海住恒幸の松阪市議会通信 

議員活動を通して、自治体議会や自治体のあり方を考えるブログ

議会通信21号の内容紹介4

2005年12月24日 09時33分15秒 | 自治体
※ご注意
議会通信21号の内容紹介1~4の順で掲載しています。お手数ですが、「議会通信21号の内容紹介1」までさかのぼって順番にご覧いただけると幸いです。(海住恒幸)



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 いつも市民派 ずっと無党派

 海上アクセス問題での市役所の対応を見ていると、ベルファーム建設の是非についての議論と似てきました。その特徴は、行政の希望的観測をさも実現確実な事実であるかのように見立てるものです。
 ベルファームにイングリッシュガーデンを建設する際、下村市長は、わたしの質疑にこう議会答弁しました。「このベルファームに、本物の観賞庭園、イングリッシュガーデンを導入したいと考えております。非常に品位の高いイギリスのチェルシー・フラワーショーへ出展し準金賞を受賞した作品を集客の核としてベルファームに移築したい」。その栄誉あるチェルシーの作品はベルファームの集客の核となったでしょうか。
 一方の海上アクセス。旅客需要についてただすと、「行く人より来る人」といい、松阪市が中心となり、「吉野、東紀州などの後背地の市町村を組織化、連携し、観光開発を進める」という話ばかりです。たいへん抽象的で雲をつかむような話です。何ら具体的な見通しが立たないにもかかわらず旅客誘致を図り、アクセスが松阪市を中心とした紀伊半島の「集客の核」として機能するというのでしょうか。そして、海外の都市と交流都市(姉妹都市)になるのだという話も市長の口からたびたび出るようになってきました。必要があるから海上アクセスではなく、海上アクセスが欲しいから風呂敷を広げているようなものです。
 先日、予備用の中古船舶を1隻追加するという話が急に出てきました。当初の計画にあった1隻だけでは安全点検などの折に使えなくなるから予備として購入する予算措置を追加でやるのだということです。そして、津市との共同利用を三重県に調整してもらおうとしていた空港側ターミナルも当てがはずれ自前で建設しなければならなくなりました。そのたびに新たな予算措置。ベルファームでも開園後、補修などで何度も追加予算が組まれました。共通するのは行き当たりばったりのバタバタ。見通しがないのに、見直しはせず、都合のよいように架空の話を想定して効用を説いて、とにかく、前に進めてしまったことへのツケです。
 さらに気になるのは、情報を断片しか公表しない隠ぺい体質です。利用者の需要予測にしても数だけを書いたたった1枚のペーパー。なぜそのような数値になったかの根拠は一切示さず、「信じろ!」と言うものです。中古船舶にしても、空港側へのターミナルの市独自の建設にしても初めからは一切触れず、あとから、あとから、ぼろぼろと追加するように予算措置を求めてきます。
 どれも想定不能?だったのでしょうか。ただ、本当の「想定不能」はアクセス開港後にやってきます。行政は、▼運航業者が赤字になっても一切、損失補てんをしない▼赤字でも10年間は撤退しないなど3条件として事業者と約束をしているそうですが、事業者が持ちこたえることができるのでしょうか。先行き不透明どころか、五里霧中の船出となりそうです。

編集後記
▼ 11月に開催された松阪市総合計画市民懇談会で市民の方から海上アクセスについて「計画の段階で市民の意見を求めてほしかった」という質問がありました。それに対し市長は「場がなくても言うチャンスはいろいろとあったはず。ふだんから積極的な発言をしてほしい。声がたくさんあったら、意見を聞く場を設けたかもしれない」と答えました。
▼ 3月の議会でわたしの質問に対する市長の答弁。「市民が右と言えば右が正しいのか、左と言えば左が正しいのか。常にそういう判断であれば、市長は要らなくなる。わたしの判断で進めていく。議会にご相談申し上げながら進めていく。いちいち市民の声を全部聞くということにはならないだろう。わたしが市長に就任してから2年たっているわけですが、その間に大きな反対の声も聞いていません。わたしは自信を持って進めている」
▼ 1983年(昭和58年)から20年以上、新聞記者として、県内外、いろいろな自治体の長を見た経験から言います。このように強弁する首長にはいまやめったにお目にかかれません。時計の針が30年昔に戻ったように思います。「市民が政策を選ぶ権利」をかたちにしなければいけません。
▼ 求めているのは、市民に政策の方向性と、説明のある資料を積極的に提示し、政策・施策・事業の是非について意見を聞く。あとで、市民の意見を政策に入れるのか入れないのか。入れるとしたらどのように反映するのか。政策・施策・事業の見直しはあるのかないのか、結果をきちんと公表(フィードバック)すること。
▼ そのようなプロセスを経て、決めるのは、そう、市長、あなたです。ここまでしっかりとプロセスを踏まえていただけるのなら、議会はそのあとでかまいません。市民が先です。議員も市民として情報に接すことができますから。
 


議会通信21号の内容紹介3

2005年12月24日 09時31分40秒 | 自治体
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■ 市民(住民)投票制度
 また、重要な政策決定に対し、市民(住民)投票を行えるよう条例を定める自治体が増えています。
 例えば、我孫子市(千葉県)の市民投票条例は、▼市の存立の基礎条件に関する事項(市の名称変更や合併など)▼市が実施する特定の重要施策に関する事項(大規模公共施設の建設など)▼市及び市民全体に重大な影響を与える政策上の重要事項について、市民が賛否を問えるものです。投票資格者(18歳以上の住民、永住外国人)の8分の1以上の署名を持って市民から請求があったとき、市長は市民投票を実施しなければなりません。
 これまで市民投票というのは、海山町の原発誘致のときの住民投票のときのように、重大な問題が起きた都度、そのテーマに関して住民投票を行う条例案を議会にかけるものを指していました。しかし、議会が議決した事業に住民が異議を申し立て、住民投票を求めても議会では否決され、住民投票が実現しないというのがほとんどでした。そこで、住民が必要な署名を集めれば、市長は住民投票を実施しなければならないようルール化しておくのが、現在注目されている常設型の市民(住民)投票条例です。このようなタイプの条例は、愛知県高浜市が2000年(平成12年)に作ったものが全国で初めてでした。その後、同様の条例は少しずつ広がっており、現在、10例余りに上っています。県内では名張市が2006年(平成18年)1月1日施行を目指し、18歳以上・永住外国人も1票を投ずことができる住民投票条例を制定するための議案を12月の市議会定例会に提出する予定です。制定されれば県内では初めてです。
 市民投票制度は、市民自身が政策を選ぶための仕組みです。松阪市にも必要な条例です。「そんなことだれが決めたんや」と言うのではなく、市民自身が松阪のあり方を決める市民自治の制度です。市民主権を実現するためにこの条例が必要だと考えます。


■ 市民参加条例・まちづくり条例などいくつかの類型と流れ
 市民を起点においた条例にはいくつかの類型と流れがあります。
 その中でわたしが最も早く注目をしたのは、いまから8年前の1997年(平成9年)に箕面市(大阪府)が制定した「まちづくり理念条例」と「市民参加条例」のセットです。当時、わたしは新聞記者で、夜間、松阪大学の大学院生として都市政策と自治行政を専攻していた関係で、翌98年に箕面市を訪れ、市担当者に解説をお願いした条例だけに、個人的にも感慨深いものがあります。
 その後、2000年(平成12年)に制定されたニセコ町(北海道)まちづくり基本条例が、全国的に脚光を浴び、今日主流の自治基本条例の流れをつくる出発点となりましたが、その系譜をつくる先駆けには箕面市まちづくり理念条例と市民参加条例があったことを抜きには語れないと思います。
 箕面市の2つの条例は、まちづくりの主体を市民ととらえ、市民参加のまちづくりを理念化し、市民参加の定義を「市の意思形成の段階から市民の意思が反映されること」「市が事業を実施する段階で市と市民が協働すること」とし、「会議公開の原則」「委員の市民公募」「(市長が市民の意思を問う)市民投票の実施」を条例に位置付けました。会議公開や委員の公募はいまでは松阪市でも当然のように行われていますが、条例はありません。条例を作ることに意義があります。なぜなら、条例という自治体の法律があれば、行政の都合で会議を非公開にしたり、市民委員を非公募とするような行政に都合のよい判断はできなくなるからです。
 今日最も注目される自治基本条例は、当初、箕面市で「まちづくり理念条例」と「市民参加条例」が別々だがワン・セットで作られていたものを一本化して進化させたもので、その原点となったのが北海道の「ニセコ町まちづくり基本条例」です。



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■ 自治基本条例
 最近の傾向としては、自治体の自治の基本ルールを定める自治基本条例を作る自治体が増えています。
 自治基本条例は自治体(まち)の憲法(最高規範)といっても良いものです。
 自治基本条例には、市民、市長、議会の役割や責任、市民参加・協働を基本にした市民自治を基本とした市政運営を目指していくことなどを書くのが一般的ですが、松阪をどのような自治体にしていくのか、ルールの基本的な考え方を体系化しておくものです。そこには松阪という自治体をどのように経営していくのか基本的な考え方が表明されてなければいけません。
 例えば、現在、自治基本条例を策定中の我孫子市では、条文の中に市長の三選禁止、市長候補のローカル・マニフェスト作成の義務(現職以外の候補が不利とならないよう、市役所は現職以外の候補のマニフェスト作成に協力することも含む)、市の計画には市長のマニフェストを反映していくことなども盛っていく考え方を打ち出しています。
 このように自治体のカラー(色)が反映されるものですから、本来、100の自治体があれば、自治基本条例の内容は百様のはずです。言い換えれば、ふつう、自治基本条例をつくるような自治体は、その条例がなくても、ふだんの施策に自治基本条例の理念にあるような市政運営を展開しているものなのです。松阪市はいま、「自治基本条例づくりを視野に入れている」(総合政策部長)そうですが、それならば条例・制度はなくても政策決定の際、市民の意見に耳を傾け尊重する市民主権の精神にのっとった市政運営をするとかの姿勢があってもよさそうなものです。
 自治基本条例はすでに全国にいくつも生まれているので、「ひな形」をまねるのは簡単です。しかし、それでも魂の入っていないハコをつくるのと同じです。それはそもそも自治基本条例の趣旨に反します。
 憲法のもとに個別の法律があるように、自治基本条例のもとにも、市民基本条例の趣旨を具体的に生かす、さまざまな条例が要ります。先駆的に自治体改革に取り組んでいる自治体では、先に、市のポリシーを明確にする必要と思われる条例を矢継ぎ早に制定しているものです。そんなふだんの積み重ねの集大成が自治基本条例です。
 結局、問われるのはふだん何をしているかの積み重ねです。
 
■ 市長のローカル・マニフェスト
 「市民の政策を選ぶ権利」を求めていくと、選挙時における市長のローカル・マニフェストの必要性について触れなければなりません。選挙のときに何に取り組むのか明示されなければ、白紙委任と同じです。たとえ無投票であっても、市長候補者にはマニフェストを示してほしいものです。4年間の任期中に何に取り組むか、考え方と政策・施策を具体的に示してこそ、市民の負託にこたえられる方法です。岐阜県多治見市の西寺雅也市長は、市民・職員参加で作った総合計画に基づいた市政運営で知られる人ですが、その後の選挙では自ら示したマニフェストを総合計画の見直しの中に反映させることによって、マニフェストを日常の行政サイクルの中に生かしています。

松阪市においても、市民がトータルに政策を選択できる仕組みづくりが必要です。


議会通信21号の内容紹介2

2005年12月24日 09時29分37秒 | 自治体
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1億円以上の公共事業に市民の選択権〜志木市(埼玉県)〜

 政策として、市民の「政策を選ぶ権利」を打ち出している自治体はないか探していたら、埼玉県志木市が「公共事業市民選択権保有条例」を2002年(平成14年)に作っていることがわかりました。
この条例は、「広く市民生活に関連する公共事業の計画」を市民に公表し、計画に対する意見を尊重して政策の意思決定を行うもので、市民の意見がどのように反映したかを公表する制度です。市の政策形成過程における公正さや透明性の向上を図るのが目的ということです。
この制度が適用となるのは、1億円以上の公共事業。▼市長は最終的な意思決定を行う前に対象事業の計画を公表▼市民が意見を提出できる機会(30日間)を設ける▼公共事業民意審査会(該当事業に地域的な関連のある人、有識者、公募市民ら10人以内)を設置する▼審査会では、市民から寄せられた賛成や反対の意見の論点を整理し、計画を承認するか不承認とするか審査し、市長に報告▼市長は審査の結果を尊重しなければならないーーという条例です。

重要な内容を含んでいますので、同条例の前文をそのまま紹介します。

 公共事業の在り方については、国、地方を問わず、その必要性や実施方法等について、様々な論議があります。
特に、大規模な公共事業については、計画してから実施に至るまで多年を要し、その利害も錯綜するため、事業立案時と実施段階での必要性の程度や社会情勢の変化を敏感に受け止めることが重要です。
また、大規模な公共事業は、市民生活に深く関連し、多額の費用を要することから、「地方の行政は、地方の住民が自分の意思と責任によって処理する」という、まさに地方自治の本旨の制度的な保障を確立し、市民の参画を得ることが肝要です。
しかしながら、事業の選択や手法を含む実施については、依然として行政の意向が先行し、自治の主権者である住民が意思を表明する機会は、ほとんど確保されていません。
こうしたことから、志木市では、急激な時代の変化に伴う市民ニーズに対応するため、各種公共事業を計画段階で市民に公表し、寄せられた意見を尊重して意思決定を行うという、市民の基本的視点における選択権を制度的に保障することにより、事業の透明性と公正性を確保するとともに市民の行政参加を促し、市民自らが責任をもって創造する志木市の実現を目指して、ここに、この条例を制定します。
          (志木市公共事業市民選択権保有条例・前文)

条例とは、それぞれの地方自治体にとってのルールであり、国で言う法律のようなものです。したがって条例を作れば、市長はそのルールを守らなければなりません。このような条例を松阪市で作れば、「そんなこと、いつ、だれが決めたんや?」という問題はなくなり、市民自身が政策決定に参画できます。市民が政策決定に参画できる制度(市民主権)をつくることが、いま、わたしたちの松阪市は必要としています。


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 志木市の条例には、松阪市でも論点とすべき重要なポイントを押さえた内容となっています。

● 「特に、大規模な公共事業については、計画してから実施に至るまで多年を要し、その利害も錯綜するため、事業立案時と実施段階での必要性の程度や社会情勢の変化を敏感に受け止めることが重要です」(志木市条例・前文)

 松阪市でも総合運動公園や海上アクセスのように構想から10年以上経過している大型事業が存在しています。事業立案時と現在では必要度が違っていたり、経済情勢や市民の価値観など社会情勢は変化しています。行政に事業そのものの見直しを求めると、必ずと言っていいくらい、事業を始めたころの時代背景や「いきさつ」を説明してくることが多いですが、現在の市民の意見を聞くことの方が大切です。しかし、下村市長は、なかなか、市民の意見を聞こうというドラスティック(抜本的)な転換を行おうという姿勢が感じられません。


海上アクセス(2005年3月4日 17年度一般会計予算案質疑より)

海住 「海上アクセス関連の予算の提出を次の議会に遅らせ、その間に、松阪に本当に海上アクセスは必要なのかどうか、幅広く市民の声を聞き直し、判断し直してみる必要があるのではないか」
下村猛市長 「もう既にそういう時期は過ぎている。いままた振り出しに戻って市民にというような段階ではない。むしろ、一生懸命、前を向いて進んでいくのみであろう。すべてのことに市民の声を聞くということは非常に重要なことではありますけれども、すべてのことに対して市民の意見を聞くということにはならないだろう。林業のことであれば林業関係者の意見を聞くことが大事、海上アクセスがもたらす利益にあっかわることについては商工会議所をはじめとする財界、あるいは近隣市町村、こういったところの方々との協議が非常に重要である。市民の皆さんもその点はご理解いただいていると認識している」

 この答弁にあるのは、志木市の条例・前文にある「事業の選択や手法を含む実施については、依然として行政の意向が先行し、自治の主権者である住民が意思を表明する機会は、ほとんど確保されていません」を地でいっている感じですね。まさに「行政の意向」が最優先し、「住民が意思を表明する機会」などすっ飛ばしている旧来型の行政体質!
 さらに個々の施策について利害を持つ人や団体の声を聞くことは「非常に重要」だが、利害を持たない市民の声を聞くことは重要でないと言っているように聞こえます。
 市長の認識は「すべてのことに対して市民の意見を聞くということにはならないだろう」ということであるならば、何ならば市民の意見を聞くというのでしょうか。基準を示すことが必要です。志木市はその基準を1億円以上の公共事業すべてであると条例で明確にしているのです。他の自治体にできて、なぜ、松阪市にはできないのでしょうか。問題は、やる意思があるのかないのかということです。
 やる意思があるのならさっそく始めましょう。


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ホスピスに関連して(2005年9月21日 一般質問より)

海住 「大きな事業を構想するときは、前に進むことも、あとに戻ることも選択できる段階で市民の意向を聞くこと。また、節目節目で情報を提供し、説明していく姿勢を持つことが必要だ」
下村市長 「いったい政策を決定していく段階で、どこで市民の意見を聞き、あるいは公表していくのか、大変難しい。わたしは例えば、市民の意見を聞くのであれば、住民投票という手もあるんだろうというふうに思いますが、それが果たして適切なのかどうか、議会の存在はどういうことになるのかといったようなことも考えながら、一つひとつの施策についてどのタイミングかということをはかっていかなきゃならん」

 3月の海上アクセスの答弁より、9月のホスピスに関する答弁は、市民の声の聴き取りに対し一歩前進ではあるようです。しかし、「タイミングを見て市民の声を聞いていきたいという思いを持っているが、どうしたらよいか大変難しい」というのは、本当はやらないと言っているようなものです。
 行政の責任者である市長は、「思い」を持っているというだけではダメです。「思い」を持っていると言うなら具体的にいつまでにどのように取り組んでいくのか方向性を示なければ、やるという意思表明にはなりません。
 政策過程への市民参加に言及すると必ず出てくるのが「議会の存在」ということです。しかし、これは大きな勘違いです。市民と議会の役割は異なるからです。議会の基本的な役割は、市長が決定した政策・施策・事業を盛った議案について質疑し賛否を決めるものです。わたしが言っているのは、市長が政策を決定するまでのプロセス(過程)に市民の声を採り入れるべきであるというものです。これは市長の権限に属すものです。議会の役割は、市長が市民の声を尊重した施策や事業になっているかをを判断することです。
 ですから提案したいのは、市長の主観的な判断で市民の意向を聞いてみたり聞かなかったりするのではなく、ルールを定め、それを条例にしようというものです。やる気さえあれば条例はできます。
わたしは、松阪市には、志木市の「公共事業市民選択権保有条例」のような条例がすぐにでも必要だと思っています。

議会通信21号の内容紹介1

2005年12月24日 09時27分43秒 | 自治体
わたしが現在配布中の議会通信21号の内容を掲載します。


1ページ

議会通信21号 11月号
11月15日発行

巻頭言 市民の「政策を選ぶ権利」

「そんなこと、いつ、だれが決めたんや」。
ある大型事業について、街でこんな声を聞きました。
正解は、市長、それとも議会?

政策・施策・事業の実施決定を行うのは、市長です。それらが議案という形となって議会に送られてくると、議員による質疑を経たうえ、賛否を決めます。多くの場合、全員一致による賛成か、反対少数・賛成多数という結論が出ます。市長提案の議案を議会が否決したという例はありません。
古典的な考え方に立てば、市長や議員を選んだのも市民ですから、議会が議決した政策(施策・事業を含む)を決めたのは市民ということになります。しかし、実際には、「いつのまにそんなこと決まっていたの? そんなこと、知らんだ」になります。
市は重要施策について、ひとつひとつ、重要なタイミング(時期)に市民に公表し、説明しなければならないという意識を持っていないからです。だから、施策の善し悪しを判断するどころか、知ったときには「もう決まっていた」ということになり、怒りたくなるのも当然です。
また、議会で議決した施策や事業が、市民の思いや希望と一致しているのかと言えば、必ずしもそうではありません。むしろ、市民の間では賛否が真っ二つに割れていても、議会では賛成多数となるなど、市民の感覚と議員感覚とのズレを見ることがあります。

そこで、わたしは思います。
市長や議員を選ぶのと同様、市民には「政策を選ぶ権利」があるはずだ、と。
「市民の政策を選ぶ権利(市民政策選択権)」は、おそらく松阪市では論議の対象に上ったことはなかったでしょう。しかし、議員に選んでいただいてからの2年半、松阪市の行政が進める事業の決定において何が問題かを考えると、「市民の政策を選ぶ権利」を視野に入れないから起きた行政不信があまりに多すぎます。良い行政を作っていくためには、「市民の政策を選ぶ権利」を100%確保するための制度が必要です。
 
Index 
2〜4ページ 公共事業市民選択権条例
5ページ 市民投票制度
6〜7ページ 自治基本条例 ローカル・マニフェスト
8ページ いつも市民派 ずっと無党派

市民公募型視察に14人お申し込み

2005年12月21日 09時22分49秒 | 市民
来年1月19日、20日に東京都杉並区、文京区と、千葉県我孫子(あびこ)市で実施する市民公募型議員視察(12月1日付けのページ参照)には、計14人のお申し込みをいただきました。当初の予定をやや上回りますので、ここらで締め切りとさせていただこうかと思います。
松阪市3人、津市1人、鈴鹿市1人、桑名市1人、愛知県4人、岐阜県2人、埼玉県1人、東京都1人となっています。
杉並区長や我孫子市長から分権時代の自治体経営について、文京区の政策担当者から自治基本条例や財政健全化計画についてお話を聴かせていただきます。


シティマラソンに出場

2005年12月19日 14時16分32秒 | 身辺雑記
18日朝、松阪市飯南町のリバーサイド茶倉で開催された第1回松阪シティマラソンに参加しました。旧松阪市のシティマラソンは昨年まで第7回を数えましたが、合併に伴ってリセットされたようです。
3キロの部(昨年は5キロ)に参加しました。
練習で毎日、4~5キロ、走っていました。
記録は16分19秒。40代の年齢別で25位中24位でした。
体重の減量が目的ですので順位にはこだわっていません。
スタート直後とゴール直後の様子を写真に撮っていてくれた方がありましたので、掲載させていただきます。


議会閉会、通信配布開始

2005年12月19日 09時47分35秒 | 議会
12月定例議会はきょう19日で閉会します。
わたしの議会通信21号の配布を開始しました。
通信の今回の特集は「市民の『政策を選ぶ権利』」です。
実は11月15日に完成させていたのですが、12月9日におこなった一般質問の基となる記述をしていましたので、議会終了まで非公開としておりました。
これから年末にかけて、今回の議会の報告を主とした号を発行する予定です。

一般質問その3(質問編)

2005年12月14日 12時15分55秒 | Weblog
【質問編】
ポイント
● ハコ物事業の評価ないまま、30億円のハコもの建設はいいのか?
~新しいハコものなければ、思いはカタチにできないのか~
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 松阪市は文化や福祉、産業など多くの行政で、ハコ型事業を起こしてきた。
 目立った成果を上げてきたのか。特に直営施設の多くは造ったあと、貸し館業務が中心で、職員は窓口と事務所業務を遂行している姿しか見えてこない。
 それぞれの施設の目的を達成するため、本来、担わなければならない役割がそれぞれの施設から見えてこない。その一方で、それぞれの施設の維持管理費は財政の圧迫要因とさえなっているのではないか。
 松阪市のハコ物行政のこれまでをどう評価し、どう改善していくかという目線を向けることなく、
(それはぜひ、指定管理者制を採用するのか、直営でいくのかを線引きする際、是非、示していただきたい。)
 30億円の事業費を投じ、保健・医療・福祉総合センターという新たなハコものが造られようとしている。
 総合センターは、下村市長の強い思いが込められた施設であることや、多数の市民が参加した検討委員会でのワークショップや議論に込められた思いも垣間見せていただいた。
 しかし、いまあえて、30億円を投じ、新規に建設しなければ、それぞれの人々の思いをカタチにすることはできないのかどうか。

●17年度中に用地選定というが、
 すでに、市が明らかにしている計画によると、平成17年度中に建設用地の選定、18年度には基本設計、19年度には用地取得、20年度には用地造成、21年度には建設工事着手というタイムスケジュールが描かれている。
 それほど押し迫っているというのに、これまでの議会で明らかにされているのは、下村市長が今年6月8日の議会での質問への答えたところを読むと、建設の目的が「人材育成の場」であること、「市民だれもが健康で生きがいを持ち、生涯を安心して暮らすことのできる社会実現のために、幅広い保健福祉サービスの提供、地域福祉の推進、すべての人の交流、連携による活力の創生機能などを備えた総合的な拠点施設の整備」で、「そこで活動をしながら人が育っていく」ということ。また、6月16日には「NPO、ボランティアの人が育つことが大事。その人たちが協議し、研究し、勉強する場、交流する場」であると、述べられている。
 検討委員会の資料やパンフレットにはたくさん書いてあるが、要約すれば、市長の言う通りだ。
 だが、議会での議論も、それがもっとも具体的な中身なんですね。それで、30億円でいきましょうということになるのか。
 市民参加の制度は採り入れた。専門のファシリテーターを活用したワークショップも開いてきた。健康推進課の職員の皆さんは、地域の健康教室などに出掛けるごと、広報活動を兼ねて、模造紙に夢を書き入れてもらう活動もした。その手法と情熱は大変良かったし、ワークショップを見せていただいたときや、インターネットに公表されている検討内容の議事録を見せてもらったときも、ようやく松阪市も市民参加の手法をちゃんと採り入れるようになったのだなと、うれしくて感激しました。
 だけれど、そこに表されている市民の思いは、30億円ではない。なぜ、30億円かかる規模の発想が生まれてくるのか。
 

仮に、現在の健康センター、社会福祉協議会、障害者福祉センターの床面積を足して面積を出し、その面積からいくらかかるとはじいたわけではあるまい。もし、そうだとしたら、安易だ。
 
 そこにあるのは「初めに施設ありき」の松阪市のハコもの行政の発想ではないか。ワークショップで抽出した思いとはズレが生じる。市民の思いは別のカタチであっても反映できる。
 30億円かけなければならない必然性はセンターを造りたいと意見交換に携わった人たちの声からは読みとることはできない。厳しい言い方をすれば、使う側の立場としての市民の声は反映する機会はとっても、巨額投資の伴う事業の是非について検討する機会はなかった。いまこの時点で用地取得に入るには論議半ばである。だから、「市民の政策を選ぶ権利」を言っているのです。パブリックコメントは求めたか。
 新たな施設の建設ではなく、古くなった施設の活用、再利用の検討はおこなわれなかったのか。そうすれば、4億円と見積もられている用地も取得せずに済むし、建築費も縮減できる。そのような検討はあったか、なかったか。
 仮に、検討はしたが、いろいろ問題があって実現は無理との判断を下さなければならない場合もあるでしょう。しかし、それは大規模なセンターにしなければいけないという発想に縛られ、小規模多機能型という発想にはつながらなかったということはなかったか。

●建物より中身
 ワークショップも、行政主導の前提条件(資金とか規模とかの)が付いていると、それありきで進んでしまうことになりかねない。ゼロベースからの自由な発想での検討は行われたか。街に出てウォッチングすれば、街をどう元気にしようかという発想に結びつけ、保健・福祉を考えるかもしれない。なにも大きなセンター方式でなく、空き家を活用した小規模多機能型であってもいいし、一軒の空き家では小さければ、空き家が集中したところをいくつか借りて長屋方式でセンターを考えてもいい。空き地もあるので有効利用できる。地域とセンターの共存が可能だし、地域に開かれたセンターの運営も見えてくる。
 それでも、市長の言われる「NPO、ボランティアの人が育つ」「協議し、研究し、勉強する場、交流する場」「活動しながら人が育っていく場」であることは実現可能だ。
 松阪市の過去のハコ物行政の多くは、文化や福祉の器であるハコを造ったら「文化行政はした」「福祉行政はした」ということで終わってしまっている。そこに過去の失敗があった。本来はそこからが始まりなのに。
 市長が言われるように、ボランティア活動などを通した「人づくり・人材づくり」が大事。それはハコではない。既存の建物を有効に活用して、コーディネートさえきちんと機能すればまちなかの方はむしろよい。そうすれば、予算は30億ということにならないでしょう。
 立地及び建物について再考する考えはないか。
 実際、適切な用地探しが進んでいないといいます。急いで決める必要はない。まちなかでフィールドを探し、地域に必要な福祉を考え、学び、活動してみると、施設内の出会いにはない本物の発見は生まれるはずである。







一般質問その3(資料編)

2005年12月14日 10時05分13秒 | Weblog
9日に松阪市議会で行った一般質問の3つ目のテーマは、
「30億円をかける保健・医療・福祉総合センターは必要か」でした。
松阪市の大型事業の中では、構想の段階から市民参加型の検討会を立ち上げ、平成16年度にはワークショップ形式で市民の思いをカタチに表そうとしてきた事業としては評価できます。しかし、平成10年ごろからのハコものとしての構想は生きた中での取り組みのため、「ハコありき」であることは否めません。
皆さんのご意見をお聞きしたいので、わたしの質問内容の前に、資料を用意しました。

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2005・12・09
一般質問テーマ3 
「30億円をかける保健・医療・福祉総合センターは必要か」
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【資料編】

「松阪市保健・医療・福祉総合センター施設基本計画に関する答申」(松阪市保健・医療・福祉総合センター施設検討委員会、平成17年3月)の内容をまとめたものです。ただし、経過及び今後の計画は別途調べたものです。
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● 保健・医療・福祉総合センターとは
「市民だれもが健康で生きがいを持ち、生涯を安心して暮らすことができる社会の実現のために、幅広い保健福祉サービスの提供、地域福祉活動の推進、すべての人の交流・連携による活力の創造機能を備えた保健・医療・福祉の複合的拠点施設」(松阪市保健・医療・福祉総合センター基本計画より)。

● 施設の在り方
「保健・福祉の専門的機能に加え、誰もが気軽に立ち寄れ、人との交流の中から互いに思いやる気持ちが育つような“人を中心”とした施設を目指す
         (松阪市保健・医療・福祉総合センター基本計画より)

● 施設整備のコンセプト
地域資源・周辺環境を活用し、市民の元気を増すようなデザイン性豊かな施設整備を図る。
周辺一帯を含めヘルスパーク(健康づくり公園)化を図る。
周辺の公共施設を結びつけたエリアを形成する。
省エネルギーに配慮し、建築物の維持管理に関する経営効率を追求する。
緊急時や災害時に素早い対処のための機能整備を図る。
市民の交通利便性うぃ確保し、かつ環境への負荷を考慮した交通手段を検討する。

● 施設規模
敷地面積 2万平方メートル
建築 低層(平屋か2階程度)
床面積 5500平方メートル
駐車場 7500平方メートル(250台分)

●機能
☆総合交流
元気サロン、元気ホール、情報・展示コーナー、喫茶・ショップ、休憩・談話コーナー、音楽スタジオ・録音室、調理実習室、パーティールーム(栄養指導室)
☆ 保健機能 
すくすくスタジオ(健診室、授乳室含む)
健康相談室
健康増進室
健康推進課事務室
☆ 福祉・人権機能 
相談室
ボランティアルーム
ふれあいルーム(小グループ活動)
元気創造工房(市民グループ活動)
基幹型在宅介護支援センター
相談・介護用品展示コーナー
和室
子育て支援センター
人権センター事務室
社会福祉協議会事務室
☆ 管理機能
☆ 屋外(ヘルスパーク・子ども広場)
● 年間想定利用者
約68000人(1人230〜250人)

事業費
約30億9000万円
内訳 建物=22億円 
   設計・用地費(4億円)・用地造成費=8億9000万円

財源
総合センター建設基金=11億5000万円(平成10年から市費積み立てが中心。他に市民からの寄付約3000万円含む)
合併特例債(国からの借金)=18億4700万円
一般財源(市費)=9700万円

【経過】
● 平成10年度(奥田市長時代)
市制65周年を機に、別々の場所にある市社会福祉協議会や市健康センターなど福祉施設を1か所に集中するプランとして総合センター案が浮上。
庁内建設検討委員会を立ち上げる
総合センター建設基金として市費から約3億1000万円の積み立てを開始。
● 平成12年度〜14年度(野呂市長時代)
市社会福祉協議会の下村事務局長(現市長)らが、野呂市長(現知事)に、「人材育成の場」としてのセンターを造って欲しいと要望。公募の市民委員も加わり、施設検討委員会を立ち上げ、基本構想まとめる
● 平成15年度
4月、下村市長就任
● 平成16年度
5月 松阪市保健・医療・福祉総合センター施設検討委員会が第1回ワークショップを開催(〜計7回)。
6月 旧4町の委員も加わる
10月 人権施策基本方針
17年3月 基本計画を答申。
● 平成17年度
11月 人権施策基本方針を踏まえ、人権センター機能を加えるため、新たに施設検討委員会を立ち上げ。

【今後の計画】
平成17年度中に、建設用地選定
18年度 用地取得 測量 基本設計
19年度 実施設計
20年度 用地造成
21年度 建設工事着工
22年度 完成予定

長野の方から電話

2005年12月13日 21時39分52秒 | Weblog
きょう、遠く長野県の方からお電話をいただきました。
わたしが議会で問題にしたイングリッシュガーデンと同じものを長野県のある市が造ったが、高温多湿の気候に合わず、松阪で起きたのと同じ問題が起きたという話でした。
インターネットで調べて電話をくださったそうです。
一地方の議会で取り上げた問題ですが、共通する問題はいろいろな所で起きている。
一度造ってしまった大型事業。造るのも大変ですが、維持管理にも大変なお金がかかります。
イングリッシュガーデンを松阪に造らなければならない必然性(文化的背景)は何もなかったのに、造ってしまうから本当に大変だ。
ずっと重荷になってしまいます。