「キネマの神様」 山田洋次監督 ☓☓PP
原田マハ原作の同名小説を題名と主人公のみ拝借しストーリーは大胆に変更した作品です。
ゴウ(沢田研二)は競馬にはまり借金の取り立てで娘の歩(寺島しのぶ)や妻の淑子(宮本信子)を困らせています。そんな彼は「あなたにも競馬以外に映画っていう好きなものがあったでしょう。」と妻に諭されます。実はゴウは若い頃助監督をしていたのです。情熱的に映画製作をしていた当時のゴウ(菅田将暉)を見守る人に、食堂の淑子(永野芽郁)、女優の桂園子(北川景子)がいました。その淑子にゴウの親友で映写技師のテラシン(野田洋次郎)が恋をするのでした。
現在のテラシン(小林稔侍)は夢だった映画館を経営しコロナ禍の中経営にあえいでいます。そんな折歩の息子勇太(前田旺志郎)が昔のゴウの脚本「キネマの神様」を見つけるのでした。
コロナで主役の急な変更や撮影の延期などあれこれのトラブルを乗り越えてやっと完成、一般公開にこぎつけた、という印象です。とりあえず松竹100年の記念作品が公開できてよかったですね。そんなわけでご祝儀を含めても評価は平凡なものになってしまいました。良かったのは北川景子の魅力がより引き出されたこと、山田監督らしい労働問題の用語が張り出されたり、セリフに含まれたりしていたこと、コロナの被害を大きく受けている映画館の現状を訴えたこと・・・。などは評価できます。特に歩が面接に臨むとき靴をハイヒールに履き替える演出は女性労働者の現実を表していました。しかし、原作ファンとしては「ぜんぜん違うじゃん!」という印象は否めません。その歩こそが主役だったはずなのに・・・。
沢田研二の健闘は称えますが。
タバコは、昔の場面で映画監督役のリリー・フランキーが何度も喫煙しわざわざ缶の銘柄までしっかり見せていました。コロナの中喫煙させるなんてクラスターの一因が喫煙所なのにいつまでたってもタバコと縁が切れないですね山田さんは。
その他にも食堂で喫煙している人がいました。撮影所内には「禁煙」の表示もありましたが。