「世界が食べられなくなる日」 ジャン ポール ジョー監督 仏 ○ ☆☆
遺伝子組み換え食物を食べ続けるとどうなるのか、という動物実験の経過を追っていきます。もう一方では、原発というテクノロジーが暴走し、結果として福島の事故につながった経過を縦糸にし、それに反対している人々の姿を横糸にして織りなしたドキュメンタリーです。遺伝子組み換え作物は農薬と密接に結び付きラットに腫瘍を発症させます。また、遺伝子組み換え大豆を船から降ろす作業をしている労働者は大豆から発生している農薬でガンを発症しています。フランスの原発でも福島の事故以前にあわや大惨事という事故は何度も起きていました。チェルノブイリ原発事故で汚染された北欧の木材は現在でも線量が高いのです。最後に福島事故で有機農業の将来に絶望して自殺した人の家族の「放射能汚染は福島だけではない。海や空で世界中につながっている。」ということばは私たちが未来をどうするのか考え直さなければならないと強く感じさせる一言でした。私たちのいまは、放射能でも、遺伝子組み換え食品でもモルモットにされていることを実感できる作品です。
すばらしい秀作ですが、邦題は作品の警告を伝えきれていないのが残念です。
タバコはなし。無煙でした。