てんぱっていきまっしょい。

国内旅行をこよなく愛する人間の日記です。でも最近は出かけてないよねぇ。(現在コメントは事前承認制にしています。)

映画化ですってよ。

2023年01月08日 | 岸辺露伴は動かない

ヤホー@キネマ旬報WEB より

以下のとおり、ありましたので魚拓いたします。

高橋一生演じる岸辺露伴がパリでミステリーに挑む!「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」

キャスト・スタッフ コメント

「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」

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1話~3話の取り扱いをどうするか思案中。

2022年12月10日 | 岸辺露伴は動かない

亀ちゃんこと、元亀治郎(現猿之助)さんの回で、あじをしめた「岸辺露伴は動かない」の書き起こし。

以下のとおり、今年は7~9話が放送されると知り、まぁやろうかなくらいの気持ちなんですが

こうなると1~3話の取り扱いをどうしようかなと、考えております。

今年最後の出張は、23日。通常業務と根性ノックが別にありまして・・・。

昨日の出張で目が死にそうだぉ。

ワカメ干すだけでストレスが消えそうにありません。

・・・。

やるカモメw

高橋一生主演『岸辺露伴は動かない』新作エピソードの場面写真公開。第1話~第6話の再放送も

ドラマ『岸辺露伴は動かない』新作エピソードの場面写真、飯豊まりえ、古川琴音、柊木陽太のコメントが到着した。

 荒木飛呂彦の原作をもとにした同作は、相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むことができる特殊な力「ヘブンズ・ドアー」を持つ漫画家の岸辺露伴が、編集者の泉京香と共に奇怪な事件や不可思議な現象に立ち向かう姿を描いた作品。岸辺露伴役を高橋一生、泉京香役を飯豊まりえが演じる。

新作エピソードとなる第7話「ホットサマー・マーサ」は12月26日22:00、第8話「ジャンケン小僧」は12月27日22:00からNHK総合で放送。BS4Kでは1月14日21:00から第7話、第8話が放送される。NHK総合では12月21日から第1話~第6話が再放送。 第7話ゲストの古川琴音はイブ役、第8話ゲストの柊木陽太は大柳賢役を演じる。

さらに『岸辺露伴は動かない』展が全国5会場で開催。露伴の書斎を再現した会場には番組の撮影で実際に使用した衣装、小物、美術、「ヘブンズ・ドアー」の特殊造形などが展示される。

会期・会場は以下の通り。会場ごとに展示内容が一部変わるとのこと。 ・仙台展 会期:12月18日~2023年1月9日 会場:NHK仙台放送局 ・富山展 会期:1月14日~1月29日 会場:NHK富山放送局 ・札幌展 会期:2023年2月4日~2月19日 会場:NHK札幌放送局 ・熊本展 会期:2023年3月11日~3月26日 会場:NHK熊本放送局 ・東京展 会期:2023年4月開催予定 会場:NHKプラスクロスSHIBUYA

【飯豊まりえのコメント】 ドラマ「岸辺露伴は動かない」が今作で3期目となり、原作を愛するファンの方やドラマをご視聴くださった方にはもう一度、そしてこの作品とまだ出会っていない方には初めてお目にかかれる機会を頂けて嬉しく思います! 私が演じさせて頂いた泉京香は、当初、原作では「富豪村」にしか登場しないキャラクターでしたが、露伴先生の担当編集として一貴監督や露伴先生を演じる一生さん、人物デザイン監修の柘植さん、撮影スタッフの皆さんにその後のエピソードでも泉京香として登場するキャラクター性や、生身の人間としてそこにいる存在感を作って頂けたように思います! 原作漫画に敬意を払いながらも自分に出来ることは何なのか、そんなことをいつも考えながらお芝居をさせていただきました。是非お楽しみ下さい!

【古川琴音のコメント】 楽しみながら、弾けた感じで、恥を偲んでぶりっ子を演じてみました。 事前の打ち合わせで、「露伴史上最強(恐・狂・凶)の敵です」と言われ、「動かない」露伴をどう動かしてやろうかと、イブの持てる武器全てを使って挑みました。 どんな敵として登場するのか、是非本編をご覧ください! そして、この回はコロナが背景にあることも見応えあるポイントになっていると思います。 実際、まだ油断出来ない世の中ですが、ストレスの溜めすぎには注意しましょう...。 第7話、楽しんでいただけますように。

【柊木陽太のコメント】 じゃんけん小僧に決まったと聞いたときは、嬉しい気持ちよりも、プレッシャーの方が大きくて、上手にできるか不安でした。 でも、衣装合わせやリハーサルをしていくうちに、少しずつワクワクしていきました。 衣装で指輪やネックレスを着けられたことも嬉しかったですし、監督と毎回じゃんけん対決をしたことも楽しかったです。 じゃんけん小僧を演じるのは、とても難しかったですが、原作と台本を何度も読み返して演じました。現場で高橋さんからもアドバイスをいただけてとても嬉しかったです

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再放送は眠気との闘いか?

2022年08月11日 | 岸辺露伴は動かない

「岸辺露伴は動かない」が再放送されます。

  • 総合(4)「ザ・ラン」 8/20(土)午前0:14-1:03<金曜深夜>
  • 総合(5)「背中の正面」 8/20(土)午前1:05-1:54<金曜深夜>
  • 総合(6)「六壁坂」 8/20(土)午前1:56-2:45<金曜深夜>

3本連続放送とは、なかなか翌日に応えそうですね。

見逃した方は、お楽しみに

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岸辺露伴は動かない(六壁坂)その5

2022年01月14日 | 岸辺露伴は動かない

露伴の担当編集者:泉京香 - 飯豊まりえ が今取材対象者として話を聞いているのが
大郷楠宝子 - 内田理央 の二人いる子供(一人は先ほど出会った大郷桐子 - 白鳥玉季)のうち、大郷櫂 - 吉田奏佑 であることに気づいた 岸辺露伴 - 高橋一生 。

急いで泉に電話をするが、電話は繋がらず焦って坂を下りる。

すると、坂の石段の下で櫂を背負った泉と出会うことができた。
櫂を背負っていたので、電話を取ることができず詫びる泉。

まさか、死んでるんじゃ。

少年がぐったりしていたので慌てた露伴だが、山歩きで疲れた少年を背負ってきただけだと知り安心する。
少年は無邪気に露伴の前にサインペンを取り出し、サインしてくださいとねだる。
色紙がないので、少年の白いシャツの背中にサインをして、彼と別れる露伴と泉。

いやぁ、オモシロイ妖怪の話だったんで案内してもらったんですけど、やっぱり忘れちゃったって子どもですねぇ~。

そう言って、腕組みして少年を見送る泉。
しゃがみこんで、その話を聞いていた露伴だが
なるほど~。
そう言って、立ち上がり坂を降りて行く。

先生、どこ行くんですか。

帰るっ。

え、取材は?

終わった。

妖怪でも、取り憑く人間は選別する。
(死なせた人間【妖怪】を一生お世話できるほどの経済力がなければ、取り憑けないよねぇ。)

大郷家では

廊下で桐子の三つ編みをほどき、編み直す楠宝子。
櫂少年は、お茶を飲みながら漫画を読んでいる。

ねぇお母さん、私もいつかステキな人のお嫁さんになれるかなぁ。

いい子にしてればね。

僕は庭師になるっ。

そう言って、少年は無邪気におやつを頬張る。

露伴の自宅

泉がケーキの箱を片手に露伴を訪ねてくる。
原稿料の前借りに、オッケーが出たようだ。

これでこの家も買い戻せますねぇ~、いやぁ、ホッとしましたよぉ~。
良かった、良かったぁ。
これ、お祝いのケーキですっ。

ケーキをテーブルに置き、また六壁坂の取材に行くことを聞いてくる泉。
子どもたちの話を聞いて、やはり何かあると感じたそうだ。

それにわざわざ六という数字が入っているということは、6匹妖怪がいるのではないかと言い出した。

確かにそうかも知れないな。
ブラインドから差し込む光を見つめながら、露伴は六壁坂にいる大郷家の母子たちのことを
考えていた。

これからも彼ら・・・人間が妖怪と呼ぶ何か」たちは、そこに住み続ける。
でも、それは僕がどうにかすべきことじゃあない。
僕は学者でもなく、ジャーナリストでもない。漫画家だからな。

先生。

しばらく取材はいい。

えっ!!

十分すぎるほどネタは拾えた。新作の構想もまとまったよ、35ページ5回の短期の集中連載だ。
編集長にページをもらってくれ。

えぇっ、凄い。絶対オッケーですよ、それ。
じゃぁ、お茶いれますねっ。

なんでそうなる、君。
いいから帰れ、すぐ描き始めたいんだからなっ!
そう言って、漫画を描く準備を始める露伴。

えぇ、でもお祝いのケーキがぁ~。

いいから帰れっ!
走るな、僕の家で走るなっ!

ケーキが二つ用意されたまま、泉はいつものパターンで露伴から家を追い出される。
一度ドアが閉まったあと、再びドアが開きバッグを渡されるのもお約束になっているが・・・。
ケーキの箱を返され、喜ぶ泉。

空だよ。

そう言って、再びドアが閉まる。

んん、もぉぉぉ~っ。
泉はプンスカ怒るが
まぁいいっか。とすぐに気分を切り替え、露伴が言い出した連載の話を編集長に伝えに戻って行く。

露伴は自宅で、彼が漫画を描く前の儀式のような準備運動を始める。
手のひらを前へ、肘もまっすぐ。
手首の角度は直角を保ったまま、(指を)一本ずつ折る。
1、2、3、4、5。
手首をほぐしながらデスクに向かい、彼にとって神聖な勝負が始まるのだった。

エンドロール からの~

岸辺露伴次回作、きっと傑作。
そう言いながら、坂道を降りて行く泉の姿が映し出された。(デスヨネ)

エンディング

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岸辺露伴は動かない(六壁坂)その4

2022年01月13日 | 岸辺露伴は動かない

大郷楠宝子(おおさとなおこ) - 内田理央 に起きた出来事を、彼の能力ヘブンズドアを発動したことによって理解した、杜王町に住む人気漫画家:岸辺露伴 - 高橋一生 。

取材拠点にしていた集会所に、露伴の担当編集者:泉京香 - 飯豊まりえ と 櫂 - 吉田奏佑 という少年を残し、駆け出して行った。
露伴が出て行ったあと、集会所の二階で意識を取り戻した楠宝子。
露伴はその場にいないが、彼が楠宝子の頭の中の本に「岸辺露伴のことは気にしない」と書き込んで出かけて行ったので、何も疑問を感じていないようだ。

露伴は走りながら、本に書いてあった内容を思い出していた。
大郷楠宝子はその後、予定通り高窓修一 - 中島歩 と結婚し、そして郡平の死は・・・。
彼女の本によれば、その後もずっと釜房郡平 - 渡辺大知 の血は止まらず毎日静かに、確実に出血し続けていた。
楠宝子は、天井裏に隠した郡平の遺体から流れる血の始末をしなければならないため、血液を溜める容器を持って毎日郡平の遺体の様子を見ることが日課のようになっていた。
毎朝、溜まった血液を捨てて一杯の水を霧吹きで与える。
外泊も旅行も彼女の意思でしていない様子から、この日課が嫌という訳ではないらしい。
むしろ、眠ったままのような彼の顔を見るのが楽しみのようになっていた。

郡平は自分だけのもの。
その想いは修一との間に、2人子どもを授かっても変わることがなかった。

郡平は今も大郷家の天井裏で死に続けている。
郡平を見たいと思った露伴は、六壁の山道の坂を登っていた。露伴が推察した、本当の六壁坂だ。
間違いない、奴もまた六壁坂の妖怪。そして六壁坂は・・・大郷家の裏、ここだ。

30年前、この忘れられていた坂の上にある屋敷に、大郷家は引っ越して来た。
それがきっかけとなって、六壁坂は再び息を吹き返した。
境い目が開いたんだ。
開いた境い目からは、当然何かがはみ出してくる。
(橋本陽馬 - 笠松将、乙雅三 - 市川猿之助、そして郡平)

忘れられた六壁坂の妖怪伝説でも、あの家の天井裏に郡平はいる。
露伴は、坂道を駆けあがる。
それは、橋本がランニングコースとして走ったであろう、乙が迷ったであろういびつな石段の坂道だ。
ただ死んでるだけの奴の目的は何だ。知りたいのはそれだ。

露伴は立ち止まる。坂を踏みしめる誰かの足音が聞こえたからだ。

お兄さん岸辺露伴でしょ、漫画家の。
三つ編みに、水色のワンピースを着た少女(白鳥玉季)が近寄ってくる。
知ってるよ、最近この辺の山買ったんでしょ。

誰だ、君は。

怪しい大人とは口を利くなって言われてる。

君が話しかけてきたんだろ、どこから来た。ここは簡単に入って来られる場所じゃない。
それとも、あの大郷家とも関係が・・・。君もしかして、おい、待てっ。

話しかけようと露伴が近寄ると、後ろに下がろうとした少女が枯葉に足を滑らせて倒れる。
倒れた拍子に、岩に頭を打ちつけてしまったようだ。

キミ、大丈夫か。おいっ。

露伴が近寄ると、少女はぐったりとして動かなかった。

まさか、バカな。これじゃまるで、僕がこの子を何かしたみたいじゃないかっ!

・・・何っ( ゚Д゚)

すると、彼女の頭の傷口から血液が流れ始めた後に、彼女の顔がまるで水分を抜かれ干からびていくように
しわしわになっていく。

これは、コイツはあの郡平の子どもかっ!
大郷楠宝子は、死体になった郡平の子どもを・・・そして、今度はコイツが父親のように。
僕に取りく気だっ!

ヘブンズドアッ

露伴は、少女にヘブンズドアを発動した。
彼女の本には、何気ない少女の日常が記されている。
だが、血液が抜けていることによって、そのページがどんどん黒ずんで読めなくなっていく。
露伴は直感した、マズい、これは死だ。この少女の本が完全に黒く塗りつぶされたら、もう書き込むことはできなくなってしまう。
露伴はペンを取り出し、黒くなりかけたページの端に書き込みをする。

岸辺露伴を知らない、見ることもない。

すると、少女が目を覚ました。
少女の背後に座り込む露伴には気づかず、辺りを見回している。

桐子、何してるの~?

坂の上で少女を呼び止めたのは、母親の楠宝子だった。
桐子という少女は、何事もなかったかのように母親のところへ駆け寄り、2人で家に向かう石段を登って行った。
母子の会話からすると、もう一人「カイ」という名前の子どもがいるらしい。

カイ・・・。
その名前に、聞き覚えがある。
それは、泉と一緒に集会所にいたあの少年の名前だった。

坂道を、泉と櫂がしゃべりながら登ってくる。

へぇ、人にお世話してもらう妖怪ぃ?
そんなのいるんだぁ。

いるよ、聞いたことない?

うん、ない。
少年は、泉を残して坂を駆け出す。

人に寄生してなんの苦労もせずに子孫を残す、それだけの存在。
その生き物としての幸福の絶頂は、(駆け出した坂で転ぶ少年、枯葉に足を取られる桐子、そして廊下で倒れる郡平)誰かの前で死ぬとき。

露伴は、慌てて坂を駆け降りる。
もし、泉と一緒にいるあの少年があのカイなら、大郷家の一員なら。
泉の目の前で死ぬチャンスを狙っているかもしれないのだ。
急いでスマホを取り出し、泉に電話をするが彼女からの応答は無かった。

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岸辺露伴は動かない(六壁坂)その3

2022年01月12日 | 岸辺露伴は動かない

杜王町に住む人気漫画家:岸辺露伴 - 高橋一生 は、自身の能力(ギフト)であるヘブンズドアを発動し
大郷楠宝子 - 内田理央 の頭の中にある本を読んでいた。
彼女と当時付き合っていた庭師のアルバイト釜房郡平 - 渡辺大知 が離れの二階で言い争っていた頃
本宅では、楠宝子の父親 大郷宝生 - 井上肇 のところに 高窓修一 - 中島歩 が挨拶に来ていた。

父親が楠宝子を離れから呼ぶので、座敷で待っているように伝えようとしたところ
修一は楠宝子のいる離れに行ったことがないので、自分で呼びに行きたいと言い出す。

その頃、離れでは

廊下にいて帰ろうとしない郡平。
早くしないと、今日は修一が訪ねてくる日である。
昨日買って彼女が行けていた百合は、来客があるために飾っていたのだった。
楠宝子は部屋で郡平が放り投げた封筒を持って、廊下にいる郡平に話しかける。

本当は私だってアナタと・・・、でも家を守るためには。

廊下にいる郡平に封筒を渡そうと、彼の所へ戻る。
動かない郡平に楠宝子が触れると、後ろにあったゴルフバックと一緒に郡平が倒れ込む。

え、どうやって?と思うだろうが、郡平はゴルフクラブが頭に当たり、血を流していたのだ。
(彼女の本の中では、その時まで華やかだった色彩が失われ、モノクロになっている。)
最初は郡平がふざけていると思ったのだが、身体からは血液がどんどん流れている。

彼の心臓が動いておらず、呼吸もしていないことを確かめた楠宝子。
間違いなく彼女に落ち度のない事故であるのだが、この状況だけをみれば・・・。

これって、私が殴った(殺した)みたいじゃないのっ!

混乱する楠宝子。
救急車を呼ぼうとも考えたが、もし死んでいたら・・・。呼ぶのは救急車ではなく、警察の方?

ピンポーン

すると、玄関で呼び鈴の鳴る音がした。
父親と修一が玄関の外に来ており、離れに上がって来たいというのだ。
居留守を使おうとしたが、修一がカーテン越しに影が見えたと言い、再び玄関の扉を叩き呼び鈴を鳴らし始める。
合鍵を持って来ようとした父親たちに、堪らず楠宝子が返事をする。
横たわる郡平をまたいて飛び越え、着物も髪も乱れたまま二階の階段上から玄関に向かって返事をする。

お父様っ!

なんだ楠宝子、いたのか。

ごめんなさい、ちょっと片付け物をしてたからっ!

修一くんが見えてるんだ、こっちに入ってもいいだろっ!

修一さんがっ、まぁ嬉しい。
楠宝子は返事をしながらも、どこに郡平の遺体を隠し、どこに父親たちを案内するかを考えて離れの屋敷の中を走り回る。
でも、今ちょっと手が離せなくて・・・。終わったらすぐ向かいますから、本宅で待っていただいて。
確かに、嘘はついていない。急いで郡平の身体から流れた血を拭き取っている。

そうか、じゃあなるべく早くな。
そう言って父親は離れから去って行く。

隠そう、隠すしかない。
焦りながらも、郡平の遺体を隠す選択をした楠宝子。
彼の遺体の脚を持って廊下を引きずろうとしたが、重さに倒れ込む。
すると、もう亡くなって心臓が動いていない筈なのに、血液がどんどんと彼の身体から流れ出ていることに楠宝子は気づく。
もしかしたら、まだ生きているのではと一瞬思ったのだが、血液が流れ出ているだけで彼は間違いなく死んでるのだ。
それにしても、人間は死んだ後もこのように出血するのかと驚いた。
とにかくこの血液を拭き取らなければと家じゅうのタオルを持ってくるが、血だまりに足を取られ廊下で転んでしまう。
つまづいたまま懸命に廊下の血を拭く。
なぜかわからないが、まるで血液が流れ出たことが理由のように郡平の身体は水分が抜け、しわしわになっていく。

なんなの、なんなのコレ。なんなのよぉ。

ドン、ドン、ドンッ!

すると、父親と一緒に本宅に戻っていた筈の修一の声が聞こえてきた。
楠宝子さん、待っててくれって言われたのに、ゴメン。
でもいい機会だから、2人だけで話がしたくてね。
彼は本宅には戻らず、そこにいたのだ。

お父様から、合鍵を貸してもらった。
入ってもいいかな。

ダメよ、絶対に入っちゃダメっ!
今着替え中なの、だから待ってて!

家の中で、何か血を止められるものを探し回る楠宝子。
楠宝子が本当に一人なのか、他に好きな男がいて、そこに一緒にいるのでは?
そんなことを言い出す修一。(まぁまぁ当たってます。)

合鍵までもらってみっともないけど、どうしても確かめたいし君と話したい。
だから開けるよ、いいよね。

離れの屋敷の中で楠宝子は裁縫の道具箱を取り出し、郡平の傷口を詫びながら縫っている。
郡平ゴメンナサイ、でも悪いのはアナタよ。
ワタシは悪くない。
しかし、それを遮るかのように郡平の血液が噴き出してくる。
驚いて声をあげてしまった楠宝子。

その声に心配した修一。鍵を開けようとして、鍵穴とあっていないことに気づく。
先日、母親が離れに入って来ようとしたため、郡平と付き合っていたことがバレるのを心配した楠宝子がカギを交換したのだ。
安心したのも束の間、修一は扉のガラスを割って鍵を開けようと壊し始める。

楠宝子は、畳表のような茶会用のゴザを広げそこに郡平の遺体を乗せ、シーツを被せて巻くように包んだ。

とうとう修一が玄関で靴を脱ぎ、楠宝子の名前を呼んで上がり込む
二階に駆け上がってみると・・・。

楠宝子が着物に割烹着姿で、廊下の箪笥の扉を拭いていた。

え、今の悲鳴は・・・。

ゴメンナサイ、虫がいたからぁ。
修一に背を向けたまま、優しい声で答える楠宝子。
(でも、頭の上・・・つか、箪笥の上にはあのゴザがあります。)
修一さん、私に他に好きな人がいるだなんて、本当にそう思っているんですかぁ。

いえ、すまない。(照)
本宅で待ってるよ。

彼女は修一の方を見ずに会話を続けた、いや見ることはできなかったのだ。
なぜなら、

ゴザから数滴ずつ流れていた、郡平の血液を口で受け止めて飲んでいたのだから。

お願い止まって、郡平。ワタシを許して・・・。
彼女の祈りにも似た気持ちだった。

彼女の本を読んで驚愕する露伴

なんだ、これは。
この郡平という男は一体。

楠宝子の本に書かれた内容に、驚きながらも先を読み進める露伴。
事件の日の夜中、楠宝子は郡平の遺体を山に埋めることにしたようだ。
血液の抜け続ける郡平の身体は軽くなっており、無理をしなければそれほど出血しないため
彼女一人でも始末できると判断したらしい。

離れの廊下で郡平の身体を引きずっているとき、うっかり百合を飾った花瓶が倒れてしまう。
驚いたことに、倒した花瓶の水が郡平にかかると、シワだらけの郡平は吸水して姿が戻るのだ。

寝てるみたい、綺麗。アナタの顔好きだった。
嫌いで別れ話をしたわけではない、憐憫の情さえあったのだ。
先ほどまで山に遺棄しようとした遺体へ、口づけをする楠宝子に露伴は驚く。

集会所の二階から駆け降りた露伴。
何かを確かめようとするつもりだ。

一階には、露伴の担当編集者:泉京香 - 飯豊まりえ が小学生から凄い情報が取れたと言う。
この子は、櫂(かい) - 吉田奏佑 くんって言うんですけど、なんと山でぇ~。

分かった、そっちは君に任せる。
そう言い残して、露伴は集会所を駆け出して行くのだった。

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岸辺露伴は動かない(六壁坂)その2

2022年01月11日 | 岸辺露伴は動かない

六壁坂の伝説について、取材にやってきた杜王町に住む人気漫画家:岸辺露伴 - 高橋一生 と その取材に現地で同行することになった露伴の担当編集者:泉京香 - 飯豊まりえ 。

坂道の途中で彼らを追い越していった乗用車、その後部座席に乗る女性。
奥様って感じでしたねぇ~。と見送る泉。

すると、車の後ろから坂道を上がって来た子供たち。
2人を見つけると、いたぁぁ~っ!と声をあげて駆け寄ってくる。

泉は編集担当者らしく、自分が子供たちの対応をするので露伴には取材基地(集会所)へ戻ってもらうように伝える。
だが、好奇心旺盛な子どもたちは大人しくするはずもない。

あれ、岸辺露伴でしょ。サイン、サイン。サインくださいっ!
そう言って騒ぎ始める。

あぁ~、わかったわかった。

サインはまた今度。露伴先生、今日お仕事で来てるから。

その様子を、車の後部座席から降りてきた細いヒールを履いた女性が見ている。

うそだ、漫画描いてなかったじゃん。

漫画を描くための取材っ。そうだ、君たちも知らないかな。不思議な話。

学校の怪談とか?

そう、そういうの。もしかしたら露伴先生の漫画になるかもぉ~。

車を降りてその話をきいていた女性は、さきに集会所へ降りて行った露伴に興味を持ったようだ。
田舎の村らしく、村内放送 - ファイルーズあい の声が山に響いて聞こえてくる。

手掛かりはやはり、橋本陽馬 - 笠松将 と 乙雅三 - 市川猿之助 かぁ~。
走ることに取り憑かれた陽馬は、おそらく六壁坂に入った。
とすると恋人(
早村ミカ - 真凛)が(死体で)発見された場所か?その近くが六壁坂の筈だが・・・。
石段に腰をあずけ、地図にペンで印をつけ始める。
乙雅三が交渉に行ったふもとの地主の家、陽馬が恋人の死体を捨てに行った場所とはルートが全く重ならない。

捨てる・・・。
乙雅三も何か・・・(ヘブンズドアで読んだ乙の本に記載された内容)交渉が難航している地主に、また挨拶に行ったら岸辺露伴と言う漫画家に全部売ってしまったという。
帰り道には迷うし、サイアク!(メロンを捨てていく)腹立って土産のメロンを投げ捨てた。(その時、後ろから乙に風が吹いた。)

乙雅三は迷ったんだ。地主の家から帰る途中、どこかに入り込んだとしたら・・・。
露伴は思いついたように地面に地図を置き、その写真からは分かりずらい山道のようなところを乙が歩いたのではないかと推察する。
そのアプローチはやはり曲がりくねりながら、あの大きな家へとたどり着いているのだ。

もし、この道が(本来の)六壁坂だとしたら・・・。

やっと子どもたちをなだめて降りてきたと思われた泉が
先生、ちょっとサインをお願いしたいって言う人が・・・。そんなことを言い出した。

泉君、キミなんのために・・・。
するとその人物が後ろからやってくる。それはあの車に乗っていた婦人 - 内田理央 だった。
さっきのお屋敷の人ですよね。アポ取らなくてもお話聞けそうじゃないですかっ!
じゃ、取材基地のほうで・・・。あたしは子どもたちから情報集めますね、結構いい情報持ってるんですよっ!
そう言うと、露伴とその女性を残して、泉は子供たちのいる方へ戻って行った。

坂の上で、つばの広い帽子とサングラスをとり、お辞儀をする女性。
露伴は彼女と集会所の二階の和室で話をすることになった。

改めまして私、大郷楠宝子(おおさとなおこ)と申します。不躾なお願いで、申し訳ありません。
子どもが本当に大ファンなもので、どうしてもと。
そう言って、用意させたのか色紙とペンを取り出す。
差し向かいに座った露伴が、その色紙を手に取りサインを描き始める。

先ほど、うちの近くで先生をお見掛けしました。

家・・・というと。

坂上の。

あぁ。

何か御用でしたでしょうか?

別に、たまたま通りかかって。

あぁ~。

この村で一番古い家柄だとか・・・。

古いだけの家だという彼女。それよりも村では、有名な漫画家である露伴が村周辺の山を購入したことで、ちょっとした騒ぎになったという。露伴が買った山は彼女の家のすぐ裏で、どうしてこのような辺鄙な土地を買ったのかと露伴に尋ねると、彼は気に入ったからだと答える。

こんな何もない処が?

漫画家にとっては、いろいろとあるかな。
色紙を描き続けながら楠宝子との会話を続ける露伴。
描きあがった色紙を彼女に渡して、受けとった楠宝子が色紙に視線を落としている間にヘブンズドアを発動させた。

ゆっくりと倒れ込む楠宝子を腕に抱え、辺りの様子を窺ってから彼女の本を読み始める。

大郷楠宝子(おおさとなおこ)
昭和60年(1985)
六壁坂井村生まれ。
享保3年創業の老舗味噌蔵11代目当主の一人娘として両親に溺愛されて育つ。〇〇丘女学院大学文学部卒業。趣味はガーデニング、読書。現在六壁小学校のPTA副会長~

六壁坂村で300年続く老舗の味噌づくりで成功した一族の一人娘であり、跡取り娘。
それまで本社のある東京にいた一家は、娘を空気のいい田舎で育てたいと、六壁坂村に戻る。
坂上にある屋敷からの通園通学は、常に運転手付きの車で送り迎い。
大学は片道2時間。それでも娘を溺愛する両親は一人暮らしを認めず、せめてもの自由は本宅向かいにある離れに住むことのみ。
彼女の本にある記憶により、露伴は屋敷の中を歩く。
離れに向かう庭の中を歩く楠宝子。その姿を庭師の男性の一人が目で追う。
離れで買ってきた百合を花瓶に生ける彼女に、先ほどいた庭師の男性:釜房郡平 - 渡辺大知 が家にあがり後ろから抱きついてくる。

な~おちゃん。

花を生けたまま、バイトは終わったの?と彼に声をかける楠宝子。
明日は休みだから一緒にゴロゴロしようという郡平に、人目があるからもっと気をつけてここへ来るように注意する。
だが、お構いなしに彼女の膝の上に頭を乗せて甘える郡平。
楠宝子も、そんな郡平をペットでも飼うように甘やかしていた。

その翌日、着物に着替えて姿見の前で襟を整える楠宝子。
郡平は昨日
離れに泊まったらしい。喉が渇いたと、楠宝子に飲み物を催促する。
渡されたジュースを飲みながら、郡平は「この離れに引っ越ししようかな。」と言い出すが、楠宝子はそんなことをしたらつきあっていることがバレてしまうため、反対した。
ジュースを飲んだらゲームを片付けて自宅に帰るよう言われた郡平は、拗ね始める。

最近、楠宝子の態度が冷たくなったと言う郡平。
彼が庭仕事をしていると別の男性、郡平曰くダッサイ男がダッサイ車で大郷家の本宅を訪ねてきており、その来訪に合わせて楠宝子がおしゃれをして本宅に向かっていることに気づいていたのだ。

な~ん、ま~さかのま~さかだよねぇ。

ため息をついた楠宝子は、奥の和室にある化粧鏡の引き出しから封筒を取り出した。
勘づいているなら、話が早いわ。
そう言って、彼の目の前に封筒を差し出す。

お互い楽しい思い出だったということで・・・。

これは手切れ金ということらしい。

うちのお父様が許すわけがないのよ、アタシはこの家を継いで守らなきゃいけない一人娘。
アナタはただのバイトの庭師。春に卒業したら、結婚して婿養子を取ることも決まってる。
アナタの見たダッサイ男がそれ。
でも家柄は申し分ないし何年も前から決まってたの、だから・・・。

急な別れ話に驚いたものの、お金の入った封筒を覗き込んだ郡平は、その封筒を放り投げてふざけ始める。

や~っだよ、うそでしょ。なおちゃん。
いいじゃん、このままで別れなくても、ネッ!
今までどおり彼女に甘えてじゃれつけば、モトサヤに収まると思っているのだ。
廊下まで抱きついてきて、そのダッサイ男に自分たちの仲の良さをみせつけようとまで言い出す。
郡平を振りほどこうとして、楠宝子は郡平の頬を叩いてしまう。

怒った郡平が衝動的に楠宝子の頬を叩き返してしまうが、我に返る。
なんとか関係を修復したいとすがりつく郡平、彼を振りほどこうとして楠宝子が廊下で郡平を突き飛ばすと・・・。

ガッッ

なにかにぶつかる鈍い音が聞こえた。

 

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岸辺露伴は動かない(六壁坂)その1

2022年01月10日 | 岸辺露伴は動かない

家の納戸のような場所、女性(内田理央)が長持のような箱に向かって話しかけている。

可愛いっ、アナタは私だけ。これからもずっと。ずっとアナタと一緒に・・・。
彼女はペットにでも話しかけているのか。
ポタリと赤黒い液体が落ちる音がして、それを溜めている容器の中で波紋が広がる。

オープニング

いよいよですねぇ~、六壁坂の取材っ!

杜王町に住む人気漫画家:岸辺露伴 - 高橋一生の自宅兼スタジオで、露伴の担当編集者:泉京香 - 飯豊まりえ が遠足に行く子供のようにワクワクしている。
謎の妖怪伝説とは何か。いい取材ができるといいですねぇ~。

本当なら、もう行ってる筈だった。

原稿をあげた後で疲れていたのだから仕方ないですよと、露伴の肩を揉み機嫌をとる泉。
当然の如く、嫌がる露伴。別に疲れているのは仕事のせいではない。
それは先回の事件(背中の正面)で、
乙雅三 - 市川猿之助 の姿をしたアレを背負ってあれやこれやしたせいで、ぐったりしていたからだ。

アレを背負いながら描いた原稿は、泉の上司(編集長)の評判が良かったそうで

気迫が凄すぎて、りさえ感じる。 だったそうだ。←でしょうね。

泉が露伴の機嫌を伺っていたのは、読者プレゼントのサインとイラスト入りの色紙を仕上げてもらうためだったらしい。
出来上がった数枚の色紙が仕上がると、喜んで受け取る。
ありがとうございました、読者プレゼント早くいただけて助かりました。
入稿作業も終わってますし、これで間に合いそうですっ!

間に合うって、何にっ!
露伴の問いかけをスルーして、社に戻る泉。いつものことではあるが、露伴は呆れている。

六壁村に向かうバス

なかなかシブいボンネットバス。バス運転手:声 - 櫻井孝宏 のアナウンスが、六壁行きであることを告げる。
バスは、その1台がギリギリ通れるくらいの山道を進んでいく。 
ワンマンバスの乗客は、露伴を含めても数人というところだろう。
終点で降りた露伴が道を進むと、村の子どもたちがかくれんぼをしていた。

石畳を登って彼が目指す場所の先、二階から

先生ぇぇぇ~。

え、泉が露伴に向かって手を振っている。
どうやらここは村の集会所らしく、泉はここに荷物を置かせてもらったらしい。
取材拠点はここにしましょう、勝手に話を進める泉。

君何でここに居るんだ。(デスヨネ)

まぁ、分かる気もする。彼女が「一緒に行く」と言ったら、椅子に縛り付けてでも置いていくだろうし。
ついて行かないフリをして、駅からタクシーで先回り。やるじゃないか、泉クン。

先生、遅かったですね。

駅長がこの村出身で話を聞いていたんだ。
ていうか、話を聞き終わったら乗ろうと思っていた一台しかなかったタクシーに乗って行ったのは、君かっ!
いや、そうじゃない。どうして来たのかと聞いてるっ!

そりゃ、担当として取材に協力するためですよ。
先生の家も守らないといけませんしっ!

ハッ!(呆れ)

それにぃ、私都市伝説とかいろいろ調べてたじゃないですかぁ。
なんか六壁坂の妖怪伝説だけぇ、ちょっと感じが違うなぁってカンジがしてきたんですよねぇ。
なので手伝いますっ、取材!

麦茶を勝手に飲み、雄弁になる泉。
かくれんぼをしていたはずの子どもの一人が、街からきた二人を珍しいのか見ている。
何故見られていたのか理由が分からない彼女に、露伴が駅長から聞いた話をする。
なんでも、露伴がこの村一帯の山を買ったことが、村内で噂になっているそうだ。

子どもは、露伴がその人物であると気づいたらしく、走り去っていく。

マズいな、あれはお友達を連れてくるパターンだ。

あぁ~、あるあるですねぇ。

君、担当編集としてしっかり仕事してくれよ。
今日はさすがに読者サービスをする気はない。
そう言って露伴はその場を離れて行く。

勿論、任せてください。取材の方も。
慌てて露伴について行こうとする泉。

そっちはいい。
露伴はさっさと歩き出していった。
坂道は露伴の家に行くことで慣れているはずの泉も、このしめった石畳の坂道はキツイようで

先生、坂ばっかりだけど六壁坂ってどのへんですか。マップでは坂の名前まで出て来ないんですよ。

当然だ、六壁坂村といっているが実は六壁坂という坂は存在しない。
もちろんかつてはあった筈だ、だが六壁坂の伝説が完全にタブーとなって忘れられたときに、坂自体も消えたんだろう。

じゃぁ、先生が破産するほど山を買ったのって?

あぁ、場所が分からないせいだ。
大体~、あの辺からあの辺(視界の右端から左端までの山)を全部買った。
さすがにこっち側の集落までは全部買えなかったが・・・。

あの辺とかこの辺とか言われても、山には靄(もや)がかかっていてすっきりとはしない。
ただ、さすがの泉にも全部を買うことが無理なことくらい理解はできる。
それでも、こっち側にないとは言い切れない露伴は、全部を押えられなかったのが悔しかったようだ。
当てずっぽうで破産までした露伴に、そんなことであてがあるのかを心配する泉。
露伴が駅で聞いたとする話では、可能性は低いが道の脇に「私有地につき立ち入り禁止」という立札がある場所で、ここだと立ち止まる。

私有地と書いてあるし入れないことを心配する泉。
だが、ここがこの村で一番大きな坂道らしいのだ。
泉がタブレット、露伴が衛星写真を印刷して貼り合わせた地図を見て確認する。
この坂を登った突き当りに大きな家があり、そこで坂道は終わっていた。
左下が集会所のあった場所、そこからつづらおりの坂を上がった地図の真ん中あたりに、坂道の終点となる大きな家。
露伴が買い占めた山は、その家の後ろを囲むようになっている状態である。

地図で見ると改めて凄いですね。

この屋敷は古くて、100年以上は空き家だったが30数年前に元の持ち主が戻って来たそうだ。

へぇぇぇ~、庭も広いし立派。

すると後ろから、山をあがってきた乗用車が二人を追い抜いて通り過ぎていく。
後部座先に座っている人物が、どうやら家の関係者のようだ。

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岸辺露伴は動かない(背中の正面)その5

2022年01月09日 | 岸辺露伴は動かない

歩道橋をなんとかやり過ごす

4時間で、3km程か・・・。
不動産業者:乙雅三(きのとまさぞう)の姿をした何か - 市川猿之助 は 杜王町に住む人気漫画家:岸辺露伴 - 高橋一生の疲れた様子に嬉しそうだが、この裏ぶれ具合、どこかで見たことのある場所だ。
アーケード状で薄暗く、人通りのないアソコ・・・その壁に背中を預け、露伴は地面にしゃがみ込む。

無理ですね、六壁坂行くなんて絶対無理だ。

そうだな。

もう諦めて背中見せちゃいましょうよ。
ねぇ、見せましょうよ。楽になれるから。

先生、どうしたんですか。
そんなトコ座り込んで、具合悪いんですか?

露伴の担当編集者:泉京香 - 飯豊まりえ が、壁を背に地べたへしゃがみ込む露伴を見つけて近寄ってくる。

来るな、泉君っ!大丈夫だ。

露伴は彼女を制止するが、彼の顔色が良くないと心配する泉。
何でもないからそれ以上近づかないでくれと言って、露伴は立ち上がる。

先生、背中どうかしましたか?

いや、

でも後ろに何か・・・

いや、いいから来るなっ!

露伴と泉のやり取りを、ニヤついて眺める乙。
露伴先生、見せちゃいましょうよ。どうせもう限界でしょ~。

黙れっ!

(えぇっ)先生、やっぱりですってぇ~。

ほぅら、見たがってる。見せましょうよぉ~。

露伴は、最初苦悶していたのだが・・・笑い始めた。(ぇ
笑い出した彼を見て、ちょっと不気味がる泉。
声を掛けると、

いや、泉君。
見るなのタブーの話、覚えてるか?

勿論ですよぉ~。
【覗くな】【開けるな】・・あと【振り返るな】
最初ボツにしちゃったネタで、似たカンジのがあったのを思い出してぇ。
で、資料の新バージョン作ったんですけどぉ、ここの。
平坂のっ。

んあぁ~、良くできたっ!

そうですかぁ、いやぁ~。(テヘ)

その資料を、乙に見せるようにしながら露伴は読み上げる。
平坂で「ごめごめ」が聞こえる時、振り返ってはいけない
り返った者は「隠し」にあう。
非常に面白い。

露伴が資料に目を通していたことを喜ぶ泉。急に取材したいとメールが来たときは驚いたという。
いったい何時?
実は、露伴がタクシーを呼ぶと言って電話ボックスにもたれてスマホを取り出していた時、乙が車道を見ているスキに泉へメールを送信したのだ。

この【振り返ってはいけない話】は、聖書にもあるしギリシャ神話にもある。
日本の神話にも似た話があってね、その中で坂道が出てくる。
名前は、黄泉比良坂(よもつひらさか)。

あっ、それも調べました。
黄泉の国にがってる坂道でぇ・・・。
露伴が視線で指し示したその先にあるのは・・・あの「平坂」のプレートだ。
黄泉(よみ)、黄泉(よもつ)、平坂(ひらさか)、黄泉平坂(よもつひらさか)。字が違うけど・・・そっかぁ。

もちろん、ここだけが平坂じゃぁないんだろうが、ここもあの世じているっ!
そう思わせる何かがあるにいないっ!

歩行者信号のメロディー「とおりゃんせ」が聞こえてくる。

あぁ、なるほどぉ~。

フンっ、それが何だ!

すると、「とおりゃんせ」のメロディが終わり
「かごめかごめ」のメロディが流れ始め、泉と露伴はそれに気づく。

君、僕の背中がどうかしたか?と言っていたな。(露伴、乙を背負って立ち上がる。)
確かめてみてくれっ。(後ろを指さす)

なぁんだ、結局押し付けちゃうんだ。(泉の様子を見ようとする。)

・・・。
お前、振り返ったな。

泉がゆっくりとその場で倒れる。辺りが暗くなり、強い風が吹く中でかごめかごめのメロディががはっきりと聞こえる。
露伴が後ろを指さしたのは、彼の背中ではない。後ろにいる泉へ、ヘブンズドアを発動したのだ。
(自分だいちゅきの泉の本は、さまざまなポーズを決めた泉自身のページで埋まっています。)

平坂でごめごめが聞こえるとき、り返ってはいけない。
振り返った者は、隠しに遭う。

やめろ、やめろっ。
岸辺伴。

か見えるかぁ~。
無数の黒い人影が、露伴の後ろをうごめいている。
腕を上げ、何かを引きずり込もうとする意志を感じる。

、最初からぁ~

いゃ~、別の手を考えてはいたよ。ヘブンズドアで僕自身「お前を忘れる」と書き込む・・・とか。
たちみたいな存在は伝説と同じで、忘れられたら消えるんじゃぁないかぁ~。
まぁ~やったことはないがぁ~その前にこっちの伝説を試す価値はあるっ。

お前だって、うなるかぁ~。
背中に貼り付くというよりは、恐怖にしがみつく乙。
どんどん、どんどん、黒い影たちが近づいてくる。

そうかもしれないなぁ。
だが、余裕たっぷりの奴がてる姿は、オモシロイっ。全くぅ~。
を見れないのが念だよぉ~。

影たちのおぼろげな姿は、やがてはっきりとした意志でその手を伸ばして【乙】の姿をした【奴】を捉える。
頭、身体にその影たちの腕が、【奴】に絡みつく。
そして、露伴の背中から嫌がる【奴】を引きはがして消えてしまった。

泉が目を覚ますと、平坂はもう明るくなっていた。
どうして自分がここに横たわっていたのか、理解できない泉。
平気な顔で露伴が近づき、どうかしたのかと彼女に尋ねた。

や、今、かごめかごめが・・・。

あれはとおりゃんせだっ!

え、そうでしたか?
でもやっぱりここは境い目かも、と腕を伸ばし露伴に起こしてもらう泉。
ここは昔から不思議なことがあったらしくて・・・そう言葉を続ける彼女を遮って
露伴が肩を叩き耳元で囁く。

泉君、境い目はむやみむものじゃぁない

取材は終わったと、満足して帰る露伴。
もちろん泉は消化不良で、満足できていない。

それにしても君はがいいというより、たりやすいタイプだなっ。

当たりやすいって、何ですか?

る意味、感心するよっ。

テヘッ(∀`*ゞ)

或る意味!褒めてないよ。

 

六壁坂村

苔むした不揃いな石段が、うねるようにある屋敷に向かっている。
みるからに立派な造りのその屋敷。二階の窓ガラスでレースカーテンが揺れる。

水音?なにかドス黒い液体が一滴、容器に落ちる音が聞こえる。

エンディング

 

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岸辺露伴は動かない(背中の正面)その4

2022年01月08日 | 岸辺露伴は動かない

不動産業者:乙雅三(きのとまさぞう) - 市川猿之助 の背中を見てしまったことで、彼の姿をした六壁坂の何者かを背負うことになった杜王町に住む人気漫画家:岸辺露伴 - 高橋一生。

配達員 - 渡辺翔 の訪問でピンチに襲われたが、玄関でブリッジの姿勢を取ることでなんとか乗り切った。
荷物と一緒に手渡されたのは、露伴の担当編集者:泉京香 - 飯豊まりえ が追加で作成したペラ1枚の資料だった。

締切りの邪魔をしてきた乙に、頑張ったと言われてブチ切れた露伴は乙を・・・いや、正確には乙の姿をした何かを背負ったまま玄関の外へ出た。

お前を六壁坂に返す、いや、捨てる。

えぇっ。無理無理無理無理無理無理無理無理

ニヤニヤ笑う乙を尻目に、近所の小学生や親子連れたちからの視線を浴びながら、露伴は坂道を乙がやってきた逆の方法で下って行く。
彼らからは、露伴の背中に居る乙の姿は見えないので、通行人からはさも怪しげに見える。
乙も、こっちがヒヤヒヤしちゃうよぉ。と言う声だけが背中の方向から聞こえる。シッ、シッ!通行人を追い払う仕草をして、なんとか坂道を降りる。
半分木でできた電話ボックスに背中を預けて、スマホを操作する露伴。

誰か助けでも呼ぶ?

あぁ、人じゃなくタクシーだがな。座席に座っていれば、背中を見られずに移動ができる。

ふぅ~ん、でも乗るの難しいと思うよぉ、車道まで行けるかなぁ~。もっと狭い道だったらよかったんですけどね、惜しい。

その言葉に、露伴はタクシーを諦めて歩いて目的の場所まで行くつもりのようだ。
普段なら何でもない歩道橋も、背中を見られないように蟹歩きの状態で登って行く。
幹線道路を渡す大きな歩道橋の上まで来た、露伴と乙。

あぁ、無理だね、詰んじゃったよ、詰みだ詰みだぁ。こんなとこ歩いたら、絶対背中を見られちゃうなぁ~。

フンっ、乙雅三は僕の家まで来た。
ここを通って来たんだろっ!方法はある。

露伴は、自分の行動に都合のいい歩行者を見つけたようだ。
レザーコートを着た、ちょっとやんちゃそうな大柄の男性 - 栄信。
彼と背中合わせになるように、露伴は歩き出す。他の歩行者は露伴の怪しい様子を見て、ザワついている。
大柄の男性は歩きスマホなので、そのことには気づいていないらしい。

こんなことします?恥ずかしいなぁ。でもねぇ、露伴先生。ひとつ忘れてますよ。
乙雅三のときは、邪魔しなかっ
ってコト。

乙は、大柄な男性を挑発し始めた。
オイ、そこのバカ!それともオメェ間抜けかぁ?

んあぁ、なんだぁぁぁっ。

怒った男性は声のした方向を見ようとするが、露伴が背中を合わせて一緒に動くので、歩道橋の上でグルグルと回る。
その様子を、周りの人間は気になるのだが男性に絡まれると困るため、目を合わせようとしない。
乙が露伴の肩を強く掴み邪魔をされても、男性の腕を取り元のように背中合わせになりながらヘブンズドアを発動する。

・・・。

後ろに倒れそうになる男性を、うまく背中で支えることができた露伴。
状況から彼の本を読むことはできないだろうが、ハートマークがいっぱいついててナカナカ乙女チックだよんっ!
なになに、ピアノを習い始めた。幼稚園の頃からの夢だったんだけどお父様が許してくれなかった。無理やり柔道を習わされたのだ。やっと願いが叶った。「乙女の祈り」が弾けるようになるまで頑張るゾ!
天気予報は雨、でも心配は御無用。
ランドは雨でも全然楽しいのだ!むしろ雨のほうが楽しい。ニワカにはわからないだろうな。この領域に達するには少なくとも10年。少なくとも200回は通わないと。

そこへペンを取り出した露伴が上から書きなぐる。
振り返らない、歩きスマホをしない。

意識を取り戻した男性は、
オイッ、今俺のことを言ったのか、アァッ!
(ゴメン、あのハートマーク見ちゃうとカワイイゾ!)

歩道橋に居合わせた人間たちはさらに目を背けるようになり、男性はそのまま歩き出した。
どうやら歩きスマホをしようとすると、もう片方の手がそれを押さえるようにして邪魔をしているみたいだ。
残念だったな、僕には乙雅三が持っていないギフトがある

どうやらピンチを脱した露伴。こんな様子で、本当に六壁坂へ行くつもりなのだろうか。

 

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岸辺露伴は動かない(背中の正面)その3

2022年01月07日 | 岸辺露伴は動かない

理由は不明だが、他人に背中をどうしても見られたくないという不動産業者:乙雅三(きのとまさぞう) - 市川猿之助 を自宅に招き入れた杜王町に住む人気漫画家:岸辺露伴 - 高橋一生 。
なんとかして彼の背中を見てみようと、わざとらしく困ったフリをする。
一度(六壁坂の)土地の権利書を確認しようと思ったのだが見当たらない、そう言って部屋をうろつき始める。

その言葉に驚いて、椅子から立ち上がる乙。
露伴が彼のいる方向を見ると、慌ててまた椅子の背もたれに背中を押し付ける。

困ったな、金庫もバッグも探したんだがもしかすると、二階の書庫かもしれない。
君、悪いが手伝ってもらえると助かるんだが・・・。
そう言って、デスクの引き出しから書庫の鍵を取り出し、先に二階へ上がろうとする露伴。
壁に背中をつけながらついてきた乙を確かめると、鍵を後ろに落とし、拾うフリをして乙の後ろへ回り込もうとする。

なんと乙は、膝を床についたまま海老ぞりになって鍵を拾い、そのまま露伴に渡した。
書庫は二階ですよね、(お先に)どうぞ。

先に階段を上がる露伴。乙はその後ろを階段に背中を押し付け、腕を回さない背泳ぎの格好で階段を上がって行く。
階段の突き当りはT字になっており、右側へ曲がって三段上がるとそこが書庫のようだ。
乙は階段の左側の壁に背中をつけ、露伴はそれを右手に三段上がった場所から彼を眺めている。
書庫の鍵を開け、中へ入ろうとした露伴がもぞもぞと身体をくねらせ始める。
背中が痒い、クソッ!
君、物凄く失礼な頼みなんだが・・・。

掻きます。

お願いできるかな。

いいですよ。

そう言って、乙は今度はT字の突き当り側の壁(壁は腰くらいまでの高さで、ガラス窓がある。)に背中をつけ、露伴の後ろへやってくる。露伴の背中を掻こうと彼が中腰になって立ち上がったとき、露伴が窓をつたっていた紐を引くと・・・
後ろ(T字の左側)には大きな鏡が壁に掛けてあり、紐を引くとその鏡を覆っていた布が外れるようになっていたのだ。

鏡には何かが映っているということはない。
何だ、別にどうってこと・・・露伴が、乙と鏡の間の位置に立っていると、乙は書庫の前にある3段の踏み込みを塞ぐように屈みこんだ。

もう、終わりだぁ・・・。

おい、しっかりしろぉ。悪かったよ。好奇心を押さえられなくってね、謝るっ。でも、背中には何も問題ないようだ・・・

ダメだぁぁぁぁ。なんだかわからないけど、見られたら絶対にもう終わりなんだよぉぉぉ~っ。
絶望に頭を抱える乙を、落ち着かせようと近寄る露伴。
すると、乙の背中からバキバキと音がして、ボコボコとした突起が現れ始める。
わぁぁぁ~、何かが剥がれるぅぅぅぅ~っ!待って、待ってぇぇぇ~っ!

六壁坂・・・関わるんじゃなかったぁぁぁ~。

そう言って書庫の前で、乙は仰向けに倒れてしまう。
露伴は近寄って、首の動脈を確認する。死んではいないようだ。
すぐに救急車を手配し、救急隊員(の声) - 櫻井孝宏、ファイルーズあい によって
乙は、露伴の自宅から運び出されるのだった。

玄関口でそれを見守る露伴。
結局、背中には傷一つなかった。一体あれは・・・。
玄関の扉を閉めて戻る。

すると、どこかからさっき運ばれて行ったはずの乙の声がする。

露伴先生、かえして。

露伴の右肩に後ろから手が回り、気がつくと「妖怪こなき爺」のように背中におぶさっている乙の姿があったのだ。
ど、どうして。今、救急車で・・・。
玄関にある鏡を見ても露伴自身の姿が映るだけで、乙の姿が鏡には映らなかった。
しかし、振り返れば乙がいる のだ。

露伴先生、六壁坂返して。

露伴が、背中にいる乙に向かってヘブンズドアをしかけても、反応がない。
今、露伴の背中にいる乙の姿をした者には、ヘブンズドアは効かないのだ。
こいつはおそらく乙雅三じゃあない、おそらく彼にに取り憑いていた何かだ。
露伴は急いで部屋のブラインドを閉じ、外から自分の背中を誰かに見られないようにし、出窓の角に乙の姿をした者を乗せた。
どうやら重さは感じるらしい。
それが、彼の背中を見た僕に・・・。
ねぇ、返してよ。六壁坂返してください。

お前、何なんだ返すって。お前にか?

六壁坂は、六壁坂に。

いいか、もし、よくある「棲み処を奪われた」と言うヤツなら勘違いだ。
僕は寧ろ、お前たちのために買ったんだからな、それも全財産を与えて。感謝して欲しいくらいだねっ。

ふぅ~ん、でも返してよっ。

話しが通じない相手に、隙を見て奴を残し別の場所に移動する露伴。
しかし、気がつくとまた奴が背中に貼り付いている。

仕方なく、露伴は床にお尻をついた体制で、明日泉に渡す予定の原稿を描いている。
後ろから乙の姿をした奴がチャチャを入れてくるが、邪険に扱うと腹を立てて「誰かが覗いてる」と脅してくる。
露伴が驚くと「あ~、やっぱり怖いは怖いのか、よかった。」そう喜んでいた。描きかけの原稿にインクがこぼれ、怖いというよりはイラつく露伴。

翌日、原稿を取りに泉がやってくる。

いつもなら余裕で編集者を家にあげるため施錠されていない筈のドア、鍵がかかっており、不審に思った露伴の担当編集者:泉京香 - 飯豊まりえ は玄関のドアをノックする。
すると、疲労困憊の顔をした露伴が乙を背負ったままドアを開け、原稿の入った封筒を泉に渡す。
泉からは背負っている乙の姿は見えないため、彼女が作った特製の追加資料を露伴に渡そうとする。

いらないと言っただろ、君しばらくここには来なくていいからなっ!

そっけなくドアを閉められ、ホントにしばらく来ませんよっ!ぷち怒る泉。
だが露伴の疲れた表情には気づいており、なんかちょっと疲れてるっぽい。そう言って帰って行く。
いや憑かれてますけどね。

奴はニヤつきながら、露伴に話しかける。
お疲れですねぇ、背中見せれば楽になれたのにぃ~。

で、今度は泉君が僕の姿をしたお前を背負うワケか・・・。
(泉の背中に貼り付いた露伴、息も絶え絶えに坂道を歩く泉の姿。
返して、六壁坂返してぇ~。

絶対にヤダね。

じゃ、お仕事終わったから、六壁坂返しますぅ?

だぁかぁらぁっ(怒)
落ち着け、こいつに人の理屈は通用しない。
六壁坂によそ者が手を付けた。あるのはただそれだけだ。
地主から高級メロンを取り返し、道に迷った乙。メロンを捨ててきた彼にくっついたのも偶々なのかもしれない。
確かなのはこいつは納得しない限り、僕の背中からは離れない。そしていつかは背中を見られて僕は・・・。

コン、コン、コン。(玄関のドアをノックする音と、誰か男性の「こんにちわ~、お届け物で~す。」という声がする。)

ギョッとする露伴。
泉が帰ってからドアの鍵を施錠していなかったのだ。
見回すと、玄関には鏡がある。これを見られたらマズイ。

ドアノブが回され、荷物を抱えた配達員の男性 - 渡辺翔 がドアを開けると

 

露伴先生、ブリッジしてた。

 

あ、どうも。

言っても無理だろうが、気にしないでくれ。

あ、これ。お荷物です。

そこに置いといてくれ。(露伴、指をさす。)ご苦労様。

男性は荷物を床に置くと、
あ、これそこに落ちてましたよ。
そういって、泉が残していった資料を一緒に置いて行った。
ドアが閉まると、ブリッジが崩れ床に背中をつける露伴。

危なかった、ダメですねぇ。気をつけないと。

どうやら、泉がドアに資料を貼り付けて帰ったあと、剥がれて落ちていたらしい。
裏には手書きで

原稿ありがとうございました。

そう書かれている。

ん~、何々。昨日徹夜で頑張ったもんねぇ、お疲れさま。

あぁ、漫画を描くために徹夜したのは、初めてだ。
あんなに邪魔されたこともな。
つまりお前は、この岸辺露伴の・・・いやぁ、漫画と読者を侮辱した。

先生怒ってる、地味ぃに怒ってる。

 

 

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岸辺露伴は動かない(背中の正面)その2

2022年01月06日 | 岸辺露伴は動かない

露伴の自宅兼スタジオ

杜王町に住む人気漫画家:岸辺露伴 - 高橋一生 の自宅、賑やかな露伴の担当編集者:泉京香 - 飯豊まりえ が帰り
静かになったはずの玄関先で、男性の挨拶する声が聞こえる。
どうやら挨拶の内容から、この男は不動産業者で 株式会社NSリゾートの乙雅三(きのとまさぞう) - 市川猿之助 という人物らしい。六壁坂村のことで相談(商談)にやって来たのだ。

最初は無視して作業を続けていた露伴だが、六壁坂と聞いてペンを動かす手が止まる。
玄関のドアを開けると、少しおずおずとした様子の乙が挨拶をする。
先ほど泉と坂道ですれちがったときは、遠目で気にもならなかったが、スーツの上着の裾が長くシャツの襟も大きくてビジネスマンの風情ではなかった。なんだろう、ランニング野郎の時に現れた2人組の不動産業者とは違い、独創的というか自由だな。
玄関先へ露伴が出ると、玄関前の壁に背中をつけて乙が名刺を出そうとしたので、ヘブンズドアを使って露伴は彼の情報を読み取ることにした。

イキナリですまないが、六壁坂絡みはちょっと前例があるんでね。名刺代わりに読ませてもらう。
そういって、玄関先で倒れ込んだ乙のページを読み進める。
乙雅三 1980年生まれ 出身は・・・いや、生い立ちはいいな。もっと最近の・・・
そう言って、彼がページをかき分けていると、面白い内容が目に留まった。

MTG・MTGって玉子かけご飯?→いや、ミーティングのことね、きっと。
六壁坂プロジェクトMTG→企画書作成!!
左側のページにはスケジュールが書かれているのだが、右側のページにはびっしりと心情が書かれている。

明日は大事なミーティングだ。帰りたいのに、部長に誘われた最悪!!
初めてのプロジェクトリーダー
これまでの努力が実を結んだ 脳内にファンファーレがなりひびき晴れやかだ。 仕事が 人生 が楽しくなってきた!
プロジェクト発足後 飲み会 リーダーになったお祝いをして貰う。
頑張ってきてよかった。 上等なスーツを新調した。 値は張ったオーダーメイドだ仕方ない

他のページにも六壁坂についてミーティングを重ねており、前の地主にも挨拶に行く予定だったようで

松;メロン 竹:ようかん 梅:洋菓子 (手土産選定の様子が書かれていた。)
部長から土地の引き渡しの日取りを聞かれる。完全に油断していた早めに契約を済ませてしまおう。→地主の代理人にTELするもつながらず★明日電話!
交渉が難航している地主にまたあいさつに行ったら岸辺露伴という漫画家に全部売ってしまったという。
ありえない!当然、土産の高級メロンは取り返したが、帰り道に迷うし最悪だ!!腹立ってメロンは投げ捨てた。
部長も努って土地を買い取って来いと言う。確かに漫画家が持っていてもしょうがない土地だ。
上手くいけば地主と交渉するよりも楽で安いかもしれない。(原文まま)

なるほど、悪いが売る気はないよ。
兎に角、問題はないようだが一応書いておくか。

露伴は持っていた作画用のペンを取り出し、
岸辺露伴には危害は加えない と書き込んだ。

さらに新しいページを確認していると、変わった書き込みがあった。

私は人に背中を見られるのが嫌だ

別のページにも、

他人に背中を見られてはいけない、絶対にダメだ。理由はない。
だが、背中を見られるのは→絶対に嫌だ!

そう書かれているのだ。
人はみな、本人にしか判らない悩みや恐怖を持っているな。

露伴は立ち上がり、ヘブンズドアを閉じた。
乙は意識を取り戻し、立ち上がる。
名刺を渡そうとしていたことを思い出して、ポケットの名刺入れを探す乙に
もういいよわかったから、六壁坂の山を買いたいと言うんだろ。
露伴にそう言い当てられて驚く乙。(読んだんだけどね。)
これが漫画家の感性というものなのかとも思うが、粘ってみようと話しかける。
だが露伴は、どうにも乙が背中を隠す動作が面白くなってしまい
売る気もないのに、乙へ家にあがるよう招く。

背中を見せないようにする身のこなしが、忍者のそれのようでどうにもおかしいし、制止した状態もジョジョ立ちのようで
露伴はそれを知らん顔で楽しんでいる。

お互いにどうぞどうぞと、玄関口のくだりがなかなか長い。←ダチョウかよっ!

乙の様子を見た露伴は、
この男、僕の家までずっとこうやって来たのか・・・。
そう考えながら、奥に入って行く。

先を進む露伴を見ながら、壁に背中をこするように玄関を上がる乙だった。

(その頃、社に戻った泉は露伴に見せる追加のネタ資料を作り、その出来に満足の笑みを浮かべていた。)

露伴の自宅

ドアの向こう側で、露伴は乙の様子を眺めている。飲み物のカップを手に部屋に入ると、背もたれにビッタビタな乙が、自分から話を振って来た。

それでぇ、あれですか。先生が六壁坂村の山林を購入されたのは、なにか投資とかそういう・・・。

いや、ただ仕事に必要でね。

でも、確かお仕事は漫画家・・・。

そうだよぉ。(飲み物をテーブルに置こうと近づく)

(背中を露伴に向けまいと、態勢を変える乙)漫画に必要なんですか、山2つぅ3つも土地が。

必要だねぇ~。

最近は漫画もそういうぅ、あれですかねぇ。

そういうぅ、あれだねぇ~。(そう言いながら、テーブルの乙からけっこう遠い位置にカップを置く。)どうぞ。

恐れ入ります。

冷めないうちに・・・。

紅茶ですねぇ。そう言うと、液体のように椅子から滑り降りてカップを手に取り、紅茶をすする。

その様子を、乙から見て左90度辺りに椅子を置いて露伴が眺めている。

乙君だったか、好奇心から尋ねたいんだが、いいかな。

(椅子からずり落ちた状態で、紅茶を飲んでいる乙。)なんでしょう。

背中に何か、見られると困ることでも?

さぁ、見られたことないんで。(ニッコリ)

思わず、席を外して廊下に出る露伴。
ちょっと待て、何だあれは。面白すぎるっ!
こうなると、露伴先生のドS全開。何が何でも乙の背中を見てみたいと思うのだった。

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岸辺露伴は動かない(背中の正面)その1

2022年01月05日 | 岸辺露伴は動かない

露伴の担当編集者:泉京香 - 飯豊まりえ は、交差点で自分が渡る横断歩道の信号待ちをしている。
歩行者信号が赤から青に変わり、視覚障がい者向けの電子音「とおりゃんせ」が流れる。
正式名称:メロディ式 音響装置付信号機。交通量の多い交差点でも聞こえるよう、大きめの音量で流れる曲は騒音苦情の申立てもあったため、現在は苦情の少ない「鳥の鳴き声を真似た音」の出る歩行者信号に置き換わっているようです。
導入当時同級生から聞いた話では、一つの交差点でも渡る方向により「とうりゃんせ」と「かごめかごめ」を使い分けていたと
聞いたことがありますが、確認が取れていません。その他のエピソード(同じ同級生談)としては、「笑っていいとも」にゲスト出演した片岡鶴太郎(当時彼は近藤正臣のモノマネをネタとしていた)が、歩行者信号を渡る近藤正臣が「とおりゃんせ」をあの通りの口調で歌詞を語りながら歩いて行ったのを、カッコイイと思って見た。という話が記憶にありますな。
先日、杜王町に住む人気漫画家:岸辺露伴 - 高橋一生 に、原稿料の前借りを依頼された後
露伴の自宅に向かう前の言葉がきっかけとなり、坂という文字が付く場所に立ち寄るつもりのようだ。
その言葉とは、

場所というのは重要だ、よく幽霊は人に憑くというが、妖怪は場所に憑くと言うだろ。
坂と言うのは、そういう場所のひとつだ。気を付けた方がいい。

というものだった。
露伴と別れた後、泉が検索にヒットしたのは「六壁坂」であったが
とりあえず近場で、「坂」がつく地名で露伴の言うようなエピソードがある場所があるのかをあたってみるつもりらしい。
スマホを頼りに、泉が辿り着いたのは「平坂」という地名プレートの場所。

しかし、その平坂という名の場所を見た泉は驚く。

あれっ、「坂」じゃないっ。

そう、彼女が訪れた「平坂」という場所は、鉄道高架付近のアーケードで、陽も射さないなんとも薄暗い路地裏の平坦な小道だったのだ。
店舗があるのは表側で、その小道は店の厨房裏のような扱い。賑わいどころか、人通りすらない。
でも、せっかくネット検索で調べて来たのだから、ちょっと冷やかしに通ってみようかと、泉は平坂を歩き出す。
取り出したタブレットには、ネット検索でヒットしたwebページが表示されている。

都市伝説ハンターやすこの
恐怖と悪夢の楽園

「平坂」の怖い話

皆さん、平坂を知っていますか?
「平坂では決して振り返ってはいけない!」
そんな話を都市伝説ハンター仲間のおなじみキョンちゃんから教えてもらったのは一週間前。平坂?聞いたことなかった。ひらさか?平らな坂?
なんか矛盾しているけど・・・。

「どんな坂なの?呪縛霊系?」
キョンちゃんはニヤリとして言った。
「平坂で振り返ると戻れないよ」
どういうこと?戻れないって、どこに行くの?

「今から行ってくるね!」
(読み取れないので不明)

振り返ると戻れない、かごめかごめが聞こえるとき。・・・かごめかごめ?
そのとき歩行者信号の電子音が流れてくることに、ハッと気づく泉。
あ、これ「とおりゃんせ」だ、てか振り返っちゃったしぃ。
ここもハズレかなぁ・・・。
そう言って歩き出す泉。どうやら何か所か回ったらしい。
だが、数歩歩き出した時、その足取りが止まる。
歩行者信号の電子音が「とおりゃんせ」から「かごめかごめ」に変わっていたからだ。
それまで吹いていなかった風が、彼女の身体を通り抜け背後が薄暗くなる。
彼女は気づいてはいないが、後ろから無数の腕が彼女を捉えようと迫っているのだ。
数々の手がその指を広げ、彼女の頬の横をかすめている。
寒気がしてその方向を見たいが、見ることができない。

ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ。

スマホの呼び出し音が鳴り、電話をとる泉。
その音に追い払われるかのように、沢山の腕たちは消えていた。

あぁ、会議の議事録。すぐやりますっ!

泉は前方へ駆け出し、社へ戻って行った。

ヤバぁい、忘れてたぁぁぁ~っ。

オープニング

露伴の自宅兼スタジオに、泉がやってくる。
荷造りをしている露伴に、「まさか、夜逃げですか?破産しちゃったから。」と、相変わらずうっすら空気を読まない感じの問いかけをする。
大丈夫です、前借りの件は編集部から経理の方に頼んでありますし、漫画のネタも私、いろいろと集めてますからっ。
ドンドン描いて、この家守りましょっ!

ケーキと茶封筒を手に、慰めてるのか励ましてるのか、うっす~く傷口をえぐりに来ているのか、口上の止まらない泉。

ありがたいね、僕の家のことをそんなに心配してくれて。(棒読み)

当然ですよぉ、私ここ好きですもん。なんか落ち着くっていうか、ホッとするんですよねぇ。

泉君、ここは君のカフェじゃないんだぞ。

兎に角、夜逃げは止めましょ、先生。

ちぃ~うっ、取材だ。

あぁ~、いつからですか?

2~3日くらいで戻るという露伴に、原稿を落とさないように次の号の締め切りが明後日であることを伝る泉。
いつもどおり前日には原稿が仕上がることを彼女に伝える、露伴は原稿を落としたこと(締め切りに間に合わないこと)がないらしい。そういう意味では、担当を泣かせていたりしない作家のようだ。

でもぉ、取材って六壁坂ですか?
無駄に勘のいいというか、ある意味持っている泉。露伴の話をヒントに、危ないランニング男について検索で調べているうちに、六壁坂という地名へたどり着いたらしい。よって露伴が買い占めた場所は六壁坂ではないかという。

ちょっと思っていたんだけど、君。案外勘がいいな。(褒めてない褒めてないぞ)

まぁ、担当編集としてぇ、作家さんのことはいろいろと知っておかないと。(気づいてない、気づいてないぞ)
特に露伴先生わぁ~、

何だっ!

あ、おいしいケーキ買ってきましたぁ~。(ご機嫌で窓際の場所に移動)

だから、ここは君のカフェじゃないっ!

ケーキの箱を開けながら、泉は六壁坂については妖怪伝説の情報が全然ないから、余り期待できないのではないかと言う。
伝説があるらしいというだけで、伝承などについての記述・口述等が見当たらないのだ。
だが、露伴は書くことも話すことも絶対にタブーと言うことは、逆に信ぴょう性があるという。今のようにすぐにWebに載せられる時代でなければ、あったという事実だけが残るからというのが彼の推察らしい。
泉は、露伴の座る作業デスクに近づき、自分がプリントアウトしたお手製の資料を露伴に渡す。
内容は坂道に厳選した

泉 京香セレクト!
の都市伝説』おすすめリスト

 

という表紙が手書きされている。

内容は、いかにもネットで検索したような内容だと露伴に小馬鹿にされるが、そこはひるまない泉。
行けるところは、先ほどのように現地に出かけているという。さっきの道も「坂」と書いてあったが、実際は平らな道だったことを報告する。

別に重要なのは、地形じゃない。

でも、平らだったら坂じゃないですよ。

坂というのは、境目だという説もある。
あるモノを区切る境界線(紙の上に〇を2つ描き、その間に線(境)を引く。)あっちとこっち
踏み込んではいけない、関わってはならない線引きだ。(デスクの向こう側の角を使って、その紙に折り目をつける。)
よくあるだろう、絶対に見てはいけないものを見てしまう【見るなのタブー】

あぁ~、鶴の恩返しとか?

覗くな、開けるな、見るな・・・或いは、振り返るな。
世界中にあるし、日本神話にもまさに境目である坂道の話もあるしな。

へぇぇぇ~。

僕が今興味を持っているのもそういう坂だ。そして、そのタブーを超えた先(そう言って紙の折り目の向こうを指で指し示す。)そこにネタがある。
もちろん、簡単に超えていいものじゃない。

分かりました、で、(この資料の)どこから取材しますぅ?

・・・。あのなぁ。

ここいいと思うんですよねぇ、転ぶとなんと10年以内に死んでしまうという【呪いの坂道】

そりゃ、10年もあれば死ぬ奴もいるだろうな、それよりいいから君は返れ!僕は描き始めたいんだっ!明日までに原稿を上げるんだからなっ!

そういって泉の両腕を抱え、泉の片足を踏んでもお構いなしでそのまま玄関先へと送り出そうとする。
なんとか踏ん張る泉だが、とうとう玄関前に送り出され、資料の受取も断られた彼女は、腕にハンドバックを通されて扉を閉められる。

もぉ~っ、せっかく調べたのにぃっ!
登って来た石段を下りて帰ろうとしたとき、露伴の屋敷周りの石垣に不審な男(市川猿之助)
の前を通り過ぎる。
その男は、淡い紫のスーツに営業カバン。まぁ身なりは普通なのだが、背中をぴったりと石垣につけて横歩きに坂を登っているのだ。
通り過ぎようとして気になり、後ろを向くとぴったりと背中を石垣につけて立ち止まり、目線を彼女と合わせないように男はふるまっている。
2,3歩歩き出して振り向く、1歩歩いて振り向く「だるまさんが転んだ状態」。
気にはなったものの、再び石段を歩き始めて露伴の言った言葉を思い出す泉。

坂というのは、境目だという説もある。
絶対に見てはいけないものを見てしまう【見るなのタブー】
覗くな、開けるな、見るな・・・或いは、振り返るな。

そっか、あそこは坂道じゃないから(リストから)ボツにしたんだ・・・でも、ヨシッ!

彼女は、心当たりのある場所へ向かうことにした。

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岸辺露伴は動かない(ザ・ラン)その5

2022年01月04日 | 岸辺露伴は動かない

露伴先生これからですよ、勝負はもう再開してます。

そう言って橋本陽馬 - 笠松将 がA(杜王町に住む人気漫画家:岸辺露伴) - 高橋一生 との勝負の続きをしようと走り始めたのだ。
マズい、ここでノーと言えば、おそらく僕はコイツにとって邪魔な存在に・・・。

露伴先生、どうしたんです。

Aは呆れた、いや呆れている。
好奇心は猫を殺す、そんなことわざがあったな。

はい?

今、少し反省している。
勿論、本当に少しだが。どうも僕は、超えてはいけないレッドラインをいつも超えてしまうらしい。

確かに「後悔先に立たず」ですね。
自分と勝負したことを、Aが悔やんでいるのかと橋本が自尊心に浸っていると
それを否定するかのように、Aは彼の言葉を修正する。

少し違うな、これからすることを後悔とは言わないだろう。
反省しているのは、この状況でもまだ君を全部読もうとしている僕の性格だ。

あ、そこ。そこに呆れてたんスか、先生。

Aはゆっくりと、自分のマシンに戻る。
後ろでは、高架を走る高速道がダイレクトに見え、人気のないジムで強い風の音だけが聞こえている。

マシンのスピードが徐々に上がり、Aのマシンの時速が22km/hに上がる頃
余裕たっぷりの橋本は、ハンデはこれくらいでいいですかね。と、ギアを上げにかかる。

22から、23、2人の時速が徐々に上がって行く。
そして、お互いのスピードが時速25km/hになったとき
2人がほぼ同時にリモコンへ手を伸ばすが・・・

リモコンを手にしたのは、A


ではなく橋本の方だった。

勝負に勝った喜びに、雄たけびにも似た叫びをあげる橋本。
自分のマシンを止めようと、リモコンのスイッチを押した。

・・・。

マシンの反応がない。
リモコンは反応しているのに自分のマシンは止まる様子がない。

スピードが徐々に落ちているのは、Aのマシンの方だ。

悪いが、念の為書かせてもらった。

Aはマシンスピードが完全に落ちるまで、走りを維持している。

そう、Aは橋本のページにこう書き込んだのだ。

 

 

リモコンは露伴のマシンに向けて押す

 

 

橋本は、マシンスピードに巻き込まれ
自分が割ったガラスの向こうへ落ちて行った。
マシンのスピードが完全に落ちた頃、Aはマシンの横に転がり降りた。

露伴先生。

橋本の声が聞こえたような気がして恐ろしく、とてもガラスの向こうを覗き込む気にはなれなかった。

**************************

原稿料前借りの話のあと、自宅への坂を登る露伴と露伴の担当編集者:泉京香 - 飯豊まりえ

え、終わりですか、妖怪は?

聞いてなかったのか、どう考えてもそのランニング男がおかしいだろっ!

いや、おかしいですけど。なんか肝心なトコがフワフワしてて・・・その男Aって人がどうやってランニング勝負に勝ったのかとか。

・・・。
足が速かったんだろっ!

えぇ~っ!
それやっぱりただの都市伝説ですよぉ、本当だったら大騒ぎになってますよ。

事件にはなってた。ただそれぞれが結びついてないだけだ、証拠も無いしな。

それに、先生が買った山の妖怪伝説とは関係ないですよね。

その言葉に露伴の足が止まり、泉の方を振り返ってから言葉を探す。
場所というのは重要だ、よく幽霊は人に憑くというが、妖怪は場所に憑くと言うだろ。

それって、どういう・・・。そう言いかけて転びそうになった泉を、露伴の腕が支え起こした。

坂と言うのは、そういう場所のひとつだ。気を付けた方がいい。

家の前までたどり着いた露伴と泉。
兎に角事情はそういうことだ、前借りの件、編集長には話を通しておいてくれ。

そういって、いつものとおり泉を玄関前に残して扉を閉めた。

ちょっと露伴先生、せっかくここまで来たのにぃ~。
口をとがらせた泉は、ドアの向こう側に露伴の気配がないのを確かめると
身体の向きを変え、玄関前の石段を降りて行く。
名残惜しそうに、もう一度ドアの方を見る。
ここがなくなっちゃうなんてぇ、ヨォ~シッ!

なにかを心に決めたのか、泉は意気込んだ足並みで戻って行った。

1人机の前に立ち、上着を脱ぐ露伴。
橋本陽馬がその後、どうなったかは分からない。
ジムで最後に橋本の声が聞こえた気がする露伴。あれは何だったのか。だが何だろうと、橋本陽馬だった者が橋本陽馬でなくなったのは間違いない。

おそらく、あの場所で・・・

露伴がヘブンズドアを使って、橋本の本を読んだときに書かれていたあの場所。
お気に入りのランニングコースだ、左の頬の位置にはそう書かれていた。

*******************

その頃、泉は社に戻り、自分のノートパソコンで男Aの話に該当する事件がないか調べていた。
ジムで心臓麻痺で亡くなった人の記事はあるけど・・・。
次に、目をとめた記事のタイトルがあった。

行方不明の女性、山林で発見 9/8(水)21:23配信

これそうじゃないかな、場所は・・・。六壁坂村?

*******************

露伴が視線を右頬の位置に移すと、そこには

六壁坂。  そう書かれていた。

自宅兼スタジオで西日を浴び、そのことを思い出しながら笑みを浮かべる露伴。
間違いなく、破産した甲斐がある。
その笑みは更に大きくなるのだった。

エンディング

露伴先生、時系列は置いておいてなんとかやってみました。
敢えてアタクシから先生に向ける格言があるとすれば

反省すれども、学習せず。( ー`дー´)キリッ

と言ったところではないでしょうか。まぁ、学習しちゃったらお話にならないんですよね。

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岸辺露伴は動かない(ザ・ラン)その4

2022年01月03日 | 岸辺露伴は動かない

男Aが通う会員制スポーツジム

男A(杜王町に住む人気漫画家:岸辺露伴 - 高橋一生)がトレーニングをしていると
隣のマシンに橋本陽馬(モデル・プロダクションに所属する男性 - 笠松将)がやってくる。
どことなく様子が違うことに気づいた男Aが、橋本に声を掛ける。
橋本が、自分のボディデザインを走る身体に決めてトレーニングをしていることを答えた。

じゃぁ、主に腸腰筋とかか?

さすが、坂道とかかなり走り込んでます。おかげでオーディション一つ受かったんですけど、ランニングの時間と被ってたんで断っちゃいました。
あぁ、ジムの人に聞きましたよ、すげえ有名な漫画家なんですね「岸辺露伴」っていう。
でも素晴らしいな、とても漫画家とは思えない。

体力が必要ないなんていう漫画家は偽者だね。

橋本は、露伴・・・いや男Aに「漫画家に必要な体力がどの程度のものか見せて欲しい」と勝負を持ち掛ける。
ランニングマシンを使って、先日橋本にマシンを譲るよう話しかけた男たちのような勝負をしよう。ただあれはヌルい内容なので少しアレンジをしたと、マシンの調整をしてみせた。

このトレットミル(マシン)には、走るスピードに合わせて時速が上がる設定があるので、早く目標時速に到達した方が二人の間にある台に置いたリモコンボタンを取って停止ボタンを押せるようにすると言うのだ。
男Aが目標時速について尋ねると、橋本の提案によりボルトの世界記録が37.6km/hであるがマラソントップランナーに合わせて22km/hにすることになった。
男Aが持続するのは無理でも、瞬間トップスピードならそのくらいは出せるはずだと提案に合意して、勝負が始まった。
マシンは徐々にスピードを増し、二人は走り始める。

ほぼ同じくらいのタイミングで、二人は目標時速に達したが・・・。

橋本がマシン横に倒れ、どうやら勝負は男Aが勝ったようだ。

大丈夫か?
差し伸べた男Aの手を、橋本は悔しそうにはたいて睨みつける。
その後、橋本は更にトレーニングに没頭するようになった。
どの辺りまで走るのだろう、街中を過ぎてあのいびつな形の石段の坂を走る橋本の姿があった。

*******************

早村ミカ - 真凛 が、橋本と同棲している自分のマンションに駆け戻ってくる。
すると、マンションのリビングが改装・・・いや、改造と言った方がいいのか
壁や天井が、ボルダリングジムのように変わってしまっていた。
梁のような部分に捕まっている橋本は、ここが賃貸マンションであることも気にしていない。
それどころか、ミカのキャッシュカードから27万を使っていたことを咎められると
デイ会員よりも夜も使える会員登録にグレードアップしたと平然と答える。
ミカのカードの暗証番号も、前の彼の誕生日だと知っていたという。
激高したミカにマンションから出るように言われ、舌打ちをする橋本。

邪魔だな。

ミカに向かってそう悪態をつくのだった。

*******************

先日、橋本にマシンを譲るように圧をかけた男たち(小水たいが・ 濱正悟)がジムを訪れていた。
橋本の言うヌルいスピードで、またマシンを利用するようだ。
すると後ろからリモコンで彼らのマシンを止める人物がいた。

どいてもらえますか、邪魔なんで。

それは、橋本だった。

*******************

男Aがジムにやってくる。
めずらしいな、この時間に(ジムが空いているなんて)。
男の後ろから、橋本が声を掛けてきた。
逢う度に様子が違う橋本に驚くA。
身体つきがまた大きくなって、ウェアも身体にフィットしたものを身に着けてはいるが、筋肉がそれを押し返しているような威圧感がある。(下半身が金色のランニングパンとタイツとシューズってちょっとはじゅかちいけど、ジムってあれが許されるのが不思議というか自信だよね。)

普段ジムというのは夕方20頃までがマシン稼働のピークタイムであるため、この時間に利用できる会員料金が一番高い。
橋本が会員のグレードを変更したことを知ったA。やはり、最初に会った頃の橋本とは違うと感じた。
そんなことを気にもとめず、先日のAとの勝負に不満があったことを言い出す橋本。
あのときAは、リモコンの置いてあった台を叩いて橋本がリモコンを取るのを阻止したというのだ。
あれはただのゲームだよ。というAに、
そう、あれはただのゲーム。でも僕は走ることに負けた訳じゃない。
そう言って、Aに再度勝負をするよう迫った。
上着を脱いでストレッチを始める橋本。
脇腹の前鋸筋まで鍛えた身体に、改めて彼の本気を知るA。
橋本は、リベンジマッチなら尚更公正性が必要であるとし、ルールは同じでも時速は25km/hにしようと言う。

Aはここで更に異変に気が付く。2台だけ、マシンが窓に向かってではなく「窓に背を向けてセッティング」されているのだ。

今に理由が分かるという橋本は、先にマシンに上がる。
露伴先生、今更逃げませんよね。
そう言って、Aを睨みつける。

(やばい、この男。何かがヤバい。・・・だから。)
絶対に面白い。

Aいや、先生。危機回避するという思考のないアンタのが十分ヤバいですっ!

Aは逆向きにセットされたもう一台のマシンに上がる。
マシンが動き出し、危険しか感じられないリベンジマッチが開始された。

このマシンは時速20km/hまでは規則的に、そこからは走る速度に合わせてスピードが上がる。最初からトップスピードを出しても意味はないが・・・そうAが考えていた時、階下から他のジム会員の男女 (櫻井孝宏、ファイルーズあい[)の声が聞こえてきた。

え、今日休みだっけ?
最悪ぅ~。

ジムは勝負の邪魔者が来るのを嫌がる橋本によって、クローズされていたのだ。

A:(なぜ気づかなかった、客は兎も角トレーナーまでいないのはオカシイ。)
昼間、橋本に声を掛けられた男性たちが、マシンの陰に倒れている。

よそ見している暇はありませんよ、露伴先生。

ちょっと待て、一旦ストップだ!
そう言ってリモコンを取ろうとしたAの手を、橋本がねじり上げた。
痛みにマシンの横へ落ちるA。
25km/hって言ったでしょ、まだ20km/hにもなってませんでしたよ。ちゃんとやってくださいよ、俺がデザインした走る身体完璧だって試したいんで。ボタンを押せる指は残したから大丈夫ですよね。
マシンの端を歩いて、Aを見下ろすように立つ橋本がAの前にかがみこむ
ちゃんとやらないなら、先生も邪魔者ってことに・・・。

読ませてもらうよ。
彼の言葉を遮って、痛む右手を彼の前に差し出し、Aはあの言葉を発する。

ヘブンズドアっ!

橋本は後ろへ倒れ、ページの開く音がした。
そこには、これまでの彼の記憶や出来事が書き込まれている。
読みながら、ゆっくりページをめくるA。

オーディション不合格
オーディション不合格
オーディション不合格
社長に身体を作れと言われジムへ。
ダンベルとか意味不明。走る方がいい。
とりあえずトレッドミルで走る。
走ると何かがしっくりきた。
腕の角度、足の上げ方、呼吸。きっちりしていてわかりやすい。
気がついたらトレッドミルで1時間以上走る。とにかくしっくりくる。これかも。
ロードワークを始めた。外を走るのは気持ちがいい。

なるほど、確かに基本に忠実な走りだ。(さらに読み進める。)

だが、彼が徐々に走ることに取り憑かれていくページへと内容が変わってくる。

走っていたい。

あそこを走ると自分が自分でなくなるような。
誘いこまれるような感覚。
でもこの感覚悪くない。

行間の空いていたページから、一気にボディデザインに目覚めたびっしりと書き込まれたトレーニングのページに切り替わる。
どうやらこの前のページが、彼に大きく影響を与えたようだ。

びっしり書かれた上に更に太字で書き込まれた文字は、
身体が軽くなった気がする。
飛べるように走れるだろう。いやー

橋本が走ったあのいびつな石段の場所。
読むうちに同化してその情景が見えてくる。

俺はもう、到達してしまった。

恐ろしさに、我に返るA。
なんだ、ただのランニングジャンキーと言えばそうだろう。
どこかがオカシイ。何かが・・・。
ページをめくって、その異変を探す。

いつも道をふさいでいた自転車。ランニングの邪魔。→取り除いた。

そしてトレーニングの邪魔も
最悪のタイミングでチャイムが鳴った。3回も、「完璧な走り」を邪魔する奴は存在を認めるわけにはいかない。→取り除いた。

「完璧な走り」に到達するであろう俺にふさわしい女ではない。「私のマンションから出て行け」いやお前こそ俺の視界から出て行け。→取り除いた。

トレッドミルの邪魔→取り除いた。

取り除いたと書かれ画像が貼り付けられたのは、マシンの陰に倒れている男性2人だ。
Aが二人の脈を確認するが、残念ながら彼らは死んでいるらしい。
取り除いた=殺した ということなのか。
すると、スタジオの証明が消え、ガラスの割れる音がする。
Aが振り向くと、ダンベルをマシン後ろの窓ガラスにぶつけて割り、勝負の続きを準備する橋本がいたのだ。

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