佐々倉古書店2階にて
健司(警視庁捜査一課の刑事・高槻の幼なじみ) - 吉沢悠 が、高槻たち3人に
これまで新聞記事から調べた内容を地図に表したものを広げて見せている。
尚哉(青和大学文学部の学生)神宮寺 勇太 が こんなにですか! と驚きの声を上げるほどだ。
日本全国に行方不明者と言われる人はいるだろうが、神隠し と呼べるほどの内容のものがこれほどあろうとは。
健司が地図にマークしたピンクの付箋は、23件の行方不明者。
水色の付箋は、京都の鞍馬で見つかった人が7名いる。戻ってくるまでの時間はまちまちらしい。
高槻が、見つかった時の行方不明者の記憶について尋ねると
記憶はないと言っており、それ以外は正常だという。
洋服も失踪時と同じものであるが清潔で、健康状態も良かったというのだ。
百物語で、難波要一(尚哉の同級生) - 須賀健太 と 谷村愛美(尚哉の同級生) - 吉田あかり が話していた
行方不明者もこの中にいる。
高槻は、難波たちを研究室に呼び出して行方不明者について聞き出した時
彼らのスマホからSNSを見せてもらった禁忌の画像を思い出している。
しめ縄が切られた難波の画像の日付は、2022/3/31
賽銭箱に落書きがされた谷村の画像の日付は、2022/4/10
健司の付箋には
奥下 崇(13) 中学2年生 4月10日失踪 神奈川県平塚市
中江 祥太郎(51) サラリーマン 4月29日失踪 岩手県遠野市
少なくとも、いなくなる法則は解ったかもしれない。
SNSに禁忌が行われた投稿があったあと、大体10日後ぐらいに失踪が起きている。
健司:ホントか!
生方瑠衣子(高槻の研究室に所属する大学院生) - 岡田結実 は、他の件も調べてみるという。
千葉県警付近の喫茶店(高槻たちが遠山と初めて出会った店)
千葉県警の警察捜査員2名が、行方不明の長谷部千里(行方不明になった4歳の女の子)永尾柚乃 ちゃんの捜索ビラを
目撃情報を寄せた寺内一(謎のフリーカメラマン)-小池徹平 に見せている。
一人が、「バスで見たという少女はこの子で間違いないか」を尋ねると
たぶん。ここにはみかん色のジャンパースカートとありますが、裾だけ赤いチェックの布がついていたような・・・。
もう一人が、それは失踪したときの服装と一致していると告げる。
寺内の記憶力がいいことを褒め、詳しく話を聞こうとする。
そこへ、遠山(千葉県警広報官・尚哉と同じ怪異を体験している)-今井朋彦 が来店してきた。
べつの席に背を向けて座ろうとしたとき
もちろんです。僕も千里ちゃんが心配ですから。
そう答えた寺内の声が、背中を向けたままの遠山耳に届いた。
遠山の表情は、静かでありながらもみるみる怒りに満ち溢れていく
僕は5時頃、千葉駅行きのバスに乗りました。
そのバスに女の子が一人で乗っていたので気になって(ウェイトレスが遠山の前に水の入ったグラスを置く)
そしたらその子は、鞍山公園っていうバス停で降りて行ってしまったんです。
一人で平気かなぁって窓から見ていると、お母さんっぽい若い女性が駆け寄ったので
それ以上はよく見ていません。
白い帽子をかぶっていました。茶色い髪で長さはこれくらい。(鎖骨の前の位置に両手を置いて長さを指し示す。)
色の白い綺麗な女性でした。(警察官が資料を確認する。)
それから、そうだな。首元にホクロがあった。(のどの下あたりを手で示す。)
捜査員が確認した資料には、千里の両親
長谷部康介(千里の父親)武田航平
長谷部麗子(千里の母親)佐藤めぐみ のカラー画像があり、母親の首元にはホクロが写っていた。
その捜査員は、席を外すと捜査本部に連絡を入れる。
千里ちゃんの母親が怪しいので、調べてくると報告をしている。
残された捜査員が、今日はもう結構ですまたお話を伺うかも知れませんが・・・。
そう言って、寺内への聞き取りを終える。
いつでも呼んでください。
千里ちゃんが見つかってご両親の所に戻るのが、
僕の願いですから。
そう言って寺内は、喫茶店をあとにする。
彼の嘘により、怒りのエネルギーが身体を駆け巡る遠山。
右手の拳を強く握りしめていた。
捜査員が寺内を見送るために席を離れたため
遠山が立ち上がり、彼らの席に行ってみると
そこには「青和大学 寺内一」の名刺が置かれていた。
高槻の研究室
先ほどの話を伝えにきた遠山と健司、高槻、尚哉がいる。
寺内がどのような人物かを、高槻たちから聞いた遠山。
やはり、寺内は千里ちゃんの神隠しに関わっていそうですね。
遠山:ただ、寺内の証言はすべてが嘘という訳ではないんです。
これからお見せするものに関しては、どうかご内密に。
高槻が承諾すると、遠山は寺内の証言の裏付けとなるバスの車内の映像を
画面に映し出した。
日付時刻は、2022/07/01 17:22 53秒
バス中央出入口付近に、千里ちゃんが一人で座っている。
その後ろには、寺内の姿があった。
寺内の証言どおり、2人は同じバスに乗っています。
鞍山公園というバス停の前で、サラリーマンが降車ボタンを押し
(女子学生2名とサラリーマンに続いて、千里ちゃんが降りて行く)
これも証言どおり千里ちゃんは一人で降り、バスは発車します。
寺内はこの7つ先のバス停で降りるのが映像で確認できますし
その後のアリバイもある。
寺内が千里ちゃんを誘拐するのは、無理だということですか。
オープニング
生方が塾バイトの帰りと思われる姿で、陸橋下をくぐって歩いていると
寺内が向こう側から横切って歩いて行くのを見かける。
こっそりあとをつける生方。
研究室では、高槻が健司の作った行方不明者地図をボードに貼りだして
話をしていた。
誰かが禁忌を冒す、そのことがSNSで話題になる。
その後、大体10日で失踪する。という流れがあるようなんです。
遠山:でも、身代金の要求はなく、無事に戻って来る人もいる・・・。
尚哉:戻ってきた人たちは、何週間も何処かに泊まって・・・食事はどうしてたのか。
健司:どうやって鞍馬へ移動したのか。
そもそも、これは怪異なのか・・・。
遠山:ひとまず、捜査に進展があればご報告します。
そちらは、栗本小春(青和大学の食堂の栄養士・『百物語』の参加者、現在行方不明) - 田辺桃子
さんの件で何かあれば教えてください。
(高槻うなずく。)はい。
研究室を出た遠山を、見送りに歩く尚哉。
寺内は、俺が嘘が判るって気づいてます。遠山さんも気を付けてください。
ありがとう、君も気をつけろ。
寺内みたいにならないように。
特別な力は、人を闇に堕とす。
別れ際の遠山の言葉に、戸惑う尚哉。
研究室のボードに、栗本小春と長谷部千里ちゃんの付箋を貼る健司に高槻が話しかける。
考えたくもないけど、寺内には神隠しを起こす能力があるのかもしれない。
それは自分にもあるのかも・・・って言いたいのか?
もしそうなら・・・ゾッとする。
母 高槻清花(高槻の母)-高橋ひとみ も寺内も特別だってことを僕に押し付けるけど
僕は嫌だ。
押し付けられるほど、子どもの頃のあの窮屈さを思い出して・・・
んんっ?(高槻が言葉を止めたので)
窮屈・・・それかも・・・(BGMデデステです。)
ノックがして、遠山を見送った尚哉が帰ると、健司が左手を挙げ(高槻がなんか閃いたみたい。なそぶりをする)
何かに気づいたらしい。 と尚哉に話す。
尚哉は、
出ますか?・・・残念だけど、(ワクワク)
高槻立ち上がる。栗本家で小春の両親
杉原聡子(小春の母)宮地雅子
杉原邦明(小春の父)朝倉伸二 に聞き取りをしたことを思い出している。
岐阜県には縁はありますか?
母親:ありません。(尚哉が顔をしかめる)
尚哉:小春さんの行く先に心当たりは。
母親:見当もつかない。(尚哉、顔を背ける。)
深町君はあのお母さんの嘘に気づいていたね。
僕は見逃していたんだよ。
小春さんは皆が言うように幸せだと思い込んで・・・。
なんのことか分かりませんけど。
健司と尚哉は顔を見合わせ、いつものアレが出るかと思っている。
尚哉は高槻の仕草で、右手の人差し指を鼻の前に持ってきて
「残念だけど・・・。」とやりだす。
んんんん・・・でも来ないぞっ!
でも人差し指を持ってきてこう言った。
瑠衣子君に電話しないとっ!(ぇ
欲しがってる2人を置き去りに、高槻は生方に連絡を取り始める。
*********************
寺内は隠れ家に戻り、それを確かめていた生方へ高槻から連絡が入る。
岐阜で千春の母親について、調査をして欲しいとのことだった。
彼女はその場をあとにし、調査へと向かう。
栗本家(杉原家)にて
高槻・尚哉・生方の3人が栗本家を訪れる。
小春の両親が、もうすぐ幹夫(小春の夫)菅原健が戻ることを告げるが
高槻は、2人に話が出来れば十分だという。
お孫さんに、お母さんは鬼にさらわれたと話す件について考えました。
喜ぶ母親は、子どもたちにはそれが一番だと言うが、高槻は言葉を続ける。
本当に子供たちのためでしょうか?
小春さんが鬼にさらわれたと思いたいのは、貴女自身じゃありませんか?
自分の娘が子育てを放棄したわけではないと、信じたいんですね。
小春さんは、開けてはいけない箱の話をするときに言いました。
子どもの頃に聞いた話です。
紀遠助の話を変えて小春さんに話したのは、貴女ですね。
最近では、桃太郎が鬼退治に行った後
鬼は謝って村人と仲良く暮らすという結末で語られたりします。
残酷な描写を子どもたちに教えるべきではないという考え方が
このような変更を加えさせるのですね。
これと同じように伝承は語る人の意図によって、変化することがある。
小春さんが語った話は、残酷な部分・・・男女の性や嫉妬を感じさせる部分は全て消されていた。
これは、貴女がこういったものを小春さんから遠ざけたかったからではありませんか?
貴女は、僕が岐阜県に縁がありますか?と聞いたとき「ない」と答えた。
あれは嘘ですね。
生方:聡子さんは一時期、岐阜で男性と暮らしてましたよね。
お子さんも生んだ。でもその子を置いて、家を飛び出してしまった。
貴女が小春さんに教えたくなかった痴情のもつれが原因で・・・。
父親:もう隠せないよ、言いなさい。
父親に促され、聡子はそのことを認める。
現在の小春の父親と結婚する前、聡子の人生にはいろいろあり
相手を疑って嫉妬し、子どもを置いて出て行ったことは今でもやましく思っているという。
なので小春に子供が生まれたとき、これから子どものためだけに生きるよう言ったのだ。
その言葉が、小春の人生に対して「母親であることだけに窮屈に縛りつけてしまったのではないか」という高槻。
そうなんでしょうか・・・。
小春に2人目の娘が生まれてから、小春は辛いと言うようになり
最近は涙ばかり流すようになり、幹夫に話しても理解が得られず
夫婦の間にスレ違いが起きていたのだ。
それに対して、母親は小春のことを理解しようとせず
女みたいなことを言って、はしたない。母親は母親、女でも人間でもない。強くならなきゃ。
そう言って、小春を突き放したのだった。
しばらく子どもから離れて休みたいと言う小春に、疲れているなら仕事を辞めるように言い
母親以上に大切な仕事はないと言って、彼女の悩みに向き合うことはなかった。
お母さん、小春さんが苦しんでることは気づいてたんですよね。
だから今、少しだけ休んでいるんだろうって。
尚哉の小春の母への問いかけに、彼の優しさを感じる高槻。
えぇ、でもやっぱり小春は母親失格です。
そう答える聡子に、3人はそれぞれ家庭を思い浮かべ
なら、どんな母親が失格でないのだろうかという顔をしていた。
そしてその後、栗本家を立ち去ろうとしていた高槻たちを、航平が駆け寄って呼び止めた。
妻の事で、何か分かったんでしょうか?
貴方は、小春さんに戻って欲しいと思いますか?
もちろんです。
それなら、どうしてこの前も今日も、約束の時間に仕事に出かけて人任せにしたんです。
小春さんのご両親に頼るのはやめて、仕事の量を減らして
貴方自身が小春さんと向き合うべきじゃありませんか?
生方:小春さんそうして欲しいんだと思います。
そもそも、どうして僕に小春さん探しを依頼しようと思ったんです?
それは・・・、百物語の責任者だと聞いて。
聞いて?誰に聞いたんです。
言葉のあやです。誰にも聞いてません。
(尚哉、こういう嘘が気に入らんの表情。)
尚哉:もしかして、寺内一ですか?
うろたえて、顔の汗を思わずハンカチで拭う航平。
それなら寺内に、これからの小春さんとの生活をどうしていくか話すんです。
そうすれば、おそらく彼女は戻って来る。
高槻のその言葉に、尚哉と生方は高槻が神隠しの事情について、彼が解明していると気づく。
航平:本当ですか?
尚哉:どうしてですか?
残念だけど、そう簡単に本物の怪異とは出会えないからだよ。
尚哉たちの方に身体を向け、そう言っていつもの仕草を見せるのだった。
高槻の研究室で
テレビのニュース速報が流れている。
行方不明となっていた栗本小春が、鞍馬で無事発見されたというものだった。
そのニュースを眺めている高槻・健司・尚哉の3人。
これではっきりした。
寺内一は、自分の人生に疲れた人に「神隠し」という形で、自分の人生から逃げ出すチャンスを与えている。
そして、問題が解決した人からこうやって戻って来るんだ。
尚哉:人助けをしてるって、ことですか?
高槻は、研究室で寺内が話していたことを思い出している。
迷う人たちを救ったり、道を踏み外したりした人を罰したりしなきゃ。
・・・。それだけなら問題ないんだけど・・・。
再びテレビの画面では、保護され千葉市内の自宅前に戻って来た小春の中継が映し出されている。
航平が小春の手をとり、二人で車両から降りてくる。
レポーターの問いかけに答えていなかったが「失踪していた間の記憶は?」との質問に、彼女は振り返り
記憶は、ありません。
そう答えるのだった。
(尚哉、あっ、そこキッパリ嘘言うんだの表情。健司にもそれが歪んでいることがはっきり解る表情だ。)
小春さんは嘘をついています。
記憶はあるんだ・・・。
少し謎が解けてきた気がするよ。
寺内の隠れ家の前で
生方が、先日寺内が入って行った部屋のドアの前にやってきた。
ドアの前にぬいぐるみが落ちているのを見つける。
生方は大胆にもドアを開け、外に落ちていたぬいぐるみを届けるふりをして
中の様子を窺ってみた。
・・・、中には誰もいないようだ。
中に上がり込み、部屋を見回す生方。
暗幕の向こうに、何か画像のようなものが壁に向かって映し出されているのが目に入る。
**************************
高槻の研究室では、彼がデスクの引き出しから本を取り出し
中に挟まれた古い写真を持ち出して、尚哉のいるテーブルに歩き出していた。
また、バイトを頼んでもいいかな。
はい。
ただ、依頼するのは僕だよ。断ってくれてもいい。
聞きます。
寺内がやっていることを暴くには、これについてはっきりさせる必要があると思う。
そういって、手に持った写真を尚哉の前に置いて見せた。
**************************
寺内の隠れ家で、生方はストーカーも驚くような壁一面に貼りだされた
あの高槻の写真を見ている。
左側の壁に目をやる生方・・・。
その頃、食料らしきものを調達して帰ってくる寺内の姿があった。
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高槻が尚哉に見せた写真。(さすがに合成感が( ^ω^)・・・)
それは、家族旅行と思われる写真で
神隠しに遭う直前、家族で旅行に行ったときのものだという。
その時、高槻少年は禁足地・・・人が入ってはいけない場所に入ってしまった。
(そのとき、寺内の壁に貼られていた所と、同じ場所と思われる青い水をたたえた湖の景色が映し出される。)
つまり、僕も禁忌を冒したんだよ。
僕が、12歳のときに起きた出来事と向き合いたいって言ったら、手伝ってくれる?
もちろんです。
お互いに微笑みあう、高槻と尚哉。
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暗幕を引き直し、部屋を出ようとする生方。
そのとき、いくつかの(高槻が持っていた写真と同じような景色の写真を含む)が
写真立てに収まり、並べられているのを見つける。
その中の一枚。
泥だらけの子ども2人が写された写真に驚き、思わず手に取る生方。
(1人は、子どもの頃の寺内 山田羽久利:寺内一(幼少期)役 あと1人は誰よ?)
寺内は、袋を提げ部屋に戻って来た。
そしてドアを開けると・・・。
部屋の様子が外出前と違う、違和感を覚える。
どうやら、間一髪。生方は部屋を去ったようだ。
しかし、あの写真には何か心当たりがあるらしい。
寺内は、違和感が何かを探し出そうとする。
そしてそれは、あの泥だらけの子どもの写真の位置が、外出前と違っていることに気づくのだった。
エンディング