの検事の釈明が、一般の国民にはとても通用するとは思えない。それほどでたらめな内容の捜査報告書である。
 検察審査会が小沢元代表を起訴相当と議決した後、小沢元代表の元秘書石川知裕議員を東京地検の田代政弘検事が再聴取した。石川議員はICレコーダーで録音したため、虚偽の全容が明らかになった。
 石川議員が「検事から『議員なのにうそをついたら選挙民を裏切ることになる』と言われたのが効いた」と述べたと報告書に書かれているが、やりとりは架空だった。むしろ報告書の大半は、検事の“作文”だ。ねつ造に等しい。
 田代検事らが虚偽有印公文書作成などの容疑で告発されたが、検察当局は刑事責任を問えないと、検事全員を不起訴処分とした。身内に甘すぎる判断と言わざるを得ない。田代検事は石川議員が逮捕された際に取り調べたが、三カ月も前の記憶が混同したと言っても、国民は誰も信じはしまい。
 問題は当時の佐久間達哉特捜部長ら幹部にも濃厚にある。別の報告書は佐久間氏自ら作成した。自分が自分に対して報告するという、でたらめもまかり通っていた。しかも、報告書のほとんどは小沢元代表が陸山会事件に深く関与していたことを示す内容だ。
 そもそも検察審に検事が出向くのは、小沢元代表を不起訴にした説明をするためだ。それなのに元代表に不利な記述部分に下線を引くなどして強調したのは、市民の判断を誤らせる。小沢元代表が強制起訴されたのは、検察の詐術的な手法のせいではないか。
 田代氏は減給、佐久間氏らは戒告などの行政処分を受けたが、あまりに軽すぎる。そもそも同僚の検事に対して、適正な捜査を尽くしたかどうかも不明だ。検察審制度を恣意(しい)的に利用したとみられているのに、最高検は「誘導する意図があったとは認められない」という報告書を作成した。
 これでは検察改革で新設された監察指導部が、組織として自己弁護に終始している。この問題が検察審で審査されても、検事側に有利な書類ばかり提出されよう。市民が適正にチェックできない事態を招かないか、心配だ。
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筆洗
東京新聞2012年6月28日
 刑罰に関係することが語源になっている言葉は多い。「烙印(らくいん)を押す」「土壇場」「足かせとなる」などがそうだ。足かせは二枚の厚い板の真ん中をくりぬき、罪人の足首にはめて自由に動けなくする刑罰だ。転じて、自由が奪われた状態を意味するようになった▼足かせ自体、今の時代は消えたが、国家権力が本気になれば、実力政治家にも足かせをはめることもできる。そんな薄ら寒さを感じさせる事件だった▼検察審査会に提出した捜査報告書が偽造された事件で、検察当局はきのう、民主党の小沢一郎元代表の秘書だった石川知裕衆院議員を取り調べた検事を嫌疑不十分で不起訴にした。法務省は減給処分を下し、検事は辞職した▼審査会に提出された捜査報告書がインターネット上に流出した。それを読むと、東京地検特捜部は小沢氏が深く関与していることを執拗(しつよう)に強調し、自ら不起訴処分にした人物の刑事訴追に執念を燃やしていることがうかがえる▼これでは、強制起訴以外の結論を出すのは難しい。審査会を誘導して、小沢氏を葬り去ろうとしたと疑われても仕方がなかったが、身内に甘い調査でお茶を濁した▼建設会社を通じた小沢氏の旧態依然たるカネの集め方には、嫌悪感しかない。擁護するつもりはまったくないが、「正義」を御旗にした特捜検察の暴走は、金権政治の腐敗以上に社会を危うくする。


* 「暗黒捜査」ではないのか 東京新聞2012年6月20日/小川敏夫元法相が「偽造報告書」で法務省を追及 
 「暗黒捜査」ではないのか
 東京新聞2012年6月20日【私説・論説室から】
 検事による虚偽の捜査報告書問題について、小川敏夫前法相が十九日の参院法務委員会で法務省を徹底追及した。刑事局長は捜査中を理由に事実確認を拒んだが、身内に甘い処分を決めるようでは、とても検察立て直しどころではない。
 問題の報告書はインターネットで流出している。私も入手して読んでみたが、ひどいものだ。全部がデタラメと言っていい。
 たとえば冒頭で「あなたは被告人の立場だから取り調べに応じる義務はないと伝えた」と記している。ところが、調べられた石川知裕衆院議員(小沢一郎民主党元代表の元秘書)の録音記録によれば、調べた田代政弘検事は石川氏に隠し録音していないかどうか尋ねただけだった。
 その後で一月の取り調べ状況のやりとりなどが記載されているが、これも録音記録には一切、出てこない。架空の記述である。
 それだけではない。当時の東京地検特捜部長に宛てた副部長名による別の報告書も虚偽部分を引用している。報道によれば、この報告書を書いたのは実は特捜部長自身だったという。
 前法相は質疑で田代報告書自体も田代検事以外の別人によって手が加えられていた可能性を示唆した。
 これでは二重、三重のデタラメではないか。「暗黒捜査」の怖さを感じる。法務・検察当局はどう始末をつけるつもりなのか。厳正な捜査に基づく法的処分が必要だ。(長谷川幸洋)


「指揮権発動について再び首相と会う前日に更迭された」「小沢裁判の虚偽報告書問題・・・」小川敏夫前法相 2012-06-07


指揮権発言 軽視せずに公正捜査を
中日新聞 社説 2012年6月6日
 検事の虚偽捜査報告書の作成問題で、小川敏夫前法相は検事総長への指揮権発動を考えたと公言した。検察は「身内に甘い」との指摘もあり、発言は軽視できない。公正な徹底捜査に務めるべきだ。
 検察庁法一四条に定めた法相の指揮権は、検察を民主的に統制する手段である。検察が独断に走り、ファッショ化した場合、それを止めることができない。そのため、国民に選ばれ、信任された内閣の法相にチェックする機能を持たせていると解釈されている。
 指揮権は検事総長に対してのみ発動されるが、その法相判断は正当でなければならず、国民が支持しない場合、内閣は命取りになる。実際に指揮権が振るわれたのは、一九五四年の造船疑獄のときだけとされ、内閣は総辞職に追い込まれた。
 小川氏が法相退任の会見で問題にしたのは、検事が作成した陸山会事件の虚偽捜査報告書だ。「適当に幕引きすれば、国民の信頼を得られないのではないかと心配した」「指揮権発動を考えたが、野田佳彦首相の了承を得られず、残念だ」などと述べた。
 検察捜査は公平公正で、政治に左右されてはならないのは当然だ。法相が捜査の現場を直接指揮できない仕組みになっているのは、政治の側からの不当な圧力を排除するためだ。
 それゆえ、法相の指揮権発動は軽々しいものであってはならない。今回、捜査の報告も受けておらず、証拠を見たわけでもない小川氏が、「指揮権」を口にしたのは不適当といえる。不当な圧力に当たりかねないからだ。
 ただし、このケースは、虚偽の捜査報告書を作成した検事の刑事処分について、検察当局が捜査中の事件である。身内が身内を調べている。「検察が内部のことについて消極的な場合に、積極的にさせるのは法務大臣の本来の姿ではないか」という小川氏の言葉は、検察組織に対する不信感を表している。自分の発言が、国民の支持を得られるとの政治的発言だろう。検察は常に公正でないと、政治からの介入の口実を与えてしまう。
 裁判官や検察官、弁護士の経験を持つ人物の計算した発言としても、検察当局は自らへの戒めとすべきだ。検事や幹部らへの徹底捜査は当然のことだ。「処分が身内に甘い」と国民が受け止めれば、検察審査会で厳しい判定が下されるシステムにもなっている。
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