てんぱっていきまっしょい。

国内旅行をこよなく愛する人間の日記です。でも最近は出かけてないよねぇ。(現在コメントは事前承認制にしています。)

朝ドラとさんかく窓

2024年06月29日 | 映画:さんかく窓の外側は夜

朝ドラ「虎に翼」にいよいよ、岡田将生が出てくるらしい。

滝藤賢一と岡田将生、そして桜井ユキと言えば「さんかく窓の外側は夜」の取り合わせ

あの無駄に顔のイイ男が見られるのか

滝藤賢一さんとのやりとりもあったら見てみたいな。

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映画:さんかく窓の外側は夜(10)

2021年12月25日 | 映画:さんかく窓の外側は夜

多角形の部屋

信者の女性が、教祖である冷川を「ダイショウ様」と呼び食事を運んでくる。

お母さんは?

母親のことを尋ねても、「ダイショウ様にお母さまはいらっしゃいません。」
答えるだけだ。
教祖さまと呼ばれていても、好きなものが食べさせてもらえるわけではない。
肉には毒がいっぱいだからという理由で、希望しても出してもらえないのだ。
仕方なく、お気に入りらしい万華鏡を覗いて眺めている。

その様子を見て驚く三角康介(みかど こうすけ) - 志尊淳

あれ(万華鏡)は、誕生日にお母さんから買ってもらったものです。
大人の
冷川理人(ひやかわ りひと) - 岡田将生 がそう説明する。
あのカレイドスコープを覗いているときだけが、自分にとって唯一の安らぎの時間だったという

あの多角形の部屋の中で、信者にお祓いをする冷川少年。
すると信者は身体が軽くなったと言って喜び、疲れた冷川をよそに
信者の女性が次々と、悩みを持ち込む信者を呼び込もうとする。
疲れるから嫌だと言っても、冷川少年を自分たちの運命と呼び
運命と言うのは共鳴して、強い力で自分たちを引き上げるもので
この人は自分の運命だと、直感で分かるものだと言うのだ。

冷川に、皆がアナタを信じているのだから力を尽くせと強要する信者。

大人の冷川は、その頃の辛さを思い出し涙ぐむ。

母を探して助けを求める冷川少年に、母さえも
アナタはもう私の子どもではない、神の子なのだからと突き放される。
それを眺めていた
石黒哲哉(いしぐろ てつや) - 筒井道隆

思い出しました、全て。
自分が何をされ、何をして、何を思っていたのか。
僕は、苦しかったのかもしれない。
だから壊した、僕が予め壊されていたから。

これ、どうしたの?

呪いですよ。
冷川少年の前に、めずらしい生き物を見せるかのように、目から黒い液体を流している信者の男を連れてくる石黒。

呪い?
呪いをかけられた信者を触る冷川少年を止めようとする女性信者。

へぇ、どうやるの?

穢れを集めるんです。簡単ですよ、アナタなら。

おやめなさい、誰か。誰か来てちょうだいっ!
部屋を出て、人を呼ぼうとする女性信者。

呪ってやるっ!
倒れる男性。
呪ってやる。

すると、部屋の中で身の回りの世話をしていた女性信者の目から黒い液体が流れだす。

呪ってやるっ!

部屋を出て、三角形のらせん階段を降りて行く冷川少年。
すると、教会内で次々と互いを殺し合う殺人や自殺が起こり
信者たちは血を流して倒れていく。

その中に、母親を見つけて駆け寄る冷川。
すると後ろから、丸い石板のようなもので男性信者に母親が殴られてしまう。
母親の血が、冷川少年の顔に飛び散る。

冷川少年は、手にしていた万華鏡を落とし、叫び声をあげる。

それを見る大人の冷川と康介。

その騒ぎに紛れ、石黒は万華鏡を持ち出して逃げるのだった。

人々が死に絶えた教会で、声を震わせる大人の冷川。
僕がやったんだ、お母さんも。僕が殺した。

徐々に透明になっていく冷川の姿。
その場に取り残された康介は、冷川の名前を呼び彼を探し回る。

これまでの自分の悲しみ・冷川の悲しみを共有した康介。
冷川さん、行っちゃだめですっ!
戻ってきてくださいっ!

その時、半澤が冷川少年を食堂で見つけた声が聞こえた。
慌てて食堂へ駆け出す康介。

食堂に座り込んでいた冷川少年の横に座り
一人で話し始める。

俺さ、子どもの頃から「何で自分は他とは違うんだろう」ってずっと思ってた。
「こんな変な力がなければ、どんなに良かったか」って。
でも、もしかしたら。もしかしたらさ、
「こんな俺たちでも何かできることがあるかもしれない」って
今は思うんだ。
そう言って泣き出す康介。
それを教えてくれたのは、アナタなんだよ、冷川さん。
すると、少年の彼からは見えないはずの康介の方を見る。
俺を見つけてくれて、ありがとう。
冷川少年に、今の気持ちを伝える康介。

冷川に手を差し出し
肉、食べたくないですか?

肉、食べたいっ!

じゃ、行きましょう。

これは・・・運命?

そう、運命。
俺と一緒にいれば、怖くないですよ。

頷いて康介の手を取る冷川少年。
すると、壊れていた万華鏡が回りだし模様が動き始める。

穢れの貯金箱とされたビルの外では、応援に駆け付けた警察官たちが、黒づくめの男たちを取り押さえている。

夜が明けた。

手を取り合ってビルの一室で倒れている冷川と康介。
康介は手に持った万華鏡を、冷川に返す。

あの禍々しい赤い紐は消え、扉の前には非浦英莉可(ひうら えりか) - 平手友梨奈
が倒れている。
近寄って、彼女の手を取る康介。
英莉可の意識が戻る。

ありがとう。

康介の礼に、首を振る英莉可。
これまで自分が行ってきたことの恐ろしさに、苦しみと後悔が蘇る。

ありがとう。

病院にて

容体が回復した半澤冴子(はんざわ さえこ) - 桜井ユキ
半澤日路輝(はんざわ ひろき) - 滝藤賢一もベッドの傍で安心する。

一方、実家に帰った康介。
朝ご飯を、母:
則子(みかど のりこ) - 和久井映見 と食べながら
これまで母に気づかれていなかった、自分の能力のことを話したらしい。

分かった。

へ?

分かったって言ったの。

え、でも俺、霊が見えるんだよ。
死んだ人が見えるんだよ。

さっきも聞いた。

(普通にご飯食べてるけど)気味悪くないの?

まさか。びっくりしたけど、アンタはたまたま他人より目が良かった。
それだけのことでしょ!
・・・何よ。

いや。

ご飯冷めちゃうよ。

あぁ、分かった。いただきますっ!

どうやら、意外にもカミングアウトはすんなりといったらしい。

オフィスの打ち合わせデスクで、万華鏡を前に置き
康介と交わしたあの契約書を眺める冷川。
思い出し笑いをした後、契約書を破り捨てる。

高校生活をおくる英莉可。
ふと、制服の左腕を肘までまくり上げる。
窓の外を眺めては、穏やかな日常を確かめているようだ。

初めて冷川に見つけられたスクランブル交差点に差し掛かる康介。
気配に気づいて眼鏡を外すと、信号機の前でロングコートを着た女性の霊を見つける。
以前はあんなに恐ろしく感じたのに、今はそんな気にはならない。
交差点の向こうには冷川がいる。
彼の元へ近寄る康介。

制服の左腕をまくり上げていた英莉可。
彼女の左腕には、あの赤い紐がまだ血管のようにまとわりついていた。
彼女は急いで袖を戻した。

エンディング

 

 

 

 

 

 

 

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なんつーかキリがいいので

2021年12月24日 | 映画:さんかく窓の外側は夜

仕事に影響が出ないように、一定量の文字数で書き続けていた

さんかくビキニの紐だけが黒 さんかく窓の外側は夜。

意識してやっていたわけではないのですが、キリがいいので

10回で最終ってことになりました。

まぁまぁのツッコミどころはありましたけども

ムダに顔のいい奴に免じて、許してあげてくださいw

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映画:さんかく窓の外側は夜(9)

2021年12月24日 | 映画:さんかく窓の外側は夜

冷川の事務所

三角康介(みかど こうすけ) - 志尊淳 や 半澤日路輝(はんざわ ひろき) - 滝藤賢一
の前では冷たい態度を取ってみたものの、
冷川理人(ひやかわ りひと) - 岡田将生 は
自分自身の失われていた記憶に、惑わされていた。
石黒哲哉(いしぐろ てつや) - 筒井道隆 との会話も、あの後少し続きがあったようだ。

どうやるの?

穢れを集めるんです。
簡単ですよ、アナタなら。

*********************

もやもやとした気持ちを抱えているのは、康介も同じだ。
半澤の自宅を出た後、そのモヤモヤを表すかのように
いつもより速足で歩いていく。
冷川と書店で出会ったときのことを思い出していた。

君は、今まで見てきたものを否定するんですか。

俺は、ずっとアレが怖くて堪らないんです。

大丈夫、僕といれば怖くなくなりますよ。

康介は、駆け出していた。

*********************

その頃、冷川たちに呪いを解いてもらった非浦英莉可(ひうら えりか) - 平手友梨奈 は
まだ呪いの力を知らなかった頃の、親子3人の写真を眺めていた。

*********************

半澤は、妻:冴子(はんざわ さえこ) - 桜井ユキ の容体が急変し
病院へ付き添っていた。

負のエネルギーが蓄積された貯金箱と言われたビルの前

康介は眼鏡を外し、一人で中へ乗り込もうとしていた。
そこへ英莉可が駆け寄り、康介の腕を掴む。

何やってんのっ!

ぶっ壊すんだ。

何?

貯金箱を・・・ぶっ壊すっ!

そんなこと、本気でできると思ってんのっ!

できるかもしれないし、できないかもしれない。
けどもう、こういうのはウンザリなんだ。
何もしないで逃げるのは、もう嫌だ!

わざとだったの、名前。
呪いかけるとき、わざとヒウラエリカと名乗ったの。
誰かがいつか、気が付いてくれるんじゃないかって。
怖かったの、ずっと。
だから、アナタたちに逢えて凄く嬉しかった。

同じだよ。

えっ!

俺も同じ・・・。

その言葉を聞いて、英莉可は決心をしたようだ。
入れてあげる。
私が貯金箱の入り口を開く。

その頃、冷川はまだ戸惑う気持ちを抱えながら
オフィスの中を歩き回っていた。

*******************

ビルの中へ二人で入り、扉の前で大きく息を吸う英莉可。
どうやらここが、貯金箱の入り口のようだ。
扉を開けると、赤い紐が蜘蛛の巣のように張り巡らされ
その紐には血がついているようだ。
英莉可が腕を伸ばすと、赤い紐は英莉可の腕にまとわりつき
身体を蝕むように浸食していく。

早くっ

英莉可の声に、康介は紐をかいくぐって中へと入って行く。
(そのとき、冷川は窓の外を見ている。)
英莉可の身体は、赤い紐にどんどん絡めとられていく
苦しみに英莉可が声をあげると
中の邪気が喜びを得たかのように、少しずつ建物の外へ流れていく。

病院の廊下で、半澤は自分のスマホに着信があることに気づく。
それは、後輩刑事からの電話で
「港東町を中心に変な事件が続発している。」というものだった。
通り魔が出たり、放火が起きているというのだ。
刑事である半澤は、現場に向かった。

赤い紐(貯金箱)の中に入って行く康介。
子どもの頃の辛い記憶が蘇る。

ビルの外に半澤がたどり着くと、後ろから冷川がやってくる。

いいんですか、こんな所に居て。

何が起きてる。
何台もの黒い車が、その前を通り過ぎて行く。

半澤さん、あの人たちを止めておいてください。
黒い車から男たちが降りてくる。

今、三角くんたちが冴子さんを助けようとしています。
(半澤がビルの中の方向を向く。)
僕も中に行ってきます、後は任せてください。

信じられるか、そんなもん!

アナタにはそっち側にいてもらわないと困ります。
そう言って、冷川が少し笑ったような顔をし、中へ歩いていく。

あぁ、すいません、すいません。
ちょっといいですか?
石黒哲哉(いしぐろ てつや) - 筒井道隆 さんですよね。
黒づくめの男たちの後ろにいる、指示者のような男に声を掛ける。

(病院で冴子が手当てを受けている。)

子どもの頃の康介。
河原で溺れた同級生たちを残し、黒い影を恐れて逃げ出した康介を
大人になった康介が見ている。

(危篤状態になった冴子、赤い紐に体中を絡めとられ身動きできなくなった英莉可。)

紐が身体に絡まり、倒れ込む康介の腕に
後ろから冷川の手が添えられる。

河原から逃げ出そうとする子どもの康介の腕を掴む、現在の康介。

康介に絡まった赤い紐は、冷川の除霊で徐々に煙となって消える。
意識を取り戻す康介、その体を起こす冷川。

まったく、無謀すぎて呆れますね。
そろそろ彼女も限界です、戻った方がいい。

戻りません。

死ぬつもりですか。

冷川さんは、行ってください。
1人立ち向かおうとする康介の肩を掴み、冷川は自分でも理解できない言葉を発した。

それは困ります。

意地悪に笑って振り返る康介。
助手がいなくなるからですか?

いや、違います。
思いがけない言葉に、驚く康介。
何で・・・ですかね。
本人も、自分の言葉に戸惑っているようだ。

立ち上がる康介に、なにかガラスか金属を鳴らすような音が聞こえる。

アレ?

どうしました?

今、何かが・・・フラフラと音が聞こえる方に歩き出す康介。
赤い紐を潜り抜け、その場所にたどり着くと
そこには紐に絡まるように括られた万華鏡があった。
その万華鏡を紐から引きちぎると、信者たちが次々倒れる情景が
康介の中に流れ込んでくる。
その中には、顔に血しぶきを浴びた昔の冷川の姿もあった。
振り返ると、目から黒い液体を流す冷川の姿が目に入る。

明らかに様子のおかしい冷川、彼の手を取り康介は自分の胸に当てる。

すると、あの白い三角形が浮かび上がり、暗闇の中で赤い紐は見えなくなっていた。

 

 

 

 

 

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映画:さんかく窓の外側は夜(8)

2021年12月23日 | 映画:さんかく窓の外側は夜

夕方、半澤の自宅を訪れる康介

三角康介(みかど こうすけ) - 志尊淳 が 半澤日路輝(はんざわ ひろき) - 滝藤賢一
の自宅へやってくる。
前回、
非浦英莉可(ひうら えりか) - 平手友梨奈 に妻:冴子(はんざわ さえこ) - 桜井ユキ が
呪いをうけてしまい、そのことで自宅に呼ばれたらしい。
先に来ていた
冷川理人(ひやかわ りひと) - 岡田将生 とも気まずい再開を果たす。

三角くん、久しぶり。
そう冷川に声をかけられても、頷くだけだ。

呪いが強すぎて、解くのが難しいです。
無理やり引きはがせば、冴子さん自身の命が危ない。

ソファーに寝かされ、両目からあの液体が流れ出る冴子。

外に出て、歩き出す冷川と康介。

まだ怒ってるんですか?

諦めるんですか?

えっ!?

半澤さんとは付き合いが長いんですよね、なんとかしてでも助けようとは思わないんですか?

ん~、経験上人を助けても、余りいいことはなかったです。
その言葉を聞いて足を止め、冷川の前に出る康介。

じゃ、冷川さんはこれまでずっと一人で、自分だけの力で生きてきたと思ってるんですか?
誰かに助けられたことは一度もないんですか?

よくわからないといった顔をする冷川に、
俺が言いたいのは、大事な人は大事にしろ!ってことです。

その時、大型の黒いワンボックスカーが冷川の真横で停車し
降りてきた英莉可のボディーガード:逆木一臣(さかき かずおみ) - 新納慎也

冷川を連れ去ろうとしていた。
それを見た康介が制止しようと駆け寄り、逆木に殴り倒されてしまう。

起きろ、おいっ!

逆木に顔を掴んで揺り動かされ、気が付く康介。
すぐ近くには冷川もいる。

冷川さん、ここ・・・。
古いバーかスナックといった感じの店のようだ。

そこには、英莉可がやはり冴子と同じような状態になっており、ソファーに座ると言うよりは
もたれかかっている。
最初は分からずに近寄って見た康介は、彼女の状況に驚く。

ヒウラエリカ・・・、何だよコレっ!

自禍中毒ですか。
人を呪えば、必ず自分に跳ね返ってくるんです。

なんとかしろ、絶対に死なせるな!

僕がそんなことをする義理はない、自業自得です。

なんだと!
冷川を脅そうと向かってくる逆木より先に、康介が冷川の前に歩み出る。

やるべきですっ!
彼女なら、冴子さんにかけた呪いを解けるかも知れない。
協力してください、お願いします。
そう言って、冷川に頭を下げる。

ふぅ~、分かりました。
そう言って、立ち上がる冷川。
近寄る逆木を、危ないので外に出るように注意する。
(逆木、ドアを開け外に出て行く。)

康介が目を閉じ、冷川が後ろから左手を康介の肩にのせる。
そして、冷川の右手が康介の胸の中心に置かれると
白い三角形が、康介・冷川・英莉可の三人を囲むように現れる。

公園のブランコで一人遊ぶ中学生くらいの英莉可

彼女に向かって、黒い大きな煤が
入れて
と声をかけてくる。

いいよ。

彼女がそう答えた途端、その大きな黒い煤は彼女の身体の中に入って来たのだ。
彼女の目から、あの黒い液体が流れている。

通り魔の男性が次々と人を襲い、英莉可の前に現れたとき
彼女の母親が、彼女をかばうように覆いかぶさり
英莉可の目の前で、母親は死んでしまう。
母親の血を顔に浴びながら、英莉可が憎しみの余り通り魔の男を呪うと
男は目から黒い液体が流れ、英莉可の耳からもその液体が流れていく。

父親:非浦松男(ひうら まつお) -マキタスポーツ によって
宗教団体の教祖:石黒哲哉(いしぐろ てつや) - 筒井道隆
の前へ連れ出される英莉可。

石黒に心酔する松男は、怖がる英莉可に
これからは先生のために力を使いなさい。
と、英莉可を諭す。

ある日、石黒が呪いを受けたと思われる信者の一人を教祖の前に
担ぎこんでくる。
これどうしたの?
呪いですよ。
その情景は、冷川のものだった。
元は、石黒は少年時代の冷川の信者だったのだ。
当時の失われた記憶が現れ、頭を押さえる冷川。

その間にも、英莉可は黒い液体を流し続ける。

英莉可に向かい、左手を指し除霊を試みる冷川。

英莉可が目を覚ますと、顔から流れ出る黒い液体は消えていた。

どうも。

英莉可がぶっきらぼうに礼を伝える。

頼みがあるんだ。
半澤さんの奥さんにかけた呪いを解いて欲しい。

無理。

どうして?

貯金箱のエネルギーを使ったから・・・。

貯金箱・・・。
まさに以前冷川が言っていたとおりの役割を、あの場所は果たしていたのだった。

穢れを貯めておく装置、あの時初めて使ったけど強すぎてコントロールできなかった。

貯金箱は、君が一人で作ったんですか。

冷川の問いに、首を振る英莉可。
先生が基盤を作って、私が増幅させたの。
さっきの、アナタの記憶でしょ。
先生を知ってるの?

記憶を覗いた英莉可に聞かれ、今度は冷川が首を横に振る。
覚えてない。

半澤の自宅

半澤を前に、康介と冷川が報告にやってくる。
この件は、僕たちの手には負えません。失礼します。
そう言って、立ち上がり帰ろうとする冷川。

康介も立ち上がり、冷川に尋ねる。

どういう関係なんですか?
どうしてアナタの記憶の中に、あの教祖がいたんですか?

おいおい、なんの話だ。

見たんです。
冷川さんの記憶の中で、非浦英莉可と一緒に貯金箱を作った教祖が・・・。
奇妙な男を連れていた。
目から黒い液体を流す男に向かって、幼い冷川が
これ、どうしたの?
と、訪ねると信者の石黒が
呪いですよ。と答え
呪い?と、冷川が聞き返していたのだった。

もしかして、そいつが呪いを持ち込んで、事件を起こした・・・。

もし、そうだとしても今更関係のないことです。

どうして、そんな奴野放しにしておいたら、何をしでかすか分かりませんよ。

それは僕たちの仕事じゃないです。
冴子さんの呪いを解くことはできない、できる限りのことはやりました。

何かできることはまだある筈です。
これはアナタの問題でもあるんじゃないですか?

僕の?

もういい。
面倒に巻き込んですまなかった。

半澤さん。

頭を下げ帰って行く冷川。
んんあぁもぅ、と地団太を踏む康介。

どんなに心を砕いてやっても、救えねぇことってあるんだよなぁ。
ま、気にすんな。

気丈な態度を見せる半澤に、言葉が見つからない康介だった。

 

 

 

 

 

 

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映画:さんかく窓の外側は夜(7)

2021年12月22日 | 映画:さんかく窓の外側は夜

警察署で

刑事たちは、ホワイトボードに書かれた相関図を元に、事件性について捜査している。
それは、日向代議士関係者相関図とされ

日向利治代議士(44)
自由恒久党副幹事長 前農林水産大臣政務官 当選回数 衆議院3回、参議院1回
神奈川20区 住所:神奈川県横浜市営林区港東町二丁目3番1号
となっており、かなりの大物であることが分かる。

彼の周りで起きている死亡者は、病死・事故死等様々で
・【対立候補】川端道真(参議院議員)心不全(令和元年9月4日死亡)
・【不正受給】佐藤悠次郎(政治記者)転落死(令和2年2月5日死亡)
・【利権疑惑】村山豪(議員秘書)野犬による事故死(令和元年10月21日死亡)
・【立ち退き関係者】片山潤一(横浜県議会議員)一酸化炭素中毒死(令和2年6月7日死亡)
・【政治献金】村上賢人(建設会社社長)交通事故死(自殺?)(令和元年12月14日死亡)
・【事業関係者】近藤一(不動産会社社長)突然死(不詳)(令和2年1月19日死亡)
・【脱税疑惑】釜石伸之(税理士)溺死(令和2年8月2日死亡)
・【情報操作】道長幸之助(フリージャーナリスト)焼死(令和2年4月8日死亡)
・【訴訟関係】石井慶子(弁護士)交通事故死(令和2年11月11日死亡)

頭を抱える半澤日路輝(はんざわ ひろき) - 滝藤賢一 に 他の刑事は
これらの全員の死亡について本当に事件性がないのか、半澤に疑問をぶつける。
1年2か月ほどの間に、1人の人物の周りで9人も関係者が死亡するなんて
灰土町並みと言っていい。

どれも、自殺か事故死だとよ。
目撃証言や状況証拠も見事に揃ってやがる。

この1年で、こんなに都合よく人が死ぬなんて・・・。

不自然極まりねぇよなぁ。でも、立件するのは難しいかもしれん。
そういって、部屋を出て行く半澤。
ホワイトボードに書かれた9人目の死亡者は、非浦英莉可(ひうら えりか) - 平手友梨奈 が
横浜駅への道を尋ねていた人物だった。

陸橋の上で

空を飛んでいく鳥を眺めていた英莉可、下の歩道に目をやると登校途中とみられる
他の女子高校生たちが目に入る。
喋りながら歩いていくその様子を眺めて、何事かを考えているようだ。

三角康介(みかど こうすけ) - 志尊淳 は、半澤のいる警察署にやってくる。
公園で半澤と別れた後、英莉可が自分に接近してきたことを報告する。
名前を確認したわけではないが、たぶん彼女がヒウラエリカではないかと考えているのだ。
女子高生であったことを半澤に知らせるが、現実主義の半澤に説明しても信じてもらえるかどうかは分からない。

あいつ冷川理人(ひやかわ りひと) - 岡田将生)は、なんて言ってるんだ。

さぁ、俺事務所辞めましたから。

それまで一緒に廊下を歩いていた半澤は立ち止まり、意外だと言ったようすで康介を振り返っていた。

康介に見限られてしまった冷川は、事務所で自分を持て余しているといった様子だった。
霊のことなら、ほぼ思ったように対応できていた自分が、生身の人間である康介の感情に翻弄されている。
打ち合わせデスクから紙を丸めて投げても、ごみ箱に入らない。

警察署の角にある窓際の待合場所で、長椅子に座る康介と半澤。

俺は今まで、数えきれないほどの凄惨な現場を見てきた。
中でも忘れられないのが、15年前。
ショウコウ会っていう宗教法人の施設内で起きた奇妙な事件だ。
近所から「異臭がする。」っていう通報があってなぁ
行ってみたら、中は死体だらけだった。
異臭にむせながらもライトを照らし、生存者を探す半澤。
だが、食堂の奥にたった一人の生存者が隠れていた。
まだ幼い「大ショウ様」と呼ばれる教祖の少年だった。

頬に血を浴びたまま、ひもじさにパンを抱えて床に座り込む少年に、声を掛け保護する半澤。

少年?

なんでも、不思議な力を持っていて信者の病気なんかを直していたりしたそうだ。

(まさか)

それが、冷川理人だ。

冷川の母親は、息子を「神の子」と呼び、俗世間から隔離して施設内だけで育てたんだ。
まともな教育は、ほぼ受けていない。
だから分からないんだよ、アイツには。
善悪の基準ってヤツが・・・。

(施設内で)何があったんですか?

わからんっ!
冷川は酷くショックを受けていて、事件発生時の記憶を失くしていた。
あれだけ目の前で人が死んだんだからな。
しかもその中には、アイツの母親もいた。

半澤の話に衝撃を受ける康介。
実家に帰って母親と食事をしていても、まだ気持ちの整理がつかない。
母親に話しかけようとして、やめてしまう。
普通の家庭ならありふれたことさえ、冷川には与えられなかった環境なのだ。

その頃、半澤は自宅に戻っていた。
刑事のときは、超のつく現実主義の彼にも家に帰れば明かりが灯され
起きて迎えてくれる妻:
冴子(はんざわ さえこ) - 桜井ユキ がいる。
ダイニングテーブルには花が飾られ、職場の殺風景さを忘れられる。
妻とのたわいのない話でも、それが彼の日々心の拠り所であり支えでもあるのだ。

半澤は、少年だった冷川に聴取を行ったときのことを思い出していた。

「信じる力」です。
信じる力が人を滅ぼすのを沢山見ました。
でも、貴方のは「信じない力」ですよね、それって凄い。

んん~つ、何が?

信じないでいてもらえるって、凄くイイカンジです。

貴方は僕を、信じないでいてくださいね。

信じるよ。
全てを信じないわけじゃない、妻:冴子の姿を眺めながら、そうつぶやく半澤だった。

某宗教団体の建物

紫の装束を来た人たちが、続々と建物に入って行く。
燭台が部屋の所々に置かれ、5人くらいずつで膝を突き合わせて立ったり屈んだりしており
部屋の隅には紫の裃(かみしも)のような服を着た人物もいる。
出入り口には、非浦英莉可がもたれかかっていた。
教祖とみられる人物:
石黒哲哉(いしぐろ てつや) - 筒井道隆 は派手な大黒天のような恰好をしており
後ろを歩く女性が、こんな言葉を唱えている。

人は人を信用することから始まり、前世をとおして自分の愚かさや欲望を知り
現世の自分を見つめ直すことができます。
自分の体内にある愚かさと欲望を、血液と一緒に宙に飛ばすのです。
そうすることで、現世の自分に光を取り入れ・・・

教祖が自分の近くを通過しそうになると、信者である男性:非浦松男(ひうら まつお) -マキタスポーツ 
拝みながら近寄り、教祖の耳元で何かを告げる。
どうやら松男は、英莉可の父親らしい。
松男が英莉可の存在に気づくと、彼女はその場から離れて行く
松男は慌てて娘を追いかける。
別室で娘を捕まえて、何を言い出すのかと思えば

英莉可、先生の前であんな態度を取るんじゃない。
バチが当たるぞ。

相当心酔しているようだ。
それを聞いた英莉可は、父親の手を振り払い

バチ?どんな。

そういって、父親に突っかかる。
何も答えられない松男は、その場を去って行くのだった。

ため息をつく英莉可。
すると、英莉可の顔から突然、液体がしたたり落ち、床にその雫が落ちる。
鼻から出ているようだ。

理由が分からず、戸惑う英莉可。
その様子を見て、外から彼女の付き人(ボディーガード)を務める逆木一臣(さかき かずおみ) - 新納慎也 が
入ってくる。

どうしました?

何もない、行こっ。

そう言って、鼻を手で拭った英莉可は逆木が入って来た扉から、外へ出て行く。
逆木は、さっきまで英莉可が立っていた場所を確認し、彼女の後を追って出て行った。

妻の運転で、外出する半澤

上司の昇進祝いの挨拶に行くという理由で、連れ出された半澤。
助手席で、こんなことしてる暇なんかないのにと愚痴をこぼして、冴子になだめられる。
交差点で車が止まっていると、その先を英莉可が横切って行くのが見えた。

ちょっと待っててくれ。寄って行きたいところがあるから、そこ店で手土産の酒でも買ってきてよ。

驚く冴子を残し、半澤は車を降りて行く。
英莉可が歩いて行った方向には、先日冷川が逆三角形の結界を書いた
あのビルがあるのだ。

入り口の柵のような扉を開ける英莉可に、半澤が追いついた。
振り向く英莉可に、半澤はあてずっぽうで声を掛ける。

ヒウラエリカさんだね。
逃げ出そうとする彼女の腕を掴む。

おっと待ったぁ!

何ですか、アナタ誰?

怪しいもんじゃないと、腕を掴んだまま警察手帳を見せる半澤。
少し話を聞かせてもらえる?そう話しかける半澤の目を見据え
英莉可は

何ですか?
そう言って居直る。

ここで何してんだ?

なぜ、名前を知ってる。
お店に来たんです、潰れてると思わなくって。
何をどこまで知ってるか、言え!

近くに住んでるの?

言え!
言え!

英莉可の呪いが半澤に効いていないことに、彼女は気づく。
なんで?

え、なんかしようとしてる?
チッ、マイッタねぇ~、オカルトの類は信じないんだが。

信じない、信じないから効かないの。
うつむく英莉可。

ハァ?

そのとき、半澤を探して冴子がやってきた。

日路輝さ~ん、大丈夫?

それを見た英莉可が、意地悪く微笑む。
信じてるもの、見つけた。
そう言って、冴子を見つめる。
あの人は、呪われて死ぬ。

すると冴子の左目から、黒い液体が流れ出てくる。
英莉可の鼻から流れ出たようなものが、頬を伝って流れ落ちてきた。
膝から崩れていく冴子を、半澤が抱き留めて名前を呼ぶ。
その隙に、英莉可はその場を走って逃げだすのだった。

逆木が止めていた車に駆け込む、英莉可。
後部座席に座って、荒くなった息を整えていると耳から黒い液体が流れ出てくる。
どうやら、彼女にも何かの呪いがかかっているかのように見えた。

 

 

 



 

 

 

 

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映画:さんかく窓の外側は夜(6)

2021年12月21日 | 映画:さんかく窓の外側は夜

前回、警視庁捜査第一課殺人犯捜査第9係の刑事である半澤日路輝(はんざわ ひろき) - 滝藤賢一 を
自分たちの結界役として、敷地の外で待たせ
中に入って行った 
冷川理人(ひやかわ りひと) - 岡田将生 と 三角康介(みかど こうすけ) - 志尊淳
冷川は、息遣いが荒くなっていく康介に
三角くん、よく見て。
と、伝える。

そこに、実体はないが 非浦英莉可(ひうら えりか) - 平手友梨奈 の気配が現れ
誰? 威嚇する。

大丈夫、(康介)具合悪いの?
そう問いかける半澤に

ここは、変です。とても。
そう伝える冷川。

あぁ、やっぱり。(や、意味ちがうけど。)

故意に作られたポイント・・・。

あなた、誰?
再び非浦英莉可の気配が現れる。

恐ろしさに倒れ込む康介。
彼が冷川に抱きかかえられる様子を見た半澤も、さすがに異変があると気づき
近づこうとするが、冷川が制止し康介を連れて結界へと戻る。

事務所に戻り、倒れた康介を寝かせる二人。

何やった。

分かりません。

これやばいぞ、どうすんの。

冷川は、康介の頬を軽く叩いて名前を呼び、意識を取り戻そうとする。

昔の康介の記憶

あの時、他の子に肩を小突かれて仲間外れにされた康介。
河原のブロックに足をかけ、水辺で遊ぶ他の子どもを呼び戻そうとする。

なんだよ、まだいたのかよ。

おい、こっち見んじゃねぇ。

うぜぇんだよ、嘘つき。

あっち行け、死ね。

一人の子どもが傘を杖が代わりして、ゴム長を履き水辺を歩く。
しかし、水の底には頭の帽子に釣り糸を絡ませた、あの黒い影のような人影がいた。
元の道へ帰ろうとした康介だったが、振り向いて子どもたちを見ると
3人のうち一人が姿を消したらしく、2人が助けを呼んで大人を探していた。
濁った水の上には、ゴム長が片方だけ浮いていた。

三角くん、三角くん・・・。

冷川の自分を呼ぶ声で目を覚ました康介。
あれは夢、昔の出来事だったのだ。

え、アレ?

康介は、自分が黒い影を放置したことで、子どもが死んでしまったことを後悔していたのだった。
悲しい夢に涙を浮かべる康介。

彼に寄り添い、肩を抱く冷川。
大丈夫、大丈夫です。
そう言って、康介を落ち着かせる。
超現実主義の半澤でも、そんな康介のナイーブさに気持ちが動かされた様子だった。

翌日、公園で康介と待ち合わせた半澤。
ヒウラエリカについて、データを照会したらしい。
全国に十数人、同性同名の女性がいたが前科がある者はおらず
バラバラ殺人の被害者とも、誰一人接点がないという。

どうなんだろうな、そんな女は実在しないんじゃないか?
半ば康介を慰めるような気持ちで、半澤は問いかけた。
康介の身体を気遣っている様子さえ見受けられた。

倒れたことで心配をさせてしまい、詫びる康介。

半澤は、「冷川は変わった奴で一緒にいるのは大変だよなぁ。」と
これでも康介を気に入っているらしい。

ひとつだけ言っておく、のまれんなよ。

えっ?

冷川がこんなふうに他人とツルむのは初めてだから、いいことだとは思うが
冷川がまともな人間であると、自分は断言してやれないからというのだ。
半澤は本部から呼び出され、本部に戻っていく。

ベンチに一人取り残された康介が、ふと隣をみると
そこには非浦英莉可が座っていた。

アナタ、誰?

自分の隣に座っているこの女性は、あのビルの入り口で気配を感じた女性と同じ人物だと気づく康介。

彼女が、いきなり康介の腕を掴む。
すると康介は、大人のままであの夢で見た河原にいた。
その前には非浦英莉可がおり、彼女が見上げた先には
土手の上で道を引き返した、子どもの頃の自分がいた。
そして、視線を康介に戻そうとすると、康介が立っていたはずの場所には
冷川が立っていた。

えっ?
驚く、英莉可。ベンチで我に返り、腕を掴んだままの康介に忠告する。

あなた、誰かに縛られてる。

英莉可の腕を振りほどこうとして、何故か腰のあたりに痛みを覚える康介。
そのままベンチから崩れ落ち、地面に倒れて気絶してしまう。

冷川が康介を迎えに来る。そしてこう言ったのだ。
ダメですよ、簡単に人を入れたら。

気がつくと、事務所のソファーに寝かされている康介。
鏡のある場所に行き、服をまくりあげて腰のあたりを映すと
そこには、マジックのようなもので逆三角形が描かれていた。

そこへ冷川が帰ってくる。
彼は、康介が倒れていたので連れ帰って来たのだと言う。
だが、康介は腰の印のことで、冷川が自分に何をしたかと尋ねた。

すると冷川は、康介の魂がオープン過ぎるため
他の誰かに入ってこられないように、自分だけのものにするために契約を結んだのだという。

はぁっ?
状況がのみ込めない康介。

それより、いいことに気が付いたという冷川。
あのビルの物件地図を取り出して、これはとても良くできた装置であり
おそらくこの場所は人の負のエネルギー持った人間を引き寄せ
邪気を吸い取って貯めておくダムのようなもの、いやまさに貯金箱だと。
自分も丁度考えていたところで、今は清掃業だがどうせなら汚して、片づける。
両方できたらいいと。
この貯金箱もなんだかの利益を生むための装置で、同じ発想の人間がいたことは驚いたと。

ちょっと待って、利益ってなんですか。
アナタの言っていることは、呪いをかけて
そして解いてやることで金もうけをする。そういうことですか。

えぇ。そうですよ。

まさか、非浦英莉可を放置していたのも、金儲けに繋がるから。

どうしたんですか、三角くん。

嘘だろ、何なんだよ、訳わかんねぇ。

どうしたんですか、何を怒ってるんです。

人が死んでるのに、アンタはなんとも思わないのかよっ!
こんな勝手に変な契約で人を縛り付けて、俺も金儲けの道具のひとつってことですか。

答えずにいる冷川に、康介は言葉を続ける。
アンタ本当はどんな人間なんだよ。
(血まみれの床に、万華鏡が落ちて壊れる描写)

どんな、人間?

駆け寄った康介が、冷川の手を取り自分の胸にあてる。
冷川の過去を覗こうとしたのだ。

小さなのぞき窓が沢山ついた部屋
床に座る子どもの頃の冷川と思われる少年が、万華鏡を鼻歌まじりに見ている。

そんなの僕にだって分からない。
康介の横に、少年時代の自分を見る冷川がいた。

満足しましたか?
ぶっきらぼうに答える冷川に、
もういいです、お世話になりました。
そう告げて、康介は彼の事務所を去って行くのだった。

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映画:さんかく窓の外側は夜(5)

2021年12月20日 | 映画:さんかく窓の外側は夜

冷川のオフィスがあるビルの屋上

ツギハギの死体を見た後で、嘘でしょ?と思われるかもしれないが
冷川理人(ひやかわ りひと) - 岡田将生 と 三角康介(みかど こうすけ) - 志尊淳
屋上に七輪を持ち出し、肉を焼いて食べている。

誰なんだろう、ヒウラ エリカ。

あぁ、あのツギハギの遺体を作った人間のことでしょう。

えぇ、だってあれは自殺した犯人が・・・。

おそらく、あの男は操られていただけですよ。

操られるって・・・。
疑わしそうな目で、冷川を見る康介に彼は問いかける。

あのツギハギの遺体がなんなのか、わかりますか?
あれは、呪いの装置です。

呪い?

藁人形みたいなモノですよ。
呪いをかけるためには、穢れ(けがれ)が必要なんです。

穢れ。

はい、ヒウラエリカはそれを経由して、呪いの遠隔操作を行っているんでしょう。
よくわからないといった表情をして首をかしげる康介に、冷川は言葉を続ける。
我々が見つけたことにより、既に効力は失われましたけどねぇ。

ん?だとしたら、ヒウラエリカはまた新しい装置を作るんじゃ・・・。

そうでしょうねぇ。何度か同じ名前を聞いたことがありますから。

え、誰から?

以前、除霊した霊とか。

それ半澤さんに言わなくていいんですか?

ヒウラエリカは、呪いをかけただけですよ。
そんなことでは、警察は動けません。

え、でも。あんなことは止めさせないと。

それは、僕らの仕事じゃないでしょ。

その言葉を聞いて戸惑う康介に、冷川は何事もないといった様子で
康介の顔色が悪いことを指摘する。

驚いて自分の顔を触る康介に、
そう言われると、本当に具合が悪くなった気がしませんか?という冷川。
それは言霊(ことだま)というもので、無意識に口にしている言葉が簡単に呪いになり得る
SNSで拡散されている「ウザイ」「キモイ」「死ね」といった言葉も、それと同じで
世の中に拡散している呪いをいちいち祓っていたらキリがないし、
とても身体がもたないと言うのだ。

翌日「ヒウラエリカ」について、事務所にいるときスマホで検索してみたが
ヒットするわけはない。
代わりに「#死ね」と検索ワードを入れてみると、SNSに多くの書き込みが見つかって
康介は驚く。
そこへ、前回の依頼人である
警視庁捜査第一課殺人犯捜査第9係の刑事:半澤日路輝(はんざわ ひろき) - 滝藤賢一
が訪ねてくる。

あの無駄に顔のいい奴どこだ?

もうすぐ戻ると思います。

打ち合わせのデスクに書類の入った封筒を放り投げ、応接セットのソファーに座る半澤。
康介がコーヒーを用意しようと立ち上がる。

三角くん、だっけ?

あ、はい。

あんた、冷川とは違うな。妙な力を持ってる割に、慣れてないっつーか。

あんなモノ、慣れるものじゃありませんよ。
思い出しても、恐ろしい。そんな目をする康介。

ま、そうだな。じゃ、なんでここで働くことになったの。

冷川さんに「助手になってくれ」と言われて「君は僕の運命だ」って言われて。
ちょっと引いちゃったんですけど。
半澤の前に、コーヒーを置く康介。

運命・・・冷川がそう言ったのか。

あ、はい。え、何ですか。

あ、いや。
この商売が助手を雇えるほど、繁盛をしているとは思えないんだが・・・。
世の中、そんなにバケモンがウヨウヨしてんのか?

え、あ、いや。
確かに依頼は多くはないですけど。
除霊だけじゃなくて、呪いまで範囲を広げたらもっとニーズはあるのかも。

呪い?(康介、うなずく。)

幽霊よりも、人間のが怖いってことです。

・・・。そんなこと当たり前だ、ハッハッハ!

半澤さん、ちょっと気になってることがあるんですけど。

遺体放置現場の廃墟

敷地の入り口には、規制線のテープが貼られている。
そこを訪れた非浦英莉可(ひうら えりか) - 平手友梨奈

コンクリートの地面に手をあて、様子を探っていると
誰?」そこにはいないはずの康介の気配を感じる。

再び、冷川のオフィス

康介は、半澤にヒウラエリカの話をする。
しかし超のつく現実主義の半澤は、やはりその話には食いつきが弱いといった様子だ。

そこへ、無駄に顔のいい男の冷川が戻って来る。

どうも、今度は何ですか?
そう問いかける冷川に、半澤は打ち合わせデスクに放り投げた封筒を指さす。

車で冷川たちを外に連れ出し、半年前の事件の被害者が最後に目撃されたと言う
場所に彼らを連れてきたのだ。
他にもここで最後に見かけられたと言う被害者が、何人もいると伝える。

それって、床に埋まってたりとか?

調べたが収穫なし。
バックミラーに映る冷川と康介を見ながら、渋い顔をする。
だか、ここに店を出していた人間も突然死しており、その人物が死んだ後の
土地の購入者の不動産会社は暴力団のフロント企業で、新たな物件を建設する予定もないという。
とにかくヘンなんだと。

降りてみましょう。

へっ!?

二人についていく康介だったが、
冷川さん、流石にここはちょっと・・・。

康介がそう言い出すと、冷川がビルの入り口に落ちている欠片を拾い上げ
歩道の上に白い逆三角形を落書きのように書き上げた。

半澤さん、その線の端っこ踏んでてください。
そう言って、逆三角形の下にある角を指さした。

半澤さんの「信じない力」強いから。

ナニ(これ)
半信半疑といった顔で、その角に立つ半澤。

結界ですよ、動いちゃ駄目ですよ。

ハァ、いや俺も行くよ。
そう言って向こうを指さすが、珍しく冷川が強い口調でそれを制止する。

いえ、そこにいてください。
いざというときの避難場所ですから。三角くん、行こう。

冷川が康介の右側に立ち、左手を彼の肩に置くと
康介は眼鏡を外す。

建物に入る鉄の柵でできた扉を開け、二人は敷地に入って行く。

 

 

 

 

 

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映画:さんかく窓の外側は夜(4)

2021年12月19日 | 映画:さんかく窓の外側は夜

橋の上で誰かを待っている女子高生

朝、橋の上で 非浦英莉可(ひうら えりか) - 平手友梨奈 は、誰かを待っている。
どうやら、目の前を通り過ぎる この女性弁護士:
石井慶子(いしい けいこ) - 北川景子 を
待っていたようだ。

あの、すいません。横浜駅ってどっちの方向か判りますか?
そう尋ねる英莉可。

横浜駅なら、電車の方がいいんじゃないですか?
そう告げる石井に

PASMO(交通系カード:パスモ)の残高が、もうなくって・・・。できれば歩きたいんです。
英莉可心の声:これからアナタを呪います。絶体に助かることはありません。

じゃぁ、観覧車の方に歩いて行けば着きますよ。

えぇ~っと、観覧車の方ってことは・・・道なりに真っ直ぐ歩けばいいんですね。

はい。

ありがとうございます。
オマエは死ぬ。
丁寧にお辞儀をして、その場を去る英莉可。
呪われて死ぬ。

不思議な感覚に囚われたかのような、石井。
フラフラと歩きだし、歩道を降りて駆け出すようにトラックの前に出て行く。

クラクションを鳴らしながらやってくるトラックに、彼女は自ら跳ねられてしまうのだった。

殺人現場となったアパートで、霊に見せられた廃墟

霊能現象で、犯人に見せられた廃墟をスケッチしたメモと
目の前の建物を見比べる冷川。

やっぱり、ここですね。
後ろには、一緒に来た半澤と康介がいる。

その絵は、このぼっち康介)が描いたのか。

はい、除霊の際、三角君を通して見た映像です。

はぁ、バケモノじみてるなぁ。
そう言って、半澤は歩き出す。
その言葉に、悲しそうな表情をする康介。
落ち込む彼の肩に、そっと手を添える冷川。

繋がって行きましょう。(康介は眼鏡を外す。)

そう言って、1人プラス2人は廃墟の門を開け、敷地の中に入って行く。

殺人にはもはや慣れっこになっているというか、元々そのようなナイーブさがないと言うべきか
半澤は一人でドンドン奥へ行き、康介と冷川は別の方向(2階)へ向かう。
蛍光灯はチカチカと点滅し、錆びた鉄骨はギシギシと音をたてる。
人を怖がらせる効果としては、申し分ない。
二人がいる方向、屋外へ向かうように沢山の蛾が飛び出してきて
康介は、頭を押さえ通路の壁に寄り掛かるようにしゃがみこみ、後ろから半澤がやってくる。

大丈夫ぅ?と言い残し、半澤は二人を残し通路の奥へ進んでいく。

(一人で先に進ませて)大丈夫なんですか?

あの人は、自分が確かめたものしか信じません。
信じないものは、その人に作用できない。

そう言って、冷川は康介の腕を抱えて立ち上がらせる。

おい、どこを探せばいい。

どんどん先に進む半澤を先頭に、冷川と康介は進みながら様子を探っていく。
三角くん、よく見て。僕が聴きます。

はい。

二人が立ち止まる。

何かいるね。
冷川も気配だけは感じているようだ。

ぐるりと回って、二人の背後からやってきた半澤に
振り返って アソコです。と二人は同じ方向を指さす。

半澤は、奥の間取りを隠すように置かれていた段ボール箱を蹴り倒した。
そこには、

まるでマネキンのように、それぞれの遺体のパーツを並べて作られた
合作の人間の形をした遺体があった。
遺体の奥:頭の向こうの位置には、半澤には見えないが黒い煙が煤けている。

おいおい、なんで腐ってねぇんだ。

異様な状況よりも、ツギハギの遺体が腐敗していないことを不思議がる半澤。
頭の位置にいる黒い煤に、二人の足が止まっていることに気づかないからなのか

オマエら入ってくんなよ。そこを動くな。

そう言って、釘を刺してくる。(シムラ後ろぉ~状態。)

煤の前を行ったり来たりしながら、本部に連絡を入れる半澤に
おぞましくてもう無理とばかりに、しゃがみこむ康介。
過呼吸のような康介の様子にやっと異常を感じた冷川は、康介を落ち着かせようとする。

強い霊気に、黒い煤が何かを言っていることに気づく。

ヒウラエリカに殺された。

確かにそう聞こえた。
これまでこの黒い煤を避けており、声を初めて聴いた康介は強い吐き気に襲われた。

同じ頃、英莉可は立ち止まり何かを感じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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映画:さんかく窓の外側は夜(3)

2021年12月18日 | 映画:さんかく窓の外側は夜

康介が母と暮らすアパート

外で食事をしてきた母親の三角則子(みかど のりこ) - 和久井映見 が帰ってくる。
シャワーを済ませたいた康介(みかど こうすけ) - 志尊淳 に 
冷川理人(ひやかわ りひと) - 岡田将生 
の会社で始めた新しい仕事の様子を聞いてきた。

別に普通。
詮索されるのが面倒なのか、そんなふうに答える康介。

可愛い子いた?
興味津々といった様子の母に、男だけの職場だからそんな子はいないと答える康介。
清掃業と康介には聞いていた則子は、匂いがついていたらモテないだろうと
冷蔵庫から取り出した缶ビールを片手にクンクンやりだす始末。

そんなんじゃ一生モテないよっ!
はいはい。
もうウンザリといった様子で、康介は
堪らずその場を逃げ出した。
どうやら、母親には自分の能力のことや冷川との仕事のことは
知らせていないらしい。

翌日

警視庁捜査第一課殺人犯捜査第9係の刑事である半澤日路輝(はんざわ ひろき) - 滝藤賢一 が
冷川の事務所を訪れてくる。
事務所と言っても殺風景な雑居ビルの一室で、コンクリートに直接貼られた壁紙は殆どがはがれており
錆びた出入り口の扉が丸見えなフロアのテーブルで、冷川と半澤が椅子に座っている。
応接セットを使わないところを見ると、半澤は客というより馴染みの男といった様子だ。
半澤にコーヒーを出すと、康介はその向かいの事務用椅子に座る。

探し物を頼みたい。
そう言って、半澤はテーブルに女性3人の写真を並べる。
県内で起きた連続バラバラ殺人事件の被害者だ。犯人はコンビニの店員で、客として訪れた3人に目を付けて殺した。
まぁ、快楽殺人だ
淡々とそんな恐ろしい言葉を並べるこの男に、驚きの表情を見せる康介。

探し物って?

発見された遺体に、それぞれ見つからない部分がある。
どういう事か分かるか?
それを全て合わせると、丁度一人の人間ができあがる。
犯人は拘留中に自殺した。
自供を得たが、一部の遺体の行方だけはテコでも口を割らなかった。
とにかく、残りの遺体の行方をなんとか見つけてやって欲しいんだ。

そう言って、冷川に書類を渡してきた。
あぁ~そういうの頼むんだ。そんな顔の康介だった。

殺害現場となった、木造二階建てのアパート

建物の前に立つ冷川と康介。

ここで人が、3人も死んでるですよね。

人なんてどこでも死んでますよ、行きましょう。

淡々と先にアパートへ入ろうとする冷川に、気が進まない康介

あ、危ないんじゃないんですか?

そんな康介に、

警察に恩を売っておくと、何かとトクなんです。
さぁ、(自分がいれば)大丈夫ですから。

そう言って、ついてくるように康介に促すのだった。
階段下の1階の部屋の扉を開け、先に康介に入るように示す冷川。
康介は恐ろしさで、息遣いが荒くなる。
靴のままフローリングに上がり、荒れたままになっている部屋で
後ろから康介のチェーンがついた眼鏡を、平川がそっと外す。

康介の肩を掴んだまま、二人が2Kと思われる間取りの奥を見ると
奥のカーペット敷きの部屋。
窓際の壁の角に、こちらに背を向けてしゃがんでいる煤けた形の者が
二人に気づいたのか、ゆっくりと向かってくる。

無理です、やっぱり無理です。(康介涙目で叫ぶ)

落ち着いて。
康介の肩を抱いたまま、低い声でなだめる冷川。
康介の心臓の位置に冷川が手を置くと、周りは暗くなり
また白い三角形の光に囲まれる。

車のトランクで口にガムテープを貼られた女性が
助けてください。と哀願している。その声を無視してトランクを閉める様子。
別の女性の首を絞めた後、浴室で雨合羽を着て包丁で遺体を切断する男。
それを廃墟に持ち込み、それぞれのパーツを縫い合わせるような行為をしている。

それを思い出している犯人の霊が、煤けたままの真っ黒い手をかざして
二人に近寄ってくる。
冷川が手を向けて除霊をすると、何かを言い残しながら
あの書店で見た福田の霊のように、少しずつ煙が吹き消されるように
その霊の姿は、康介の目の前で消されていった。

恐ろしさに、堪らずその場にへたり込む康介だった。

 

 

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映画:さんかく窓の外側は夜(2)

2021年12月17日 | 映画:さんかく窓の外側は夜

オープニング映像

どこかの病棟。廊下は薄暗く、懐中電灯を灯して進むと、病院スタッフたちが血まみれで倒れている
感染症なのか皮膚が所々赤くなっており、口から血を吐いていた。
三角形のらせん階段。
誰かの顔、診察室のステンレス製の台から血がこぼれていく。
血だらけの手、カッターを突き刺してネックレスの模様を作ったかのような首の傷跡
泥水の水たまり、いや浅い川のような場所をゴム長に傘を杖のようにして歩く人物。
その水を蹴り上げると場面が代わって、蹴り上げて跳ねた水が白い壁に血しぶきとなって付く。
みぞれ混じりの空、交差点、血だまりの廊下をバレーシューズで踏みつけていく足。
手向けられて枯れかけた花。宗教闘争のような絵が燃える様子。
床で動く血まみれの手、植物の葉の上から流れ落ちる血。蜘蛛。
手をつなぎ歩こうとする冷川と康介(手のみの描写)
万華鏡の幾何学的な模様、暗闇の中に浮かび上がる白い三角形の線
「さんかく窓の外側は夜」のタイトルが浮かび上がる。

雨の日の事件現場

規制線の外では、傘を差した野次馬たちがスマホを手に様子を窺っている。
雑居ビルの出入り口にご遺体があるのか、現場に現れた
警視庁捜査第一課殺人犯捜査第9係の刑事
半澤日路輝(はんざわ ひろき) - 滝藤賢一 が手を合わせている。
後輩刑事に傘を差させたまま、かがみこんで覆われたシートをめくると
連続事件なのか、これで3件目です。と、後輩刑事が半澤に説明する。
手口から見て、恐らく同一犯の犯行であるようだと述べている。
そこにはビニール袋に入れられ、切り刻まれた腕のような身体の一部が見えていた。

焼肉屋で

午後から降り出した雨が店の外を濡らす。
ロースターを挟み、差し向かいで座る
冷川理人(ひやかわ りひと) - 岡田将生 と 三角康介(みかど こうすけ) - 志尊淳

簡単な除霊作業だ、って言いましたよね。

はい、簡単でしたね。

昼間、除霊の現場で素足になり、屋敷の庭にある池に入っていく康介。
それを眺めながら、依頼主と思われる女性に冷川が状況を説明する。

今から助手が、池の中に入って調査を行います。

池の中に入った康介が後ろに倒れ込むと、池は深くなり水の底には霊がうごめいていた。
真っ暗な水の中、もがいた康介は・・・

死ぬかと思いました。

まぁまぁ、怒っている。

大袈裟ですね、霊は滅多に危害を加えるようなことはしてきませんよ。
まぁ、たまにタチの悪いのがいますけど。

怖くないんですか。
冷川さんは、子どもの頃からこういう力を持っていたんですか。

君も・・・ですよね。

えっ!

見えてしまいました、君の中に入ったときに。

あの・・・周りの人たちは、知ってるんですか。
能力のこと。

周りって?

あのぉ、親とか、友だちとか。彼女とか。

親も友だちも彼女もいませんっ!( ー`дー´)キリッ

えぇっ、あ・・・すいません、なんか。(-_-;)
肉焼きます。

気まずくなり、ロースターに肉を並べ始める康介に
冷川は、正式に契約を交わそうと言い出す。
康介と行動を共にしてみて、改めて自分のビジネスに彼を加えさせたいらしく
自ら書類を持ち出して、康介の前に置いた。
冷川にとって、いままではぼんやりとしたイメージでしか捉えられなかったもの(霊)が
はっきりと康介を通して視覚化され、仕事がしやすいと言うのだ。

これまで、やっかいな異能としてしか自分の力を見ていなかった康介にとって
仕事上の能力だと、目の前で契約書にサインを求め、ペンを差し出してくる男がいる。
驚く康介の横顔を改めてみてみると、小さく白い彼の顔に
チェーンのついた大きなレンズの眼鏡は、これまでの彼には必要であったのかもしれないが
今では不自然に思えた。

そんな彼の戸惑いには、お構いなしに契約書のサインを求めてくる冷川。

契約書と言っても、紙にサインペンで書いたような文字で

契約書

私、三角康介は冷川理人と
業務を供に遂行
することを約束します。

と、書かれただけのものだ。
そこにボールペンで署名をする康介。
眺めている冷川は、こう言ってはなんだが
まるで悪徳不動産業者が、上京したての学生にアパート契約のサインでもさせるかのような表情だ。
丁寧なのか雑なのか、契約書の上に焼肉のタレの入った小皿を置き
親指を立てて、署名の横に母音を押すように仕草を見せる。

いや、やっぱり悪徳業者やんっ!

焼肉のタレを指につけてしまった気持悪さに、思わずハンカチを探す康介だった。

その3へ続きます。

悪徳業者 冷川と契約を交わしてしまった康介。巻き込まれ感がスゴイっす。
共に ではなく 供に と書くのは、従う者としてという意味になりますのね。

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映画:さんかく窓の外側は夜(1)

2021年12月16日 | 映画:さんかく窓の外側は夜

ある冬の日の午後

小学校の帰り道、一人の子どもが他の子どもたちに罵られていた。

お前、ウザイんだよ。こっち来んな。
幽霊なんている訳ねぇだろ、嘘つくんじゃねぇよ。

嘘じゃないよ、本当にあそこに・・・。

後ろを歩く男の子は、用水の土手の上から斜め前方を指さす。

お前、ウゼぇんだよ。消えろっ!
今度嘘ついたらぶっ殺すかんなっ。

そう言って、後ろにいた彼を肩を小突いて、近寄るなとばかりに置き去りにして行った。
1人残された少年。
強い風が吹きつける中、彼が見つめる先には用水の濁った水が光っていた。

数年後

色白で物静かな、眼鏡姿の若い男性:三角康介(みかど こうすけ) - 志尊淳
スクランブルの交差点を渡ろうとして、何かの気配に気づき息をのんだ。
横断歩道の向こう側に、他の人には気づかれてはいないが
彼には眼鏡を外すと明らかにその姿や気配が見える・感じられるのだ。
長い髪の毛は乱れ、破れたような帽子をかぶった黒ずんだ女性。
人とも影ともつかない。
彼が驚いて後ろによろめき、後ずさりしようとして他の歩行者とぶつかってしまう。
その様子を眺めている男:
冷川理人(ひやかわ りひと) - 岡田将生 がいることも気づかないほどだ。
冷川は丸い縁のサングラスをずらし、結局交差点を渡れないで戻る康介の様子を見ていた。

勤務先の書店で、デニムのエプロン姿で本を並べる康介。
ふと、何かの気配に気づき眼鏡を外して本棚の先を見ると、棚の前の通路を黒く煤けてモザイクがかかったような影が
こちら側へ向かってやってくる。
康介は慌てて陳列用の本をその場に置くと、反対側(書店の出入り口側)へ逃げようとする。
すると彼の前に立ちふさがるように、あの男、交差点で康介を見ていた冷川がいた。

何故、眼鏡を外すんですか。

えっ。

冷川は、胸に着けた康介の名札を読む。

サンカク君。

あ、いや、ミカドです。

冷川は、左手で康介の右肩をそっと掴み、康介の後ろ側に目をやった。

凄い、こんなにはっきり見える。アレが・・・。

アレとは、かかっていたモザイクから徐々に姿が濃くなっていくアレ。←(殴)
どうやら眼鏡をかけており、斜めかけたバッグのベルトも見えてくる。
近づく気配が恐ろしくて、冷川の後ろへ逃げようとする康介。
彼の両肩を抱き、その彼が恐れている後方へ向きを変えさせる冷川。

いきなりでごめんなさい。

後ろから康介の耳元で話しかける冷川が、康介の右肩に置いていた手を
彼の胸の中心・・・そう、心臓のあたりに置く。
すると書店であったはずのその空間は暗くなり、三角形の白い光りが
康介と彼を後ろから抱く冷川を囲み、まるで宙に浮いた結界のように見えた。

タートルネックセーターを着た、丸眼鏡の男性。(やや髪の短いジョン・レノンといった風貌)
上司らしき男性に「言ったことくらいやれよ。」と、書類を目の前のデスクに叩きつけられている。

自席に戻って見た彼のスマホには、

沖田康夫:@福田浩二 修正した記事を見たけど全然ダメだな。
すみません。
山城:こんな使えねえ記事よく出せるな。
たま:福田のせいで記事まとまんねーじゃんか!マジ辞めてくんねえかな。
佐藤茂:クズがいなきゃ仕事も部屋ものびのびできるよな?福田?
MAKIO:福田みたいな奴雇うところもねえだろうけど(笑)
SAKAI:この世に居場所ねえだろ笑笑

などと、ひどい言葉が並んでいる。
いたたまれなくなった彼はその後、会社の屋上から飛び降り自殺をしたのだ。
それが現在、この書店を彷徨う男。

冷川が康介の胸に右手をあてたまま、左手を彷徨う福田の霊に向かって差し伸べると
彼のモザイクのようになった姿は、煙が消えて行くように徐々に吹き消されていくのだった。

恐ろしさに息遣いが荒くなり、呆然とする康介。
反対に冷川は自分が導き出した結果に満足したように微笑み、康介にこう告げる。

最高だ、君はまさに僕の運命だ。

あり得ない、これまで見たこともない出来事に康介は思わず冷川から離れる。
そんな康介に向かい、一歩前へ近づいた冷川。

僕の助手になってくれませんか。

はぁ?

状況がのみ込めない康介に、冷川は自分の名刺を差し出す。
そこには、

物件鑑定・特殊清掃 COOLEAN

冷川 理人 REHITO HIYAKAWA

090-642-874
〒231-1021 神奈川県横浜市南桜区新元町2-4-3 田渕ビル3F
coolean_hiyakawa@glacemail.co.om

そう書かれていた。

仕事内容は、簡単な除霊作業です。
時給は今の倍、出します。

何ですか、これ。
受け取った名刺を見てもまだ康介は混乱し、信じられない気分だ。
適当な事言わないでください。
さっきのは、俺の幻覚・・・ただの幻覚ですから。

渡された名刺を返そうとする康介に、驚く冷川。
君は自分が今まで見てきたものを否定するんですか?

俺は、ずっとアレが怖くて堪らないんです。
眼鏡を外すのは、他の者と区別できるから。
アレに・・・近寄らないためです。

そう言って眼鏡をかけ直し、 すみません と冷川の横を通り抜けていこうとした康介。
立ち去ろうとする彼に、冷川はこう告げたのだった。

怖くなくなります。

その言葉に、振り向けないままで立ち止まる康介。
康介の背中に向かって、冷川が言葉を続ける。

大丈夫、僕といれば怖くなくなりますよ。

その言葉に、ゆっくりと振り返る康介だった。

ここから、オープニング映像ですが
この続きは、また後日。

 

 

 

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映画「さんかく窓の外側は夜」について

2021年12月13日 | 映画:さんかく窓の外側は夜

WOWOWの契約期間中に、録画しておいた映画です。

予告を見たら面白そうなので、時間をみて少しずつ書き起こしをしてみたいと思います。

こちらは予告編です。

 

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