※ご注意
議会通信21号の内容紹介1~4の順で掲載しています。お手数ですが、「議会通信21号の内容紹介1」までさかのぼって順番にご覧いただけると幸いです。(海住恒幸)
p8
いつも市民派 ずっと無党派
海上アクセス問題での市役所の対応を見ていると、ベルファーム建設の是非についての議論と似てきました。その特徴は、行政の希望的観測をさも実現確実な事実であるかのように見立てるものです。
ベルファームにイングリッシュガーデンを建設する際、下村市長は、わたしの質疑にこう議会答弁しました。「このベルファームに、本物の観賞庭園、イングリッシュガーデンを導入したいと考えております。非常に品位の高いイギリスのチェルシー・フラワーショーへ出展し準金賞を受賞した作品を集客の核としてベルファームに移築したい」。その栄誉あるチェルシーの作品はベルファームの集客の核となったでしょうか。
一方の海上アクセス。旅客需要についてただすと、「行く人より来る人」といい、松阪市が中心となり、「吉野、東紀州などの後背地の市町村を組織化、連携し、観光開発を進める」という話ばかりです。たいへん抽象的で雲をつかむような話です。何ら具体的な見通しが立たないにもかかわらず旅客誘致を図り、アクセスが松阪市を中心とした紀伊半島の「集客の核」として機能するというのでしょうか。そして、海外の都市と交流都市(姉妹都市)になるのだという話も市長の口からたびたび出るようになってきました。必要があるから海上アクセスではなく、海上アクセスが欲しいから風呂敷を広げているようなものです。
先日、予備用の中古船舶を1隻追加するという話が急に出てきました。当初の計画にあった1隻だけでは安全点検などの折に使えなくなるから予備として購入する予算措置を追加でやるのだということです。そして、津市との共同利用を三重県に調整してもらおうとしていた空港側ターミナルも当てがはずれ自前で建設しなければならなくなりました。そのたびに新たな予算措置。ベルファームでも開園後、補修などで何度も追加予算が組まれました。共通するのは行き当たりばったりのバタバタ。見通しがないのに、見直しはせず、都合のよいように架空の話を想定して効用を説いて、とにかく、前に進めてしまったことへのツケです。
さらに気になるのは、情報を断片しか公表しない隠ぺい体質です。利用者の需要予測にしても数だけを書いたたった1枚のペーパー。なぜそのような数値になったかの根拠は一切示さず、「信じろ!」と言うものです。中古船舶にしても、空港側へのターミナルの市独自の建設にしても初めからは一切触れず、あとから、あとから、ぼろぼろと追加するように予算措置を求めてきます。
どれも想定不能?だったのでしょうか。ただ、本当の「想定不能」はアクセス開港後にやってきます。行政は、▼運航業者が赤字になっても一切、損失補てんをしない▼赤字でも10年間は撤退しないなど3条件として事業者と約束をしているそうですが、事業者が持ちこたえることができるのでしょうか。先行き不透明どころか、五里霧中の船出となりそうです。
編集後記
▼ 11月に開催された松阪市総合計画市民懇談会で市民の方から海上アクセスについて「計画の段階で市民の意見を求めてほしかった」という質問がありました。それに対し市長は「場がなくても言うチャンスはいろいろとあったはず。ふだんから積極的な発言をしてほしい。声がたくさんあったら、意見を聞く場を設けたかもしれない」と答えました。
▼ 3月の議会でわたしの質問に対する市長の答弁。「市民が右と言えば右が正しいのか、左と言えば左が正しいのか。常にそういう判断であれば、市長は要らなくなる。わたしの判断で進めていく。議会にご相談申し上げながら進めていく。いちいち市民の声を全部聞くということにはならないだろう。わたしが市長に就任してから2年たっているわけですが、その間に大きな反対の声も聞いていません。わたしは自信を持って進めている」
▼ 1983年(昭和58年)から20年以上、新聞記者として、県内外、いろいろな自治体の長を見た経験から言います。このように強弁する首長にはいまやめったにお目にかかれません。時計の針が30年昔に戻ったように思います。「市民が政策を選ぶ権利」をかたちにしなければいけません。
▼ 求めているのは、市民に政策の方向性と、説明のある資料を積極的に提示し、政策・施策・事業の是非について意見を聞く。あとで、市民の意見を政策に入れるのか入れないのか。入れるとしたらどのように反映するのか。政策・施策・事業の見直しはあるのかないのか、結果をきちんと公表(フィードバック)すること。
▼ そのようなプロセスを経て、決めるのは、そう、市長、あなたです。ここまでしっかりとプロセスを踏まえていただけるのなら、議会はそのあとでかまいません。市民が先です。議員も市民として情報に接すことができますから。
議会通信21号の内容紹介1~4の順で掲載しています。お手数ですが、「議会通信21号の内容紹介1」までさかのぼって順番にご覧いただけると幸いです。(海住恒幸)
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いつも市民派 ずっと無党派
海上アクセス問題での市役所の対応を見ていると、ベルファーム建設の是非についての議論と似てきました。その特徴は、行政の希望的観測をさも実現確実な事実であるかのように見立てるものです。
ベルファームにイングリッシュガーデンを建設する際、下村市長は、わたしの質疑にこう議会答弁しました。「このベルファームに、本物の観賞庭園、イングリッシュガーデンを導入したいと考えております。非常に品位の高いイギリスのチェルシー・フラワーショーへ出展し準金賞を受賞した作品を集客の核としてベルファームに移築したい」。その栄誉あるチェルシーの作品はベルファームの集客の核となったでしょうか。
一方の海上アクセス。旅客需要についてただすと、「行く人より来る人」といい、松阪市が中心となり、「吉野、東紀州などの後背地の市町村を組織化、連携し、観光開発を進める」という話ばかりです。たいへん抽象的で雲をつかむような話です。何ら具体的な見通しが立たないにもかかわらず旅客誘致を図り、アクセスが松阪市を中心とした紀伊半島の「集客の核」として機能するというのでしょうか。そして、海外の都市と交流都市(姉妹都市)になるのだという話も市長の口からたびたび出るようになってきました。必要があるから海上アクセスではなく、海上アクセスが欲しいから風呂敷を広げているようなものです。
先日、予備用の中古船舶を1隻追加するという話が急に出てきました。当初の計画にあった1隻だけでは安全点検などの折に使えなくなるから予備として購入する予算措置を追加でやるのだということです。そして、津市との共同利用を三重県に調整してもらおうとしていた空港側ターミナルも当てがはずれ自前で建設しなければならなくなりました。そのたびに新たな予算措置。ベルファームでも開園後、補修などで何度も追加予算が組まれました。共通するのは行き当たりばったりのバタバタ。見通しがないのに、見直しはせず、都合のよいように架空の話を想定して効用を説いて、とにかく、前に進めてしまったことへのツケです。
さらに気になるのは、情報を断片しか公表しない隠ぺい体質です。利用者の需要予測にしても数だけを書いたたった1枚のペーパー。なぜそのような数値になったかの根拠は一切示さず、「信じろ!」と言うものです。中古船舶にしても、空港側へのターミナルの市独自の建設にしても初めからは一切触れず、あとから、あとから、ぼろぼろと追加するように予算措置を求めてきます。
どれも想定不能?だったのでしょうか。ただ、本当の「想定不能」はアクセス開港後にやってきます。行政は、▼運航業者が赤字になっても一切、損失補てんをしない▼赤字でも10年間は撤退しないなど3条件として事業者と約束をしているそうですが、事業者が持ちこたえることができるのでしょうか。先行き不透明どころか、五里霧中の船出となりそうです。
編集後記
▼ 11月に開催された松阪市総合計画市民懇談会で市民の方から海上アクセスについて「計画の段階で市民の意見を求めてほしかった」という質問がありました。それに対し市長は「場がなくても言うチャンスはいろいろとあったはず。ふだんから積極的な発言をしてほしい。声がたくさんあったら、意見を聞く場を設けたかもしれない」と答えました。
▼ 3月の議会でわたしの質問に対する市長の答弁。「市民が右と言えば右が正しいのか、左と言えば左が正しいのか。常にそういう判断であれば、市長は要らなくなる。わたしの判断で進めていく。議会にご相談申し上げながら進めていく。いちいち市民の声を全部聞くということにはならないだろう。わたしが市長に就任してから2年たっているわけですが、その間に大きな反対の声も聞いていません。わたしは自信を持って進めている」
▼ 1983年(昭和58年)から20年以上、新聞記者として、県内外、いろいろな自治体の長を見た経験から言います。このように強弁する首長にはいまやめったにお目にかかれません。時計の針が30年昔に戻ったように思います。「市民が政策を選ぶ権利」をかたちにしなければいけません。
▼ 求めているのは、市民に政策の方向性と、説明のある資料を積極的に提示し、政策・施策・事業の是非について意見を聞く。あとで、市民の意見を政策に入れるのか入れないのか。入れるとしたらどのように反映するのか。政策・施策・事業の見直しはあるのかないのか、結果をきちんと公表(フィードバック)すること。
▼ そのようなプロセスを経て、決めるのは、そう、市長、あなたです。ここまでしっかりとプロセスを踏まえていただけるのなら、議会はそのあとでかまいません。市民が先です。議員も市民として情報に接すことができますから。