海住恒幸の松阪市議会通信 

議員活動を通して、自治体議会や自治体のあり方を考えるブログ

「つっかえ棒」のような職員

2007年05月26日 18時15分21秒 | 自治体
先日、「闘う職員」といいました。
言い換えれば、「つっかえ棒」になるような職員が自治体には欲しいという意味でもあります。

少し前に、『広報まつさか』5月号のミスに触れましたが、あのミスも、広報の「つっかえ棒」のような職員がいたら編集の段階で間違いに気づいたかもしれません(もちろん、間違いは起きるときには起きていますものですが・・・)。
あれは、商工観光課から出てきた写真と、間違ったキャプションが「すり、すり」と、組織の壁を通り抜け、秘書室広報担当も間違いに気づかず、「すり、すり」とフリーパスでそのまま印刷してしまった小さな失敗です。

松阪市役所では、よくあること、よくありがちな失敗です。

松阪市役所の都市計画課では、国重文の御城番(ごじょうばん)屋敷と城跡の石垣の間の景観を妨げる位置に木造民家の2階増築の建築確認申請が上がった段階で素通り受理をしてしまったことがあります。問題意識の希薄さという問題ですが、これも都市計画の「つっかえ棒」のような人がいれば役所の組織内で問題視し、対応を協議したはずですが、住民から指摘されるまでそれはなかった。

中心市街地活性化においてもしかりです。
この2月から、市長は、認定基本計画という言葉をよく使うようになりました。
中心市街地活性化法の改正があったのは昨年の8月。その法律に基づいた基本計画づくりのことですが、市内のまちづくり団体の中では昨年の春ごろ、これに取り組むべきとの声があがっていました。
わたしも、昨年の9月5日に経済産業省と国土交通省の担当者を講師とする法改正の内容についての勉強会に参加しています。その後も、2度、3度、研修会に参加していますし、市民と語るつどいを開きました。
その後、9月の一般質問で認定基本計画について提案しています。

しかし、それでも、遅かったぐらいです。
認定基本計画の先駆者・富山市市役所では、昨年4月には、認定のための基本計画づくりに着手しており、8月に法が改正されるころには申請内容が固まっていたことでしょう。
だから全国第一号の認定基本計画となりました。

では、市役所庁内でなぜ、法改正を前に、組織内で検討作業がスタートしないのか。
「つっかえ棒」のような人材がいないからではないでしょうか。

松阪市では、本気で認定基本計画を意識し始めたのは、さらに遅れること、半年。今年の2月以降です。
周回遅れのランナーです。

きっかけは、国に対して駅西地区再開発事業の補助金の申請をしていたところ、市街地再開発事業(都市再開発法のメニュー)の枠はもういっぱいなので、中心市街地活性化法のメニューで申請してはどうかと、県庁を通して打診されてからです。
大あわてでした。
中心市街地活性化法なんてまったく想定していないし、準備もしていなかったのだから、対応できるはずはありません。
そこで、当初予算案に盛ることはあきらめ、時間稼ぎをして国と交渉し、当初の予定通り、市街地再開発事業の枠に入れてもらうことになり、補正予算で対応することになったのです。
横島毅さんを講師に研修会を開いた際、市長が質問。横島さんから「中心市街地活性化基本計画の中に再開発を位置づけていくべき」との助言を得て、認定基本計画の方に急展開していったのが、いまの松阪市のあわてふためいた政策形成のどたばた劇の姿です。

なぜ、このようなみっともないことになるのか。

職員同士の議論がない。
上の者に提案する職員がいない。
ときには組織内で「闘う」気概のある職員がいない。

それらの問題を総称して「つっかえ棒」になる職員がほしいと言いたいです。