LGBT制度 6割「不十分」 「パートナー制度」導入進む自治体
中日新聞 2021年4月5日
同性カップルを公的に認める「同性パートナーシップ制度」を導入もしくは予定する、三府県と二十九都道府県にある八十四市区町のうち、59%の五十一自治体は現行の性的少数者(LGBTなど)に関する国内制度が不十分と考えていることが四日、共同通信の調査で分かった。差別解消や同性カップルの権利を具体的に擁護する全国的制度はない。同性婚の法制化を望む声もあり、国は一層の取り組みが求められそうだ。
調査は二月中旬〜下旬に実施。三月末までに全八十七自治体が回答した。残る三十六自治体のうち二県と二十九市区町は「どちらとも言えない」とし、五市がこの項目には無回答で「十分」はゼロだった。同性婚を可能とする法律について、全体の24%の二十一市区町が「必要と思う」、三府県と五十四市区町が「どちらとも言えない」、九市区が無回答で「必要と思わない」と答えた所はなかった。
結果について専門家は「自治体は頑張っており、国の取り組みが圧倒的に足りないことを示している」と指摘し、政府にさらなる努力を促した。札幌地裁は三月十七日、国が同性婚を認めないのは不合理な差別で憲法に違反するとの判決を初めて下した(原告側は控訴)。
現行制度では戸籍の性別変更を可能にした性同一性障害特例法や、性的指向や性自認を無断で暴露する「アウティング」をパワハラと例示した指針などがある。一方、相続権などの結婚のメリットを同性カップルに認める法律はなく、パートナー制度ではこうした法的保護ができない。
調査回答で自治体は、パートナー制度の利用者でも「緊急手術時の同意や病状説明などの対応が異なる場合がある」(那覇市)、「税金、年金、相続など配偶者の権利がないという不利益は解消されない」(東京都江戸川区)と同性婚の必要性を訴えた。自治体ごとの制度のため、「転居の際にパートナー(の登録)を解消しなければいけない」(岡山県総社市)などの課題も挙げた。
調査は市民団体「同性パートナーシップ・ネット」公表のリストを基に、2月1日の時点でパートナー制度を導入または導入予定の三十都道府県の自治体の担当部署に書面で実施した。
■同性パートナーシップ制度
自治体がLGBTなど性的少数者のカップルを婚姻に相当する関係と公認し、証明書を発行する制度。2015年に東京都渋谷区と世田谷区が国内で初導入し、全国に拡大している。公立病院でパートナーの病状の説明を受けられるなど各自治体が定めた行政サービスが利用できるほか、携帯電話の家族割引といった民間のサービスが適用されることも。事実婚の異性カップルが制度を利用できる自治体もある。名称は「パートナーシップ宣誓制度」が多い。――――――――――――――――――――――――
利用対象サービスに差 コロナ手当金も
同性パートナーシップ制度は、当事者が利用できるサービスを自治体ごとに定める。パートナー関係を証明する受領証の発行や公営住宅の入居に限定するケースがある一方、犯罪被害者とその遺族などに支援金を給付する独自の仕組みや、結婚祝い金といった職員の福利厚生、新型コロナウイルス対策の手当金を支給対象とする所もある。
2~3月に実施した共同通信の調査では、独自の犯罪被害者支援制度があり、パートナー制度の利用者が「対象となる」との回答を選択したのは札幌市、東京都中野区、横浜市、大阪市、兵庫県明石市、宮崎県木城町など1府と15市区町。ほかに京都市は「4月から対象になるよう要綱改正中」、無回答だった岡山県総社市は、既存制度の「運用で検討中」とした。(以下略=来栖)
◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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〈来栖の独白〉
私は、よほど頭が古いのだろう。この問題は理解できない。そうかぁ、互いに認め合った二人、一緒に人生を送るだけでは十分でないのか。利権なども保証されねば十分でないのか…。
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