寺内一(謎のフリーカメラマン)-小池徹平の部屋の中を見てしまった
生方瑠衣子(高槻の研究室に所属する大学院生) - 岡田結実 あの部屋にちりばめられた
彼の信念、いや執念を感じるような写真の数々に、圧倒されて帰る。
もちろん、完全記憶能力を持つ寺内は、誰かが部屋に立ち入ったことに気づいていた。
青和大学、高槻の研究室
高槻は、本の間から取り出した3枚の写真をテーブルに置く
それは、高槻が神隠しに遭う直前に家族旅行に行ったときのもので
旅館前で2枚、そして神秘的に青い水を湛えた湖のような場所の写真だ。
ドアをノックして、生方が入ってくる。
ドアの前から動かず、高槻に声をかける。
ただならぬ様子に高槻が近寄り、何かあったの?と声をかける。
私、寺内さんの事務所を見つけたんですけど
昨日、たまたま誰もいないときに入ってしまって・・・
どうしてそんな危ないことを。
これを拾って・・・、つい。
そう言って、生方はバッグから寺内の事務所のドアの前に落ちていた
ぬいぐるみを取り出した。
そのぬいぐるみは、遠山(千葉県警広報官・尚哉と同じ怪異を体験している)-今井朋彦 が高槻を訪ねてきたときに見せてきた
長谷部千里ちゃん(行方不明になった4歳の女の子)永尾柚乃 の写真にあったぬいぐるみだった。
オープニング
生方が、高槻を連れて再び寺内の事務所を訪れる。
高槻は、建物の外に生方を残し、中に千里ちゃんがいるかもしれないから
何かあったらすぐ警察に通報するよう、指示をして寺内の事務所に行く。
ドアを開けると、そこは既に引き払われており
暗幕の奥にある、あの壁一面の写真もソファーも何もかもが
きれいに撤去された後だった。
生方が中に入り、高槻に自分が訪れたときの部屋の様子を説明する。
暗幕カーテンの奥の様子、一面に写真があったことを説明すると
高槻は、寺内が自分たちのことを調べていたことの予想はついていたと話す。
生方は、写真立てに入った写真の飾られた棚について、
自分がスマホに収めた写真を見せる。
高槻が持っている湖のような場所の写真と、泥だらけの顔で写る
幼少期の寺内(幼少期)山田羽久利 と もう一人の少年(写真の男の子)升谷 天
この写真について、佐々倉健司(警視庁捜査一課の刑事・高槻の幼なじみ) - 吉沢悠 に
調べてもらうと言う。
高槻の研究室
健司の調査により、寺内と一緒に写っていた少年は「きのしたしゅんや」君といい
生きていれば寺内と同級生であったと言う。
親に虐待され12歳になったばかりで亡くなり、寺内とは仲が良かったらしい。
寺内は、しゅんや君が虐待されていると気づいており、まわりの大人に助けを求めたが
誰も真剣に聞かなかったらしい。
悲しい出来事に、高槻・生方・尚哉(青和大学文学部の学生)神宮寺 勇太 も言葉にならない。
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高槻が大学の事務職員に寺内の居所を尋ねたが、本業が忙しいと言って
辞めてしまっていた。(その様子を、居合わせた難波要一(尚哉の同級生) - 須賀健太 が見ていた。)
高槻は、これまで寺内が自分に神隠しについて語ったときのことを思い出す。
職員は寺内に高槻宛の手紙を預かっており、その中にはこう書かれていた。
天狗様
あなたが使命を思い出すのを待っています。
また会いましょう。
高槻は、失踪直前の家族旅行のことを思い出していた。
父:高槻智彰 日比野玲 と 彰良(幼少期)髙橋來 は、父に話しがあると
旅館の外へ散歩に連れ出された。
旅館「金具屋」の女将:お出かけですか、それでしたらこの先の大沼池には決してお入りにならないよう、ご注意ください。
昔から、みだりに水に触れたり中に入ると、山の主を怒らせると言われております。
その青い大きな池には、奥に鳥居がある。あの写真と同じだ。
ベンチで手紙を読んでいた高槻は、それを胸元に納めた。
研究室で、高槻が尚哉にあの池の写真を見せている。
じゃあ、お父さんと一緒に山の禁足地に入ったんですか?
いや、たぶん違う。
でもよく覚えていないんだ。
まだ完全記憶能力はなかったし、この時期のことは記憶が混乱していて・・・。
この旅行のあと、神隠しに遭ったんですよね。
そう、寺内の父親は、僕の母を撮影するカメラマンだった。
だから寺内は僕がこの池に入ったあと、神隠しに遭ったと知っているんだと思う。
それで自分も同じことをして、神隠しに遭った。
そして今、新しい神隠しを作り上げた。自分の体験になぞって。
誰かが禁忌を冒す。
(寺内が森のような場所でスマホで、SNSにお地蔵さんが倒され首が外れた画像がアップされているのを見つけている。)
そのことが、SNSで話題になる。
10日後、おそらく寺内が接触する。
そして、神隠しに遭わせる。(尚哉、ソファーから立ち上がる。)
そこからが解らないんだよ、今でも多くの人たちが失踪している。
この人たちは、誰にも見つからず何処にいる?
千里ちゃんは無事なのかな。
そう言って、大沼池の写真を右手で強く握りしめる。
そんな高槻の手を尚哉が両手で包み、握りしめられた写真をそっと彼の手から取り出す。
高ぶる高槻の感情が、尚哉によって穏やかにされていくのが分かる。
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森の中のコテージのような場所で、男性二人が買い出しと思われる食糧の受け渡しをしている。
そのすぐ近くには、千里ちゃんの姿があった。
買い出しに行ってきた男性は、礼を述べるサラリーマン風の男性に
私も天狗様に救われました。その分できることをやっているだけです。
そう答えて車に乗り、去っていった。
中に食料を運ぼうとした男性が、千里ちゃんに気づく
(寺内が)千里ちゃんに、男性についていくよう言われたという。
そこへ寺内が現れる。
新しいぬいぐるみを千里ちゃんに渡すと、彼女はかわいいと喜ぶ。
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(寺内が千里ちゃんと出会った直後の様子)
寺内の事務所のソファーに、寺内と千里ちゃんが向かい合って腰かけている。
そこへ先ほど食料の受け渡しをしていた、サラリーマン風の男性がやってくる。
小さくなっている千里ちゃんに、寺内が話しかける。
大丈夫、ここでは誰も君を殴らない。
僕の友達が、君をバスに乗せてくれる。
そしたら、このおじさんと一緒に降りるんだよ。
男性:こんにちは
できる?(千里ちゃん、小さくうなずく。)
食料を届けに来た男性と、千里ちゃんが一緒にバス停まで歩いてくる。
あのバスの車載カメラの状況を、寺内の証言のとおりになるよう
行動しているのだ。
鞍山公園のバス停で、降車ボタンを押していたのは
あのサラリーマン風の男性だった。
男性がバスを降りると、千里ちゃんもあとを追って降りてくる。
すると、そこに待っていたのは寺内の証言どおりの格好をした女性。
千里ちゃんは、思わず ごめんなさい と言って頭をかばう
だが、その女性は千里ちゃんの母親 長谷部麗子(千里の母親)佐藤めぐみ
ではなく、彼女の変装をした 栗本小春(青和大学の食堂の栄養士・『百物語』の参加者で当時失踪中) - 田辺桃子
だった。
大丈夫、迎えに来たんだよ。
そう言って、頭をかばう千里ちゃんの両手を優しく握る。
小春が千里ちゃんを迎えに来たのを見届けて、サラリーマン風の男性は去っていく。
小春は、寺内の証言どおりになるよう、首元にホクロも付けていた。
公園の中を手をつないで歩き出し、そのホクロを外す。
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寺内からもらったぬいぐるみで、楽しそうに遊ぶ千里ちゃん。
それを見ても、まだ寺内の心は晴れない。
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千葉県警の刑事二人が、千里ちゃんの両親のところへやってくる。
寺内の証言を元に、母親に聞き込みにやってきたのだ。
もちろん、彼女には心当たりがなく
父親:長谷部康介(千里の父親)武田航平も
娘が誘拐されてるんだ、疑われるなんて不愉快だ。帰ってくれ。
そう言って、とりあわない。
麗子:あの子、誰といるのかしら。早く帰ってきて欲しい。
康介:まずいな、アザがまだ残ってる。通報されたら警察に気づかれる。
アパートの外で、刑事たちは
あの夫婦、なんか気になるな。
でも、自分の子どもを誘拐はしないでしょう。
そう言って、帰って行く。
刑事たちとすれ違う男性。それはあの買い出しをした男性だった。
高槻の研究室
遠山が依頼された全国27件の行方不明者について、調査の報告を伝えに来ている。
高槻が礼を述べると、遠山から先生の推察は当たっているようです。との言葉が出る。
失踪中の人たちにはそれぞれ事情があり、
難波が百物語で話した中学生は、部活で顧問にしごきのターゲットにされており
あのサラリーマン風の男性は、遠藤哲生という名で上司からの理不尽な叱責に悩んでいたそうだ。
健司:人が一人失踪すれば警察も事情を聴くし、学校内・職場内でも皆原因探しを始める。
すると、問題が浮かび上がってきたわけだ。寺内は相当賢いよ。
千里ちゃんはどうなんです。何か問題が・・・。
遠山:まだわかりません。ただ寺内は言っていました。
(証言時の回想)
千里ちゃんがみつかって、ご両親のところに戻るのが僕の願いですから。
普段、他人に嘘が判ることを悟られないようにしている遠山。彼がこれだけ不快感を表情に出すというのは
それだけ明確な意思を持った嘘であることがうかがわれる。
遠山:つまり寺内は、千里ちゃんが両親の元に戻らないことを願っている。
これではっきりした。(健司、高槻を見る。)
寺内は、しゅんや君の代わりに千里ちゃんを助けようとしている。
そう言って、泥だらけの寺内としゅんや君の写真を見つめる。
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コテージの外から、寺内がスマホで連絡を取っている。
長谷部家の様子を見張っている男性に、状況を聴くためだ。
男性は、まだ両親が虐待を疑われている様子はないと報告する。
後ろから千里ちゃんが駆け寄ってきて、寺内に遊んで欲しいとせがむ。
寺内は、かごめかごめを歌う。千里ちゃんが分からないといった表情をすると
この歌知らない?
僕が子供の頃、嫌なことがあると歌ってたんだよ。
どうして?
鳥には羽があるよね。
僕を助けに来てくれた人にも、羽があったから。
その人飛べるの?
飛べるよ。
千里も飛びたいっ!(手をパタパタさせる)
飛べるよ。
すぐに自由に飛べる。
僕がそうする。(立ち上がり、思いを強くした表情をする。)
青和大学の学食で
難波は尚哉に、高槻が大学事務局に寺内について尋ねていた様子を話す。
寺内からの置手紙を受け取っていたことを知り、驚く尚哉。
ごめん、俺行くわ。
急いで食堂を出ようとする尚哉に、難波は声をかける。
深町、お前いろいろ巻き込まれやすいんだから、気をつけろよ。←いや、いろいろ巻き込んだの誰よ。
うん、ありがと。
(尚哉は難波の前でイヤホンをしていなかった。)
研究室に向かう尚哉、ノックをしたドアを静かに開けると
自身のデスクの前で、高槻は転寝をしている。
そっと近づいてみると、すぐ近くに拡大された寺内の置手紙が映し出されていた。
しかし、うたたねではなく、高槻のそれはうなされているようである。
手には大沼池の写真が握られている。
大沼池の前には、手書きの立て看板がある
大沼池
この池に入ると
怒った山の主が
現われると(送り仮名違うぞ、たぶん。)
言われています
(高槻少年)ここが入っちゃいけない池
高槻少年は、靴のまま池に入っていく。
家に戻った高槻少年は、夜ベッドの上でパジャマから背中のあたりを押さえている。
背中が変なんだ。という高槻少年に
気のせいよ、お医者さまはなんでもないって言ってたでしょ。という母:清花(高槻の母)-高橋ひとみ
すると、池に入っていた姿は、現在の高槻になっている。
膝まで浸かって池の中を歩くと、そこには寺内がいた。
同じになれましたよ。
貴方はただの人間じゃない、使命がある。
天狗様、一緒にやりましょう。
貴方が使命を思い出すのを待っています。
また会いましょう。
うなされている高槻を、尚哉が揺り起こす。
目覚めてもまだ虚ろな表情の高槻に、
良かった、戻って来ないかと思いましたよ。 と心配する尚哉。
大丈夫ですか?
分からない、僕にも使命があるのかも。
どうしたんですか、急に。
寺内は今ギリギリのところにいる。
ギリギリ?
自分から神隠しに遭いたい人を助けるだけならまだいい。
でも、千里ちゃんの件は誘拐だし、このうえ一線を越えようとしているなら
僕のせいだ。
高槻は、寺内少年に言ったことを思い出している。
僕みたいにならない方が、幸せだよ。
あの時の自分は、寺内の質問に向き合わなかった。
でも、先生が寺内に会ったのは、しゅんや君が亡くなった後ですよね。
先生には助けられなかった。
しゅんや君はね、でも寺内は救えたかもしれない。
(尚哉:そんな の表情)
僕が天狗様としての使命を放り出さなければ・・・ごめん、ちょっとアタマ冷やすよ。
そう言って立ち上がり、ココアを作ろうとする。
尚哉が、高槻に寺内が何処にいるか知っているのかを尋ねると
何処にいるのか知らないし、電話も通じないという。
それを聞いた尚哉は、ある場所へと向かう。
そこは、高槻の実家だった。
閉ざされた門の前で、インターホンを鳴らし執事に自身が高槻の教え子であることを名乗る。
高槻の家族に会いたいと伝えると、清花はいるが今来客中だと言われる。
堪らず尚哉は門の前で大きな声を出し、話し始める。
来客って、先生を天狗様って呼ぶ人ですか。
もうやめてください。
先生は必死に自分をこの世界と繋ぎ止めてる。
天狗様じゃなくて、特別な存在じゃなくて、俺たちの先生でいようとしてる。
先生を天狗様にしないでくださいっ!
屋敷の中で清花は
天狗様のことを何も知らないくせに
と悔しそうにつぶやく。
尚哉は、門の前で更に言葉を続ける。
先生が何処かへ行ってしまうとしても
俺が・・・俺が止めるっ!
絶体にっ!
すると、玄関のドアが開き
現れたのは、清花・・・ではなく
寺内だった。
彼はゆっくりと尚哉の前に歩き出していく。
そのとき、高槻は何かを決心したように大沼池を映し出した画面を見ていた。
エンディング
子供のころ受けた国語の授業の話で恐縮ですが
絶体とは、絶対より強い決意・状況を表すそうです。
なので、敢えて「絶体」にしました。
来週は最終回、ぜってぇ見てくれよな。