私には
三人の祖母がいた
山育ちの祖母は
七十で
「オレは」というしゃべり言葉を
まるごと変えてしまい
気短な癖に
仏の様に暮らそうともくろんだ
九十七まで生きた祖母は
ベッドに体を横たえながら
訪ねていくと
ベッドに凭れ正座して
きっぱりと補聴器を厭い
聞こえぬ
会話に加わった
私のすきだった祖母は
「躾に古いも新しいもないっ」と叫び
三人の男孫を育て
死ぬ前日まで
歩いて通院をしとおした
あおい空を
みあげ 涙ぐむ時
こんな私で相済まぬが
こんこんと
みゃくみゃくと
血よ流れよ
血よながれよ
とまじないを唱える。
H5.8.25
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