けったらかまえる

ひとりごと

(ショートストーリー) ~ 私の好きな入国審査官

2010年11月02日 | Weblog

彼女はいつものようにそこに居た。
座っていた。
高座でモニターを見ながら何やらチェック。
彼女は規定時間内をそこで過ごす。

彼女は軽く会釈をして私の赤いパスポートを
受け取ると、おもむろにモニターと見比べながら
フライトと出国先をチェックする。
スタンプは間違いないし、多少老化が進んだ私の
顔をちらりと見て問題なさそうと判断し軽く会釈
をして手帳を返してくれた。

そう日本の審査官は最近感じがいい。
かつて向こうから会釈なぞ有り得なかった。
アメリカでは完全に無視だった。
彼らは世界の警察を名乗る。

散々待たされて荷物を受け取った後、カート押して
次は彼の元へ向かう。

制服の彼はそこに居た。
その異様な眼差しで頭を斜めに傾けて
疑いの眼差しで見つめる彼は、いつものように手荷物を
チェックする。パスポートを見て、風体を見て、一瞬に
して判断する。初心者の私は滅多に開けろと言われない。

その目が怖かったが、それに驚いた私の顔は同じ
くらい怖い顔だったはず。家で鏡を見たがびっくりだ。
旅で少し浅黒く日焼けして、その間シェーバーが無く
髭チョビチョビで、頬がコケテいて。

つまり二人とも怖い目を突き合わせていたのだ。

それでも彼らは私のお気に入りだ。

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