
「0、5ミリ」 安藤桃子監督 ◯ 日本たばこ産業協力
安藤監督が妹の安藤サクラを主演に高知を舞台に撮りました。ヘルパーと孤独な高齢者の姿を通していくつかの問題提起を試みた秀作です。
山岸サワ(安藤サクラ)はヘルパーとして真面目に働いていましたが、人の良さが仇となり大事件に巻き込まれクビになってしまい寮も追い出されてしまいます。とりあえずその日の宿を確保するためカラオケ店でトラブっていた高齢者を説得し一緒にカラオケ店で一晩過ごします。それをきっかけに彼女は何人かの高齢者の元へ「押しかけヘルパー」となって彼らのさまざまな悩みや問題を解決に導いていくのでした。
弱みを巧みに利用し押しかけヘルパーとなるのですが、彼女はヘルパーとして家事をきちんとこなすだけでなく、詐欺被害を未然に防ぎ、痴呆症の高齢者の扱いも巧みで、初めは胡散臭げだった高齢者たちも次第に彼女を信頼していきます。そして、ラストではきちんと冒頭の大事件の決着もつけてしまいます。
大事件の発生とラストの決着には行き場のない子どもの問題が、そして押しかけ先の一つ津川雅彦が演じている元海軍の生き残りが語る戦争批判のふたつが大きなテーマとなっていて一本で二本分楽しめる内容となっています。また、サワが作る美味しそうな食事の数々は母親の安藤和津さんがフードスタイリストを務めていました。
タバコは、なし。無煙です。が、協力の中に「日本たばこ産業」の文字がありました。自動販売機と灰皿くらいしか目に入らなかったのですが・・・。