議会には、議案質疑と一般質問があります。
ぶっつけ本番のだいご味を求める議員の側と、質問内容を知りたがる役所の側。
特に、事前の通告制をとる一般質問では、質問の内容を知りたがるどころか、質問内容をもとに答弁書を作成し、それを事前に議員に示し、「これでよいですか」と、すりあわせることもあるらしい。
「ガチンコ議会」であるべきと主張する片山・前鳥取県知事。
てらまちネット
☆山県市議会議員の寺町さんが、関連することを書いていますのでクリックしてください。
質問原稿を見せ、答弁書をもらい、答弁書をもとに作った再質問の原稿を見せ、それに対する答弁書ももらう。
議会での一般質問のやりとりは、そんな「台本」の読み合いっこ(学芸会・朗読会)ということも、ウソのような本当の話。
市役所の側も議員の側も、先に質問の中身がわかれば、お互い、議場で恥をかかなくて済む。
「すりあわせ」で答弁の内容を調整できれば、議員の側のメンツも立つ。
そんなギブアンド・テイクで儀式化が進む。
わたしの場合は、質問の内容は要旨で示したり、レジュメ(発言内容の骨子をまとめた資料)を配布したり、質問原稿を渡したり・・・。
市役所の側はそれをもとに答弁書を用意して、部長や市長がその答弁書を朗読する。
わたしは、答弁の中身は知らないので、本番まで、どんな答弁が出てくるのか、さっぱりわからない。
答弁をメモしながら、あわてふためいて反論(再質問)したい点を探し出す。
しかし、議会の壇上でその作業をするのは大変苦しい。
だから、本当は、質問など示したくない。
だけれど、「ある程度教えていただかないと何をお答えしていいのかわからない」と言うので、仕方なく、質問の中身を教えたり・・・。
こちらは、たぶん、こんな答弁が返ってくるだろうと予想し、いくつかのパターンを想定し、次の質問(これは見せずに)パターンをいくつか用意して議場にのぞむ。
答弁が自分が想定した範囲内にうまくおさまれば、こちらのペースで余裕を持って再質問にはいるが、はずれたときには悲惨な目に遭う。
あわてふためいて、生中継(録画放送もあり)のケーブルテレビのカメラの前でつらい思いをする。
ちゃんと質問を渡し、事前に答弁も受け取り等々の事前調整(すりあわせ)をしている議員は、余裕の涼しい顔。
そんなちぐはぐとした思いで議会活動をしています。
☆わたしが6日行った一般質問で、岩塚三善・建設部長が答弁に使った原稿(答弁書)を質問の翌日もらいました。
6日の質問は午後4時からだったので、お昼よりだいぶ早い時間に、わたしの質問原稿(5行)を担当者に渡しました。
このぐらいの時間的猶予をもうければ、質問に対する備えはできるでしょうし、それなりに忙しいはずだから、そんなに長文の答弁書を作成してくる余裕はないだろうとの読みでした。
ところが、議会でわたしが1分ほどで質問を終えると、岩塚氏の大答弁(朗読)が展開されました。
わたしの最初の質問は次のように短いものでした。(事前に渡した質問原稿そのままにしました)
☆海住からの質問
来年5月には本組合を立ち上げるということだ。そうなれば、松阪市も、組合員の一員として、この事業に関わる責任も今までとは違ってくるのだろうと思う。組合設立後は、「民主導だから」では通らないはず。いま大変不透明な状態にある事業協力者をどのようにクリアなものにして、施工業者を選定していくのか、責任ある答弁を求めたい。
☆以下は、わたしからの質問に対する岩塚氏の答弁(わたしの一般質問翌日にもらった答弁原稿です。この通り、答弁していたのだろうと思います)
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海住 恒幸 議員
(1)松阪駅西地区市街地再開発事業について
市は、一組合員として、また、補助金を支出する行政といった立場から、また総合センターを買い取るといった立場で、事業に関わっていますが、本組合が立ち上がり、実際に事業が動き出すと、その関わり、責任は大きくなってきます。
現在手続きを進めています、都市計画決定がなされれば、都市計画事業として進めていくことになります。
行政の役割として、都市再開発法第125条に基づき「組合に対する監督」、都市再開発法第129条技術的援助の請求があった場合には、市街地再開発事業に関し専門的知識を有する職員の技術的援助を行うことになります。
また、国からの補助金の執行にあたっても、国から市を経由し組合に補助金を交付するものであり、補助金の使い方については、市としても十分なチェック、監督を行い実施していただくことになります。
併せて、国からの補助金については、市が会計検査等も受ける立場になることからも市としても責任ある対応が必要であります。
● 事業協力者について
市街地再開発事業は、施行者が自ら又はコンサルタント等の助力を得ながら事業推進することが、一般的であるが、事業実施にあたって必要となる専門的知識・技術や施設建設物の管理・運営のノウハウ等、事業実施に関する業務が高度化・多様化する中で、施行者にかかる負担が少なくなるものであります。
そのため、民間事業者のノウハウをあらかじめ再開発ビルの設計・建設・管理運営の計画に反映させる為、事業への参加・協力に意欲的で、施行計画や管理処分計画策定作業への助言・提言を行なう民間事業協力者を求めています。
事業協力者には、様々な協力・支援の仕方がありますが、一般的には①人的な協力②資金的な協力③事業が成立するために、保留床処分先を見つける。そういったことから事業計画の作成、助言、商業調査等の作業を行ないます。
現在進めている松阪駅西地区市街地再開発事業においては、準備組合と事業協力者で協定が結ばれ、
・事務局運営への協力 ・各種計画等業務への協力、支援 ・事業推進のための資金の立替え ・保留床処分等に関するに協力、支援 地区外転出者の代替地等の斡旋、協力 その他必要と認められるものについての協力いただいております。
本協定の業務期間は、本組合設立の日までとなっており、本組合設立に至った場合には、双方の合意事項を本組合に継承するものでありますが、指名停止等の相手方の行為が発生してきており、本組合設立時には、再度、事業協力者と組合の協議がなされる予定です。
市といたしましては、指名停止業者との関わりについては排除するよう指導しており、透明性を図って行きたいと考えています。
●施行業者の選定について
これから事業実施していくにあたり、施設については、具体的な設計を行い、工事実施となる訳ですが、これらを進めていくにあたり、保留床の具体的な設計から管理運営に至るまでの協議、調整、関係者協議、地元対策、占用者協議、等多義にわたる作業が発生してまいります。
これらを実施していくには、専門的な知識や実施能力等が必要であり、今まで考えておりました工事だけを入札していく方法では難しいのではないかといった意見もあり、違った方法も検討しています。
市街地再開発事業を進めていく方法として、再開発組合を設立しそこから委託業務や工事発注を行い、事業推進を図っていく方法と、最近では、組合の業務を「業務代行方式」という、市街地再開発事業において民間事業者の能力を活用して事業の円滑な推進を図るため、施行者又は施行予定者からの委託に基づき、当該事業の推進に関する業務の相当部分を民間事業者が代行する契約を行い事業の推進を図るものでございます。
業務代行方式には、事業の推進に関する相当部分を代行する「一般業務代行」と建築等工事施工業務に含み、最終的には自ら保留床を取得する義務を負う「特定業務代行」の2種類があり、これらの業務代行者の選定にあたっては、公明正大に公募を行い、代行業者を決定するものであります。
6月議会には、川口議員のほうから発注方式についてのご質問をいただき検討中とお応えいたしましたが、最終的には自ら保留床を取得する義務を負う「特定業務代行」により行なうのが良いのではといった話し合いを行っています。
当然、特定業務代行者の選定にあたっては、公明正大に公募を行い、代行業者を決定するものであります。
現在、準備組合の方では、このような方法も検討されており、公平・公正に事業推進する方法を検討されています。
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「松阪駅西地区再開発について」というテーマだけでは答弁を用意するのが大変だろうと思い、5行の質問文を事前に差し上げた。
その質問をもとに都市計画課が書き上げたのが、この答弁の原稿。
持ち時間(答弁含めて50分)のうち、最初の1分を使い、5行文の質問を述べると、岩塚・建設部長は、冒頭の答弁書を延々と読み上げた。
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☆シチュエーションを確認すると、
岩塚部長は、わたしの質問を前もって知り、部下が答弁書を書く。
議場でわたしの質問を聴くと、答弁書をただ読みまくる。
どのような答弁がくるのかわからないわたしは、それを聴きながらひたすらメモをとる。
当然、細かいニュアンスまで書ききれない。再質問すべき点を十分に整理できない。
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岩塚部長が読み切ると、わたしの発言となる。
答弁の中身をほとんど消化しきれないままではあるが、手を挙げて、発言しなければならない。
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答弁を聴き、十分に消化してからでないときちんとした議論はできない。
議会終了後、答弁書を文書で見せてもらうと、確認すべきところ、詰めるべきところがよくわかる。
しかし、これを議場という独特の場所で、ぶっつけ本番で聴いて、頭の中にコンパクトに整理できるほど、わたしは頭がよくはない。かれらがわたしの質問をほしがるのと同様、わたしだって答弁の内容がわかっていれば、スムーズにいくのはわかっている。だけど、それでは緊張感がないので、質問は渡すが答弁書は受け取らないという状況を造って議会活動をしています。
ましてや、あわててしまう。
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☆質問の文書を渡しても、質問の量が少ないので、とりあえず、その量に見合った答弁しか返ってこないと考え、本当に言いたいこと、つっこみたいことは再質問でやろうと思っていましたが、最初の答弁の段階でわたしがその後ふれようと思っていた点を一応すべてにわたってふれられてしまい、混乱に陥ってしまった。
膨大な答弁がいきなり、いっきに返されてくると、これは情報の洪水ですね。ほとんど、パニック状態となってしまいました。
こんな失敗を繰り返すわけにはいきませんので、これからの議会ではどうしていくか、対応を考えていかなければなりません。