梶の「趣楽独言」

陶芸・家庭菜園・ダンス・碁・蕎麦打ちなど趣味三昧に生きる老人の独り言

年越蕎麦

2010年01月01日 | 蕎麦打ち
 31日の大晦日は20年ほど前から年越蕎麦を打つことが恒例となっています。初めの1年間は小麦粉を2割混ぜた二八蕎麦でしたが、その後は十割蕎麦を打ち続けています。当時は子供達が結婚していませんでしたので、4人分の蕎麦600gを打てばよかったのですが、今は孫達も産まれ、蕎麦を一緒に食べるようになり、9人分の1300gの蕎麦を打ちます。蕎麦ののし板が大きくないので、1000gほどしか打てません。700gと600gに分け、2回の蕎麦打ちです。1回が30分ほどで終りますので、準備を含め、1時間半ほどの作業時間です。
 蕎麦打ちは準備段階として蕎麦つゆ作りから始めます。そばつゆは好みにより甘さが違います。今までに色々な蕎麦屋で食べた味を思い出し、自分の好みの味を模索する事が重要です。自分で蕎麦を打つ楽しみは自分の好みの蕎麦つゆ作りが出来る事です。私は少し甘みのある蕎麦つゆが好きです。蕎麦つゆを作るには先ずかえしを作り、2週間ほどねかします。こうするとまろやかな味が出来上がります。本には500ccの醤油にみりん90cc、砂糖90gと書いて有ります。私はみりんと砂糖を少し多めにしています。少しづつみりんと砂糖の分量を調節し、食べ比べる事により自分の好みの味が見つかります。かえしはみりんのアルコール分がとぶまで中火で煮て、その後に砂糖を入れます。そして、弱火でその砂糖が焦げないように良くかき混ぜますと、透明な飴状になります。かき混ぜていますと徐々に粘性が出、色が変り、大きな泡が徐々に小さな無数の泡になります。そうしたら火を中火にして醤油をかき混ぜながら、ゆっくりと入れます。沸騰しないように、中火と弱火で火加減をし、アクを丹念に取ります。火を消し、冷えてからビンに入れ、寒いところで1~2週間ねかします。
 蕎麦つゆはねかしたかえしとだしを混ぜて作ります。だしはカツオ節で作ります。昆布を入れる方も居ります。これは好みで自分の味を模索するとよいと思います。カツオ節は厚削りを使います。私は松戸市の総合市場に買いに行きます。だしは2リットルの水に60gの厚削りのカツオ節を使います。沸騰した湯に厚削りを入れ、強火で厚削りが纏まらないようにかき混ぜながら、15分ほどじっくりと煮出します。その間アクを小まめに取ります。だしがでますと茶色い色に水が変ってきます。15分ほど経ち、充分にだしが出ましたら、厚削りを取り、だしを濾します。だしを取った厚削りはジャコなどと混ぜて、佃煮にしますと美味しく食べられます。だしを取っている内に2リットルの水が1.3リットルほどになっています。このままかえしと混ぜますと濃いので、私は少し、水を入れ薄めています。この濃さも好みですので調節して下さい。
 ねかしたかえしは混ぜる前に先ず少し暖めます。ビンから出したかえしが発する発酵した甘ったるい匂いで、そのかえしのよさが判断できます。私はこのポイントはかえし作り時の砂糖の粘性と小さな泡の量と思っています。
 だしにかえしをゆっくりと混ぜながら入れます。だしとかえしが良く混ざるようにかき混ぜます。その後1,2日ねかします。そばつゆは長期間使わないときは冷蔵庫内でも悪くなりますので、冷凍庫で冷凍保管します。
 蕎麦打ちの工程は水回し、練り、地のし、丸出し、角だし、本のし、たたみ、切りに分けられます。十割蕎麦を打つ為に重要なポイントは初めの水回しです。私は繋ぎを入れない水だけで十割蕎麦と打ちますので、この水回しに苦労しました。水回しは如何に、そば粉に均一に水を含ませるかです。そば粉に水を入れますと、水を含んだ部分のそば粉が塊となります。これを出来るだけ細かな均一な粒にするかがポイントです。初めて2年間はこのポイントが分かっていても、中々その様になりませんでした。しかし、両手の指先でそば粉をすばやく擦ることにより、小さな微細な均一な粒になるようになりました。
 通常本ではそば粉の5割の水で水回しをするように書いて有ります。しかし、この時のそば粉は蕎麦屋が使うような蕎麦を引いた直後の水分を充分に含んだそば粉です。売っているそば粉は何時作ったか分かりません。その為にそば粉の水分量は全て異なります。私は初めはこのことを知らず、半分の水分で綱らがないのは自分の腕が悪いと、如何すればよいか、1年ほど悩みました。しかし、蓼科に行った時に帰りの横川のサービスエーリアで買ったそば粉で、蕎麦を打ちますと、そば粉に水を含んだねっとりした感触が手に感じられ、6割ほどの水分量で、蕎麦が打てました。自分の腕でなく、そば粉により、水分量が変ると分かり、水の量を気にせず、調整するようにしました。
 水回しは先ず初めは半分の水、次ぎに残った半分の水と、そば粉の半分の水を4回に分け、水回しを行います。その後に細かに水を加えながら、水回しを行って行きます。徐々に水を含んだそば粉の塊が大きくなり、手の指先にもそば粉が粘りつきます。そば粉の量によりますが、自然にある程度の塊になった時に、手の指先に付くそば粉の感触により、水回しを止めます。その塊の大きさはその後の練り工程で最適な様に、試行錯誤し大きさや手先の感覚を見出してゆきます。
 練りの工程は私は陶芸を行っていますので、荒練を行い、その後に菊練を行います。しかし、荒練りはそば粉の量が少ないと出来ません。本では菊練を行うように書いて有るようです。荒練の方が蕎麦にこしが入るような気がします。練りは水分が多いと、手にそば粉がこびり付き力が入らず、煉る事が出来ません。こんな時は打粉を入れると硬くなり、煉れる様になります。また、水分量が少ないと練っていても繋がりません。こんな時は水分を追加します。本にはこんな時には諦めてそばがきにするように書いていますが、最初の頃は水回しに失敗することが多いですので、高価なそば粉ですから、調整した方がよいと思います。上手く煉れた時のそば粉は表面に艶があり、もち肌のような感覚で、ある程度の弾力が有ります。これは陶芸の粘土でも同じで、その様な粘土は手にまとわり付き、成形をするのが楽で、楽しいです。練の工程の失敗の原因は水回しですので、次回はそれを直すようにすればよいのです。練の時のそば粉の硬さですが、次の工程ののしに影響します。余り硬いとのしに力が必要になり、切る時も力がいり、作業がし難いです。水回しが上手くいっていない時は練りの段階での水分量の調整が重要です。のしなどの次工程の作業の失敗の原因は水回しにありますので、その失敗を生かしならら、水回しの水分量を調整することが重要です。水回しが上手くいった時は蕎麦の食感もよく、美味しい蕎麦になります。20年経った私でも新しい発見があり、より上手い蕎麦を打つ為に、常に試行錯誤の挑戦です。
 菊練をしていきますと円錐形になります。これを平べったい丸にし、のし台に置き、回しながら玉の縁を押し、丸くのします。この時に中心が尖ったらそこを平らにします。ここで重要な事は綺麗な円を作る事です。
 めん棒を使い、丸出しを行ないます。この時、めん棒を滑らせるような感じで生地を伸ばします。端まで行きましたら、生地をずらし、この動作を続けます。この時も、円形を維持するように、小まめに形を揃える事です。生地が柔らかいと、伸過ぎて形が変形します。生地が硬いと伸びません。伸びやすい硬さの生地の感覚を掴む事が重要です。これも水回しの水分量で決まります。
 丸出しは打粉を生地の中心にふるいます。その後めん棒に添えた両手を横にずらすようにして前方に押し出すように動かします。端まで行きましたら生地を少し回転させ、この動作を繰り返します。ここでも、円の形を保持するように形を整えながらこの作業をします。角だしが上手くいくかは丸くなっているかがポイントです。
 角だしは生地にめん棒を巻き付けます。巻き付けたら手前に戻し、開かずに前方に転がす。この動作を何回かした後に180度回転させ、めん棒に巻き、転がす。次ぎに90度回転させこの動作を繰り返します。この動作を繰り返す内にひし形から段々に4つの角がでてきます。ここで形が変形したら、4角になるようにめん棒を使い形を整えます。
 本のしは4角の手前の一端からめん棒に生地を巻き付け、生地を伸ばす。
 たたみは打粉を多めにふり、生地を折りたたみます。打粉が少ないと切った後麺がくっ付く原因になります。
 切りは包丁を上から下に押しきるのではなく、前方に押し出すようにスライスさせ切ります。包丁の重みを利用して切ります。この時の切った面が蕎麦の食感を滑らかにし、美味しい蕎麦になるか非常に重要なポイントです。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 冬野菜 | トップ | 冬野菜 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

蕎麦打ち」カテゴリの最新記事