海住恒幸の松阪市議会通信 

議員活動を通して、自治体議会や自治体のあり方を考えるブログ

議会通信25号出来上がり!

2006年07月10日 09時18分28秒 | 議会
議会通信25号の完成です。
巻頭記事をご紹介します。


特集 市民(住民)がつくりたい議会をつくること!?

 市議会も変わりつつあるのだなあ、と思います。
 議員になる前、議会を傍聴したときのことです。ちょうど、一般質問の日で、ある議員は「松阪市に外国人指導助手(ALT)は何人いるのか」と質問していました。何も議会で質問しなくても、教育委員会に電話を掛ければわかるような話です。いま、さすがにこの種の質問は減りました。
 現在、主流は、事前に調べた課題を問題提起し、それについて行政としてどのような考え方で対応していくのか、ただしていくものです。毎回、質問している議員はいまもわたしだけですが、ほぼ毎回、質問する議員が増えてきました。昨年秋、会派への時間割り当て制から議員個人の持ち時間(答弁含め50分)に変更になったので、会派に縛られる時代でもなくなったのでしょう。特にケーブルテレビの中継も加わり、ひとりひとり、個力を競える条件がそろってきました。
 わたしは、今回の一般質問では、とてもカラフルな紙芝居風パネルを9枚も用意しました。海上アクセスに関するデータを表やグラフに表したものです。専門的技能を持つ市民に制作を依頼したものです。とても良い出来映えで、議会内でも評判になりました。議会での質問は、資料配付が行われないため、傍聴の市民にはわかりくいところがあります。それを少しでもわかりやすくする工夫が必要です。ケーブルテレビによる中継が始まったのだから視聴者にもわかりやすくする必要性はなおさら高まっています。そこで思いたったのが紙芝居風パネルだったのです。
 一方で、市民の方にとって議会はまだまだ馴染みの薄い所です。正味の質問や質疑の時間は短い割に、議事運営は非効率で長い時間を要します。何度も同じような議案の説明(説明というより、早口でわかりにくい朗読!)が延々と続きます。おそらくそれは、説明して理解してもらうためというよりは、議事録という記録に載せるという義務の形式をととのえることと、「説明はしておきましたよ」というアリバイをつくるために行われているような代物です。長らく続いている慣習主導で、傍聴に来られる市民は想定外の存在のようです。
 議員の個力で議会を臨場感があって関心の持てる場にしていける部分と、そうでない部分。後者の方は、議会の中の問題意識にもなっていないようです。
 先だって、わたしもメンバーの一員である「無党派・市民派 自治体議員と市民のネットワーク」が開催のお手伝いをしたシンポジウムが名古屋市で開催され、講師の前宮城県知事・浅野史郎氏は、「住民がつくりたい議会をつくっていくことから住民に必要な議会が生まれる」と話されました。
 現在の議会の制度のもとで運営されている議会の現状を市民にしっかり知ってもらったうえ、いまの議会をどう思うか、議会はどうあるべきかを問い掛け、市民が望む議会とはどんな議会かを、市民といっしょに論議していく必要を感じています。


ちょっとお試し中

2006年07月04日 15時04分27秒 | 身辺雑記
どのブログの使い勝手が良いか、ライブドアの方も作ってテストしています。
gooのと違って、機能がいっぱいですが、その分、複雑なのでしょうか。
なぜ、こんなことを始めたかっていうと、ライブドアの方は、1回の投稿で簡単に写真をたくさん掲載できると聞いたからです。
gooの方でもできると教えていただいた方があるのですが、まだ理解できていなくて。

6月29日の一般質問結果報告(2)

2006年07月01日 09時16分15秒 | 議会
海上アクセスに続いての質問です。
政策決定がどのように行われているのか、ブラックボックスです。
そこで、市長が最終的な意思決定を行う前に、その計画に対し、市民が意見を述べる機会を設けることをルール化しようという提案です。

答弁で市長は、上野千鶴子著の『当事者主権』(岩波新書)に「感銘を受けた」と、15分(体感時間)近くも延々語り始めました。当事者とは、主権とは、市民主権とは。。。市長が上野さんのこの本をどう読み、どのような感想をだいたかには興味も関心もあるところです。個人的な時間には聞いてみたい。
しかし、議会の一般質問は、答弁を含めて50分しかないのです。
(答弁時間が質問時間に含まれないなら、自由にやっていただいていいのですが。。。)
わたしは、今回の一般質問の準備にあたって、「歩く」側からのまちづくり、地球温暖化対策のことや駅前再開発のこと、幼稚園の定数の不均衡など、8~9項目についてそれぞれ調べ、テーマ化していましたが、質問時間の制約上、2つに絞りました。
2つに絞った中でも、海上アクセスに関して調べた時間は膨大です。したがって、その中で質問したくてもはずした項目もいくつかあります。
にもかかわらず、市長の上野千鶴子論は長すぎた。
結論はどこへ持っていくのか、延々と語った挙句、「したがって、海住議員の提案には賛成できません」。
(最初からそのように言ってくれれば、結論は水と油。一般質問という場で市長の考えを変えさせる労はムダに終わることとわかっていますので、先へ進め、時間を有効に使える)
これからは、答弁にあたって、結論から先に、理由やいきさつは後から語るようにしていただきたい。そうすれば、結論によって理由を聞かなくてもよい場合があるし、短く理由を聞きたいとき、じっくりと理由を聞きたいとき、とがあるからです。
結論を言わず、理由だけ延々つづくと、にっちもさっちもいかない。
市長の「当事者主権」論は、もっと落ち着いたとき、じっくり聞かせていただきたい。
もちろん、わたしの市民主権論ともかかわりがあるから述べられたわけですが、新聞記事で言えば、100行も150行も展開していただく場ではないことは分かるはず。さわり(リード部分)だけで結構。その他は別の機会にと切にお願いしたい。
そのことで質問時間に大きく影響が出ました。
市長の上野千鶴子論に興味あるある方を含め、
7日夜8時以降、松阪ケーブルテレビで録画放送があるのでご覧ください。
  (放送開始時間は午後8時。わたしは2人目です)


☆すいません。前置きが長くなってしまいました。
  さて、2つめの一般質問です。


2,政策決定に市民が参加できる仕組みづくり

市長が最終的に意思決定を行う前の段階で、その方向性について市民に公表し、賛否を含め、市民に意見を求め、その声を最終的な意思決組みを制度として確立することが必要だ。

すでに、市民の意見を政策に反映していく手法として市民委員会が設置されることがある。市民委員会は、市長からの諮問に対し、答申(提案)をまとめ、市長に提出していくのが役割だ。市長はその答申をもとに意思決定をしていくが、今回、提案したいのは、市民委員会とは別物(市民委員会を持たない場合も適用される制度)。
市民委員会には重要な役割があるが、弱点もある。委員の顔ぶれが固定化しやすいこと、人数も10人程度と少数であること。その他の市民が声を反映する機会がない点だ。
そして、市長に答申を提出したあと、市長が最終的に意思決定を行うまでのプロセスがブラックボックスになってしまうことだ。

そこで、市長が最終的な意思決定を行おうとする段階での市長原案を市民に公表するとともに、一定の期間を決めて、意見公募する仕組みを設けてはどうかという提案をしたい。

これは、賛成か反対かの数だけを決める住民投票とも異なる。もちろん、ものによってはただ賛成か、反対かだけになることもあるが、最終案に市民的意思や市民的意見を上乗せすることにつながる場合もある。

例えば、海上アクセスに12億円かけるが、市民はそれをどう受け止め、どのような条件の場合なら賛成できるか、また、反対かなどと意思表明できる。

もちろん、最終的な意思決定の権限は市長にある。ただ、市民的意思を尊重する努力義務はあるので、どのように市民の意思を反映したか、また、反映できなかったかについて、市民に説明する義務は発生する。

 わたしは常々、市民が市長の最終的な意思決定に参加できる仕組みをつくるべきと考えてきた。探せば先行事例はあるもので、埼玉県志木市では平成14年に、公共事業市民選択権保有条例という形で市民参加が担保されている。

適用範囲は、例えば、埼玉県志木市の例だと、1億円以上の公共事業が対象。市民による民意審査会を設ける。
民意審査会は、30日間、市民の声を集めたうえ、賛否を集約し、市長に提出。
市長はその結論を尊重しなければならない。

市長や行政当局者の中に、仮に、「いい結果を出すことで答えを出せばよい」という考えがあったとしたらそれは誤りだと言っておきたい。
 なぜなら、そこには、重要な政策的判断を行う際、十分な説明と意見交換を行ったうえ、市民といっしょに決めていく市民自治の原則を採り入れていこうとする姿勢がないことを示しているからだ。
 市長は、海上アクセス事業に関しては市民に反対の声はないと言い放ったが、そんなはずはない。5月22日付の朝日新聞三重版には、自民党討論会に参加した人の6割以上が採算性に疑問があると答えたと報道されていた。わたしのところにも、さまざまな市民の方がいまなお反対の意見を述べてこられる。
 これは、市民的論議の中で、海上アクセスを前に進めるか、取りやめるかを決めるというプロセスを、松阪市が政策決定過程の中に組み込まない行政手法が招いた結果だと言える。市民自治の原則への関心の希薄さが原因だ。
 ここでいう市民自治とは、政策の決定に対して市民が参加していく仕組みを指しています。

わたしの一貫した立場は、大型プロジェクトを実施したいというときは、前に進むことも引き返すことのできる段階で市民の意見を聞くという制度を設けることだ。
 合併後、海上アクセスに限らず、下村色の強い、ホスピスや健診センター、保健・福祉・医療総合センターをはじめ、驚くさまざまな施策が事業化されているが、現状では市民は「結果」に対する評価しかできない。意思決定過程に市民参加はとられてはいる。

 事業の実施がどうか、市民がことの是非を判断するために、十分な情報の提供が必要だ。
次には実施したい事業の説明機会だ。
さらには、意見交換の場。
そして、声を集約していく仕組みづくり。
どのように市民の声が反映されたのか、反映できなかったとしたら、その理由。どのように検討したか。その内容について、説明していく手法。
これらをひっくるめた市民自治の制度を確立していくことが、必要だ。
 市長は、昨年9月のわたしの一般質問に対し、「いったい政策を決定していく段階で、どこで市民の意見を聞き、大変難しい」と答えていますが、いま、わたしが具体的に示した市民自治制度の体系づくりをどうか本気で検討いただきたい。

資料

1億円以上の公共事業に市民の選択権〜志木市(埼玉県)

 公共事業の在り方については、国、地方を問わず、その必要性や実施方法等について、様々な論議があります。特に、大規模な公共事業については、計画してから実施に至るまで多年を要し、その利害も錯綜するため、事業立案時と実施段階での必要性の程度や社会情勢の変化を敏感に受け止めることが重要です。また、大規模な公共事業は、市民生活に深く関連し、多額の費用を要することから、「地方の行政は、地方の住民が自分の意思と責任によって処理する」という、まさに地方自治の本旨の制度的な保障を確立し、市民の参画を得ることが肝要です。しかしながら、事業の選択や手法を含む実施については、依然として行政の意向が先行し、自治の主権者である住民が意思を表明する機会は、ほとんど確保されていません。こうしたことから、志木市では、急激な時代の変化に伴う市民ニーズに対応するため、各種公共事業を計画段階で市民に公表し、寄せられた意見を尊重して意思決定を行うという、市民の基本的視点における選択権を制度的に保障することにより、事業の透明性と公正性を確保するとともに市民の行政参加を促し、市民自らが責任をもって創造する志木市の実現を目指して、ここに、この条例を制定します。
            (志木市公共事業市民選択権保有条例・前文)

 埼玉県志木市が「公共事業市民選択権保有条例」2002年(平成14年)

● 趣旨 「広く市民生活に関連する公共事業の計画」を市民に公表し、計画に対する意見を尊重して政策の意思決定を行うもので、市民の意見がどのように反映したかを公表する制度です。

● 目的 市の政策形成過程における公正さや透明性の向上を図る

● 対象 この制度が適用となるのは、1億円以上の公共事業。

● 内容 
(1) 市長は最終的な意思決定を行う前に対象事業の計画を公表
(2) 市民が意見を提出できる機会(30日間)を設ける
(3) 公共事業民意審査会(該当事業に地域的な関連のある人、有識者、公募市民ら10人以内)を設置する
(4) 審査会では、市民から寄せられた賛成や反対の意見の論点を整理し、計画を承認するか不承認とするか審査し、市長に報告
(5) 市長は審査の結果を尊重しなければならない